東方×マインクラフト   作:シャリ

1 / 2
前編:レイ(オリ主)の一人称視点

後編:神綺がメインの三人称視点


前編:レイ(オリ主)

 俺はよくいる趣味がゲームの新米社会人。なかでも『マインクラフト』が好きで休日は好きにブロックを積んだり、サバイバルモードで冒険している。

 今日は敵がいないクリエイティブモードで巨大な城を建築中だった。細かい装飾にこだわりすぎて、ちょっと疲れたなってところで喉がカラカラになってきた。

 

「コーラでも取ってくるか」

 

 椅子から立ち上がった瞬間、足がもつれて、目の前がぐらっと揺れる。

 転ぶ! と思った次の瞬間、頭を何か硬いものにぶつけて――意識がブラックアウトした。

 

 

 

 

 目が覚めて起き上がると俺の部屋じゃなかった。

 

 なぜか外にいて、視界一杯に広がるのは果てしなく続く平野。何もない。マジで何もない。

 木も丘も川も建物も――何一つない、ただの平らな地面が地平線の向こうまで続いている。

 空は薄暗く、夜明けらしい。

 

「…………夢か?」

 

 頬をつねったら普通に痛い。夢じゃないらしい。

 

 

 

 とりあえず歩いてみることにした。じっとしても現状は変わらないし。

 

 踏みしめる地面は土の感触だけど、妙に均一だ。作られたような印象がある。

 しばらく歩いても、景色がまるで変わらない。地平線は遠くにあるけど、近づいても新しいものは何も出てこない。

 

 

「ん? 待てよ……疲れてなくね?」

 

 歩き始めてから結構時間経ってるはずなのに、足が全然疲れない。喉も乾いてない。

 試しにちょっと走ってみた。全力疾走だ。風を切って走る感覚はあるのに心臓がバクバクしない。汗もかかない。いくら走っても、まるで疲労って概念が存在しないみたいだ。

 

 走るのをやめて、立ち止まる。もう一度周りを見渡すけど、やっぱり何もない。

 

「本当にどうなっているんだか」

 

 

 ただの平野。永遠に続く、単調な土のブロック──って、ブロック?

 

「ゲームのしすぎだな。ついマイクラ脳で考えてしまったな。でも……ううむ」

 

 急に頭に閃いた。いや、まさかね。でも、試して損はない。

 俺はしゃがんで、地面を拳でトントンと叩いてみた。マイクラでブロックを壊すときのイメージを頭に浮かべて。

 

 トン、トン、トン!

 

 地面がパキッと割れて、1メートル四方の穴がぽっかり空いた。まさしくブロックの形で。

 

「えぇ……」

 

 困惑しつつも隣の地面を同じように叩いてみる。同じくブロック状の穴が空く。

 

「もしかして俺、マイクラの世界に転生した?」

 

 つまり、頭をぶつけた時に死んだのか俺は……。

 

 でもマイクラかぁ。 考えてみたら何もないこの平野もマイクラで設定できる平らな世界の「スーパーフラット」っぽい気もする。薄暗い空と土の感じは違うけど。

 

「もしこれがマイクラの世界なら……メニュー開ける?」

 

 頭の中でマイクラのインベントリ画面をイメージしてみる。クリエイティブモードの、あの無限のブロックが並んでる画面。

 

 シュッ!

 

 目の前にウィンドウが浮かんだ。

 ウィンドウには、マイクラのクリエイティブモードのインベントリそのものが表示されてる。

 土ブロック、石、木材、ガラス、果てはエンダードラゴンの卵まで、ありとあらゆるブロックやアイテムがずらっと並んでる。

 

「うわぁ、マジか……俺、クリエイティブモードでマイクラ世界に転生したってこと!?」

 

 興奮と困惑が混ざった感情が胸の中でぐちゃぐちゃになる。

 とりあえず、インベントリから土ブロックを一つ選んでみる。手に持つイメージをしたら、半透明で土ブロックが浮かぶ。そいつを地面に置いてみると、1メートル四方のブロックとして実体化して設置された。

 

「ちゃんと使えるな」

 

 それは良いとして、どうしたものかな。この感じだと俺以外に誰もいない気がする。

 俺だけがいるマイクラ世界か……。

 

 うーん……まぁいいか!

 転生者になっちまったものは仕方ない。だったら楽しんだ方が良い!

 クリエイティブモードの今の俺なら食事は不要だし、ダメージも食らわない無敵マンだしな。

 

 人生はいつだってエンジョイ&エキサイティング!

 いやまぁ人生は一度終わったがね。

 

「んじゃ~、遊ぶか!」

 

 とりあえず拠点の家つくっとこ。

 

 

 

  ◆ ◆ ◆

 

 

 

 この一か月、俺はひたすら建築に没頭していた。

 画面越しではない、VR以上にリアルな建築プレイにも慣れたものだ。

 クリエイティブモードで出来る空中浮遊も自由自在になっている。

 

 ただ昼夜の時間はマイクラと違ったんだよなぁ。数十分ではなく普通に昼と夜が来る。あとコマンドで昼夜を弄ろうとしたけど昼夜のコマンド自体が効かなかった。転生チートにも限界があるということだろう、多分。

 

 

 そんで慣れた結果、転生前に作りかけていたデカい城を建てている。

 石レンガとオークの木材を組み合わせて、中世風のデザインにこだわってみた。屋根にはスレート、窓にはガラスパネルをはめ込んで、細かい装飾まで気合を入れて作った。内装も豪華にしようと、シャンデリア風の照明やカーペットを敷き詰めた部屋まで作っちゃったよ。

 

 インベントリからブロックを選んでパパッと設置していく感覚は、まるで神様になった気分。それに疲れない体のおかげでガンガン建築を進められる。

 空腹も睡眠も必要ないから、その気があればぶっ通しで作業できる身体は本当にチートだ。

 といっても、急ぐ理由も無いし気分の問題で基本的には毎日寝てるがね。

 

 

 

「ふぅ……いい感じになってきたな!」

 

 城の内部は整ってきたし、次は城の周りに堀でも作るかなー。

 

 

「ええ、見事なものね」

 

 

 ────!?

 

 

 突然の声に驚いて振り返ると、一人の女性が俺のすぐ後ろにいた。

 

「人がいただとぉ!?」

 

 俺の反応に対して、彼女がクスリと笑う。

 動揺を落ち着かせるためにも、よく観察してみる。

 

 銀色の長髪はこの薄暗い世界でも目を引く輝きがあり、瞳は深い紫色で見る者を引き込む魅力がある。

 赤いドレスを見事に着こなして、背中に六枚の羽。

 そこで普通の人間ではないと気づくが……うむ……カワイイ!

 

「私がいるのは当然よ。この魔界は私が創ったのだから。それと私は人じゃなくて、この魔界の神よ」

 

 この世界を創った神……つまり彼女はこのサーバーの管理者みたいなものか!

 ん? 待てよ。その考え方だと、俺は他人のサーバーで好き勝手にクラフトしたプレイヤーになる。アウトだわ。

 マイクラではサーバーごとに管理者がルールを決めているというのに!

 

「ごめんなさい! 知らなかったとはいえ、あなたの世界で勝手にクラフトしていました……」

「素直ね。いいわ。許してあげる」

「ありがとうございます!」

 

 ありがたい……。もしキックされてサーバーから追い出された後の俺がどうなるかも分からんし。

 

 

「私の名前は神綺よ。あなたの名前は?」

「名前は…………」

 

 あれ? なんだっけ。なぜか思い出せん。頭を打ったせいで記憶が一部だけ消えてしまったか。

 ううむ、思い出せないものは仕方ない。シンプルだが『プレイヤー』から文字を抜き出して名前としよう。

 

「レイですね」

 

 俺が答えると、神綺がため息を吐く。

 

「敬語はいらないわ。私、ずっとレイの独り言を聞いていたの。だから敬語だと違和感があるのよ」

「見られてたのかぁ……」

 

 一人だからとアニソン歌ったりブツブツ呟きながら作業してたの丸っと聞かれてたわけね。

 流石に恥ずかしい……。

 

 照れでうなだれていると、神綺が顔をのぞき込んできた。間近にある綺麗な瞳にドキリとする。

 

 

「ねぇ……レイがやっているクラフトを私もやってみたいわ。私はクラフトのこと何も知らないから、レイが教えてちょうだい」

 

 俺は目を丸くして神綺を見つめた。

 恰好からそんな気はしたが、クラフトを知らない辺り俺みたいなマイクラ転生者ではないな。しかし、思ってもみなかった要望に嬉しくもなる。一緒にクラフトで遊べる相手が増えるのは、良いことだからな。

 

「もちろんだとも! ……あっ、神綺もブロックは出せるかい?」

「こんな感じよね?」

 

 神綺が手を振ると、俺の能力と同じように石ブロックが現れた。

 

 転生者じゃないにしても、彼女も間違いなくクラフターか……。

 

「じゃあ問題ねぇな。初心者でも楽しくやれるように教えるから任せてくれ!」

「ま、お任せするわ」

 

 

 

 まずは初心者が通る道である、豆腐みたいに四角い家でも作らせるか!

 

「よし、神綺、まずは基本の家からだ。マイクラの伝統、豆腐ハウスってやつな!」

「豆腐……? 食べ物で家を作るの?」

 

「いやいや、四角くてシンプルな家のこと。ほら、こうやって……」

 

 俺はインベントリからオークの木材を選び、地面に5×5の土台をパパッと置く。壁を積み上げ、屋根を乗せる。数分もかからず、四角い家が完成だ。

 

「味気ない家ね。同じものを作ればいいの?」

「いいや、形は同じでもアクセントを加えてみよう。神綺の好きな色を屋根にしてみようか」

「それなら……」

 

 神綺はブロックの置き方がぎこちなかったけど、しっかりクラフトを終えた。屋根が赤い豆腐ハウスの完成だ。

 

「いいね。これが初めての神綺オリジナルのクラフト作品だな」

「同じ形なのにオリジナル?」

「その赤い色は神綺が選んだろ? 似たものでも、神綺の手で作られたオリジナルだよ。君がいたから、この作品は産まれることができたんだ」

 

 マイクラでも似た作品なんて、いくらでもある。似たテーマの作品だって沢山ある。特に有名な建物を再現とかの作品ならパッと見は同じものが多い。

 

 でも似ている部分はあっても、そのクラフターだからこその色合いや形や作り方がある。その人だけの味がどこかには現れる。マイクラでそういう部分を見たり、見つけるのも個人的には好きだ。

 それに似ることを気にしていると、まず手を動かすのが億劫になってしまうからなぁ。神綺には気楽に作る楽しさを覚えさせたい。

 

 俺の言葉を受けた神綺がなにか考え込むように呟く。

 

「似たものでも……ね」

 

 どこか嚙み締めた表情をし、柔らかに微笑む。

 

「悪くないわ」

 

 この日から、神綺とのクラフト生活が始まった。

 

 

 

 

  ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 神綺とのクラフトの日々が始まってから、時間はあっという間に過ぎていった。

 この魔界は相変わらずのスーパーフラットで、俺と神綺以外に生き物がいない。それでも、二人でブロックを積み上げたり、壊したり、笑い合ったりしていると、この世界が少しずつ賑やかになっていく気がした。

 神綺は飲み込みが早い。木材や石の組み合わせ、窓の配置、階段の作り方なんかをレクチャーしたら、数日で簡単な家や塔を自分で作れるようになった。

 

 そこから時間をかけて装飾の使い方や見栄えが良い構造について教えた結果、今では本格的なクラフターに成長している。

 

 

 

「レイ、これ見て!」

 

 ある日、神綺が得意げに俺を呼んだ。

 彼女が指差す先には、赤と紫を基調にしたゴシック風の小さな宮殿が立っていた。細かい装飾のブロック選びや、尖りを意識した屋根の形状にこだわりが感じられる。

 おお、カッコいい!

 

「すげえな! 神綺らしい雰囲気あるじゃん!」

「ふふ、レイの城に負けないように頑張ったのよ。どうかしら?」

「最高だよ。なんなら、俺よりセンスいいかも」

 

 神綺の建築はどことなく幻想的で、彼女の赤いドレスと紫の瞳にピッタリ合う。なんかこう、彼女の「魔界の神」って部分がそのまま形になったみたいで好きだ。

 

「次はなにを作ろうかしら……」

 

 悩みだす神綺を見てアイデアが浮かんだ。

 それぞれで作品を創り上げるのもいいが、一人のクラフターになった神綺と共同作品も作ってみたいと。

 

「次は二人で村を作ってみようぜ」

「いいわね。魔界っぽい、幻想的な村にしましょう」

 

 彼女は目を輝かせて、楽しそうに笑ってくれた。

 

 

 俺たちは役割分担を決めた。俺は村の骨組みや道路、基本的な家々を担当。神綺は装飾や「魔界らしさ」を出すディテールを考えるって流れだ。

 

 俺は石レンガとダークオークで中世風の村を組み上げ、井戸や街灯を配置。

 

 

 神綺はというと……。

 

「ねぇレイ、見てくれる? 魔界の街灯よ」

 

 見せてもらえたのは、グロウストーンを紫のガラスで囲んだ浮遊するランプ。地面に固定せず、何もない場所から鎖で吊るしたようなデザインで実に幻想的だ。

 

「夜になったら映えるやつだなぁ。ナイスアイデア!」

 

 さらに神綺は、村の中心に巨大な桜の木を作り始めた。ピンクの羊毛と葉ブロックを組み合わせて、ふわっとした樹形を再現。根元にはエンチャントテーブルを配置して、それっぽさを出している。

 

「おー、中心にはテイストの異なる明るさを置いたのか。面白いな」

「褒めてくれてありがとう。レイも何か面白いもの作ってくれる?」

 

 お願いを受けた俺は、村の外れに「ドラゴンの巣」を作ることにした。

 

 黒曜石を主軸にゴツゴツした岩山を生み出した。

 頂上には広めの空間を用意し、エンダードラゴンの卵を置いて、ちょっとしたボスエリア感を演出。

 

 神綺が「力と雰囲気が合わさった空間ね」と満足してくれて、嬉しかった。

 

 

 

  ◆ ◆ ◆

 

 

 

 村づくりを終えて、二人で作品を見てまわり堪能しきった。

 

「次はなに作る? 村づくりの経験を活かして、二人ででっかいプロジェクトやっちゃう?」

「でっかい……? 例えばどんな?」

「うーん、たとえば……天空の城とか! 雲の上に浮かぶような、すげー壮大なやつ!」

 

 神綺の目がキラッと光った。どうやら気に入ったらしい。

 

 こうして、俺たちは天空の城プロジェクトに突入した。俺が土台や骨組みを作り、神綺が装飾や細かいディテールを担当。雲を模した白と青のブロックを組み合わせたり、ガラスで透明感を出したりと息が合っていた。

 たまに神綺が「ここ、もっとこう!」ってこだわりを見せると、俺も負けじとアイデアを出し合って、どんどん城が形になっていった。

 

 

 ある夜、天空の城の屋上部分がほぼ完成したタイミングで、俺たちは一息つくことにした。屋上は神綺のアイデアで、紫と銀のガラスでできたドーム状の展望台になっている。魔界の夜空を見上げるのに最適な場所だ。

 

「レイが来てから星が増えた気がするわ」

 

 神綺の声は静かで、どこか遠くを見るような響きがあった。俺は彼女の隣に座って、同じように空を見上げた。

 

「星が増えたって、マジ? 俺は星のブロックなんて置いてないぞ」

「ふふ、冗談よ。でも……この魔界が、レイと一緒に創ることで、こんな風に輝くなんて思わなかった」

 

 彼女の言葉に、胸の奥がじんわり温かくなる。

 

「神綺と一緒に作るの、楽しいよ。最初は何もない平野だったけどさ、今じゃ村も城もあるし物語の世界みたいだ」

 

 神綺が俺の方を向いた。紫の瞳が、星明かりを反射してキラキラしてる。

 

「レイ……あなたはこの魔界をどう思う? 私が創った、でも何もなかったこの世界を」

 

 急に真剣な質問だな。俺は少し考えて、素直に答えた。

 

「最初はビックリしたよ。何もない平野だなって。でも、今は違う。この世界には俺たちの作品があって、神綺の想いが詰まってる。俺にとって、特別な世界だよ」

 

 神綺の目が一瞬揺れた。彼女は小さく息を吐いて、そっと俺の肩に頭を預けてきた。

 

「特別……か。嬉しいわ。レイがそう言ってくれるなら、この魔界を創った意味があったのかもしれない」

 

 肩に感じる神綺の温もりに、俺の心臓がちょっと速くなる。夜空の下でこうやって二人でいるの、なんか……すごくいいな。上手く言葉にできないが、俺にとって神綺と過ごす時間が大事になっている。

 

「なあ、神綺。こうやって夜空見てるの、なんかいいよな。これからも、二人でこんな時間を増やしたいな」

 

 神綺がクスクス笑って、俺を見上げた。

 

「ふふ、レイってほんと素直よね。いいわ、約束よ。これからも、二人でたくさん創って、楽しみを共有しましょう」

 

 

 俺は彼女の手をそっと握ってみた。ちょっとドキドキしたけど、神綺は嫌がるどころか、ぎゅっと握り返す。

 

「レイ、ありがとう」

「え、なにが?」

 

 少し戸惑いながら問い返すと、神綺はふっと微笑む。

 

「魔界をこんな風に楽しくしてくれたこと。私にクラフトを教えてくれたこと。なにもかもよ」

 

 その笑みは、いつもより柔らかく、温かい光を宿している。

 

「一緒に作ってくれて……私、初めて『創る』ことがこんなに楽しいって知ったわ」

 

 神綺の声は少し震えていた。

 なんか心からの言葉って感じがして、胸の内がじんわりと熱っぽくなる。

 

「俺こそ神綺に会えて良かったよ」

 

 神綺が宝石よりも麗しい紫色の瞳で、じーっと見つめてくる。どこか強い意志を感じさせる。

 

「あなたと一緒に、もっと大事なものを創りたい。あなたが好きだから」

 

 その言葉に、俺の心が一気に熱くなる。綺麗な夜空の下で告白されて、もうどうしようもないくらいドキドキする。

 

「俺も……神綺のこと、好きだよ。一緒にクラフトして、こうやって話して、全部楽しい。神綺がいてくれるから、この世界がこんなに特別なんだ」

 

 神綺が身を寄せてきた。女性らしい柔らかさに少し緊張する。

 

「じゃあ、レイ。私たちの愛を、形にしましょう。二人で子供を創りたいの」

 

 うおっ、急に!?

 でも、彼女の真剣な瞳を見たら、冗談じゃないって分かる。俺はゴクリと唾を飲んで、覚悟を決めた。

 

「うん、いいよ。俺たちの子を創ろう」

 

 神綺がふっと笑って、立ち上がる。

 繋いだ手はそのままで、神綺に手を引かれて城にある寝室まで歩いていった。

 

 

 ところで子作りは男女のアレがそれするのか、マイクラ的なゲームちっくな繫殖なのでしょうか。

 

 

 結果、子作りは前世で知ってる、あの行為だった。マイクラ的なゲームっぽい何かじゃなくて、ちゃんと現実的な、愛の形。いやはや、よかったよ。ゲームチックじゃなくて、ちゃんと心が通じ合う感じで。

 

 

 なんて、安心していた俺の姿はお笑いだったぜ。

 

 

 

「パパおきたよ」

「そうね。ちゃんと朝の挨拶しましょうね」

「うん! パパおはよう」

 

 寝起きに、金髪で青目の幼女におはようされた。

 

「お……おう…………おはよう」

 

 子供できてる!

 

 まだ一晩だぞ!!

 

 しかも、すでに幼稚園児くらい大きい!!!

 

 

「えっと、確認なんだけどさ。俺と神綺の子なんだよね?」

「もちろんよ。私の能力で、レイがくれたものと私の肉で創ったの。あ、安心して。使った肉はちゃんと回復してるわ」

 

 世界のルールじゃなくて神綺の力なのか。どっちにしろ感覚が追い付かねぇけど。

 俺がパパか……。

 

 まぁ受け入れるしかないか。よく見ると……いや、よく見なくても俺の子供がカワイイしな!

 

「名前、二人で決めましょう」

「そうだなぁ」

 

 

 子供の名前は『アリス・マーガレット』になった。

 

 "アリス"は俺が決めた部分で、"マーガレット"は神綺が決めた部分。"アリス"の由来は鏡の国のアリスだ。安直だが、見た目とこの不思議な世界にはピッタリだ。

 神綺が選んだ『マーガレット』は、彼女曰く「秘密の意味がある」とのこと。まぁ、秘密ならそれでいいや。

 

 戸惑いはあったけど、名前まで付けると親心ってやつが芽生えてきた。

 

 これから三人で、この魔界で暮らしていこうーー

 

 

「二人目は今夜にでも創る?」

「いや、待て待て! アリスを大切にしたいから、しばらくは三人でいいよ! 俺のキャパ、超えちゃうって!」

 

 神綺はちょっと残念そうにしつつも、俺の意見を尊重してくれた。

 

 

 

  ◆ ◆ ◆

 

 

 

 子供は今すぐには増やさない代わりに、魔界に新しい住民を創ることになった。

 神綺の能力で生み出した魔物や妖精たちが、俺たちの村や城に住み着き始めて、魔界がどんどん賑やかになっていく。

 

 

 二人で作った公園で、妖精たちとアリスが遊んでいる光景の微笑ましさから口元が緩む。

 

「こうして増えてくると、八雲紫が創っている幻想郷みたいね」

 

 今、なんて言ったかな。

 

「幻想郷?」

「あら、知らないの?」

「あぁいや……行ったことはないが知ってはいるぞ」

 

 前世知識だけどもな!

 そっかー、この転生世界はマイクラじゃなくて東方だったのか。ってことは神綺も東方のキャラクターか?

 でも、東方はよく知らん。俺の中では一番の印象がゆっくり実況の霊夢と魔理沙だし。

 

「幻想郷か……」

 

 あぁでも、なんか名前を忘れたけど紫色の人の『幻想郷は全てを受け入れるのよ』というワードはどこかで知って気に入っていた。その懐の大きさというか、包容力みたいな部分がね。

 

 

「そういえば幻想郷に住みたかったんだよな」

 

 人間関係や仕事とか、しがらみが多かった時期に思っただけの話だが。

 

 

 

 

 

「は?」

 




【解説】
・神綺(この作品での設定)
外見:東方ロストワードのもの。
能力:創る程度の能力。
レイを参考に能力でブロックを創っている。ブロックを壊す時は破壊を創る。
幻想郷への心象は後編にて……。


【後書き】
 クロスオーバー作品は初です。一度は書いてみたかったもので……。
 というわけで、ハーメルン投稿の9作品目です。

 次回の後編(神綺メインの三人称視点)で、神綺の掘り下げと異変です。
 前編がマイクラ要素が多くて、後編が東方要素が多い配分。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。