征途日本召喚   作:猫戦車

18 / 34
決戦

パーパルディア皇国 首都エストシラント湾内

中央暦1640年/西暦2022年 8月6日

 

 皇国海軍は混乱していた。

 当然だ。なんせ敵は、洋上に展開している戦力をすっ飛ばして、指揮中枢たる海軍本部を爆撃してきたのだから。海軍総司令官バルスを含む多数の将官が行方不明の現状にあっては、混乱は必然であった。

 

 それでも尚、哨戒中の第3艦隊、停泊中の第1、第2艦隊所属の竜母が、比較的冷静にワイバーンロードの発艦作業を行えていたのは、ひとえに日頃の訓練の賜物と言う他無かった。

 突然の奇襲に困惑しつつ、現場の将兵らは懸命に発艦作業をサポートした。第3艦隊竜母艦隊司令のバーン少将もその1人だった。

 

「発艦!発艦!上がれる奴は皆上がれ!迎撃?海上で他艦隊のワイバーンと合流し、そのまま戦え!」

 

 怒鳴りつけるように魔信を切ったバーン少将は飛行甲板を眺めた。普段より更に慌ただしく動き回る誘導員達に指示されてワイバーンロードが次々に上空へと上がっていく。彼の乗艦である竜母〈ワーグナー〉は、一隻あたり20騎ものワイバーンロードの搭載を可能としている新鋭艦であり、その乗員も能力に相応しいだけの練度を兼ね備えていたのだ。

 

 先程とは別の魔信が鳴った。〈ワーグナー〉の航空管制室からだった。

 

「こちら航空管制室。たった今南方を哨戒中のワイバーンロード4騎が消息を断ちました」

 

「おい、嘘だろ」

 

 バーンは驚愕した。早い、早すぎる。そもそもの攻撃の速度が違いすぎて、此方の対応が自然と後手に回らざるを得なくなっている。なんと恐ろしい事だろう。

 海軍本部攻撃の報を受けたのが10分前、そう10分前だ。たった10分、それは現代戦において永遠に等しい。

 

 突如、艦隊前縁を航行中の戦列艦に閃光が迸った。続いてそれは爆炎に変わり、彼の耳元まで轟音が鳴り響く。バーンの目には、側面から爆風と共に魔導砲から人の破片を含んだ何かが無数に飛び出してくる光景が映った。

 

 この時、竜母艦隊に襲いかかったのは航空護衛艦〈ほうしょう〉より発艦した8機のF-14J改Ⅱによる48発のASM-2だった。発射に際してなんら妨害を受けることもなく放たれたそれらは、今この瞬間まで皇国海軍に気付かれること無く高速で接近していた。

 

 最初の爆発から12秒後、次に被弾したのは竜母〈アビス〉だった。彼女を狙った1発のASM-2は、〈アビス〉まで距離2キロの地点で急上昇に転じ、そのまま飛行甲板へと急降下するように直撃した。

 ミサイルはその運動エネルギーを持って甲板を貫通し、弾体の大半が船体へとめり込んだ時点で遅延信管を作動させた。次の瞬間、〈アビス〉の両舷から破裂するように爆炎が噴き出した。

 

 最早ダメージ・コントロールを行う人員すら吹き飛んだ〈アビス〉が海底へと没し始めたのを皮切りに、周囲の戦列艦、竜母に対して次々とミサイルが襲いかかった。僚艦がやられる様を目撃した各艦の艦長は、その惨状から逃れるべく行動しようとしたが、既に何もかもが決していた。

 

 バーンの頬を爆風が撫でた。右前方を航行中の竜母〈セイレーン〉が爆ぜた事によるものだった。皇国の竜母としては平均的な部類に入る彼女は、〈アビス〉と同じようにミサイルが船体に直撃したのち、後部のロケット・モーターが内部へとめり込み、火のついた残りの固形燃料を撒き散らせるだけ撒き散らされた結果として、船内に存在するすべての人間に避けがたい死を強要する檻と成り果てたのだ。

 

「そ、そんな……〈セイレーン〉が……〈ガルガオン〉が……!?」

 

 不意にすえた臭いがバーンの鼻を撫でた。振り返ると、艦隊参謀のアモルが甲板に尻餅をついて、目の前の光景に顔面を蒼白にして慄いていた。よく見ると、ズボンの股間部分の色が変わっている。

 

 畜生、喚きたいのはこっちも同じなんだぞ。バーンは最早使い物にならなくなった参謀を視界から外し、焦燥に支配されかかった脳内で必死に考えた。

 空に上がれたワイバーンロードは何騎か?第1、2艦隊はどうなっている?糞、今の攻撃で何隻やられた?一体俺はどうすればいいのか?

 

 彼の思考を中断したのは、〈ワーグナー〉右舷を貫くように突入した1発のASM-2だった。格納庫甲板にめり込む形で船内に侵入したミサイルは、一瞬遅れて炸薬を起爆、破片と火災を内部の人間へと飛び散らせていた。彼女にとって不幸なのは、更に1発突っ込んできたASM-2によって上甲板の乗組員が爆風と火災で吹き飛ばされてしまった事だ。勿論、その中には艦隊司令のボーグも含まれている。

 

 頼るべき指揮系統とダメコン要員を喪失した〈ワーグナー〉は、艦内の全てを焼き尽くすような火災ののちに転覆、そのまま海中へと没した。周囲には幾つかの艦船が浮かんでいたが、その全てが火災と損傷により、最早浮かぶ以上の機能を果たせなくなっていた。

 

 第3艦隊の竜母を襲った悲劇は、出航中だった第1、第2艦隊所属艦にも同じように降りかかっていた。ただ、彼ら将兵は何も出来なかった訳ではない。彼等はなんら有効打を打てず海中へと没したが、その代償に3艦隊合わせて450騎のワイバーンロードを空に上げる事に成功していた。

 

 

 

15分後 大型護衛艦〈やまと〉

海上自衛隊第二機動任務群

 

 

 大型ディスプレイには無数の編隊が入り乱れる航空戦の様相が映し出されていた。

 皇国海軍が上空に上げる事に成功した無数の編隊は、母艦の仇討ちと言わんばかりの様子を持って南方海域へと移動を開始した。統率が取れているとは言い難かったが、その数の脅威は如何ともし難い。

 

「まずいな」

 

 〈やまと〉の艦長席に座る男がそう言った。ディスプレイに映る敵影は減る様子が無い。既に航空護衛艦から戦闘機のスクランブル発進が繰り返され、100騎以上の撃墜に成功しているものの、それでも200騎以上が〈やまと〉の防空圏内に侵入すると見込まれていたからだ。かつて海自は200発近い対艦ミサイルを凌ぎ切った事はあるものの、それに費やされるコストや労力は無視できるものでは無かった。

 

「敵航空機、防空識別圏内に突入」

 

 レーダー員がそう告げた。この時点で、〈やまと〉とその僚艦は敵編隊襲来方向に横腹を見せつけるような形で移動していた。イージス艦の有するイルミネーターの全てを指向する為だ。

現在、第2機動任務群隷下にあるイージス艦の数は、〈やまと〉を含めて7隻、準イージス艦とも例えられる〈ながつき〉級も含めれば、この倍の数の敵機が襲いかかっても凌ぎ切れると言えるだろう。

 旗艦〈ひりゅう〉に搭乗する群司令より命令が伝わった。全艦防空戦闘開始、回避自由。それを受け取った艦長は決断した。

 

「対空戦闘、全自動射撃開始。打ち方始め!」

 

「打ち方始め。スタンダード全自動射撃(ハンズオフ)

 

CDCの防空区画から復唱が響き、〈やまと〉が搭載した半ば日本製のイージスが行動を開始した。

〈やまと〉のセントラル・コンピュータは探知した目標の内、最も優先順位の高い目標を割り振り、それをデータリンクで各艦へと伝達する。

同時に、艦首と艦尾に設けられた垂直発射システムのアーマード・ハッチが同時に28個開き、次の瞬間、真上に向けて一斉にSM-2艦対空ミサイルを放った。他のイージス艦も同じように射撃を開始し、それぞれに割り振られた目標へと向かっていった。

 

 まず同時に28騎のワイバーンロードがレーダーから消失した。〈やまと〉の放ったスタンダードに撃墜されたのだ。その後に他のイージス艦による射撃が加わり、僅か3分の間に皇国軍は100騎以上のワイバーンロードを喪失していた。

 

 しかし、彼ら竜騎士の戦意は衰える事を知らなかった。目の前で戦友が無惨に撃墜されているにも関わらず、彼らは決して進路を改めることは無かったのだ。

 艦隊は既にスタンダードの第2波を放っていた。各イージス艦のVLSから噴火のような光景と共にミサイルが上昇していく。そしてそれらミサイル群は、各艦のイルミネーターに導かれるままに目標へと突入していった。

 

 残り100騎程度まで数を減らしていたワイバーンロードの大編隊にとって、この第2波のスタンダードは死刑宣告と同義だった。最初の射撃開始から1分とたたずして、今まで彼らが飛行していた空域を無数の爆発が支配し……そして、来襲した敵ワイバーンロードはその全てが撃破されていた。

 

「全機撃破。残存敵機無し!」

 

 呆気に取られたような声に喜声が混じった。一瞬だけ気の緩みを感じた艦長は、帽子を目深く被り直す。次の命令はすぐにやって来た。全艦戦闘配置、針路を北西へと転身し、突入せよ。目標配分は〈やまと〉並びに各艦のデータリンクにて行え。そういうことだ。

 

「諸君、反撃と行こうか」

 

 艦長は色々なものを含んだ様子で言った。そのまま、〈やまと〉の針路を変更するよう命じる。

 

「全艦水上戦用意。目標は本艦の指示によって配分する」

 

 それから数十秒後、〈やまと〉は北西へと針路を変更した。後続の護衛艦群も後を追う。この数時間に発生する戦闘が、この戦争の趨勢を決すると誰もが確信していた。

 

 

 

30分後 パーパルディア皇国海軍第3艦隊旗艦〈ディオス〉

 

 

 竜騎士達が須くヴァルハラへと導かれた後であっても、パーパルディア皇国海軍第3艦隊は針路を変えることは無かった。艦隊は幾つかの戦隊に分かれ、それぞれが互いをカバーするように布陣していた。例え味方に多大な損害が発生しても、数的有利を活かせるようにした陣形だった。

 

 言うなれば皇国海軍が現時点で実行可能な最善策。一般的な海軍軍人ならば精神を安定させるであろう光景が周囲に広がっているにも関わらず、第3艦隊司令アルカイドは背筋に走る悪寒を止めることが出来なかった。当然かも知れなかった。彼とその将兵は、今正に皇国の全てを喰い千切らんとする怪物と対峙していたのだから。

 

(第1、第2艦隊は間に合いそうにないな)

 

 アルカイドは、今この瞬間にて、自らの艦隊が皇国海軍にとって唯一残された統制の取れた海上戦力であると認識せざるを得なくなっていた。

 既に海軍本部が機能不全に陥って久しい。奇襲による混乱の影響は続いていたし、停泊中だった第1、第2艦隊の所属艦艇は、充分な戦闘準備すら行えずに洋上に駆り出される始末。

 命令系統が破壊された現状において、なんとか元のパフォーマンスを発揮できると言えそうなのが、アルカイドの手元にある第3艦隊のみであった。

 

「各艦に発信しろ」

 

 アルカイドは通信士に向けて言った。

 

「いかなる犠牲を払っても」

 

 日本艦隊のエストシラント湾突入を阻止せよ、と命じた。死守命令だった。

 艦隊外縁部を航行していた戦列艦の見張員が、敵艦隊発見の第一報を送って来たのは、その死守命令から1分に満たない間の出来事だった。

 

「敵艦発見!距離40、隻数不明」

 

「総員戦闘配置、最大船速!」

 

 アルカイドは命じた。各艦に備え付けられた風神の涙が唸り、150を超える戦列艦の速度を上げる。船速が進むにつれ、アルカイドも目視で敵艦を視認することが出来た。

 艦隊前方から黒煙と轟音が轟くようになったのはその直後だった。

 

「戦列艦〈アディス〉轟沈!〈マスタル〉、〈レジール〉に着弾……」

 

「馬鹿な。早すぎる」

 

 次々と戦列艦の轟沈報告が上がって来た。想定の何倍も早いペースだった。艦隊前縁12キロ地点まで接近した日本艦隊は、パーパルディア側の攻撃が及ばぬ範囲より一方的に殴打したのである。

 

 幾多もの水柱が上がる。それと同時に、無数の閃光と爆音、そして爆炎が立ち上り、その度に数百名の皇国兵が絶命するか、或いは耐え難い外傷を負った。無論、海自側には何の損害も出ていない。

 

 海上自衛隊の護衛艦は〈やまと〉を筆頭として芸術的とも言える精度で皇国海軍艦艇を掃討していった。各護衛艦の艦首に搭載された主砲、或いは副砲が数秒に1発の感覚で火を吹き、その10数秒から数十秒の後に幾多もの戦列艦が爆ぜる。

西暦世界において砲填兵器は主役の座を降りて久しいものの、数世紀単位で差が有る相手では過剰に思える程の効力を発揮していた。

 

 特に、〈やまと〉のそれが凄まじかった。彼女は現代艦において類を見ない程に副砲の類を搭載していた為、どの護衛艦よりも多くの敵艦を次々に轟沈していった。

 艦隊の先頭に立つ彼女は常に閃光をきらめかせ、その数に応じた死と破壊を皇国海軍第3艦隊へと振りまいていたのだ。

 

 閃光は次第に〈ディアス〉へと近づいていった。彼らはそれをただ受け止める以外に術を知らなかった。勇敢に突撃した艦の全てが水柱の下へと消え、自らも今まさに水底へと沈まんとしている。

 

「畜生、どうしてこんな」

 

 最早、何の意味も無いのは分かってはいるものの、アルカイドはそう口走らずにはいられなかった。第3艦隊は混乱の中で陣形が乱れ、既に艦隊の体を成していない。確実に砲の届かない距離から確実に当たる砲弾を叩き込まれ、そのまま海の藻屑となるだけだ。

 

「敵艦接近!距離10キロ!」

 

 突如、見張り員が悲鳴のような叫び声を上げた。周囲を見渡すと、敵艦隊の最前列を航行していた一際大きな戦艦が、その片舷に備え付けられた無数の砲のうち1つを〈ディアス〉へと指向していたのだ。

 

 回避を、アルカイドがそう叫ぶ直前、〈やまと〉左舷の80式60口径203ミリ速射砲が火を吐き、数秒の間を経て〈ディアス〉右舷へと被弾した。彼女にとって不幸だったのが、不運にも砲弾が直撃した箇所が弾薬庫に直結していたことだった。砲弾が炸薬を炸裂させるとほぼ同時に弾薬庫が誘爆、少し遅れて〈ディアス〉は前後に引き裂かれるようにして爆発した。勿論、アルカイドを含む乗員を道連れにしながら。

 

 5分後、〈やまと〉含む第2機動任務群艦艇の周囲に戦闘可能な敵艦艇は存在しなかった。その悉くが砲撃によって沈められ、中の乗員と共に海底へと没していった。総数150隻以上の大艦隊との戦闘は、わずか15分の間に終結していたのだ。

 

 これから1時間も経たない内に、第2機動任務群は針路を変え、未だに集結の終わっていない第1、第2艦隊所属の戦列艦群への突入を開始した。

 

 

同時刻 海上自衛隊〈やまと〉

 

 

 CDCに設けられた巨大ディスプレイには、未だ尽きることの無い程の戦列艦が映し出されていた。その足並みはお世辞にも揃っているとは言い難い。奇襲に慌てて飛び出す形となった為、敵を迎え撃つ準備が整っていないのだ。

 戦列艦の群れは〈やまと〉へと向かっているようだった。おそらく、艦隊の最前列に立ち、その大きさから最も目立っているのが原因だろう。

 

(一体、彼等の何がここまでの戦闘に駆り立てるのだろう)

 

 度重なる戦闘により妙な緊張感の流れるCDC内において、〈やまと〉主砲の射撃要員として勤務していた藤堂未来2等海尉はそう思った。

 思えば、敵はこれまでどれだけ酷い損害を負おうが決して撤退しようとはしなかった。傷を負わぬまま偉大な敗北を迎えるより、例えどれほど無謀であっても悲惨な勝利を選ぶべきである。多分、彼らにとって海軍はそうあるべきなのだろう。

 

 藤堂は思った。恐らく、俺達が転移して以降に戦ってきた相手は相当に優秀な軍人だったのだろうな。きっとその練度は我々自衛隊と比較してなんら劣ることは無い。例え侵略国家の兵士といえど、己に課せられた職務に忠実である軍人達が一方的に死んでいくのは、藤堂にとってどうしようもなく無常に思えたのだ。

 

(まあ、手を抜こうなんて微塵も思って無いが)

 

 同時に、彼は自衛官としてあるべき感情を抱いていた。敵にかける情けなど無い。向こうに戦意のある限り、その砲火を持って撃滅しなければならない。相手が自分らとそう変わらない、確固たる信念を持った人間だったとしても。

 突如として艦長の号令が鳴り響いた。

 

「対水上戦闘、射撃準備」

 

「射撃準備よし!」

 

 CDCの各所から復唱がこだまする。勿論藤堂も例外でない。

 既に前後3基9門の46センチ主砲が旋回し、両舷に針鼠の如く設けられた副砲群も準備を完了していた。後は藤堂がトリガーを引けば、地球において最大最強だった戦艦の主砲がその威力を解き放つ。

 復唱が終わると同時に、艦長が叫んだ。

 

()ェ!」

 

 〈やまと〉甲板に嵐が発生し、艦体が振動した。

 3連装の46センチ砲…… 81式460mm60口径主砲が砲弾を発射したのだ。

 弾種は三式弾。正確には戦後に導入された改良型で、どちらかと言えば対地制圧用途に使用されたそれは、ほぼ瞬時にして敵戦列艦直上に到達、時限信管を作動させ、炸裂した。

 

 幾多もの戦列艦が鉄と火のシャワーに包まれた。主砲の射撃の合間、無数の副砲群も射撃を開始した。無論、これだけでは終わらない。このまま〈やまと〉は突入するのだ。

 〈やまと〉は全身から火線を放ちながら先陣を切った。統制の取れていない敵艦隊は密集体系での突撃を選んだが、それら全ての抵抗を〈やまと〉の有する全ての火器が迎撃した。

 

 〈やまと〉主砲弾が戦列艦の直上で炸裂する。戦列艦のマストと露天艦橋が一瞬にして吹き飛ばされ、続いて船内の弾薬庫に誘爆した。爆発……それと殆ど同じような光景が、〈やまと〉の主砲が火を吹く度に何度も繰り返された。

 

 こうした光景は〈やまと〉だけのものでは無かった。〈きりしま〉、〈むらさめ〉を始めとする各護衛艦もまた、全艦騎士へと火焔を吐く竜のようになってあるだけの戦列艦に砲弾を叩き込んでいった。8インチ砲が、5インチ砲が吠える度、海面の上と下には地獄が広がっていった。

 

 各艦が予備の砲弾までもを撃ち尽くした時、エストシラント沖にて戦闘に加わっている皇国海軍艦艇は消失していた。その全てがこのエストシラント沖に消えたのだった。

 後にエストシラント沖海戦と一括りにされた一連の戦闘はこうして幕を閉じた。パーパルディア皇国は、この海戦で海軍の総戦力に匹敵するだけの戦力を喪失した。

 そして、皇国がこれ以上のものを失うのは、今回だけが最後では無かった。




次回更新分でパーパルディア編は終わりにする予定です。なるべく早くグ帝編に移りたいのもあって、結構あっさりになりそうです。一応原作そのままにはならないようにはします。

追記:どうにも納得のいかない所があったので一部加筆致しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。