という訳で第11話です。
セイアさんと夢で邂逅した翌日、遂にアビドスからシャーレに救援要請が届いた。カルバノグが終わってからしばらく経ったが、いよいよ対策委員会編のはじまりである。先生とユメさん、そして当番だった私も一緒にアビドスへ向かう事となった。
「それでですね先生っ!私が卒業した後アビドスの生徒会長をやっているホシノちゃんがとっても強くて可愛いんですよ!2年のシロコちゃんやノノミちゃん、1年のセリカちゃんにアヤネちゃんもみんな良い子で、私の自慢の後輩なんです!」
「そっか。ユメは後輩達の事がとても好きなんだね」
「はいっ!みんな大好きです!」
現在、私達は連邦生徒会所有の輸送ヘリの中にいる。操縦はRABBIT小隊のモエが担当し、他の3名も同席している。原作の様に徒歩で向かったら遭難しかねないので、私が進言した。実際に遭難した事のあるユメさんも同意し、今は快適な空の旅だ。お陰で先生とシロコとのイベントが潰れたが、先生達の身の安全には代えられない。
「そう言えばミヤコ。FOX小隊の子達も後から来るんだっけ?」
「はい、先生。先輩達は私達とは別にヘリで運びきれない物資を運搬する手筈となっています。陸路でルートを確保しながら運搬する為、合流まで多少時間がかかる見込みです」
「しっかし、あんな砂だらけの僻地にまだ人がいたなんてな……」
「アビドスの人達……仲良くなれるかな……」
『みんなー、アビドス到着まで後10分くらいだよー』
因みに先生はアビドスの抱える問題について独自に調べて把握しており、大体の事情をミヤコ達に話してある。ミヤコ達は母校を立て直そうとしているアビドスと、嘗ての自分達の境遇と重ねているのもあってか色々気になっている様だ。
「ホシノちゃん達、大丈夫かな……」
「ユメさん、焦っても仕方ありません。今はホシノさん達を信じましょう」
原作との相違点だが、私が原作知識をフル活用してユメさんやホシノさんに色々助言をした結果、アビドス生徒会は対策委員会と名称を変えて今も存続しており、その生徒会長をホシノさんが正式に引き受けている。
また、アビドスの土地の現状についてもホシノさん達は既に把握済みで、カイザーが金ではなくアビドス自治区そのものの乗っ取りを計画していると認識している。現在は表向きは何も知らないフリをして借金返済に奔走しつつ、裏ではカイザーに悟られない様にカイザーの悪事を暴く為の証拠集めをしている。
ユメさんが連邦生徒会に入ったのも、少しでも多くのカイザーの情報を掴み、アビドスの復興をサポートする為だ。ただ相手も大企業なだけあって中々尻尾を出さず、連邦生徒会を動かせる様な決定的な証拠を掴めずにいるのが現状であるが、ホシノさん達は決して諦めず、アビドスの復興を目指して日々努力している。
「それにしても、今回の一件も裏でカイザーが絡んでると聞きましたが、その目的はなんなのでしょうね?」
「えっと……何か探しているものがあるとか、かな……?」
「お宝探しなら昔ホシノちゃんと一緒にやってたなぁ……結局見付からなかったけど」
「何れにしてもきっとロクな事じゃないだろう。絶対に暴いて捕まえてやる」
『うへへ、その時は派手に爆破出来たら良いなぁ』
RABBIT小隊の面々はカルバノグでの一件もあって、やる気に満ち溢れている様だ。
「色々気になる事はあるけど、まずはユメの後輩達を助けるのが先だね」
「ええ、そうですね先生」
「待っててね、ホシノちゃん。必ず助けるからね!」
先生もカルバノグでの一件以来、カイザーの事は警戒しており、色々調べているらしい。実を言うとシャーレに流れてくる問題の大半にカイザーが絡んでおり、詳しく調べていく内にアビドスが抱える問題を知る事となったとの事だ。普段は温厚な先生だが、自分達の利益の為に生徒達を苦しめるカイザーのやり方に対して明らかな怒りを抱いていた。
やがてヘリがアビドス高校の校庭に着陸し、私達は対策委員会と対面した。その直後にヘルメット団が校舎に襲撃を仕掛けてきたが、先生の指揮下に入った対策委員会とRABBIT小隊、ユメさんと私によってあっさりと撃退された。
その後、陸路でアビドスへ向かっていたFOX小隊が合流し物資の運搬を終えて落ち着いた所で、先生はアビドスの借金問題について切り出し、自分を対策委員会の顧問として雇わないか提案した。
内容はアビドスの借金問題の解決、アビドスを襲う武装勢力の撃退、シャーレの部員の保護という名目で武器弾薬の補給、SRTの生徒達がアビドスの警護に当たる等々、シャーレが全面的にアビドスの支援を行い、見返りとしてシャーレの活動を手伝って欲しいという物だった。
はじめはアビドス側に都合が良い内容と見知らぬ大人という事もあって警戒していた対策委員会だったが、先生の人柄と私達のフォローもあって最終的に提案を承諾した。
話が纏まった後、私達はヘルメット団の追撃を行い、拠点を制圧した。捕まったヘルメット団員達はSRTの生徒達の監視の下、市街の清掃やボランティア等の奉仕作業に従事し、所持していた装備は全てシャーレが回収した。また、戦いを経て対策委員会とRABBIT小隊も互いに打ち解けた様で、モモトークの連絡先も交換済みだ。
なお、ヘルメット団が壊滅しSRTの生徒達がアビドスの警護に当たったお陰でセリカの誘拐事件は起こらずに済んだ。
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「うへ~、やっぱりこの椅子って落ち着かないなぁ」
場所は代わり歯科学部の診察室。ホシノさんが歯科ユニットの治療用チェアに座りながらそう呟いていた。
ヘルメット団を撃退した後、私達は柴関ラーメンで食事をとっていたのだが、そこでホシノさんが虫歯を患っている事に気付き、治療を受ける事を勧めた。ホシノさんは最初は拒否していたが、ヘルメット団が壊滅した事で当面の問題が片付いて余裕が出来ているのと、シロコをはじめとした対策委員会の皆から早めに治した方が良いと勧められ、渋々ながら治療を受ける事となった。
「にしてもハモリちゃん、何でおじさんが虫歯だって気付いたの?ノノミちゃん達にも言ってないのに」
「欠伸をしてた時に一瞬見えましたので。自慢ではないですけど目は良いんですよ、私」
「うへ……おじさんどう返したら良いかわからないよ」
私の回答にホシノさんは顔を引きつらせる。あんなに大きく口を開ければすぐに分かるものだと思うのだが、何か可笑しかったのだろうか。
「それに……ここなら周りを気にする事なく話も出来ますからね」
「……おじさん、そんなに分かりやすかったかな?」
「先生の事をずっと見てましたし、対策委員会の顧問の件について話してた時も何か言いたそうにしてましたからね」
ユメさんが生存して精神面は多少は安定しているとはいえ、ホシノさんの大人に対する不信感は原作と変わらない様だ。
「心配しなくても、私を含めた歯科学部の部員は患者のプライバシーを口外する様な事はしませんよ」
「……ハモリちゃん、最初からこの為に私をここに連れてきたの?」
ホシノさんは真剣な表情で私に問い掛ける。
「いえ。虫歯があったのは本当の事なので他はついでですよ。オマケに歯に汚れも溜まってましたし、目の隈から察するにあまり眠れていないのでしょう?睡眠不足は口の健康と密接に関わりますから、ちゃんと十分な睡眠を取らないといけませんよ?」
「うへぇ……うん、そうだった。ハモリちゃんはそういう子だったね……」
ホシノさんは何故か黄昏た表情でそう呟いた。しばらくすると、ホシノさんは表情を一転して、目を細めながら、真っ直ぐに私を見据えて問いかけた。
「それでハモリちゃん____あの先生って、実際の所どうなの?」
「信頼に値する人、私はそう認識しています。ホシノさんは、違うのですか?」
私がそう言うと、ホシノさんは困った様に笑いながら口を開いた。
「うん……本当は分かっているんだ。ユメ先輩やSRTの子達の顔を見れば、きっと信頼出来る人なんだって。連邦生徒会に何度も救援要請を送っても受理されなかった事についても、先生は悪くないのに頭を下げてくれたし……顧問の話だって、理屈の上では受け入れた方が良いって事も分かる……けどね、頭では理解は出来ても、そう簡単に納得は出来ないよ」
ホシノさんは拳を握り締め、絞り出す様な声で言った。その表情は固く、何時ものゆるゆるとした雰囲気からはかけ離れていた。
「まあ、ネフティス出身のノノミちゃんに、一年以上前の記憶がないシロコちゃんを入学させている私が、今更何か言えた義理ではない事は百も承知だよ」
私はホシノさんの話に黙って耳を傾ける。
「それでも、私やユメ先輩は……私達のアビドスは、大人達に騙され続けたんだ。今になって、新しい大人がやって来て私達を助けるって言われても、そう簡単に割り切る事は出来ないよ」
「……それで良いと思いますよ」
私はホシノさんの言葉にそう答えた。
「……信じて、って言わないんだね?」
「ええ、信じるかどうかは他人の言葉ではなく、自分自身が決める事ですから」
だから、と私は続ける。
「今すぐに信じなくても良いんです。ただ、ホシノさんが心の底からあの人の事を信じたいと思える時が来るまで、ホシノさん自身の眼で見て、判断して欲しいんです」
「……信じているんだね、あの先生の事を」
ホシノさんは、何処か羨む様な表情で呟く。
「はい。出会ってからまだそんなに経った訳ではありませんが、あの人の人となりは理解しているつもりです」
「そっか……君から見て、先生はどんな人なのかな?」
ホシノさんの問い掛けに対して、私はゆっくりと口を開く。
「私生活はだらしなくて、浪費癖が酷いのが玉に瑕ですが……どんな時でも私達生徒の事を第一に考えてくれて、生徒達が当たり前の日常を過ごせる事を望んでいる……優しい人です」
思い返すのは、先生がシャーレに着任して間もない頃、SRTの復校の為に連邦生徒会を集めて会議を開いた時の事だ。下手をすれば自分の立場だって危うくなるかもしれないのに、あの人はミヤコ達が母校という名の居場所を失う事がどんなに辛い事なのか連邦生徒会に訴えかけ、そして最後には復校を勝ち取る事に成功した。仮に私が先生と同じ立場だったとしても、果たして同じ事が出来ただろうか?また、本来の歴史なら対立する筈だったFOX小隊がRABBIT小隊と力を合わせてカイザーの悪事を暴いたのも先生のお陰だ。とてもではないが、私には真似出来ない。
「あの人にとって、子供を助ける事は当たり前の事なのでしょう。それが例え、自分の身を削る事になったとしても……だから私も、そんな先生の力になりたくて、そして信じられるんです」
「……ハモリちゃんは、先生の事が好きなの?」
「好きか嫌いで言えば、好きなのは間違いないですね。ただ、それは尊敬の出来る人という意味になりますが」
キヴォトスで16年間過ごしてきたが、未だに恋愛感情というものが分からない。可愛い生徒達の口の中を見るのは好きだが、それは自分の欲求を満たしたいが為であって、その様な感情ではない事は確かだ。
「私が大人になるのなら、あの人の様に助けを求める誰かに寄り添い、導いてくれる人で在りたい……私にとって、先生は目標なんです」
「そっか……ハモリちゃんがどうして先生を信じているのか、分かった気がするよ」
ホシノさんは微笑みながら、そう言った
「ありがとね。色々言いたい事言ったら、何だかスッキリしたよ。みんながいる手前、私の我儘で気分を悪くさせたくなかったからさ……」
「彼女達はきっと、気にしないと思いますよ?ホシノさんも、遠慮せずに自分の言いたい事は溜め込まないでちゃんと言った方が良いですよ?」
「うん……努力するよ」
ホシノさんは頬を掻きながら言った。
「それと、これはまだみんなにも言ってないんだけど……ハモリちゃんは、"ゲマトリア"って知ってる?」
「(ここでその名が出るか……)」
ゲマトリア。キヴォトスの外からやって来た異形の大人達の集団。原作における様々な事件の裏で暗躍している敵勢力だ。このタイミングでその名が出るという事は、原作でもあった取引の事だろう。知識として知ってはいるが当然会った事はないのでホシノさんの問い掛けに対して私は首を横にふる。
「私も詳しい事は知らないんだけど、キヴォトスの外から来たっていう大人……達なのかな?私に取引を持ち掛けて来た奴……私は黒服って呼んでるけど、そいつは私が学校を辞めてカイザーに所属すれば借金の半分を無くす、って結構前からそういう誘いを受けてたんだ」
「ホシノさん、それは……」
「心配しなくても、断るつもりだよ。そもそもカイザーの連中が端から借金の返済に興味がなくてアビドスを廃校にしようとしているのは分かっていたし、大方私がいなくなれば簡単に学校を潰せるって踏んで取引を持ち掛けて来たんだと思うよ。本当に、何処まで私達を馬鹿にすれば気が済むんだろうね……」
ホシノさんは拳を握り締め、怒りを滲ませた声色で呟く。いくら原作と異なり対策委員会が正式な生徒会として存在しているとは言え、アビドスが在校生僅か5人の小規模な学園である事には変わりない。カイザーなら多少強引な手を使ってでも学校を潰そうとして来るだろう。セイアさんの前では未来は変えられるとは言ったものの、事はそう簡単にはいかない様だ。
「だから正直な話、ハモリちゃんがいてくれて良かった、って思うんだ。ユメ先輩を助けてくれた事も勿論だけど……対策委員会の事とか、アビドスの土地の事とか、ハモリちゃんが気付かせてくれなかったら、今頃私達はカイザーに嵌められてアビドスを失っていたかもしれない……」
「……私がして来た事なんて、大した事ではないですよ。寧ろ、余所者に過ぎない私の言葉を信じてくれたホシノさん達のお陰ですよ」
原作知識を使い口添えをして原作より多少はマシになったとは言え、物語の大筋を変えるには至っていない。アビドスがここまで存続出来たのも、ホシノさん達がずっと諦めなかった結果だからだ。
「それでもさ、本来なら何の関係もないのに、ずっと私達の為に借金の返済を手伝ってくれたり、カイザーの情報を色々調べてくれたり、一緒にヘルメット団と戦ってくれたりした君の事を余所者だなんて誰も思わないよ」
ホシノさんはそう言って私の顔を真っ直ぐに見詰める。
「ありがとう、ハモリちゃん。私達と一緒に、アビドスを守ってくれて……本当にありがとう」
「はい……」
目元が熱くなるのを堪えながら、私はそう返した。
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「では、少々遅くなりましたが治療を始めましょうか」
しばらくして、私は当初の予定だったホシノさんの虫歯治療の準備を始める。
「うへぇ……やっぱりちょっと緊張するなぁ……あんまり痛くしないでね?」
「まだ詳しく調べた訳ではないので何とも言えませんが、痛みが気になる様であれば麻酔をしますので大丈夫ですよ」
治療器具の数々を眺めながら不安そうに呟くホシノさんにそう返す。
「取り敢えず……まずは歯磨きから始めましょうか」
「うへ?」
歯ブラシを取り出した私を見てきょとんとするホシノさん。
「柴関ラーメンを出た後、歯を磨く時間がありませんでしたし、治療をスムーズに行う為にもまずは歯を綺麗にしましょう」
「な、何だかちょっと恥ずかしいな……」
ホシノさんは頬を赤らめ呟く。年齢は彼女の方が上だが、見た目が幼いのもあって年下の女の子を相手している様だ。そのギャップがまたそそる。
「では、ホシノさん。口を大きく開けて下さい」
「……あー」
ホシノさんがゆっくりと口を開け、その小さな顎に納められた歯が露になる。歯の数は親知らずがなく全部で28本。チャームポイントの八重歯を除いて他の歯はズレもなく並んでいるが、所々に食べ滓や歯垢がある。そして右下の5番、第2小臼歯には隣の6番、第1大臼歯と接触する部分に虫歯が出来ていた。
私は大きく開かれたホシノさんの口内に歯ブラシを挿入する。汚れの溜まりやすい下の奥歯から前歯に向かって、歯茎を傷付けない様に小刻みに歯ブラシを動かす。
「ふぁ……」
ホシノさんが小さく呟く。歯ブラシを動かす度にホシノさんの舌が異物を出そうと蠢いており、口の中をじっと見られてる羞恥心からか、頬は赤く染まっている。虫歯の箇所に歯ブラシが触れるとピクッと反応し、手をぎゅっと握り締めている。出来る限り痛みを与えない様に歯ブラシを動かし、汚れを落としていく。下の歯が終わると、次は上の歯も同様に丁寧に磨いていく。
「では、これで口を濯いで下さい」
「うん……」
ホシノさんは水の入った紙コップを手に取り口を濯ぐ。その顔は未だに赤く、目が泳いでいた。
「これから治療に入ります。それでは、口を大きく開けて下さい」
「あー……」
ホシノさんは再び大きく口を開ける。私はデンタルミラーをホシノさんの口の中に挿入し、虫歯になっている右下の第2小臼歯に近付ける。目視での確認の後、レーザー光を当てて穴の深さを確認し、最後にレントゲンを撮る。
「この部分、見えますか?この歯と歯の間、第2小臼歯に小さな虫歯が出来ています」
「うん……」
私はレントゲンに映る歯を指差しながら説明していく。
「幸い、隣接している第1大臼歯は虫歯になっていませんが、このまま放置していると虫歯が広がっていきますのですぐに治療が必要ですね」
「うへぇ……痛いのは嫌だからよろしく頼むよ」
「はい。穴自体はそこまで大きくないので、治療もすぐに終わりますよ」
私は治療用チェアを倒してホシノさんを横に寝かせる。
「では、口を大きく開けて下さい」
「うん……あー……」
ホシノさんが口を開けるのを確認すると、私はエアタービンを手に取りホシノさんの口の中に挿入していく。先端が回転し、虫歯になっている部分を少しずつ削っていく。
「……っ!」
歯に伝わる振動にホシノさんは顔を歪ませる。戦闘の時とは違うホシノさんの苦悶に満ちた表情に私は言い様のない感覚を覚えるが、治療の手は一切緩めず、歯を必要以上に削らない様に慎重にエアタービンの先端を動かす。虫歯の除去を終えると、穴に詰め物を詰め形を整えて治療は完了だ。
「はい、これで治療は完了しました。お疲れ様でした」
「うへ……もう終わったの?」
ホシノさんは頬を撫でながら呟く。
「はい。まだ小さい虫歯だったのでちょっと削るだけで済みました。詰め物も目立たない様にしてありますので」
「わぁ、本当だ」
手鏡を用意してホシノさんに自分の口の中を見せる。元通りの白い歯になって、ホシノさんも嬉しそうだ。
「後は食後や寝る前の歯磨きをキチンとして、規則正しい生活を送る事ですね。予防さえしっかりしていれば虫歯になる事はありませんから」
「うへぇ……ちょっと面倒だなぁ」
ホシノさんは困ったように頬を掻きながら呟く。
「夜のパトロールもダメとは言いませんが、キチンと身体を休めておかないといざと言う時に力を出せませんよ?何より、ホシノさんに何かあったらアビドスの皆が心配しますからね」
「うん、そうだね……SRTの子達も協力してくれてるし、パトロールの件もみんなと相談してみるよ」
ホシノさんはそう言って、小さく微笑んだ。
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「今日は色々とありがとね。お陰で歯も痛くなくなったし、気持ちもスッキリしたよ」
「それは何よりです」
「それと、態々送迎までして貰って助かるよ。流石におじさんも歩いて行くのは面倒だからさ」
「いえいえ。治療を勧めたのは私ですし、これくらいお安いご用ですよ」
現在、私とホシノさんの2人は軽トラックに乗りアビドス高校へ向かっている。流石に徒歩で行くのはしんどいので、私からホシノさんに提案した。運転は私で、助手席にホシノさんが座っており、万が一に備えて水や食料も積んである。
「もう少し交通の便が良くなれば、アビドスに人が戻ってくるんだけどなぁ」
ホシノさんが窓に映る砂漠を眺めながら呟く。
「確かに、こうして乗り物を使わないと移動もままならないのは大変ですよね。漫画みたいにワープ装置みたいなものでもあれば、柴関ラーメンに行くのも楽なんですけど」
「相変わらず食いしん坊だねぇ、ハモリちゃん。そもそもワープなんてミレニアムでも研究してるんじゃないの?」
「ははっ、もししているならとっくに発表してますよ。まあ、壁をブッ壊して物理的にワープならしょっちゅうやってますけど」
「……ミレニアムの方も色々あるんだねぇ」
アビドス高校に着くまでまだ時間がかかりそうなので、私とホシノさんは雑談をしながら時間を潰していた。
「でもまあ、ウチの学園の人達は良くも悪くも研究者気質ですから、案外誰かが本当に作ってしまうかもしれませんね。アビドス高校へワープ!みたいな感じで」
「あはは、流石に漫画の見すぎだよ________ハモリちゃん止めて!!」
突然ホシノさんが大声を上げて、私は慌ててブレーキをかける。
「っ……どうしたのですか、ホシノさん。一体何が……え?」
ホシノさんが目を見開いて外を見ているのに気付き、私も外を見てみると……
「…………アビドス高校?」
気が付けば、私達はアビドス高校の前にいた。私とホシノさんは軽トラックから降りて確認するが、確かにアビドス高校の校門で間違いなかった。
「あ、ホシノ先輩ー!お帰りなさーい!ハモリ先輩もありがとー!」
「ホシノ先輩お帰りなさい。ハモリ先輩もありがとうございます。もっと時間がかかると聞きましたが、早かったですね?」
困惑する私達の前に、セリカとアヤネが出迎えてくれていた。
「…………どうなってるの?」
「…………わかりません」
私達の呟きは、虚空へと消えていった。
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「ほう……神秘の揺らぎを観測してみれば、思わぬモノが見つかりましたね」
「"2つの神秘"をその身に宿しておきながら自己を保ち、更に神秘を産み出すとは……差し詰め"神秘産み"といった所でしょうか」
「何れにしろ、その力は未知数……今はまだ下手に刺激するよりも、観察に留めた方が良いかもしれません」
「クックックッ……見物ですね。貴方の神秘がこのキヴォトスにおいて何をなすのか、じっくりと観察させて貰いましょう________白山ハモリさん」
アヤメ「……またハモリが他の女に粉かけてる気がする」
因みにハモリの今の絆レベルは50くらいで、ゲームでは知らなかった先生や生徒達の魂の輝きに脳を焼かれてます。
ヒロインは複数人いてもOKか?
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YES
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NO