キヴォトスの歯医者さん   作:ニシキ

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イザナ「お姉ちゃん、くれぐれも捕まるような事はしないでね?」

という訳で、第23話です。


砂狼シロコの歯科検診

 

 

 

「さてと、まずはここに座って」

「ん。わかった」

 

いよいよ、ブルーアーカイブの看板ヒロインともいえるシロコの歯を診察する時がやって来た。

私の胸の鼓動は、このキヴォトスで歯科医になろうと決意したきっかけとなったあの日……居眠りしていたネネコ先輩の口の中で輝く白い歯を初めて見た時と同じくらい、激しく昂っていた。

 

「(彼女は言わば、ブルーアーカイブの顔そのもの……つまり私は今この瞬間、青春の物語(ブルーアーカイブ)という可愛い生徒達が織り成す舞台に隠された神秘を暴こうとしているに等しい……ああ、私は何と罪深いのだろう。私は!今まさに!悪しき蛇に惑わされ禁断の林檎を手に取ろうとしている!だが!しかし!この誘惑に抗える存在がこの世に存在するのだろうか!?否!断じて否だ!目の前にいるこの少女の艶やかな銀髪にフサフサの耳!力強い意志を秘めた煌めく瞳にきめ細やかな白い肌!そして少女特有の愛らしさと神秘的な美しさを兼ね備えた柔らかく生命力に満ち溢れた身体!そう!こんなにも純真で無垢な美しい少女の口腔を!誰にも侵された事のない神秘の世界を!余すことなく暴き!欲望のままに味わい尽くす!それこそ歯科医である私にのみ与えられた特権であり!アヤメさんの身体と心を愛でる事に次ぐ至上の喜びなのだ!)」

 

治療用チェアに座るシロコの姿を見ただけでもこんなに心臓が破裂しそうなのに、その口の中を見たら私はどうなってしまうのだろうか。ああ、天然歯でも虫歯でも処置歯でも何でも構わない。私は兎に角、目の前にいる砂狼シロコという少女の歯をこの目に焼き付け、味わい尽くしたかった。

 

「(まあ、それはそれとして診察はちゃんとやらないとな)」

 

私は可愛い女の子の歯が大好きな歯フェチだが、その前に歯科医だ。患者の歯を治療し口の健康を守るのが私の仕事である。

その為に、私は思考を切り替えて診察の準備に取りかかる。

 

「事前に話したけど、今日は虫歯や歯周病がないかチェックをして、歯を綺麗にしていくからね。じゃあ、椅子を倒していくよ」

「その前に、ちょっと良い?」

 

背もたれを倒そうとすると、シロコが声をかけてきたので私は手を止めた。

 

「ハモリの妹……イザナと話がしたい」

 

予想もしなかった人物の名前が出て来て私は驚いた。

 

「(……イザナ、良いかい?)」

『ご指名のようだし、構わないよ。個人的にもこの子とは一度話がしたかったからね』

 

私はイザナと入れ替わる。

 

「______さてと、こうして面と向かって話すのは初めてだね。取り敢えず、君の事はシロコと呼ぶけど良いかな?」

「ん。構わない」

「オッケー。改めてよろしくね、シロコ」

「こちらこそよろしく、イザナ」

 

互いに言葉を交わす2人。私は邪魔にならないように黙ってその様子を見ていた。

 

「それで、ボクに何かご用かな?」

「うん。時間がある時で良いから……イザナと勝負がしたい」

「ふぅん……」

 

シロコの性格から考えて何となく予想はしてたが、勝負の申し出だった。イザナは興味深そうにシロコを見つめる。

 

「私はもっと強くなりたい。アビドスを……みんなを守れるように強くなりたい。悔しいけど、前にイザナが倒した雷の巨人やビナーのような怪物がまた出たら、今の私じゃ勝てないかもしれない」

 

それに、とシロコは続ける。

 

「私はまだホシノ先輩に一度も勝ててないから……ホシノ先輩が卒業する前に勝ちたい。だから、もっと色んな強い人と戦って強くなりたい」

 

シロコは静かに、強い意思のこもった眼差しでイザナを見ていた。

私と初めて会った時も、開口一番に私に勝負を申し込む程にシロコは強くなる事に対して貪欲だ。

以前セトの憤怒やビナーが現れた時はイザナ1人で倒してしまい、シロコ達は見ているだけだった。

もしもあの時、イザナがいなければ私達は全滅した可能性もあった。だからこそ1人で全て倒したイザナにシロコが興味を抱くのも必然なのだろう。

 

「うん、話は分かったよ。ボクは構わないけど、ボクはお姉ちゃんの身体を借りてる身だからまずはお姉ちゃんにOKを貰ってからじゃないとね______私は構わないよ。まあ、診察がない日に限るけどね」

「ん、ありがとう」

 

私達の言葉にシロコは小さく頷く。すると、イザナが口を開く。

 

「今更言うのもあれだけど、ボクで良かったの?ボクの戦闘経験は前の1回だけだし、経験の多さならシロコとも何度か戦った事のあるお姉ちゃんの方が良いんじゃない?」

「ハモリとはいつかリベンジするつもり。けど、あの怪物達を倒したあの力に興味がある。それと、私も頑張ればイザナと同じような事も出来る?」

 

どうやらシロコは神秘に興味があるようだ。とはいえ私達の場合は例外中の例外であるし、流石に私達と同じという訳にはいかないと思うが実際の所どうなのだろうか。

 

「んー、ボク達の場合は例外中の例外だから流石に同じという訳にはいかないけど、力の扱い方のレクチャーは出来るかな。まあ、今日は診察があるし、詳しい話はまた今度ね」

「ん、分かった」

 

一先ず話はまとまったようなので、私はシロコに声をかける。

 

「さて、改めて診察をはじめようか」

「んっ……」

 

私は椅子を倒してシロコの身体を横たわらせると、ライトを点灯させてシロコの顔を照らす。ライトの眩しさにシロコは目を細める。良く見ると、頭の耳が心なしか震えているのが分かる。

 

「そう固くならなくても大丈夫だよ。もし悪い所があっても、痛くならないようにするからね」

「平気。私には虫歯なんてないから」

 

シロコは自信ありげな風に言ったが、微妙に震えている耳のせいで説得力がなかった。

そもそも今言った台詞は所謂フラグという奴ではないのか、というフレーズが頭を過ったが、口の中を見ない事には判断のしようがないので私は敢えて黙っていた。

 

「さあ、口を大きく開けて」

「んっ……あ……」

 

シロコがゆっくりと口を開ける。私は胸の鼓動が激しくなるのを感じながらシロコの口の中を覗き込む。

 

「(ほほう、これがメインヒロインの歯か……)」

 

シロコの小さな顎に収められた28本の歯。ライトの光に反射して白く輝くそれは本人が豪語する通り虫歯や処置歯は見当たらず、綺麗なアーチを描きながら並んでおり、土台となる歯茎や頬肉の裏側は血行の良い綺麗な色をしている。歯の内側に鎮座する赤い舌はちょこんと可愛らしく収められており、呼吸に合わせて震える口蓋垂は先端がやや丸く柔らかな感触を想起させる。

 

「(砂狼とは言っても別に歯が狼のように鋭い訳ではないか……しかし、普段はクールな彼女がこうやって無防備に口の中を晒している光景は実に素晴らしい。さてさて、もっとじっくりと見てみるとしよう)」

 

私はデンタルミラーをシロコの口の中に挿入し、奥歯から順に見ていく。

 

「ん……」

 

冷たい金属が頬肉に触れて、シロコが小さく反応する。ミラーの角度を変えながら、歯の窪みや裏側、外側をつぶさに観察していく。

シロコの耳は小さく震え、手をぎゅっと握り締め足をそわそわさせており、口では気丈に振る舞いながらも身体は実に正直だった。

 

「(この何をされるか分からないという恐怖に震える仕草。砂狼シロコというヒロインの誰にも見せた事のない神秘の世界を暴くという背徳感。そしてこの美しい歯の造形に白い輝きを独占するという優越感。ああ、これぞまさに極上の酒とも言うべきだろうか。まあ、私は酒の味は知らないがこの快楽に酔ってしまいそうだ)」

 

と、思いつつも私は冷静に右下の奥歯から順に1本ずつチェックしていく。虫歯はないが、歯の根元や歯の裏に少々歯石があるので、後で除去する必要がある。下の歯が終われば次は上の歯へとミラーを動かす。こちらも多少の歯石はあるものの虫歯の心配はない。

 

「次は歯周病のチェックをしていくよ」

「ん!?な、何それ……」

 

私がプローブを手に取ると、シロコはビクッと身体を震わせる。

 

「これはプローブといって、こうやって歯と歯茎の隙間の深さを確かめる為に使う物だよ」

 

歯の模型を手に取りプローブの先端を歯の根元に当てながら説明する。

 

「……痛くしないで」

 

シロコが顔を強ばらせながら懇願する。私はその今にも泣き出しそうな表情に内心ウキウキしながらもゆっくりと説明を続ける。

 

「そう怖がらなくても大丈夫だよ。ペンを軽く押すくらいの力でそっと差し込むだけだし、健康な歯茎なら殆ど痛みはないからね。ただ、歯茎に炎症が起きていると少しチクッとした感じや出血が出る事があるけど、それは歯茎が炎症しているっていうサインで歯茎の状態を知る大事な情報になるんだ。だからそれは悪い事じゃないし、検査で症状が悪化する事もないから安心して」

「ん……」

 

怯えた表情や痛みに悶える顔も魅力的だが、患者が安心して治療を受けられるようにするのが私の仕事なので、私はシロコを安心させるように詳しく説明する。シロコは黙って私の話を聞いているようで一先ず落ち着いたようだ。

 

「もし痛みが強いと感じたらすぐに止めるから手を上げてね。検査は歯の本数分行うけど数分で終わるから、一緒に頑張ろうね」

「……分かった」

 

シロコは小さく頷き、自ら口を大きく開ける。私は右下の奥歯にプローブを使い歯茎の深さをチェックしていく。

 

「……っ」

 

プローブの先端が歯と歯茎の隙間に差し込まれると、シロコはピクリと反応する。続けていくと歯茎から出血し、シロコは痛みに耐えるように目を閉じる。しかし両手はぎゅっと握り締められており、そのまま我慢するようだ。私は見落としがないように慎重かつ素早く手を動かし検査を続ける。

 

「んっ……あっ……!」

「(ふふ、イイ顔だ)」

 

歯石が溜まっていた箇所は予想通り炎症が起きているようで、プローブの先端が差し込まれるとシロコの身体は分かりやすくビクッ、と震えだし、手の指は食い込む程に握り締められていた。更に続けると、また歯茎から出血した。

 

「んんっ……んぁっ……!」

「(ふふ、この苦悶に歪んだ表情に荒い息づかい……アビドスのみんなは愚か先生にすら見せた事のないシロコの顔を私だけが独占するという優越感……ああ、この興奮が何時までも冷めなければ良いのに……)」

 

しかし物事に始まりと終わりがあるのが自然の摂理であるように、気付けば最後の左上の奥歯の検査が終わっていた。私は名残惜しさを感じながらもプローブをシロコの口の中から抜くと声をかける。

 

「検査はこれで終わったよ。よく頑張ったね」

「んっ……もう終わったの……?」

 

緊張の糸が解れたシロコの口の端からは唾液だ垂れて、ハァハァと荒く息を吐き、その頬は赤く染まっていて実に扇情的な雰囲気を醸し出していた。

 

「後は歯石や歯垢といった歯の汚れを落とすだけだよ。歯石は歯ブラシでは落ちないし、ここでやっておかないと落ちないからね。それに、このまま放置しておくと歯茎の炎症が悪化して歯周病になって歯が抜け落ちちゃうからね」

 

歯が抜け落ちると聞いた瞬間、シロコは慌てた様子で椅子から跳ね起きた。

 

「ん!?すぐやって!今すぐ!」

「ははっ、脅かしちゃったかな?大丈夫。歯石があってもすぐに歯が抜ける訳じゃないからね」

 

焦るシロコを宥めた私はシロコを横に寝かせて歯石除去の為に準備を進める。

 

「まずは汚れの染め出しをやっていくよ」

「ん……」

 

シロコの歯に染色液を塗布していき、汚れが見やすいようにする。

今回は歯石を確実に除去する為に超音波スケーラーで歯石を除去し、その後はエアフローで歯の表面の汚れや歯垢を洗い落としていく。

 

「これから歯石を取っていくから、動かないでね」

「…………っ」

 

超音波スケーラーから出る「キィィィィン」という音にシロコは一瞬ビクッとしたが、そのまま口を開けてじっとしていた。私は超音波スケーラーのカギ爪のような先端を歯と歯茎の隙間にあてがい、歯石を除去していく。

 

「…………っ」

 

両手を握り締めて歯に伝わっていく振動に耐えるシロコ。固い歯石は瞬く間に削り取られていき、ものの数分で歯石は全て除去出来た。

 

「次は歯の表面の汚れを落としていくよ」

「んっ……」

 

次にエアフローを使い、水流を噴射して歯の表面の汚れを落としていく。1本ずつ丁寧かつ素早く行い、数分後に全ての歯の洗浄を終えると仕上げにフッ素を塗布して歯をコーティングする。これで歯のクリーニングは全て完了だ。

 

「(よし、我ながら良い仕事をしたな)」

 

汚れが落ちた歯のエナメル質は白磁のように白く、艶やか光沢を放っており、まるで真珠のネックレスのようだ。

 

「んぁ……ぁ……」

「(この頬を紅葉させ熱い息を吐きながら無防備に喉の奥までさらけ出したこの顔!全てを呑み込むように暗く蠱惑的で柔らかな口内に輝く真っ白な歯の美しいアーチ!その全てが絡み合ったそれはまさにひとつの芸術にして世界の縮図と言えるのではないだろうか!)」

 

シロコの口の中をブルーアーカイブと形容したが、私は今まさに可愛い少女達が織り成す青春の舞台に隠された神秘を暴き、更なる次元へと昇華させたと言えるのではないだろうか。

そう、この場において砂狼シロコという少女の口の中(ブルーアーカイブ)を意のままに出来る歯科医である私こそが……"全知全能の神"なのだ。

 

『確かにお姉ちゃんもボクも神様だけどさ、そういうのではないと思うよ?』

「(あ、はい……)」

 

イザナからのツッコミが入り、私は冷静さを取り戻す。何というか……興奮のあまり頭のギアが弾け飛んで大分可笑しな事を考えていたような気がする。全知全能の神……思い返したら段々と恥ずかしくなってきた。

 

『お姉ちゃん……お願いだから捕まるような事はしないでね?』

「(……すみません)」

 

イザナが本気で心配するような声色で言っていたのが何だか余計に辛かった。

一先ず気持ちを切り替えた私は、脱力したシロコに声をかける。

 

「お疲れ様。もう終わったよ」

「んっ……本当に?」

「ああ、汚れは全部綺麗に落としたよ。ほら、この通り」

 

手鏡で自分の歯を見るシロコはまじまじと鏡に映る自分の歯を見ていた。

 

「本当だ……歯が真っ白。それに何だか口の中がスッキリしてる」

「歯石は全て除去したからこれで歯茎の炎症も収まって歯茎も引き締まるよ。それから、仕上げにフッ素を歯に塗っておいたからは飲食は30分くらいは控えるようにね」

「ん、分かった」

 

それから私は歯磨き指導を行い、歯ブラシの選び方や使い方、毎日のオーラルケアや食生活について詳しく説明した。

 

「と言うわけで、スポーツドリンクは糖分が多くて酸性が強いから歯が溶けて虫歯になりやすいんだ。だから飲むなら水で薄めるか無糖タイプの物を選ぶと良いよ。後、運動中は口の中が乾燥して唾液が減って虫歯菌が繁殖しやすくなるから、呼吸は可能なら鼻呼吸を意識して、飲んだ後はこまめに水でうがいをして、歯磨きの時はフッ素入りの歯磨き粉を使って、口なるべく濯がないようにね。濯ぎすぎるとせっかくのフッ素が落ちちゃうからね。それから、定期的に検診を受ける事を勧めるよ。特にサイクリングのような持久系運動をやっている人は唾液の量が減って虫歯や歯周病の発生率が高いっていう研究データもあるからね」

「う、うん……分かった」

 

一通りの説明を終えるとシロコは小さく頷いた。毎日の細やかなケアこそが虫歯と歯周病の予防となるので、指導はきちんと行う。

ましてや、ブルーアーカイブのメインヒロインであるシロコの歯となればより一層気合いが入るというものだ。

 

「今日はお疲れ様。何か気になる事があれば何時でも来てね。それと、さっき言ってた勝負の件も予定が開いたら連絡するからよろしくね________まあ、勝負するからにはボクも手加減なしで行くから覚悟してね?」

「ん、ありがとう。その時はよろしく」

 

私とイザナの言葉に、シロコが小さく笑みを浮かべる。最後の締めはやはりこの笑顔が一番だ。

 

「本日はお疲れ様でした。何か気になる事があれば、何時でもいらして下さいね」

「は~い。ありがとうございました~」

 

隣のノノミの診察も終わったようだ。生でノノミの歯を見れなかったのは残念だが、診断記録はある筈なのでセリカの分も含めて後でじっくりと見てみるとしよう。

シロコが退室した後、私は次の診察の準備を始める。次はいよいよ本日のメインイベント、アビドスの奇跡ことユメさんの歯科検診なのだ。シャーレでは簡単な検査しか出来なかったあの32本の奇跡の歯並びをじっくりと観察出来る日を、私はずっと待ち望んでいた。

 

「(ようやく、ようやくこの時が来た。ユメさん、私は今から……貴方の世界の神秘を暴き、貴方の神となろう!)」

『お姉ちゃん、また暴走してるよ』

 

イザナが何か言った気がするが、私はそれすら気にならない程に心は昂っていた。

あれからユメさんは私の言い付け通りにちゃんとデンタルケアを続けているのだろうか。虫歯や歯周病になっていないだろうかという一抹の不安もあったが、それ以上に私はあの素晴らしく美しい32本の歯が収められた口腔を余す事なく堪能出来るという喜びに酔いしれていた。

やがて準備が完了し終えると、ユメさんがやって来る。ユメさんは周りに置いてある器具や薬品をキョロキョロと眺めており、不安げな表情を浮かべていた。

 

「こんにちは、ユメさん。では、こちらへどうぞ」

「う、うん……よろしくね、ハモリちゃん」

 

ユメさんはぎこちない笑みを浮かべながら治療用チェアに腰かける。やや童顔ながらも身体は大人そのものなユメさんだが、その仕草はまるで虫歯の治療を怖がる幼い子供のようだった。だが、そのギャップがまた愛おしく、私の心を掻き乱していた。

 

「(さあ、アビドスの奇跡よ。その輝きを私に見せてくれ……私のこの手で、更なる次元へと昇華してみせよう!)」

 

私は嘗てない程に興奮しながらも、いそいそと診察の準備に取りかかった。

 

「………………ハモリちゃん、ユメ先輩に変な事したら許さないからね」

「どうかしましたか、ホシノさん?」

「あ、ううん。何でもないよー」

 

隣から何か視線を感じたが、私は気にせず作業を続けていた。




アヤメ「んんっ……あぁん……ハモリ、ハモリっ……早く帰って来て……でないと私、私っ……!」

ヒロインは複数人いてもOKか?

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