一番星に手を伸ばして   作:苦闘点

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第03話 あとは、任せて

 

 

───魔槍───

曼荼羅(まんだら)

 

 

 円状に展開された魔槍の群れがステラを襲う。超高速、超威力、オマケに円状からばら撒くことも可能。生身で食らえば即死なことには変わりないが、未だステラには傷一つ付いていない。

 

 

───星系統上位魔術───

旋烈天球(せんれつてんきゅう)(こん)

 

 

 対してステラは、旋烈天球を多重展開した魔術で応ずる。

 ステラを中心に上下左右を超質量の八つの星が周回し、さながら星の結界のよう。

 決められた軌道上しか動かせないが、星雲障壁と魔力障壁を合わせて魔槍はステラのもとまでは届かない。

 

 

 ……が、時折飛んでくるコレだけは防げない。

 ステラ命名『影狼』。ギザルムに座標を特定されれば、動き続けるか、星間幻塵で避けなければ致命の槍が転移してくる。

 

 

(進捗はボチボチ、か。でもまだ余力は残しておきたいから、なるべく『星間幻塵』よりも『疾走』の方がいいか。……にしてもアイツ、ずっと私の魔力と集中力切れを狙って魔槍を引き撃ちしてくるし……楽しむ気あるのかな?)

 

 

 ステラのイライラも止まらない。影狼をあまり撃ってこないせいてわ()()の進行が遅くなっているのもそうだが、何より徹頭徹尾つまらない戦法を取ってくるギザルムが気に入らない。

 その身体の持ち主の(輝き)は、そんなものじゃなかった……という鬱憤を反撃の魔術と一緒にぶつけてみるが、やっぱり『影狼』で避けられた。

 

 

(本当につまらない……こんな事なら最初っからロイドに任せるべきだったかな……いや、こんなのロイドには釣り合わない)

 

 

 今のギザルムのままなら、()()()()()も考え直す必要があるが……それは全部終わった後考えよう。

 

 ステラの真の目的の為には、魔槍ではなく『影狼』を近くで発動させなければならない。

 差し当たって、ステラはギザルムの『影狼』について気付いた事を試した。

 

 

───星系統魔術───

暗幕星雲

 

 

 目眩しのための星雲が、城の周囲を塗り潰した。

 障壁のように『吸魔』に似た効果は無いが、これで完全にギザルムの視界を奪えた。

 

 

(視界を閉ざしたか、何も見えんな。飛んで探してもいいが……アイツはどう出るかな?)

 

(やっぱり、『影狼』の転移先の座標決定手段は目視だけか……何が『完成されし我が力』だよ。本来のスペックの半分も出せていないクセに)

 

 

 暗幕の中で様子を伺うギザルムを観察しながら、ステラは予想通りの結果になったことに再び失望する。

 まさか、本当に魔力探知の一つも出来ないなんて……つまらないを超えてガッカリだ。

 

 ずっと考えていたのだ。

 瞬間転移を操れたなら、どんな事ができるのか、何に応用できるか、彼は一体何処まで辿り着けるのか。

 

 

(私なら、もっと上手く使える。ジェイドなら、もっともっと上手く使える。……ロイドなら、もっともっともーっと上手く使える)

 

 

 だから、そろそろ返してもらおう。

 ジェイドの体も、技も、心も。

 

 ……作戦がまとまったステラは、星雲を晴れさせる。

 そこには、ギザルムの正面に相対して立つステラがいた。

 

 

「(ド正面……血迷ったか?) 逃げるのは止めたようだな。ようやく分かったか? 俺とお前の力の差が」

 

「うん、分かったよ。君の攻撃はもう避けるに値しない。近接でもどうにかなりそう」

 

「……本当にそう──────っ!?」

 

 

 

───星系統最上位魔術───

 

天墜銀牙(てんついぎんが)

 

 

 

 ギザルムの頭上に、光り輝く隕星が降り落ちる。

 

 最初に城を半壊させた、巨星の墜落。

 

 エネルギーは『質量×速度』もしくは『質量×高さ×重力』。周囲の環境に影響を与えないレベルにまで威力は抑えてあるが、直撃すれば1級魔人だろうとタダでは済むまい。

 

 だが、相手はその1級魔人が百人束になろうと歯牙にもかけない存在、『魔族』。

 『隠遁者』でギリギリまで気付かせないでいたにも関わらず、ギザルムは服が焦げるだけで済んでいた。

 

 

「で? それがお前の策か? 残念だが、俺には魔術も物理も効かないぞ?」

 

「知ってる。コレはただの合図。ここからが本当の作戦だよ」

 

 

───星系統魔術───

形代星団(かたしろせいだん)

 

 

 これまたステラを中心に広がった星雲が、絵の具のように広がった。それは徐々に色分けされていき、やがて数十人のステラの分身となる。星系統魔術『星雲形代』の大人数版だ。

 『土形代』や『木形代』と同じく、バカ踊りくらいしか出来ない簡単な分身だが、ギザルムは魔力探知が使えないので影狼でどうにかするなら虱潰しにするしかない。

 

 ……それはそれとして、ステラの思惑は別にある。影狼を潰すだけなら『土形代』でいいが、わざわざ魔力消費の激しい『星雲形代』にした理由がある。

 

 

「「「「さぁ、どーれだ?」」」」

 

「……賢しい真似をする。ま、これでいいだろう」

 

 

───魔槍───

千羽鴉(せんばがらす)

 

 

 『曼荼羅』よりも更に多い、無数の魔槍で作られた黒翼が荒れ狂う。

 それれは一瞬にして形代の大半を貫くが、魔槍は煙を貫くように形代を通り抜けた。

 

 

(! 物理が効かない、か? いや、『点』での攻撃を透過させてるだけか。ならば『面』で……フッ)

 

「クク……気付けば下等種族の『魔術』で頭が一杯だ。まだまだ楽しめそうだなぁ! 第七王女!」

 

 

───魔槍───

黒無垢(くろむく)

 

 

 『点』が効かないのなら、その全てを一息に塗り潰す。

 影狼により、形代の体内を隙間なく埋め尽くす魔槍。存在そのものを置き換えるレベルの密度により、形代は一瞬で霧散した。

 

 

(……そう、それでいい)

 

(チクチク撃ってくる魔術がウザイな、全部消し飛ばすか? だが全ての座標特定は面倒だ。薄ら結界を張っている十数体が恐らく本物。そいつらを優先して潰せばいい)

 

 

 まさかこんな魔槍の嵐の中を、結界も張らずに素っ裸でいるわけが無い……と、戦闘においてはマトモな思考を持つギザルムは結論付けた。

 

 実際は、ステラ本人は随時形代を補充しながら、上空で俯瞰しているのだが。

 

 

(魔力探知が無くても、ここまで露骨ならそう長くは持たないな……。でも、あと少し。あと少しで……見えてきそう)

 

 

 『星雲形代』に使用する触媒は、『星雲障壁』と同様の術式を持つ『星雲』だ。

 『吸魔』と同じく、魔力や魔術を吸収する性質を持つこの魔術により作った形代は、その身に受けた魔術を吸収、分析できる。

 『吸魔』と違う点は、物質として顕現させることでその使い辛さをカバーできる事。

 

 一番最初に影狼を撃ち込まれた時から、着々と進めていた目的……影狼の解読。

 

 

 ……いや、正確には。

 この戦いよりもずっと前。何年も前から……前世から進めていた。

 

 

『……あれ? なあ、このレポート何だ? 『瞬間転移』って、君の分野じゃ……』

 

『それは関係無い。……ただの、暇潰し』

 

『?』

 

 

 ノロワレの力の解明は、歴史上でも前例を見ない。というか仮に前例があったとしても、ノロワレの力が多種多様過ぎて参考にはならない。

 天才だの賢者だの呼ばれた前世であっても、三割も進まなかった……だが、今は違う。

 

 前世とは比べ物にならない程の魔術書を読める家系に産まれることができた。

 前世とは比べ物にならない程の魔術の才を得ることができた。

 

 そして……何より。

 

 

『すごい、スゴイ、凄いぞステラ! なぁ、もっと一緒に───』

 

 

 ……自分なんかとは比べる事も烏滸がましい、遥か彼方に輝く一番星と巡り会えた。

 

 

 もうすぐ、彼は来る。

 だがその前に……私がするべき事、貴方が終わらせなくちゃいけない事をやっておこう。

 

 

(さあ、そろそろ起きて。……貴方に会いたがってる人が、たくさんいるから)

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 ロードスト領主邸でステラと何者かが戦っていると知り、ロイドの爆速飛翔により文字通り飛んで来たロイド達。

 

 

「ウヴォエ」

 

「た、タリア……バビロン直すの手伝ってくれ……」

 

「無茶言わないでよ立ち上がったら吐くわよマジで」

 

「速過ぎますぜロイド様」

 

「だから言ったろ? ちょっと骨が折れるって」

 

「俺たちの骨のことだったの!?」

 

 加減が苦手なロイドのせいで、暗殺者ギルドの五人は満身創痍になっていた。バビロンはその風速に耐えかね、体がひしゃげて逆長座体前屈状態になっている。

 

 段々と回復してきた四人にバビロンは任せ、ロイドは周囲を探知する。

 

 

(上で戦ってるのはまぁステラだからいいとして、チョコチョコ普通の人間じゃない魔力がこっちに来てるな。それに、領主邸の反対側に弱ってるけどデカイ魔獣っぽい魔力も…………っ!?

 

 

 ロイドは自分たちの少し後ろに無視できない多数の魔力を感じ、珍しく顔色を変えてアタフタと慌て始めた。

 

 大方、またステラが何か仕掛けたのだろうけど……仕方ない。

 

 

「お前達、今からここに魔人が来る。それも大勢な」

 

「は、魔人!? 何でそんなヤベエ奴らが……!」

 

「俺にも分かんないけど、多分ロードストでステラと戦ってるのもその魔人だろうな」

 

「ちょっと待って! ならジェイドは……」

 

「……それはまだ分からないな」

 

 

 魔力探知した感じでは、大きい魔力は時々その座標を転々としている。

 それでロイドは大体の予想はできたが、今言ったところで余計な心配をかけるだけだろう。

 

 

「俺は領主邸の方に行く。お前たちは今から来る魔人たちを何とかしてくれ」

 

「魔人って、私たちだけでいけるかしら……」

 

「あ〜……それは大丈夫。援軍も来るし」

 

「援軍?」

 

「とにかく! ジェイドのことは任せろ! 行くぞグリモっ!!」

 

「ちょっ、待ってくだせえよロイド様!」

 

 

 そう言って、ロイドは飛翔で飛んで行ってしまった。

 五人は顔を見合せてどうしようかと悩む。ここから城までそう遠くないと言っても、やはり皆ジェイドのことが心配なのだ。

 

 

「ジェイド……」

 

「ロイド様が自ら行ったんだ。私たちではどうにも出来ないんだろ。それよりその魔人達と援軍というのが……」

 

 

 

「お前ら逃げろおぉぉ!! ギザルム様となんかヤベェガキの戦いに巻き込まれるぞおぉぉ!!」

 

「進め魔剣部隊! 弟と妹を救出するぞおぉ!!」

 

「ロイド様あぁ!! シルファが参りましたよぉ!!」

 

 

 

 五人のもとへ走ってきた、二つの団体。

 

 

 

「「「………………」」」

 

 

 

 暫しの沈黙、視線が交錯し緊張の糸が張り詰める。

 魔人の団体と第二王子率いる魔剣部隊(+メイド一人と第四王子と第六王女とペット二匹)に挟まれた暗殺者ギルド達は、何が何だか分からない状況であるが……ただ一つ、これだけは言えた。

 

 

「「あぁん?」」

 

 

(早く戻ってきてロイド様!!!)

 

 

 我らが新しいボスは、なんてもんを任せて行ってしまったんだ、と。

 

 

 

 ちなみにこの直後、近くに巨大隕石が落下して場は更に混乱を極めたそう。

 

 

「な、何だ!? 天変地異か!?」

 

「うわあぁぁ!! またやりやがったあのクソガキ!!」

 

(こんな事できるのあの人(ロイド様)しか……でも今飛んでったばっかだよな)

 

(え、アレもしかして第七王女がやったの!?)

 

(余計ジェイドが心配になってきたわ)

 

(大丈夫かな……)

 

(もう祈るしかないな……)

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 ───現状、未開の魔術というのは、既に開かれている魔術の数に比べれば少ない。

 先人が築き上げてきた成果の賜物……だが、それはあくまで割合として見た数に過ぎない。

 

 この世に存在する魔術は、それこそ星の数程、もっと言えば宇宙にある星よりも多い。

 その中で、未開の魔術()は開拓された魔術()よりも少ないというだけ。その数は膨大と言って余りある。数えるだけで気の遠くなるような時を有するだろう。

 

 

 そんな未開の魔術の中でも……魔術が生まれた遥か昔より探求し続けている最も難解なテーマの一つ、それが『空間転移』の術式である。

 魔力を持った質量を、距離と時間を無視して特定の座標に『飛ばす』……言うは易し、行うは難し。空間系統魔術に始まり、ありとあらゆる分野の第一人者達が頭を悩ませ続けて尚、この魔術は未だに解明されていない。

 

 

 

 そして、その『空間転移』の呪いを身体に刻まれた彼が、それを一から解明して一般的な術式に整理し直すというのは、無謀どころか馬鹿のする所業と言ってもいい。

 彼は確かに、魔術学校にでも入れば首席を取れる程の魔術の才があった。皮肉にも、彼が嫌った戦を愛したロードストの血統らしく、魔術の神は彼に微笑んでいた。

 

 だが、逆に言えば()()()()だ。

 

 『瞬間転移』の呪いを()()()解いてしまうには、それでは全く足りない。一部のヤバい奴ら(どこかの第七兄妹)のような、魔術の神が微笑みを通り越して爆笑するような才能を持っていなければ、ノロワレの力を完全に制御するには至らない。

 

 

 至らない……と言っても、これはあくまで()()()やろうとした場合だ。

 

 人に限界を定めるのは、その人間自身であり、突き詰めていけば人はどこまでも行ける。

 ……前世で、彼の姉がその()()()()()()()()()()()()ような事もあるが。

 

 彼にあったのは、並々ならぬ執念、覚悟。

 そして、大切な家族への愛。

 家族を傷つけさせない為に、必ずこの悪夢を終わらせる為に、彼は文字通り命を削って解読に望んだ。

 精神を摩耗する時間を進めようとも、彼は止まらなかった。生き長らえようとするよりも、彼は足掻いて足掻いて死ぬことを覚悟していた。

 

 元々、再現性の無い本当にゼロから始まる他の魔術師たちの研究とは違い、彼にはその自身の体と、今までの人生での転移の『経験』がある。

 逐一自分の中の呪いと向き合いながら、一つ一つ解き明かしていく作業。彼が『神隠しのノロワレ』で無ければ、一割も進まなかった試みだ。

 

 

 

 そして、ギザルムに体を乗っ取られた数ヶ月の間で……ジェイドは影狼の術式化をほとんど終えていた。

 

 そう、ほとんど。まだ完全には終わっていない。

 

 最後の最後で、ギザルムに体を奪われた。もう抵抗する力も残っておらず、彼の精神は漂うだけ。

 それでも影狼の解明は少しづつだが進めることができた。ひとえにこの、何処か他人とは思えない一人の少女に勇気づけられて。

 

 

 しかし、意識の主導権をギザルムに握られた状態では、そうでない時よりも進行は遅くなる。

 

 影狼の術式の中心点、銀河の渦の真ん中のような複雑な模様が渦巻くそこで、彼は一人最後の最後の仕上げに苦闘していた。

 

 

(くっ……あと、これだけっ……!)

 

 

 埋められていない最後のピース。これを填めるだけの事が、今は何よりも難しい。

 

 あと一刻もせず、夜が明ける。そうすれば彼の精神は力尽き、本当の意味でこの世から消えることになる。

 意識が薄弱になる。呼吸もとうに忘れている。

 下を向いて俯いたまま、彼はゆっくりと目を閉じた。

 

 もう、自分が何者かすらも…………

 

 

 

 

 

 

 

「───ジェイド」

 

 

 

 自分以外立ち入れる筈のない術式の最奥で、声がした。

 

 その声は聞き慣れないはずなのに、どこか懐かしくて、暖かくて、泣きそうなくらい安心できて。

 

 

 

「ほら、前を向いて」

 

 

 

 言われた通り前を向くと、そこには影狼の術式の渦。

 

 そして───共にかけがえのない時間を過ごした、大切な家族達の姿があった。

 

 

 

『───っ』

 

「貴方と夜明けを迎えたい人が、こんなにたくさんいるよ。この五人以外にも、貴方に会いたがってる人がいるんだよ」

 

 

 

 力無く落ちていたジェイドの手を、小さな手が取り上げた。

 そのまま最後のピースがはまる場所へと動かす。

 

 優しく諭すように、彼女は教えた。

 きっと、彼女を見送った時のジェイドなら、それでも分からなかっただろう。

 彼女が言っていることは、いつも難しくて、分からない顔をする度に呆れられたけど……もう違う。

 

 

 ()()()とはもう違う。

 もう、見ているだけじゃない。打ちひしがれているだけじゃない。

 

 

 

「さあ、ジェイド」

 

『…………うん』

 

 

 

 ……見せたいものがあるんだ、()()()

 姉さんが居なくなってから、死に物狂いで頑張ったんだ。魔術とか、嫌いな戦いとか、色々さ。もう姉さんより強くなってるかもしれないよ。

 

 それ以上に、大切な人達を作ることができた。姉さん以外で、本当の家族って呼べる仲間もできたんだ。

 今はまだ、日陰でしか生きることができない彼らも……これが終われば、お日様の下で暮らせるかな?

 

 

「……うん。できるよ、きっと」

 

 

 

 ───填められたピースを中心に、混沌としていた術式の渦が……影狼が、整然に並んでいく。

 綺麗に整頓され、読む者に優しい……呪い等ではない、綺麗な『魔術』。

 

 

 

『出来た……』

 

「……よく出来ました。流石は、私の()

 

 

 

 彼女はジェイドの背を抱き締め、ソッと離れて背を向けて歩いていく。

 

 

『っ……ねえさ……』

 

「大丈夫だよ、もう心配しなくても」

 

 

 行かなくてはならない。彼女はまだ見ていないから。

 弟が見せたいものがあると言うのだから、見てやらねば姉の沽券に関わるだろう。もちろん、弟本人から直接見せてもらわねばなるまい。

 

 名残惜しいが、終わらせてこよう。悪夢を、夜を。

 

 ()()、朝日を迎えよう。

 

 

 

 

「───あとは、任せて」

 

 

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