やっぱり、『軟弱者』かもねぇ…   作:F覚醒ヅダ

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第6話 悩まされる軟弱者

 

 セイラからの通信を受けて帰還したカイとハヤトはノーマルスーツでヘルメットも取らずに医務室へと急いだ。するとそこにはアムロやフラウ、カツ・レツ・キッカ達や、ブライトまで揃っていた。

 

「リュウの容態は!?」

 

 息を切らしながら慌てるカイに「あっはっはっは!」と笑い声が聞こえる。

 

「へ?」

「おう、カイ!ハヤト!心配かけたみたいだなぁ」

「リュウ…さん?」

 

 そこには額の部分と左腕を包帯でグルグル巻きにされ、ベッドに座らされたリュウがこちらを見て大笑いしており、それを見たハヤトも目をまん丸にして驚いていた。

 

「え…無事だったの…?」

「おいおい!勝手に俺が死んだとでも思ってたのかぁ?ひどいじゃないか」

「…すまない、カイ、ハヤト…これでもコアファイターが1機大破して使い物にならんくらいにはなってるんだが…奇跡的に火傷や軽度の切り傷程度のケガで済んだそうだ」

 

 ブライトが「やれやれ」と苦い顔をしながら額を掻く。アムロとフラウもまた微妙そうな、だが、無事でよかったような…そんな顔をしていた。ちびっ子3人組はペンを取り出し骨折のギプスに応援のメッセージを書くが如く、包帯に絵を描き始める。

 

「げんきになるようにあたしが、ほーたいにえをかいてあげるね!」

「おれも!」

「ぼくもぼくも!」

「わはは!く、くすぐったい!」

 

 医務兵のサンマロによると、骨が折れたり何か後遺症になるようなものではないらしいが、しばらくはコアファイターなどに乗らず、安静に。とのことらしい。

 

「セイラさんのあの慌てようはなんだったんだよ、まったく…」

「そうですよ、僕もカイさんもホントびっくりしたんですから」

「あはは…で、でもさっきブライトさんが言ってたみたいにコアファイターがシャアのザクに撃ち落されて大変だったのよ。だからセイラさんも誤解して…」

「はーシャアが来てたか…だから応援が来なかったのか…ま、そんなら無事でよかったってことにしとくかね……キッカちゃん、俺にもペン貸してくれよ」

「カイもかくの?はいどうぞ!」

「サンキュ」

 

 カイは「心配して損したぜ」と言いながら左腕の包帯を固定するプラスチックの器具にリュウのいい笑顔の似顔絵に吹き出し付きで【ラッキーボーイだぜぃ☆】と、書いてやった。

 

「ぷ。くくく…カイさん…!アハハ…!」

「お、おいカイ。こりゃあなんだい?」

「うるせぇ、心配料だ」

「俺ってこんなカッコよく見えてるのか…?」

「そっちかよ!!」

 

 

 ケガ人のリュウを置いて医務室を出ると、アムロが「ちょっと休みます…」とふらふら自室へと向かっていく。

 

「お、おう!ありがとよアムロ!ゆっくり休めよ!」

「………はい」

 

 一瞬カイを見て何かを言いたげなアムロだったが、何も言わずに歩いて行ってしまう。

 

「ど、どうしたんだろうアムロ…やっぱり疲れてるのかな…」

「そうだろうな…今はそっとしてやろう。ま、ガンダムに乗ってりゃ…ああもならぁな…」

 

 「どういうこと?」と言うフラウやハヤト、それを黙って聞くブライトと共にブリッジへ戻りながら話す。

 

「考えてみな、うちのエースはガンダムとアムロだ。あの赤い彗星と何度もやり合って生き延びてる…正規の軍人じゃないのにな。俺たちと違ってモビルスーツの動かし方だってマニュアルとシミュレーター…それと咄嗟の実戦だけで覚えてるんだぜ?」

「た、確かに…僕やカイさんはシミュレーターもだけどアムロから教えてもらってガンタンクの動かし方を覚えましたね…」

「ガンダムのスぺックは高いのかもしれねぇ。だけどよ、ガンダムだけじゃあの動きは出来ない。パイロット…そう、アムロがいなきゃな」

「あ…」

「そのうち出撃させる側も『アムロなら大丈夫』『アムロならやれるだろう』『アムロなら…』って頼り切りになっちまう。ゆえにアムロに重圧がかかる…15歳の身にはさぞつらいだろうよ」

「…なら、別の者がガンダムに乗るのはどうか?」

 

 黙っていたブライトから質問が飛んで来る。どうにもその顔には軍人としての側面とは別の側面が垣間見えた。

 

「…そうねぇ。ま、無理だろな。」

「なぜだ?」

「アレがガンダムだからさ。ザクとかみたいな量産品は個人に合わせたチューンがしやすいって利点と、チューンしなくてもパイロットなら誰でも扱いやすいってもんだが、ガンダムは連邦の創意工夫、技術の結晶でワンオフさ。多少ザクなんかと動かし方が似てて、教育型コンピュータがあっても機体がパイロットに合わせに行くんじゃなくパイロットが機体に合わせなくちゃならねぇピーキーなもんだと俺は思ってるよ。アムロはそれが瞬時に出来た…天性の才能ってヤツかね?…ま、少なくとも今は…だがな」

 

(…そのうちアムロのニュータイプへの覚醒でガンダムが追いつかなくなるんだがな…)

 

「…そうか」

「ま、ブライトさんもあんまり思いつめなさんなって…アムロがボロボロにならないようにリュウが出れない分俺もサポートするからよ。なんならパトロールとかもアムロの分は俺が代わってその間アムロを休ませてやってもいいしな…」

「…分かった。考えておこう」

 

 ブリッジに着くと、何やらリードが「あーでもないこーでもない」と周辺の地図と資料を見ながらひとりぶつぶつとつぶやいていた。さらに、セイラは入ってきたカイたちを見て気まずそうにしていた。

 

「よ、セイラさん…俺たち本気で心配しちまったよ」

「ご、ごめんなさい。あの爆発の仕方はさすがにと思ったのよ…」

「どうも皆そうらしいね…ド派手なパフォーマンスだったと思っとくよ…ラッキーボーイのね」

「ラッキーボーイ?」

「医務室に行けば分かるよ」

 

 

◆◆◆

 

 

 心底焦ったとも。セイラさんの通信でまさかここでリュウが死ぬんじゃないかと思ったけど…よかったよ…ホント。

 だが、リュウはしばらく戦線復帰は難しい。腕の具合から今できるのは良くてオペレーターが出来るかどうかだろう…その間を誰かが埋めなきゃいけない。セイラさんはまだオペレーターしかやってない…ま、そのうちコアファイターやコアブースターなんかに乗るんだろうが…

 となると今の現状はアムロとハヤトと俺でモビルスーツを動かさなきゃならん…今度ジョブ・ジョンをシミュレーターに誘ってみるか…

 

 さて、その後史実通りに現状を打破するためにアムロの提案でコアファイターを連邦の参謀本部との連絡をするために打ち上げたが、なんとアムロが気絶せずに参謀本部と連絡が付き、指定するポイントにて補給をするということになった。

 まじで…?あのGを耐えたの?アニメだとよだれ垂らして気絶してたやん…やるなぁアムロ…

 

 次に時を同じくして起きた避難民の暴動に対し、ブライトが俺がヅダに襲われている時や、ガンダムがシャアのザクとやり合ってる映像を見せて、「このような危うい状況で我々も戦っているのです!彼らパイロットのほとんどは皆さんと同じ民間人なんです!それをお忘れなく」と一喝し、黙らせていた。

 

 で、今その補給ポイントの街の廃墟に向かっているわけだが…

 

「待ち伏せかよ!いいシュミしてやがるぜ!」

 

 どうにもシャアやガルマの部隊が先回りし、展開していたため交戦状態に入る。

 

「カイさん!ガンダムが出れないって!」

「何ィ!?…あ、もしかして……くっ…!とにかく俺たちは出撃だ!」

 

 時期的にそろそろアムロが出撃したくないっていうあのシーンじゃないか…?

 正直生で『親父にもぶたれたことないのに!』を見たかったけど…敵が来てるんじゃしゃあねぇな…音声だけでも通信で聞けないもんかね?

 

 俺がガンキャノン、ハヤトがなんとセイラさんを操縦手にガンタンクで出撃する。リュウの代わりにセイラさんと来たか…いつの間にシミュレーターで訓練してたんだか…ま、その代わりオペレーターがフラウとリュウの2人になってたが。

 さて、そんな現在ですが…

 

「敵の数が多いな…!」

『カイ、こちらガンタンク。弾薬が残り少ないの一度戻っても?』

「げぇ!?まじかよ…!了解!早めに戻ってきてよね!」

 

 絶賛劣勢を強いられていました。機体の質はこっちの方が上なのだろうが、やっぱり物量作戦はつらい。戦いは数だよアニキ!

 

「っ…ガンキャノンも弾薬が危ういな…!くっそぉ…まだマシなビームライフルのみで戦うしかないか!」

 

 そろそろ『二度もぶった!』くらい言ってるかなー!?結構持ちこたえるのがつらくなってきたが…!

 

『カイ!カイ!アムロがガンダムで出る!なんでもやってみたい戦い方があるらしい!援護できるか!?』

「へっ!やっと来たか!了解!」

 

 その後出撃してきたガンダムは見事な空中戦を繰り広げる。…やっぱりガンダムにはアムロだな。

 さあて、アムロのための露払いでもしますかね…なんて邪魔になりそうなドップやマゼラアタックを撃ちながら思っていると

 

 ビーム砲の音が戦場に響いた。え?今のホワイトベース?…違う!?

 

「…!ガウか!」

 

 そう、ガウ。本当なら通信の接触不良か何かでガルマからの砲撃指示が聞こえず撃たなかったはずだが、違った。ちゃんと撃ってきている!

 

『うわっ!』

「アムロ!」

 

 空中戦をしていたガンダムにこれでもかと言わんばかりにガウからの集中砲火が浴びせられる。なんとかシールドで防ぐも、ガンダムは機体にこそ外傷は無いがバランスを崩し、地面に叩き落される形になってしまう。

 

 そこを待ってましたと言わんばかりにビルの影に隠れていた1機のザクがヒートホークを振りかざしながら走り寄る。まずい、ガンダムが!カバーしねぇと!…おい!ビームライフルもキャノンも弾切れかよ!!

 

「弾切れだ!ガンタンクッ!!あのザク撃てるか!?」

『み、見えません!瓦礫が邪魔して!見えないんです!!』

『すぐ移動するわ!』

「そんなんじゃ間に合わねぇ!…ッ!しゃあねぇなぁ!!」

 

 後先を考えずガンキャノンで走り出す。

 

 

 どうする、どうするどうする!

 

 

 弾切れで!

 

 

 ガンキャノンだから近接武器が無くて!!

 

 

 でもアムロとガンダムを失うのは歴史的にもまずくて!!!

 

 

 

 それなら!!!

 

 

「うおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 ガンダムに迫るザクへの対抗手段。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タックルじゃオラアァァァァッ!!」

 

 

 ガンキャノンによるタックル。この手に限る。

 

 

 バキィ!!とすごい衝撃と共に思いっきりザクにぶつかる。そのままな雪崩れ込むようにしてザクと共に倒れこむ。

 

「いってぇ…!ヘルメット越しに頭打った…!」

 

 しかし直後、ズシン!と横で何かが立ち上がる音がする。

 

「…っ!?」

 

 血の気が引くようにゾッとしながらコクピットの横部分のモニターを見ると、タックルを受けたザクがもう立ち上がっていた。

 

「お、お早いご起立だこと…へ、へへっ」

 

 そして今まさに自分に向けられるヒートホークは「まずお前から殺してやる」という意志を感じさせた

 

「っ…!」

 

 やられる。そう思って目をつぶる。

 

『間に合ったァ!!』

「え」

 

 どこかで聞いた声と共に爆発音が鳴る。目を開けて見れば自分を斬らんとしていたザクがぐらりと後ろに倒れて行った

 

『ヒュゥ!!ありがとよ!お前さんが時間を稼いでくれたおかげでオレの撃墜スコアを更新出来たぜ!』

 

 空を見ると、青いコアファイターが旋回しながら飛んでいく。その先には黄色のミデア輸送機…援軍か…!

 で、でもこの声…まさか…!

 

「ア、アンタは…」

 

 

『お待たせさん!スレッガー・ロウ中尉、お届けに上がったぜ!オレの寝床はいいのを用意してちょうだいよ?ホワイトベースちゃん?』

 

 

 聞いた声だと思ったよ!!!

 スレッガーさん!!(出番が)はやい、はやいよ!!

 

 …素直に戦力アップと、本当に喜んでいいのかね…?

 




 新たな仲間スレッガーを迎え、マチルダ隊の補給を受けるホワイトベース。
 そんな中、ガルマ・ザビは決死の想いで攻撃を仕掛ける。

次回 「散り行くものと軟弱者」
『彼』は生き延びることができるか?
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