罪の世界からの贈り物   作:タン塩

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菜々子ちゃんはまだ主人公(鳴上悠)には硬いです。

あと、基本うちの主人公はコミュ障です。表面上は話を振られたらのるし、頼みごとをされたら引き受けられそうなものなら引き受けますが、内心は凄く嫌がります。


第6話

「鳴上悠です。よろしく」

 

「式縞咲です」

 

 適当に挨拶をし、相手を観察してみる。

 

 八校の制服を着ているという事は同じ学校か……何となく菜々子ちゃんが私になんて言うのかがわかる。

 

「お姉ちゃん……」

 

 嫌だなぁ、そこから先は聞きたくない。だけど、菜々子ちゃんは無慈悲にも私にお願いをした。

 

「菜々子は学校反対だけど、お姉ちゃん同じ学校だから案内してもらいなさいってお父さんが……」

 

「よろしく」

 

 え?いやいや、菜々子ちゃん……何ともないかのように言ってくれるけど、私学校に友達が一人もいないコミュ障だからいきなり見ず知らずの男の子と登校はちょっとハードル高いわ。

 

 でも、断る理由が見つからない。うん、なんて断ればいいんだこれ?一人がいいからごめんなさい?……うん、ないわね。

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通学路を半分ほど通った位だろうか……

 

「……」

 

「……」

 

 会話がなくて、なんか空気が重い。だから、誰かと登校なんかしたくないんだ……

 

「式縞さんも」

 

 ほら、空気が重いから鳴上君が気を効かせて話しかけてくれようとしているし。

 

「式縞さんも、都会からここに引っ越してきたって聞いたけど。八十稲羽ってどう?住みやすい?」

 

 その情報は、合ってはいるけど間違いだ。誰から聞いた?堂島さんはこんな間違いしそうにないから……あぁ、菜々子ちゃんか。あの子なら間違っても仕方ないか……

 

「一つ、訂正。私は生まれも育ちも八十稲羽よ」

 

「え、でも……」

 

「私が引っ越してきたって言ってたの菜々子ちゃんでしょ?」

 

「な、なんで分かった?」

 

「私がここから、都会に越したのが3年前で、菜々子ちゃんが2,3歳だから憶えてなかったんじゃないかな」

 

「なるほど、それなら仕方ないな。で、どんな所だったんだ」

 

「辰巳ポートアイランドって場所に居たんだけど、変な街だったわ」

 

 特に2年前なんて、最たるものだったなぁ、変な終末論やら宗教やらが出てきて……私が唯一あそこで仲良くなったお兄さんは亡くなっちゃうしいい思い出が無い。

 

 

 

 

 まぁ、あの街に行くことになった原因の一つがあの夢以外に見る、もう一つの夢。というより、あれは悪夢……あの夢より見る頻度は少なかったが恐ろしかった。周りの空気が一変し親の寝室には二つの棺桶があり、外には黒い怪物が彷徨っていた。

 

 その夢を見たときは、必死に布団の中に入りもう一度寝直した……そうすれば、いつの間にか眠りにつきいつもどおりの朝を迎えることができる。

 

 このことを両親に相談すると、実際に大分私の心身に疲労がたまっていることを察していた両親は試行錯誤してくれた。

 

 月光館学園高等部にこの手のことに精通している校医がいる。このことを調べ上げた両親はあっという間に入学手続きをした。実際に私が通っていたのは中等部だったけど先方には話が通っていて高等部の医務室でカウンセリングを受けることができた。それが、上手くいったからかはわからないけど2年前からもうその夢を見なくなった。

 

 って、何嫌なことを思い出しているんだろう……

 

 

「大丈夫か?」

 

「ごめんなさい、ちょっと昔の事を思い出して……」

 

「そうなのか?」

 

「ええ、もう大丈夫よ。そんなことより、着いたわよ。ここが八十稲羽高校よ」

 

「ここが、俺が一年間通う場所か……」

 

 期待の眼差しを校舎に向けてるけど、ここ先生達の濃さ以外特に何も無いわよ……




主人公の親は、自分の子供が精神を病んで病院に通っていることを周りに知られ、あらぬ噂をされるのを避けるために、辰巳ポートアイランドの学校に主人公を入れました。

次回あたりから、カレンダースキップしながら話進めます。

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