フリートアート・オンライン 黒の剣士と転生者達   作:短号司令官

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第四話 黒の剣士inアイスランド沖海戦:後編

 

前衛索敵機の通報を受け取った大石以下旭日艦隊は、報告のあったア島南方千五百㎞の地点へと向かう。

 

原「いましたな」

 

大石「うむ、航空機による敵航空戦力の攻撃を前衛艦隊に下命、無理押しは避けるように」

 

「はっ!手を考えます」

 

キリト「俺達はどうするんですか?」

 

大石「無論突っ込む。君はいい時に来たな、我々後世日本海軍の戦いをその目に焼き付けるといい」

 

キリト「いい時……なんですか…?」

 

何がいい時なのか理解できずにいるキリトだが、戦いの刻はその歩みを止める事はなかった。

 

大石の発した指令は直ちに前衛艦隊に届く。

 

前衛遊撃打撃艦隊 旗艦:虎狼

 

前衛艦隊司令 中村勘助

「稼動機数は?」

 

「はっ!三艦合わせて二十五機であります!」

 

中村「総発艦用意‼︎」

 

虎狼より発光信号で後続艦に命令、V字型の飛行甲板に光武改:影*1が上がり、左右交互に発艦する。

 

光武隊は敵第二次攻撃隊が発艦したのと入れ違いに敵機動部隊へと接近する事に成功、それと同時に敵空母群に大打撃を与える。

そして追い討ちを掛けるように第二波が来襲し、戦艦以外の主力艦である空母・巡洋艦・駆逐艦の多数を撃沈破させる。

 

 

 


 

 

 

役目を終えた艦攻隊は帰途に着いたが、その一方で帰るべき場所を失った独攻撃隊は、悲壮なる戦いを日本武尊に挑もうとしていた。

 

『戦隊長、母艦が日本機の攻撃を受けています!』

 

『分かっている、だが我々の相手はヤマトタケルだ。全機に告ぐ、悔しければヤマトタケルを沈めて仇を取れ!』

 

その意気はそうとするも、旭日艦隊の備えは尚も厚い。

 

 

「敵戦爆連合、我が艦隊へ向け侵攻中」

 

急報は直ちに旭日艦隊の下へと届く。

直掩機隊は一万まで上昇し敵を待ち構える。

 

『敵編隊を視認、攻撃に入る』

 

「11時上方敵機だ…!くそぅ被られた‼︎」

 

双方互いを視認し、空中戦へと移る……が……

史実のドラケンの海軍版シードラケン、確かに戦闘機としては強いかもしれない。だが相手は閃電改…それも外観・性能共に現代でも使われているF/A-18スーパーホーネットそのものである。

 

『くそぅ!なんだあいつは⁉︎攻撃が当たるどころか掠りもしないぞ‼︎』

 

『こちら4番機‼︎敵が後ろに…!くっ……来るなぁぁぁぁぁ‼︎』

 

独戦闘機隊はほぼ一方的にやられていく。

 

『燕二番、後ろに敵弾!』

 

『分かった、熱線放射弾投下』

 

結果は言わずもがなである。

ともあれ、直掩隊は少数ではあるが有利に戦闘を進め、独戦爆連合を圧倒していた。

そんなワンサイドゲームは日本武尊からも確認できた。

 

「空中戦、始まりました」

 

大石「戦闘救助隊発進、敵味方問わず全力で救助せよ!」

 

原「駆逐艦も出しては?」

 

大石「うん、そうだな」

 

「対空戦闘準備ッ‼︎」

 

原「爆撃による被害対策急げ!」

 

乗組員らがテキパキと慣れた手つきで動く中、キリトは目の前の現実を見て改めて自分が今仮想世界ではない、本当の世界で戦争を目の前にしていることを実感していた。

 

キリト「これが………戦争………」

 

大石「……無理に受け入れる必要はないが、今これが君の目の前で…造られた世界ではなく、本当の現実で起きている戦いだ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

そして彼らの元へも遂に敵戦爆連合が来襲する。

しかし日本武尊は飛来した敵雷撃機に対し、お得意の猛烈な対空砲弾幕を浴びせまくり瞬く間に撃退、付近の利根型対空巡も応戦する。

中には果敢に弾幕内に飛び込み、堕とされながらも雷撃を敢行する機もいた。しかしそれもマ式豆爆雷により全て迎撃され戦爆連合はなんの被害を日本武尊に与える事もできず、アイスランド島沖に散っていった。

 

原「長官、前衛艦隊より入電"我 奇襲成功ス 後ハ日本武尊ニ託ス"以下、位置と予測進路です」

 

大石「うむ…となると上で戦い続けてる連中は帰る場所を失った訳か…」

 

原「アイスランドに不時着するように伝えます。冬の北大西洋よりは助かる可能性があるかと」

 

大石「許可する、あぁ後…」

 

原「救難艦も出します」

 

大石「助かる。我が艦隊はこれより、敵艦隊を追撃する!」

 

原「第三戦速、進路一四〇」

 

富森『宜候』

 

そしてその頃、独戦艦内では新貴族と熟練将校の間で一悶着が起こり、指揮権を掌握したローゼンベルグは旗艦:ロートリンゲンの左右を重巡フォルトシッケ・ゲシュライの二隻に固めさせ日本武尊との戦いに挑もうとしていた。

 

 

『電探より報告。敵影補足、大型艦三、距離四万一千、本艦へ向け直進中!』

 

大石「向こうもやる気か…」

 

キリト「勝てるんですか…?」

 

大石「なぁに、見てれば分かるさ」

 

両艦隊は次第に距離を積め、遂に双眼鏡無しでも視界に捉える距離にまで迫る。

 

ローゼンベルグ「ヤマトタケルとて何程のことがある!海軍のゲルマン魂を見せてやる‼︎」

 

「距離2万で主砲砲撃戦を始める!」

 

「敵艦視認、距離三万一千」

 

大石「主砲砲戦、用意!」

 

緊迫した空気が両者の中で流れ、キリトも思わず唾を飲み込む。

そしていよいよ熾烈な砲撃戦が幕を開けようかというときだった、両陣営にも予想がつかない事態が起こるのだった。

 

突然、上空に眩い光と共にオーロラが現れた。

 

大石「なんだ…?異常気象⁉︎」

 

原「この辺りでオーロラを見れるのは珍しくはありませんが…このような時間帯にはあり得ませんッ‼︎」

 

同じような衝撃は独艦隊側にも走っていた。

 

「オ…オーロラだと⁉︎」

 

「なんだ…ヤマトタケルの新兵器か⁉︎」

 

ローゼンベルグ「狼狽えるなッ‼︎所詮はただのオーロラだ!奴らもこの事態を飲み込めていないようだな……今のうちにッ!」

 

そう言って命令を出そうとしたとき、彼はオーロラの中にあり得ないものを見つけるだった。

 

ローゼンベルグ「……人…だと……?」

 

オーロラの中には確かに人の姿があった。

言ってみればそれは女性、差し詰め女神と言ったところだろうが光を放っており姿はよく見えない。

 

するとその女性が手を差し出すと、突然ロートリンゲンは大きな揺れと同時に傾き始めた。

 

ローゼンベルグ「なっ…何が起こっている⁉︎」

 

「司令…海が……海が割れています‼︎」

 

ローゼンベルグ「何ッ⁉︎」

 

窓際に掴まって外に目をやると目の前海が裂け、ロートリンゲンは艦首から傾き始めていた。

彼は瞬時にそれが目の前に浮かぶ女性の仕業だと分かった。

 

ローゼンベルグ「馬鹿な……我らの勝利の女神ではないのか⁉︎」

 

一体何が原因なのかも分からずローゼンベルグは乗艦と共に裂けた海から北大西洋の海底へと真っ逆さまに落ちると同時に裂け口は閉じられた。

 

しかしこの様子に恐れをなした重巡フォルトシッケとゲシュライは「次は自分達の番だ」と悟り、恐れを成して逃亡しようと艦首を反転しようとしていた。

 

しかし、彼らを逃すまいとする者がいた。

 

「エンハンス・アーマメントッ‼︎」

 

突然上空から少年が降ってきたかと思うと海面にぶつかる手前、持っていた氷のような剣を海に突き刺して辺りを氷漬けにし、フォルトシッケを乗組員ごと氷塊へと変えてしまった。

 

「咲け…花達!」

 

次の瞬間、雲の中から青龍に乗った少女が持っていた剣から黄金色の花びらが降り注ぐのと同時に残っていたゲシュライを一瞬にして粉々に破壊するというあり得ない事が起こった。

 

一連の流れを見ていた日本武尊の乗組員らは何が起こったのか分からず唖然とする中、大石は原参謀に向かって語りかける。

 

大石「……参謀長、君は勝利の女神ニケの話を知っているか?」

 

原「はい…… ギリシャ神話における勝利の女神で、翼を持った姿であると本で読んだ事があります……」

 

大石「目の前に浮かぶ()()をどう思う…?」

 

大石はオーロラの中で光を放ちながら浮かぶ女性を目を細めて見ながらいう。

 

原「一連の行動から現時点では味方だと推察できますが……まさか独軍の新兵器か何かでしょうか……?」

 

大石「そうだとしたなら真っ先に我々を奈落の底に叩き落としてるはずだ。だが念の為だ、対空戦闘よu」

 

キリト「待ってくださいッ‼︎」

 

大石が言い切る前にキリトが気迫に満ちた声を上げる。

 

キリト「あれは……彼女達は……俺の……俺の仲間です……!」

 

その一言にその場にいた全員がどよめきの声を上げる。

 

原「和人君、君の仲間って一体……⁉︎」

 

大石「参謀長、説明は後だ。もしそうなら彼らにも本艦へ上がってもらおう。艦長ッ!」

 

大石は艦内通信マイクで今までの話を聞いていたであろう富森を呼ぶ。

 

富森『分かっております。あの女神様の真下に向かえば宜しいのですね?』

 

大石「頼む」

 

富森『お任せを、進路このままッ‼︎第一戦速ッ‼︎』

 

『宜候ッ‼︎』

 

日本武尊は表向き武装を納めるが乗組員らはそれぞれ配置のままにおり、一部の者は銃を持って待機していた。

 

速度を最微速に落としてオーロラの真下に来ると、女性達の方から甲板上へと降りてくるのだった。

 

大石「よしッ…各員警戒態勢のまま待k…⁉︎」

 

原「和人君ッ何を⁉︎」

 

二人が驚いたのはキリトが艦橋から飛び降りていったからだ。

高層ビル数階分に匹敵するこの高さから落ちれば助かる見込みはない、大石らは慌てて下を覗き込むとキリトは上手く着地し何事も無かったかのように走り出し、そのまま第二砲塔へと飛び移り、そのまま第一砲塔の方へと走っていく。

 

大石「なんという子だ……我々も行くぞッ‼︎」

 

「「はッ‼︎」」

 

大石らも大急ぎで艦橋から降りて行くのだった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一方で真っ先に艦橋から飛び降りて駆け出したキリト。

 

キリト「アスナッ‼︎ユージオッ‼︎アリスッ‼︎」

 

「「「キリト(君)ッ⁉︎」」」

 

懐かしい仲間の名前を呼ぶと同時に3人に抱きついた。

 

キリト「よかった……また会えた……ッ‼︎」

 

アスナ「キリト君……キリト君なんだよね…?」

 

涙声になりながらキリトは笑顔を浮かべて彼女の呼びかけに答える。

 

キリト「あぁ……俺だよアスナ…!」

 

アスナ「キリト君ッ‼︎」

 

感動の再会と同時に二人は厚い抱擁をするが、それを冷ややかな視線で見る者がいた。

 

アリス「むぅ……」

 

ユージオ「ま…まぁアリス……」

 

二人に気づいたカップルは我に還ると同時に一瞬にして距離を取るが、その顔は真っ赤であった。

 

キリト「えええっと…また会えて嬉しいよ!ユージオ、アリス!」

 

ユージオ「僕こそ嬉しいよ、キリト」

 

アリス「全くお前という奴は……まぁ今回は大目に見ましょう」

 

見知った顔が揃った事で互いに安堵する中、アスナはキリトに質問を投げかける。

 

アスナ「ねぇキリト君、ここは一体何処なの…?私達、確かにアンダーワールドからログアウトした筈よね…?」

 

アリス「そうです。キリト、私やアスナは兎も角として何故残った筈のユージオがここにいるのですか?そして私達が立ってるこの場所は一体何なのですか⁉︎」

 

ユージオ「辺り一面見渡しても水ばっかりなのに、これって船なのかい?」

 

大量の質問を投げられるキリトは冷静に対処しようとしていた。

 

キリト「まぁ落ち着けって…ここは」

 

彼が言葉を繋げようとしたとき、大勢の足音と共に大石らが駆けつける。

 

大石「和人君!」

 

キリト「大石さん」

 

大石「全くなんて無茶をするんだ…怪我は無いかね?」

 

キリト「大丈夫ですよ。この通りピンピンしてますよ」

 

富森「あの高さから飛び降りて無傷でいられるとは…常人では考えられませんぞ……?」

 

大石らがキリトを囲んで話しかける中、アスナ達は突然現れた紺色の服に身を包んだ屈強な男達を前に着いてこられずにいた。

 

大石「それで…彼女達は?」

 

キリト「はい、紹介します。俺の大事な仲間達です!」

 

視線を彼女らに向けてアスナ達は一人ずつ名前を言う。

 

アスナ「えっ…と……アスナ…本名は結城明日奈です……?」

 

ユージオ「ユージオ…です」

 

アリス「整合騎士アリス・シンセシス・サーティツーです」

 

一通り名前を聞いた大石らであったが、ユージオとアリスの名前を聞いてやや困惑していた。

 

原「整合……騎士?艦長はご存知ですか…?」

 

富森「いえ、存じ上げません。それにサーティツーとは確か英語で32……随分と変わったお名前で……」

 

大石「まぁ気になる事は山ほどあるが、我々も名は名乗って置かなくてはな」

 

場を持ち直した大石らが今度は自己紹介を始める。

 

原「旭日艦隊、参謀長の原 元辰であります」

 

富森「本艦、日本武尊の艦長を勤めます。富森正因です、ようこそ我が日本武尊へ」

 

大石「俺は旭日艦隊司令長官の大石蔵良だ。よろしく頼む、結城君にユージオ君にアリス君。君達の来訪を歓迎する」

 

そう言って大石は得意げに3人に敬礼して見せるが、ユージオとアリスには何のことかさっぱりであった。しかしそんな中でアスナは彼がどのような立場の人間か瞬時に理解しお辞儀をするのだった。

 

キリト「ようこそ、アスナ、ユージオ、アリス!」

 

*1
外観:F-35

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