フリートアート・オンライン 黒の剣士と転生者達 作:短号司令官
イーサ基地 日本武尊艦内
激戦から1日が経過した。敵爆撃隊は迎撃成功したとはいえ被害が無かったという訳ではない。
米軍基地は港湾設備・艦艇共に大損害を受けておりその復旧に全力を注いでいた。
一方の旭日艦隊基地はというと艦隊は事前に情報を掴んでいたこともあり爆撃による損耗は無い。港湾設備や基地に被害が無いといえば嘘になるが米軍基地に比べれば遥かに軽微で済んでいる。
そんな中帰投した日本武尊の艦内では、キリト自らが先の戦いに突然現れた3人に自分達の身に起きた事の推測と大石からのこの世界の説明をしていた。
アスナ「えっと……キリト君、つまりはこういう事…?私達はアンダーワールドからログアウトしたかと思ったら、タイムスリップして過去の時代にやってきたっていう事なの……?」
キリト「あぁ。付け加えるとするなら別の歴史を歩んだ過去の時代に……言ってみれば並行世界だな…」
アリス「すみませんキリト、
彼女の質問には同席していた富森艦長が答える。
富森「概ね、その時間から過去や未来といった異なる時間へ瞬間的に移動する事を指します。まぁ最も和人さんや皆様の例を果たしてそう呼んでいいのかは別ですが…」
ユージオ「えっと、僕からもいいですか…?キリトが別の歴史を歩んだって言ってたましたけど一体どういう事なんですか…?」
大石と富森は顔を見合わせて話すことを合図する。
大石「はて何と答えたものか…和人君や明日奈君はともかく、別の世界から来た君達に説明するのは少々難しいな………」
キリト「かいつまんで、分かりやすい説明したらいいと思います。俺もフォローします」
大石「良かろう…」
一呼吸おいて大石の口から歴史が語られた。
大石「我々は以前、和人君や明日奈君と同じ世界の過去の時代に生きていた。その頃は世界の国同士が互いの利権や覇権を狙っていがみ合っていた」
富森「そしてあるときそのいがみ合いによって生じた不平不満が頂点に達し、世界全土を巻き込んだ戦争が起きたのです。凡そ5年という長きに渡る間…」
アリス「ご…5年もの間、戦争を続けて……⁉︎」
大石「我々は当初、戦っていた相手とは五分五分の勝負をしていた。しかしある時を堺に次第に押され始め、遂には取り返しのつかない事態を数々引き起こしてしまった…」
富森「我々は何処で道を誤ったのか、罪もない幼子や市民を巻き込んで尚戦争を続け…」
大石「あまつさえ君達と歳の変わらない若者を無理矢理戦地へ送り込み……その多くの未来を奪い……我々も死んだ……」
ユージオ「そ……それで…その戦争はどうなったんです……?」
大石「……見るも無惨な惨敗さ……形あるものは奪われ、その後のその祖国のあり方や未来すらをも負の道へと落としてしまった……だがどういう訳か、俺や艦長を含む一部の人間達にはやり直すチャンスが与えられた」
アスナ「やり直す…?」
富森「先程仰ったように我々は前世、つまり生まれ変わってこの世界で生きているのです。前世とは微妙に異なるこの
アリス「生まれ変わり…⁉︎そのような神聖術が⁉︎」
興奮気味なアリスを宥めながら大石は話を続ける。
大石「あぁ待て待て。その神聖術とやらは知らんしそんなものの力ではないが、何かしらの存在が我々にこうして生を与えてくれたのは間違いない」
富森「話を戻しますが、生まれ変わった我々は前世と同じような歴史を繰り返そうとするこの世界をどうしたら同じ過ちを繰り返さないかと考えたのです」
アスナ「じゃあ、負けたから今度は日本が勝つようにしてるんですか…?」
大石「いや、勝ったら勝ったてそれはいけない」
まさかの返答に3人は驚きと疑問が入り混じった表情を浮かべる
アリス「何故駄目なのです?勝てば安泰というのでは?」
富森「勝てばそのときはいいのです。ですが将来的に見たら、腐敗や国民を蔑ろにするような未来がいずれはやってくるからです」
大石「だが負けてもいかん。ならばどうするのか?というが、答えは《より良い負け》というものだ」
「「「より良い…負け…?」」」
富森「もう少しこの点をご説明しようとするならお二人には今少しどのような国家が存在するかなど詳しく知っていただく必要があるので、今は控えさせていただきます」
大石「分かりやすくいえば引き分け…五分五分の状態のまま戦争を終わらせるんだ。だが戦う相手によっては後の世に残しては不味い思想を持った国というのも存在するんだ。我々は既に先述した相手とは講和を結び、今はその後者の相手と戦っている……という感じだが分かってくれたかね?」
そう言って3人に目をやると、アスナはかろうじて理解しているようだがアリスとユージオに関しては頭に?が浮かんで所々分からない部分があったように見える。
大石「まぁ無理に理解しようとする必要はないさ。そういう世界なんだと頭の片隅にでも留めておいてくれたらそれでいい」
そう言いながら大石は淹れたての珈琲を3人の前に出した。
突然出されたコーヒーに一瞬戸惑うも大石が笑みを浮かべて勧めた事で、カップを手にとって飲もうとすると、真剣な表情になったキリトがアスナにこう言う。
キリト「アスナ…大石さんの淹れるコーヒーは段違いだ。悔しいけどアスナの淹れるコーヒーより遥かに美味い…」
アスナ「そんなに…?もぉ大袈裟なんだから…」
そう言いながら一口飲んだ瞬間、彼女の舌と脳に芳醇な旨みと衝撃が伝わった。
アスナ「な……何これ……なんですかこのコーヒー⁉︎」
ユージオ「はぁぁぁ〜……す…凄く美味しいです……!」
アリス「なんという……美味しさ……今まで飲んできたものとはまるで違います……‼︎」
その隔絶した余りの美味しさに3人とも驚きが隠せないでいた。
大石「ふっふっふw特別な事は何もしとらんよ。ただ少々材料に拘っただけだ」
アスナ「大石さんッ‼︎私に美味しいコーヒーの淹れ方教えてくださいッ‼︎」
「「「えぇぇ⁉︎」」」
まさかの発言に3人は余りの衝撃に思わず大声を出したが、大石の返答は意外なものが帰ってきた。
大石「ほぉ……まぁ良かろう。ただ俺の器具を貸す訳にもいかんからな……和人君、君達も連れて今度レイキャビクへ行くぞ。そこで一通り必要なものを買うことにしよう」
キリト「は……はい」