フリートアート・オンライン 黒の剣士と転生者達   作:短号司令官

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照和20年 後世世界大戦は終局の時を未だ迎えていなかった。
前世以上に強大化した第三帝国に対し、宣戦布告。そして米国との講和を果たし、高杉英作中将麾下の第一聯合航空機動艦隊をベンガル湾へと派遣。日本の持つ強力なシーパワーで第三帝国のランドパワーに対抗せんとしていた。



第六話 太陽神inインド洋

 

照和24年 インド洋

 

カマイタチ作戦に際してインド洋に到着した第一聯合航空機動艦隊は3分割と同時に再編され、高杉艦隊・坂本艦隊・紅玉艦隊の三手に別れて印度亜大陸をベンガル湾とインド洋から挟み込む形で内陸の独軍を圧迫していた。

 

当初独軍が配備していたのは二級線のレシプロ機ばかりだったが、独空軍上層部が状況を重く見たのか最近ではジェット戦闘機・爆撃機を前線にも配備するようにしており、多少の苦戦を強いられるようにもなっていた。

 

 

高杉艦隊旗艦:建御雷

露天艦橋

 

晴天の空の下、穏やかな波の上を高杉艦隊は悠々と進んでいた。

 

高杉「良い天気だ。航空参謀、発進した攻撃隊から何か連絡はあったか?」

 

「はッ。敵部隊への空爆は成功、第二目標の敵空軍基地への空爆に向かうとの旨が先程送られてきました」

 

高杉「それが良かろう。敵の航空戦力は一つでも多く叩いておいた方が良いからな」

 

敵の戦力はこちらよりやや上回りつつある中、日本側が優位に立てるのはやはり海上というアドバンテージがあるからである。

 

以前であればここはUボートという名の鮫がウヨウヨ泳いでいたが、日本海軍の真の切り札とも言える彼らの活躍により鮫達は隠れるようになった。

 

高杉らは安心して艦載機による攻撃を連日のように繰り返していたが……

 

『電探より報告ッ‼︎右舷前方三万五千に多数の敵編隊を確認‼︎爆撃機もその後続に確認できますッ‼︎』

 

高杉「何ッ⁉︎通信参謀、各艦に打電ッ‼︎直ちに迎撃の用意をさせぇぃ‼︎」

 

「はッ‼︎」

 

間も無く接近してきた敵戦闘機に対し上空直掩の閃電改が迎撃の為に翼を翻す。

また突破してきた敵に対して対空誘導噴進弾・炉号弾及び新型三八弾で応戦する。

 

高杉「凌いだか……」

 

『新たな敵影確認ッ‼︎前方一万五千に敵爆撃機多数!』

 

高杉「っ⁉︎」

 

すぐさま双眼鏡でそこを覗けば前方からヨルムンガンドD50の編隊が真っ直ぐこちらに向かってやってくるのが見えていた。

その光景はさながらかつてクリスマス島攻略の際に高杉が見たB-32フライングデビルを彷彿とさせる光景でもあった。

 

高杉「対空炉号弾はまだか⁉︎」

 

「比叡・霧島共に再装填中……間に合いません……」

 

高杉「なんと………」

 

万事休す、高杉もここにきて諦めかけたその時であった。

突然太陽の光が一段と強くなり辺りを眩く照らす。

 

「おゎっ⁉︎」

 

高杉「な……何事だ……⁉︎」

 

高杉がようやく目を開けた先には信じられない光景が広がっていた。光の中から人が…それも女性が降りてくるのが彼の視界にはっきりと捉えられた。

 

掌に小さな光を作り、それを持っていた弓に矢に変化させて構える。

その先には迫り来るヨルムンガンドの編隊が居た。

 

「無茶だ…あんな弓矢てどうにかなる相手ではないぞ⁉︎」

 

幕僚達は無茶だと思っていたが、次の瞬間に彼女が放った矢は一瞬で散弾のように散らばり次々と敵爆撃機をバラバラにしてしまうのだった。

 

「い……一体何が……?」

 

参謀らは唖然とするしか無かったが、高杉は驚きと同時に目の前に浮かぶ彼女を擬視していた。

 

ふと彼女がこちらに気づいたのか、振り返ると少し驚いたような表情を浮かべているのが見えた。

 

高杉「……艦長」

 

「……はっ!はい!」

 

高杉「あの者に本艦に降りるよう伝えられるか……?」

 

「分かりました……」

 

直様甲板上にいた誘導員が発光筒と旗を振って合図を送る。

最初は何をしているのか分からない様子だったが、"降りろ"という合図だと直ぐに汲み取り建御雷の飛行甲板中央にゆっくりと降り立つのだった。

 

「こ……こんにちは……」

 

彼女の挨拶もそっちのけで、信じられない光景に乗組員らは空いた口が塞がらず、唖然するしか無かった。

一方で高杉はその一部始終を露天艦橋から見ていた。

 

「アレ…いや、あの者は本当に人なのでしょうか……?あのような髪色は見た事がありません……」

 

高杉「彼女が人かどうかは分からんが、少なくとも敵では無かろう。私が出迎えてくる。ここは任せたぞ」

 

「はッ……えっ長官⁉︎」

 

参謀は一瞬何を言ったのか理解しきる前に返事をしてしまったのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

甲板に出ると相変わらず乗組員らと彼女との間ではどうしたら良いか分からずの状況であったが高杉は臆せず淡々と彼女の下へと歩みよる。

 

高杉「先程は助けてくれてありがとう、艦隊を代表して礼を言おう。私は日本海軍 高杉英作である。君の名前は?」

 

高杉の自己紹介を聞く中で一瞬驚いたような表情を浮かべたが気を取り直して彼女も名前を言った。

 

「シn……じゃなくて…朝田詩乃……です」

 

高杉「⁉︎」

 

まさかの返答に高杉も驚きを隠さなかった。

目の前に現れた空飛ぶ不思議な弓使いの少女がなんと日本名を名乗るというのだ、にわかには信じられないが事実である。

 

高杉「詩乃…君か……分かった。とりあえず私に着いてきてくれんか?」

 

シノン「分かりました…」

 

高杉はシノンを連れて艦内へと戻り、そのまま自身の士官室へ連れて行くのだった。

 

 

 

 

高杉「さてと……聞きたいことは山ほどあるのはお互い様だろうが……君は一体何者で何処から来たんだ?そのような身なりで日本人を名乗るには相当な理由でも無いと無理だと思うが……」

 

シノン「驚いてるのはお互い様なようですけど……はい。えっと…今って1945年ですか…?」

 

高杉「うむ…?いや、1948年だ」

 

シノン「はっ…?えっ…どういう事…⁈……()()()()()()()()()()()()筈なのに……」

 

高杉「ッ⁉︎。待て今日本が負けたと言ったか⁉︎何故それを…⁈」

 

シノン「えっと……信じられないかもしれませんけど、こんな見た目で私未来から来てるんです」

 

高杉「未来…から……」

 

その瞬間高杉の脳内では彼女が何処から来たかという事を瞬時にして理解したのだった。

 

高杉「そうか……そうか、あの()()から来たのか……」

 

驚嘆の域に達する高杉であったが、その様子にシノンは頭に疑問符を浮かべるしかできなかった。

 

シノン「え……前世…?」

 

高杉「あぁすまない、一人勝手に理解してしまって…概ね君が何処から来たかという事は分かった。次に君にはこの世界について、そして私について知ってもらおう……」

 

それから高杉はシノンに自身が転生した人間で元は彼女と同じ世界の住人であり、この後世世界での目的とどういう状況なのかを包み隠さず話した。

 

シノン「そんな事って……」

 

高杉「ある。だからこそ君や私はこうしてここに生を受け存在しておるのだ。それでだ、君のその格好には何か意味があるのかね詩乃君?」

 

シノン「あぁ…これはその……」

 

今度はシノンもこの格好についてのいきさつと自身が居た時代について話した。

 

高杉「ほぉ…機械が作ったもう一つの現実で……中々難しい事を未来ではやってのけるのだな……」

 

シノン「まぁ…この頃の時代ですとゲームそのものが無いので難しいですけど……」

 

高杉「いや構わん。何も知らんよりはマシだ、さてそろそろ艦橋に戻るか。君も来たまえ、少し外の風を浴びたまえ」

 

シノン「はい…」

 

高杉が再び露天艦橋に上がった時には見張り要員らも休憩に入り艦橋には二人だけだった。

 

高杉「良い風だ。どうかね?」

 

シノン「はい、凄く心地がいいですね」

 

高杉「ハッハッハw結構」

 

高杉はそう言って視線を海原に送って彼女に語りかける。

 

高杉「なぁ…詩乃君よ。君は君が生きていた時代を平和だと感じたかね?」

 

シノン「え?……いえ、まだ世界の色んなところで紛争やテロなんかも起きてて平和とは……」

 

高杉「そうか……やはり80年経ってもか……民族同士による対立、主義思想の違いからの国家間のいがみ合い、それもこれも先の大戦の影響だ。勝ち負けは別としても世界的にみれば負の道へと歩んで行った…それは我々の日本も同じ……」

 

シノン「高杉さん……」

 

高杉「先の見通しも無く戦争を始めてしまい負けた前世であったが、仮に勝っても結果は変わらん。だがこの後世は違う!かつて対峙したアメリカとは和睦を結び、独国と相手するが我々が倒す相手はヒトラーとその取り巻き達だ。決してドイツ国民が敵であるわけでは無い」

 

シノン「でも平和の為に戦争をするなっていう気もしますけど…」

 

高杉「それは違う。平和というのはただボケッと黙って待っていればやってくるものではない。血を流し、呻きながら一つ一つ恒久平和の門をこじ開けながら進む…それしかないのだ……」

 

シノン「…………」

 

高杉「不動明王という仏を知っとるか?」

 

シノン「?……いえ」

 

高杉「この仏は大日如来慈明者として現世界に降り、悪と戦ったというが仏の世界といえど平和な神だけでは成り立たん。君のいうその太陽神も武器として弓矢を持っておろう?それと同じだ」

 

シノン「神様や仏様の世界でも戦うのは必然だと……?」

 

高杉「そういう事だ。だがそういった戦いで命を捨てるのは君らのような若者では無い、歳食った者が率先してやらねばならない。若者には荷が重すぎるからな」

 

シノン「高杉さん……」

 

 

 

 

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