仮面ライダービルドであり、てぇんさい物理学者の桐生戦兎は、二つの地球が融合して生み出された新世界の平和を謳歌していた。
そんな時、万丈が仮面ライダークローズに変身し、崩壊獣と呼ばれる謎の怪物と戦ったというニュースを聞き急いで現場に向かったが、どこかに潜んでいたクローズドラゴンによって旧世界には存在しなかった女子高の聖フレイヤ学園に導かれる。戦兎は男としてのプライドを殴り捨て学園に侵入したが、万丈越えの幼女ゴリラに捕らえられて......イッテェ!
誰がゴリラよ!あたくしはテレサ・アポカリプス学園長よ!読者に変なこと吹き込むと容赦しないわよ!
いやいや、あらすじは特徴的な言葉で紹介するのが普通でしょうが。とにかく、テレサさんは俺がビルドで戦った記憶を寛大な心で受け入れてなんと俺を聖フレイヤの教師として雇ってくれたんです!
まぁあんなこと聞いて野ざらしにできないしね。とはいっても、ビルドドライバーを作った天才的頭脳を世界のために活かすのはあなたも本望でしょう?
当然!なんたって俺はてんっさい物理学者で正義のヒーローの......
おい戦兎!学園で教師やるってどういうことだよ!説明しろ!
人が喋ってる時ぐらい空気読みなさいよ!その話は後でまとめてテレサさんが説明するからさ。という訳で、天才新任教師の初授業となる第3話をどうぞ!
コンコンとノックた後、学長室には戦兎と先日復活した万丈が入って来た。
「失礼しま〜す。」
飄々とした態度の戦兎の後ろを万丈が付ける。彼らを出迎えるのは勿論、見た目は修道服幼女のテレサだ。その姿を見た万丈が口に出したのが......
「何で子供が偉そうに座ってんだよ。」
「失礼なこと言うんじゃないよバカ。この人いなかったらお前あの世行きだったんだぞ。」
「マジか、俺あんな小さい子に助けられたのか?」
「あぁ。あと子供扱いはほどほどにしとけよ。見た目によらず俺たちよりずっと年上だし、生身のお前より百倍強いぞ。」
「強いって、まさか筋肉のことか?」
「いや、身長以外全部だ。フィジカルとインテリジェンス両方備えたマジスゲーマジパネー人だ。」
「そろそろ本題に入ってもいいかしら?」
高圧的な表情をしたテレサの手には、戦兎を縛り付けた巨大な十字架が握られていた。それもバカ二人にいつでも投げつけられるように。
「「......すんません。」」
これには二人も委縮せざるを得なかった。
場を仕切り直すかのように咳払いをしたテレサは話を続ける。
「コホン、とにかく。龍我、体調の方はどうかしら?」
「ん?あ~、アンタたちが助けてくれたおかげですっかり元通りっすよ!」
大胸筋をゴリラの如く叩く万丈を見てよろしい、とテレサは安堵する。
「さて、ここに呼んだのは貴方に色々聞くためよ。」
「まず一つ目、貴方は崩壊についてどこまで知ってるの?」
「崩壊?えぇと確か......あそうだ!何かがドカーン!とかガッシャーン!って感じでぶっ壊れることですよね?」
災害の『崩壊』ではなく、言葉としての崩壊の意味を答えた万丈に戦兎とテレサはすっ転んだ。
「......知らないって答えてくれた方がマシだったわ。」
「いやまぁ、コイツにしては割と考えた方だと思いますよ?崩壊については俺自身も完全にわかってなかったので、変に突っ込まないように伝えてませんでしたからね。まぁ意味なかったですが。」
「......はぁ。それじゃあ最初から。」
「『崩壊』......それは人類文明に対して発生する災害。言い換えればそれは、文明に呼応する地球の免疫反応みたいなものよ。」
「その災害の形も多種多様。貴方が倒した崩壊獣はもちろんのこと、疫病、天変地異、さらには人間同士の戦争。それらは『崩壊エネルギー』によって引き起こされてるの。」
「ほうほう、つまり、崩壊を放っておけば人類がヤバいってことですか?」
「......まぁそうなるわね。とはいっても、指を咥えて滅亡を待ってるほど人類は弱くないわ。何十年、何百年もかけて崩壊を研究、対策して、文明を発展させてきたのよ。」
「そして対崩壊の最先端を行くのが『天命組織』。聖フレイヤは天命の極東支部でもあるの。」
一通りテレサの説明を聞いた万丈はほ~ん、と軽く返事をしているが、おそらく半分以上は理解していない。
「要するに、天命ってとこに入って、仮面ライダーで崩壊獣をぶっ倒しまくればいいんですよね?」
「最終的にはな。」
「あ?どういうことだよ?俺達そのために呼ばれたんじゃなかったのか?」
「まぁまぁ落ち着きなさいよ。ビルドドライバーは今改造中なんだから。崩壊の研究データや戦乙女が使う装備の技術を使って崩壊獣に対抗できるようにしてるんだよ。じゃなきゃこの前のお前みたいに崩壊エネルギーで死にかけるぞ。」
「マジか......つっても教師やるお前はともかく、その間俺はなにすりゃいいんだよ?」
「そこは自分で考えなさいよ。元格闘家の経歴活かして戦乙女の訓練とかできるでしょうが。」
「......おっと、もうこんな時間か。俺はそろそろ授業があるのでここで失礼しますね。」
万丈を置いて戦兎は学長室の扉から出ていった。
HR数分前、Aクラスの教室にて......
「......」
白の三つ編みをぶら下げた少女、キアナ・カスラナは自分の机で頬づいて不貞腐れていた。
いつものキアナは天真爛漫なお転婆娘なのだが、ここ数日はいつもこのような雰囲気である。
「......キアナちゃん、最近元気ないわよね。どうしたのかしら?」
「やはりアレを見たからでしょうか。とはいえ、あのバカキアナがあそこまで引き摺るとは思えませんが。」
雷電芽衣とブローニャ・ザイチクの心配する会話を聞き流すキアナの脳裏には、ブローニャの言ったアレ、先日の噴水広場で出現した崩壊獣の一連の事件について。
B級戦乙女として、崩壊獣の対応にはある程度の場数を踏んでいた。そんな彼女が今日まで鮮明に思い出すイレギュラー。そう、クローズに変身した万丈である。
ブローニャが買ったホムロボットを売ってた男が、謎のガジェットとボトルを使って変身する、戦乙女装甲とは全く別のシステム。
崩壊獣を撃破した後、崩壊エネルギーに侵食された彼は救護班に搬送されたがその後の行方は不明。現場に居合わせたキアナ達には詳細は語られず、緘口令が出された。
(あのオッサンとは会ったことすらないのに、どうしてここまで印象に残ってるんだろう?)
キアナは別に、万丈にトキメキを感じているわけでもなくクローズに恐怖心を抱いているわけでもない。むしろ戦ったら勝てると思っている。それなのに記憶に強くこびり付いてる理由が分からず、ここ数日は頭を抱える日々を送っていた。
バカなりに頭を悩ませていたキアナであったが、思考を遮るように教室のドアが開く音が響き渡る。そこからは、胸元を強調し、自他共に認める抜群のプロポーションを持つ美女であり、キアナのクラスの担任である無塔量姫子......ではなかった。
ベージュのトレンチコートを身に纏った青年が入って来た。
「失礼しまーす......」
「......おお、姫子先生から聞いてたとはいえ、やっぱ女子しかいねぇんだな。確か崩壊エネルギー耐性は男より女の方が高いらしいけど、これは男女による身体構造によるものなのか遺伝子なのかそれとも......」
「あの......すみません......どちら様でしょうか?」
崩壊エネルギー理論に没頭していたトレンチコートの青年を見かねた生徒の一人が声をかけて現実に引き戻した。
「おおっと、いけないいけない。」
「初めまして、天っ才物理学者の桐生戦兎です!今日から聖フレイヤ学園の研究員兼教師として就任しました!」
(......は?)
トレンチコートの青年もとい戦兎の自意識過剰でナルシストじみた自己紹介が響き渡り、クラスは混乱を極めていた。
(あれ、何か反応薄いな......まぁ見知らぬお兄さんが急に入ってくればこうもなるか。)
反応の薄さに少し落胆するも、戦兎はこのまま授業を始めた。
(......自分で天才とか言って、変なオッサンだな......)
キアナは特に戦兎に対して興味を抱くことはなく、少し経てばいつも通り眠気に身を委ねた。
キーンコーンカーンコーン......
「と、いうわけで今日の授業はここまで!次の授業までに出した課題ちゃんとやっときなさいよー。」
一時間弱の授業が終わった頃、すでにキアナは机に伏せて完全に眠っていた。
(うわマジか。初授業で居眠りされるのは流石に予想外だぞ。)
天才としてのプライドを傷つけられる感覚を覚えた戦兎は、キアナの眠る席の前へ行き、彼女の無防備な頭をコツンと叩く。
イテッとキアナの口から漏れて飛び起きる。ちなみに戦兎はハザードレベル7を突破しているため、軽く小突いただけでも見た目以上に威力があったりする。
「何すんのよオッサン!痛いじゃない!」
「オッサンじゃないお兄さんだ、キアナ・カスラナさん。天ッ才物理学者のありがた~い授業を聞き逃されるとは心外だね。」
「フン!アンタみたいな胡散臭いヤツの話なんかこっちからお断りよ!大体、戦乙女が科学のこと知ってても何の意味もないでしょ!?」
「そんなわけないだろバカかお前。お前の使ってる拳銃も、流体力学とかを知ってるかどうかで使い方が無限に広がるんだぞ?」
「あーもう!そのなんとか力学とか意味が分からない言葉を使わないでよ!頭痛くなるわ!」
「ハァ......ここまでのバカを見るのは万丈以来だ.....。どうすんだよこれ。」
キアナの万丈クラスのバカっぷりに戦兎は頭を抱えていた。いや、自分がバカだと自覚している万丈の方がマシに見えてきている。
「戦兎先生。このバカキアナに座学を教えるのは時間の無駄だと思いますよ?姫子先生の授業も平気で寝るぐらいですし。」
「いやいやそういう訳にはいかないでしょうがブローニャ。てか姫子さんの授業でも寝てるのかよ......。」
「まぁとにかく、今日の分は誰かにノートでも写してもらいなさいよ!じゃ、俺はこの辺で。」
戦兎は叱りつけるかの如く言った後、教室から小走りで出ていった。
「はぁ......なんであんな奴が先生なんだろ。芽衣先輩の授業だったら私もちゃんと聞けるのになー。」
「もうキアナちゃん......私は姫子先生のように上手に教えられないわよ。」
「それよりもキアナちゃん、どうしてそこまで戦兎先生に当たりが強いのかしら?確かに自意識過剰でちょっとおかしな人かもしれないけど悪い人には見えなかったわ。」
「そりゃあ、何故かって聞かれたらなんていえばいいのかわからないけど、何かムカつくのよアイツ。いかにも天才でお前らとは違いますよって雰囲気プンプンだったじゃん。」
「ほんっと、アイツを教師にするなんて、テレサのガキンチョ頭に振り回される私たちの身にもなってよね!」
「その言葉、そっくりそのままバカキアナにお返ししますよ。」
キアナの苛立ちがテレサにまで飛び火入りする様を見て苦笑する芽衣に対し、皮肉をぶちかますブローニャであった。
「とはいっても、今回に関してはキアナの言い分も少しわかりますが。」
「ほらやっぱり!アイツやっぱスパイか何かだって!」
「勘違いしないでください。ブローニャの考察がたまたまキアナと被っただけです。」
「ブローニャちゃんまで!?初対面だからって、戦兎先生を疑いすぎじゃないの!?」
「落ち着いてください芽衣姉様。このバカとは違いブローニャは授業を聞く最中にある程度根拠となるものを重装ウサギに集めさせました。こちらです。」
ブローニャは背後に大型のサポートメカである『重装ウサギ19C』を量子空間から実体化し、根拠となるデータを二人に見せ始めた。
読んでいただきありがとうございました。
初期のキアナは要改善レベルのクソガキに仕上がっています。
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