崩壊世界の天っ才物理学者と筋肉バカ   作:紙コップ113

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ハーメルンで投稿し始めて最速で色評価ついてうれしい限り
お菓子の家の侵略者見たけどやってることが完全にアマゾンズなんですがそれは


謎の戦士をジャッジしろ!

仮面ライダーであり、天っ才物理学者の桐生戦兎は、紆余曲折あって聖フレイヤ学園の教師として就任し、本日の初授業を天っ才的な頭脳で華麗にこなし、生徒たちにワーキャー言われモテまくりのイケメン先生として君臨する......はずだった。

 

どした戦兎?するはずだったって......お前何かやらかしたのか?

 

どっかのバカが俺のありがた~い授業を寝過ごしやがったんだよ。

 

誰がバカだ!せめて筋肉付けろ!

 

お前じゃねぇよバカ。キアナ・カスラナってヤツが寝過ごすだけじゃなく俺のことを胡散臭いオッサンとか好き放題言いやがって。

 

いやそれは別に間違ってねぇだろ。旧世界だってボトルが浄化された時には気色悪い声出したり新しい武器が出来た時は俺達で試そうとしたり、十分怪しいオッサンじゃねぇか。

 

さーて戦兎が去った後の教室は、どうなる第4話!

 

あ、おい!勝手に始めるな!

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ブローニャが初めに収集したのは、戦兎先生の出自や家族関係についてです。」

 

「出自か......見た感じ、私と同じ極東出身じゃないのかしら?」

 

「ブローニャもそう思い、ネットワークを通じて彼の戸籍情報を探ってみました。ですが、『桐生戦兎』という名前は見つかりませんでした。」

 

ブローニャの話に応じ、重装ウサギが戸籍情報を投影し、桐生戦兎という名前がないことを証明する。

 

「えぇとつまり、私たちには偽名を使ってるってこと?ますます怪しくなってきたわね......。」

 

「その可能性も兼ねて、彼の身体的特徴と一致した人物も検索してみました。その結果が......こちらです。」

 

重装ウサギの映像が変わり、戦兎と類似した人物が一人映し出される。その人物とは......

 

「......えっと......この人ってたしか......」

 

「......何コイツ?」

 

「そう、現在爆発的な人気を博しているバンド、世界中をロックでツナぐ義理人情ロック通称『ツナ義ーズ』のリーダー『佐藤太郎』です。」

 

重装ウサギはツナ義ーズのポスターを表示し、佐藤太郎の部分を拡大する。加えてインターネットに投稿されている彼のライブ動画を再生した。

 

『夜は焼肉っしょぉぉぉぉぉ!!フッフゥゥゥゥゥゥ!』

 

「確かに顔は似てるけど、性格が全くの正反対ね......。」

 

「んで、このバカ丸出しのバンドがアイツの正体ってワケ?」

 

「確かに、戦兎先生の授業が昨日か明日であればそう断定できたでしょう。しかし、今日はツナ義ーズのライブが開催されており、そこには佐藤太郎が出場しているようです。」

「何故彼の顔と99.9%一致しているのか、彼との関係性など気になる部分も多々ありますが、別人である以上無駄だと判断しました。次に行きましょう。」

 

キアナが「おおバッサリと。」と軽く突っ込むのをよそに、重装ウサギとブローニャは次のスライドを準備した。

 

「さて次は、戦兎先生が何故聖フレイヤに所属できたかについてです。」

 

「そうよそれ!そこが一番知りたかったわ!」

 

「ふむ、気分転換に少しほかの意見を聞こうと思いましたが、バカキアナのためにも本題に入りましょうか。」

「キアナ、芽衣姉様、先日の噴水広場で学園に搬送された彼のことは覚えていますか?」

 

「当然よ!何か変なのに変身して青い炎出して崩壊獣倒したと思ったら急に倒れて、アイツも変な奴だったわ!」

 

「えぇ。あの人がどうなったのか心配だけど……もしかして戦兎先生と関係があったりして!?」

 

「はい、とはいってもこれはブローニャの推測に過ぎませんが。」

「彼はフリーマーケットの売り文句としてこう言ってました。『ちょっとイカレた天才物理学者の面白い発明品がいっぱいある』と。」

「それに購入したおしゃべりホムも、後日簡単な解析を行ってみましたが、どの玩具メーカーの規格にも合致しませんでしたから、おそらく戦兎先生の作ったものでしょう。」

 

「ん、あれ?そういえば自己紹介のときも天才物理学者って......。」

 

「その通りです。聖フレイヤに入る前はどうやら、戦兎先生の発明品を彼が売り出していたようですね。理由は謎ですが。」

 

「単純にお金がなかったからじゃないの?」

 

素っ気ないキアナの意見にブローニャは「一理ありますね」と一言。

 

「コホン。もちろんそれだけではありません。戦兎先生ほど精密には出来ませんでしたが、彼の身体的特徴が類似した人物を調べてみました。」

 

「もしかして、一時期ニュースでも取り上げられていた格闘家の『万丈龍我』かしら?」

 

「はい。ですが彼に関しては髪色が違うので、こちらも別人で間違いないでしょう。とはいえ......。」

 

少し悩む素振りと共に、重装ウサギが投影したのは、万丈が変身した仮面ライダーの戦闘と、格闘家万丈の試合の映像である。

 

「こちらを見てください。身体能力は彼の変身した姿の方が遥かに上回っていますが、戦闘スタイルが96.1%一致しています。」

 

「何それ、ほぼ同一人物じゃないの?」

 

「髪色はウィッグで隠していると考えても、ここまで有名な人だと顔まで隠さないと意味ないし……なんだか同じ人が二人いるみたいで気味が悪いわ。」

 

「こういう状況って、たしかドーナツゲンガーとか言ってたよね?」

 

「バカ、ドッペルゲンガーです。」

 

「あぁそっちだったっけ?けどアイツらの正体がまだ見えてこないね。」

 

「......やっぱり二人の考えすぎなんじゃないかしら?もし怪しい人だったら学園長や姫子先生がとうの昔に捕まえてるはずじゃないの?」

 

「しかし芽衣姉様、スパイというのは事が起きてからでは遅いのです。可能な限りブローニャたちでも対策をしないと............」

 

「だったらもう直接本人に聞けばいいじゃん?」

「全部吐くまでコイツでぶっ叩けば楽勝よ!」

 

ブローニャと芽衣が向いた先には、星が彩られている金属バットを軽くスイングするキアナだった。

 

「バカなのですか?対拷問訓練を積んだスパイはむしろ逆効果……」

 

「私に続けぇ!」

 

ブローニャの制止もむなしく、キアナはバカの勢いのまま戦兎のいるであろう場所に突撃した。

 

 

 

 

 

 

場所変わってとある研究室、授業を終えた戦兎が戻って来た。就任して日が浅いこともあり、今日の担当は先ほどの授業で終わりである。

 

「さて、授業も終わったことだし、続きをしますか。」

 

パソコンを起動し、隠していたビルドドライバーをデスクの上に置き、画面に設計図を移す。

 

「実のところ、設計に関してはもう終わってるんだよなぁ~。」

 

流石は天才物理学者といったところか、戦兎はこのわずか数日で崩壊エネルギーの理論や研究データの大半を理解し、ライダーシステムに対崩壊機能を搭載する準備が整っているのだ。

 

「ヘヘッ、正義のヒーローのお披露目は思ったより早くなりそうだな。ビルドの雄姿を見たら流石のアイツも......」

 

椅子でくるり~んと回りながら他愛ない妄想を繰り広げる戦兎だったが、研究室の隠された出入口が開かれた音がしてデスクのものを急いで片づけた。

そこから入って来たのは、戦兎にとっては先輩の教師であり、赤髪のスタイル抜群の美人である無塔量姫子だった。そして彼女の脇には見覚えのあるバカが抱えられていた。

 

「姫子さん......ってその小脇に抱えている万丈は何なんですか?」

 

「あぁこれ?暇そうに筋トレしてたからちょっとデートに誘ったのよ。しっかしすぐにバテちゃって、最近の男は体力ないのねぇ。」

 

姫子は抱えていた万丈を少し古びたソファに転がせる。その最中戦兎は(戦乙女なんだから当然でしょうが)と(あの万丈がここまでグッタリするとは何があった)とツッコミが頭に浮かんだが、突っ込んでも野暮なので口にはしなかった。

 

「おーおーこんなにボコボコにされて......おい起きろ筋肉バカ、姫子さんと何やってたんだ?」

 

「ワーッ!俺は筋肉バカじゃねぇ!俺はプロテインの貴公子、万丈龍我だ!」 戦「それはいいから。」

「......何やってたって、テレサさんにここまで案内されて暇だったからいつも通り筋トレしてたら急に入って来てよ、そしたらデートしましょって広くて変なところに無理やり連れていかれてそれで」

 

「手も足も出なかったと。」 万「うるせぇ!」

 

久々に見る相棒の無様な姿を見てヘヘッとバカにするように笑う戦兎であった。

 

「ったく......こういうときにボトルの一本でもありゃぁ恥かくこともなかったのによ。」

 

「それはダメだ。対崩壊用に開発されたという口実を作るためにも、ライダーシステムを公表するのは改修が終わってからだ。」

 

「わーってるって。」と言って万丈は再びソファーに寝っ転がった。そして寝た。

 

「........というか姫子さん、ここから万丈連れ出して、生徒に見つかったりしませんでしたか?俺はともかくコイツの存在は今のところ秘匿されてるんでしょう?」

 

「勿論よ。彼を連れ出すルートも、基本的に生徒が立ち入り禁止の道を通ったわ。」

 

それならまぁ........とデスクに戻ってドライバーの回収作業に戻ったがその時、出入口から何かを思いっきりぶつけて破壊する音がし、音の方向に二人が顔を向ける前に出入口の扉の残骸が周辺に飛び散った。そして入って来たのは、少し凹んだ金属バットを肩に乗せたキアナだった。

 

「......ちょっと姫子さん、生徒に思いっきりバレてるじゃないですか。」

 

「いや......言い訳させて頂戴、まさかキアナが塀を飛び越えることはあれど扉を壊すような子だとは思わなかったのよ......。」

 

「立ち入り禁止のルート通ったって言ってたじゃないですか」 「それが通用しないのよあのバカは。授業で寝るし任務で命令違反は繰り返すし」 「うわマジか」

 

「誰かバカよ!オバサンこそ、ちょっと顔がいいからってソイツに騙されてるじゃない!」

 

「はぁ?騙されてるって何のことよ?」 戦「オバサン?え、今おいくつ......」 姫「だまらっしゃい!」※30歳

 

「ハァ......そんなだからいい男も見つからないのよ。そのオッサンブローニャが言ってたけどコセキとかがなくて佐藤太郎っていうダサいバンドに顔がそっくりだし、どっからどう見ても怪しさ全開じゃないの。」

 

「えぇ..戸籍ないこともうバレてるとかどんだけ信用されてないの俺?」

 

「当然よ!ネゲントロピーとかのスパイじゃないの?」

 

「......最っ悪だ。信用ないのは仕方ないとしてもスパイ扱いされるのは流石にどうかと思うぞ。」

 

これでも授業の際には可能な限り親しみを持てるように気を遣ったのであるである。佐藤太郎そっくりと言われることに関しては想定内だった。しかしいくら初対面とはいえ戸籍などの自分たちの素性を探られるのは心外であった。

 

「全く、聞いてみればそんな馬鹿馬鹿しい理由で戦兎先生を嫌ってたの?」

 

「何よ!『臨機応変に対応しろ』っていつも姫子が言ってたじゃない!」

 

自分の教訓を斜め上に受け取られていたことに愕然とした姫子はため息どころか頭を抱えていた。それを見た戦兎は「ご愁傷さまです」の意を込めたジェスチャーを送った。

 

「......いい?仮に戦兎先生がどこかのスパイだったとしたら、学園長が選考時点で突っぱねられてるはずよ。それにスパイじゃなかったとしても、聖フレイヤにいる、いや聖フレイヤから出られない理由がちゃんとあるわ。」

 

「理由?」

 

「だって彼、戸籍がないからちゃんとした企業や研究室に就職できないんだもの。せっかくの天才的頭脳も、使い道のないガラクタを作って日銭を稼ぐしかできないのを知った学園長が哀れ~に思って特別に教師として雇われたのよ。」

 

「つまり、どういうこと?」

 

「お金がないってことよ。」

 

「あっ......。」

 

いくらバカにでも分かるような理由を聞き、あぁ~と納得する素振りを見せるキアナ。そんな理由で納得するんじゃないよと突っ込もうとしたが止めた。別に間違ってはないし。

 

「なーんだ、疑って損した!ごめんねオッサン、いくら怪しすぎるとはいえスパイだって決めつけちゃって!さ、帰ってブローニャとゲームでも……」

 

「待ちなさいキアナ。疑いが晴れたのはいいとして、ソレ、どうするつもり?」

 

姫子が指さした先にはキアナが少し前にぶち壊し、無惨な姿と化した研究室の扉である。

 

「まさか、学園の設備を壊しておいてタダで済むとは思ってないでしょうねぇ?」

 

「あ......これは......その、その場のノリというか......アハハハ......」

「逃げる!」

 

「あ、コラ!逃げるな!」

 

姫子の圧と無意識に犯した過ちの板挟みとなり、思わずキアナは逃走。

 

「ちょっとこの赤いボトル借りるわよ!」 戦「は!?」

 

だが逃がさない。ラビットフルボトルを強奪し、数回振ってそのまま猛スピードで研究室を出てキアナを追跡。数秒もすれば甲高い悲鳴が廊下に響き渡った。

 

「......鬼に金棒とはこのことか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい!うちのキアナちゃんが本っ当にご迷惑をおかけしました!」

 

「何で芽衣が謝ってんだ?」

 

「おい戦兎、これどういう状況?」

 

自分がやったわけでもないのに平謝りする芽衣、それを疑問に思う戦兎、そして先ほどまで寝ていて今の状況に困惑する万丈の三つに分かれ、研究室は混沌を極めていた。

この騒動の元凶であるキアナは、周囲がモノクロになり柱に鎖で括りつけられていた。どさくさに紛れてブローニャも研究室にいる。

 

「何で鎖で縛ってんの?」

 

「いやまぁ、バカとスパイを括るのはこれかな~と思いまして。」

 

「バカって俺のことか!?何度も言わせるな、俺はプロテインの貴公子、万丈龍我だ!覚えておけ!」

 

よくわからない俗称を指を高らかに挙げた決めポーズで宣言し、辺りが一瞬凍り付く。

 

「......ん?万丈龍我......?」

 

ここで違和感に気づいたブローニャが、自惚れて指にキスをする万丈に近づき見上げる。

 

「貴方、今自分のことを万丈龍我と名乗りました?」

 

「なんだよ、俺が万丈龍我のどこが悪いんだよ?てかお前誰だ?」

 

「いや別に悪いという訳ではないのですが、格闘家の万丈龍我とはどういう関係なのですか?」

 

「あぁそれは......」 戦「同姓同名のただの他人だ。」 万「あぁ!?」

 

「外歩いてるとよく間違えられるんだよなー。その都度俺が説明するの大変なんだよ。」

 

「は?別に間違え......フガッ!?」 戦「ここは合わせろ。」

 

まずい情報を何の考えもなく言おうとした万丈に割り込んでブローニャにその場で考えた適当な嘘を話した。

 

「......どうやら別人のようですね。なら、その嘘を無理に暴く必要もありませんし、次の質問に移りましょうか。」

 

「バレバレじゃねぇか。」

 

「では、万丈龍我が装着......いや変身したこの姿について説明してください。」

 

重装ウサギが投影した映像には、崩壊獣を圧倒する青いドラゴンの戦士――仮面ライダークローズの姿が映っていた。

 

「......マジか、いつ撮ったんだよコレ!?」

 

「撮ったも何も、あの現場にいた誰かがSNSにアップロードしてくれたおかげで噂と共に証拠映像はたくさんありますよ。」

 

「うそーん......。」

 

「待ちなさいブローニャ、私言ったはずよ。それについての口外や詮索は認めないと。」

 

「ですが......崩壊獣を討伐するほどのテクノロジーが敵対組織由来だとしたら学園に危害が及びます。それに戦兎先生も、まだ完全に信用できる状態ではありません。」

 

「お前もかよブローニャ!」

 

「当然です。その佐藤太郎と瓜二つの顔をして戸籍もない。学園長が認めたからといってブローニャの信用を得られるとは思わないことです。」

 

「ハァ......最っ悪だ......。」

 

自分自身どころか、もう一つの姿である仮面ライダーまで疑われる事実に戦兎は落胆した。彼女の言い分はごもっともだが、世界を救った正義のヒーローが危険視されるのは流石に堪え難いものがあるというか。

 

「......本来なら改修が終わってからお披露目したかったんだけどなぁ、聖フレイヤの正義のヒーローって感じで。」

 

「戦兎?まさかシステムのことを教えるつもりじゃないでしょうね?」

 

「そのまさかですよ姫子さん。遅かれ早かれみんなに公表するつもりでしたし。まぁ、俺の想定した形には至りませんでしたが。」

「というわけでお前ら、今から万丈が変身したシステムについて話すが、これだけは約束して欲しい。今日話したことをここにいる奴ら以外には俺が許可するまでは絶対に漏らさないこと、いいか?」

 

飄々とした雰囲気から一転、真剣な顔に変えた戦兎の忠告に芽衣、ブローニャは首を縦に振る。柱に括りつけられていたキアナだが......

 

「............」

 

見た感じ気を失っていた。 「起きなさいバカキアナ。」 「ブハッ!?」

 

ブローニャがキアナを叩き起こしたことを確認し、相変わらずどこにつながってるのか不明なリモコンを取り出してとある画像を三人に見せる。そこに映っているのは、螺旋状に形成された赤と青のアーマーを纏い、赤い兎と青の戦車の意匠で形成された複眼の戦士であった。

 

「今映っているのが、俺が()()()()に開発した『ライダーシステム』を用いて変身する『仮面ライダービルド』。創る、形成するって意味のビルドだ。」

「仮面ライダーに変身するためには、腰にベルトで付いてる『ビルドドライバー』に『フルボトル』二本装填してハンドルをグルグルと回し、ドライバーからアーマーを形成して変身することが出来る。あ、ちなみに万丈とは姿が違うと気づいたかもしれないから先に言っておくと、アイツの場合は『クローズドラゴン』っていう別のアイテムを経由して変身するんだ。名前は『仮面ライダークローズ』。」

 

画像を指差しながら三人にライダーシステムをざっくりと説明している。旧世界のことは流石に教えられないので、この場ではあくまで対崩壊用の技術ということで通している。

 

「戦兎先生、少し質問してもよろしいでしょうか?」 戦「芽衣か?どうぞ。」

 

「ありがとうございます。私たちが任務の際に着用する『戦乙女装甲』についてはご存知でしょうか?装甲は身体能力の向上や生命維持といった基本的な戦闘服の機能のほか、崩壊エネルギーを伝達させて崩壊兵器を使用可能にしたり、装着者を崩壊エネルギーから保護する役目もあるんです。」

「しかし、龍我さんのクローズ?には崩壊エネルギーの保護機能が搭載されていませんでした。対崩壊用として開発された以上、そのあたりの機能を搭載する予定はあったのですか?」

 

「いい質問だな。お前の言う通り、本来なら侵食した崩壊エネルギーを中和する機能も付けたかった。だけどなぁ......崩壊に関する研究レポートが聖フレイヤに来るまでちゃんとしたものが見つからなくてよ。だからそれ以外の戦闘能力の部分だけを形にしたのが今のライダーシステムってわけさ。」

「もちろん対崩壊エネルギー機能はビルドドライバーに搭載予定だ。そう遠くないうちに俺達も前線で戦うから期待しててくれよな?」

 

「なるほど、ありがとうございます。」

 

「というわけで、今話せるのはここまでだ。ちょっとは信用してくれたか?」

 

旧世界やエボルトといった核心は省いてライダーシステムについて概要を大まかに解説してきたが、それを聞いた三人は、先ほど質問した芽衣以外の二人は微妙な反応だった。

 

「仮面ライダーについてはおおむね理解出来ました。しかし、これほどのシステムを開発するには相応の設備や人員、資金が必要なはずです。それを調達するためにどこから支援を受けていたのですか?」

 

「あー!そういえば、そこにいるバンチョウは何者よ!?」

 

「誰が番長だ!俺はプロテインの貴公子、万・丈・龍・我だ!名前間違えるなバカ!」 キ「誰がバカよ!」 万「お前だ!」 

 

「はいはいそこまで。これ以降の質問攻めは認めないわよ、戦兎先生も困ってるし。」

 

「なっ!?せめてその万丈についてだけでも!」

 

「筋肉バカ、以上。」

 

ワーキャー騒ぐキアナとブローニャを両脇に抱えて姫子が研究室から出ていった。それに続いて芽衣も「失礼しました」と一声かけて退出した。

 

それを見届けた戦兎はどっと疲れが出て倒れこむように椅子に座った。

 

「最っ悪だ......密かに楽しみにしていた正義のヒーローお披露目計画が台無しじゃねぇか。」

 

「なんじゃそりゃ。つっても聖フレイヤに入れてマジでラッキーだったよな俺たち。ほかの連中に見つかった場合なんか考えたくもねぇ。」

 

「同感だ。旧世界のことなんかテレサさんぐらいの器じゃないと碌に信じてもらえなかったし、こうやってライダーシステムを預けたままにしてもらえないだろうな。」

 

二人で現状がどれだけの奇跡で成り立っているのかを嚙み締めつつ、戦兎はビルドドライバーの改修作業に戻り、万丈は筋トレ......ではなく、とある冊子を読み始めた。そこそこ分厚いタイプ。

 

「ん?万丈お前何読んでるんだ?」

 

「テレサさんに渡された聖フレイヤの教科書だよ、ちょっとは崩壊についての知識を付けておきなさいってよ。」

 

「......すげぇ、プロテインしか能がなくて単細胞バカの万丈が勉強してるだと?」

 

「うるせぇよ。ただ旧世界のようにサッパリ分かんねぇって放り投げたらダメだって思っただけだよ。」

 

「......ヘヘッ、最っ高だ!どれどれこの天っ才教師がちょっとテストしてやろうじゃないの。どこまで読めた?」

 

「1ページ」 

 

「目次じゃねぇか!」

 

万丈の予想外な成長にテンションが上がった戦兎だったが、1ページの発言にズッコケるのだった。

 

 

 

......ラブ&ピース。新世界を作った後でもその志は変わらない。ベストマッチな二人は一つ一つ、今できることをやる。崩壊という新たな脅威との戦いに備えるために......

 

 

 

だがしかし、彼らの初陣は意外にもすぐ訪れるのだった。




読んでいただきありがとうございました。

ツッコミどころとかを一話で解決しようとやっていたら二カ月ほど経過していた......しかも8800字
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