探究者の為の世界樹 作:ロングコート
風紀委員会との会議から数日、事件は起きた。
イブキ「マコトせんぱい!行ってきま〜す!」
マコト「キキッ、気を付けて行くんだぞ〜!」
その日の朝、イブキ先輩はいつものルーティーンで朝のおでかけに、それに行ってらっしゃいと返す羽沼議長の姿あった。何気無い日常、それがあの惨劇の引き金になるとは思ってもいなかった。
数時間後
ジル「…遅いですね、一旦見てきましょうか?」
マコト「キキッ、それだけ外で楽しんでいるのだろう。そっとしておいて良い。」
ジル「…そうですか。」
さらに数時間後
ジル「………」
マコト「………」
ジル「…やっぱり見てきます、いくら何でも遅いです。」
マコト「あ、あぁ。見てきてくれ、何も無かったら大丈夫だが…」
ジル「分かりました、何も無かったら影で見守ります。」
そうして私は、イブキ先輩を探しにゲヘナ校舎を出た。
ジル(何か…嫌な胸騒ぎがするが…大丈夫であると願います…。)
しかし幾ら探せど見つからない、。そこで私は聞き込みを開始した。すると続々とイブキ先輩の行方に関する情報が出てきた…とても洒落にならない情報が。
市民「イブキちゃんね、確かトリニティの生徒達に絡まれてる所を見たよ。」
ジル「なっ!トリニティ!?」
市民「それで急いで止めに入ろうとしたけど、逃げられちゃいました…今も仲間が行方を追っている所ですが。」
ジル「いえ、貴重な情報ありがとう御座います。トリニティ自治区ですね、分かりました。」
そうして私は、脱兎のごとく駆け出した。
ジル(よりによってトリニティか…!頼む、イブキ先輩…無事でいて下さい…!)
そうしてトリニティ自治区へ着くと喧騒が聞こえた
???「どきなさいよっ!ゲヘナの悪魔に鉄槌を下せないじゃない!」
???「だからってね!それが小さい女の子をいたぶる理由にはならないじゃない!」
ジル(小さい女の子!?クソッタレェ…!!)
確信に近い嫌な予感が思考に宿り、顔が歪む。そして喧騒が聞こえた場所に辿り着き、そこで見たのは…
銃をイブキ先輩に向けているトリニティ生徒達とイブキ先輩を庇い、そしてイブキ先輩の傷を手当てしているトリニティ生徒だった。
ジル「なにしとるんじゃあ!!!テメェらぁぁーー!!!!!」
ビクッっとその場にいた生徒達が震える。私はそのままイブキ先輩の下に滑り込んだ。
ジル「イブキ先輩!大丈夫…じゃないですね!直ぐ救急医学部を呼びます!」
体は銃撃でアザができ、流血もしている。するとイブキ先輩は
イブキ「ジルちゃん…ゲホッ…この人達はイブキを守って…くれたの…だから責めないで…。」
ジル「分かりました、もう喋らないで。ありがとう御座いますイブキ先輩を守ってくれて…お名前は?」
アイリ「く、栗村アイリです!3人は友達のナツちゃんとヨシミちゃんとカズサちゃんです!」
ジル「そうですか、怒鳴ってしまって御免なさい。」
直ぐに救急医学部と万魔殿、風紀委員会に連絡を入れ、私は下手人のトリニティ生に向かい合った。
ジル「さて…一体全体どういうつもりなのか…話してくれますよね?てか話せや。」するとそのトリニティ生は悪びれる様子もなく
トリニティ生「それはコイツが私達の横を通り過ぎたからよ!ゲヘナの角つきのくせして遠慮も無く!」
何言ってんのか分からなかったがあえて聞いた。
ジル「………ちなみに幼女をいたぶった感想は?」
トリニティ生「幼女をいたぶった?私達はがいたぶったのはゲヘナの角つk」
ジル「もう良い、"シムナ・スマッシュ"」
5つの銃撃がトリカス共を撃ち抜く。私はそのリーダー格の人間の髪を鷲掴みにして裏路地へ引き摺りこみ。
ジル「オラ、オラ、オラ、オラ、オラ!」
私はそいつの顔面をコンクリートの壁に何度も叩きつけた。辺りから鼻血が飛び散る。そうこうしていると救急医学部と万魔殿、風紀委員会の面々が到着した。羽沼議長らはイブキ先輩を目視した途端駆け出し皆で抱き合った。しかしセナ部長がイブキ先輩の傷に障るからと彼女達を引き剥がし、救急医学部の車両に乗せてイブキ先輩ごと搬送した。風紀委員会は下手人のトリニティ生を捕縛するため動いたが、どれだけ傷を負っても逃げ足だけは速くいつの間にか姿を消していた。そして私は残ったアイリさん達…放課後スイーツ部をどうするか考えていた。
ジル「(残るは放課後スイーツ部の面々…あのトリカス共の所属次第で彼女達に危険が及ぶかどうか…只の一般生徒なら良いが、ティーパーティーのメンバーだとすれば…奴等の言動からしてパテル派の人間か?だとすれば…)…ヒナ委員長、アイリさん達をゲヘナへ連れてゆきましょう。」
ヒナ「…」
アイリ「ええ!?」
ナツ「!」
ヨシミ「ち、ちょっと!?」
カズサ「こ、これ大丈夫!?人質とかにされないよね!?」
ジル「?あぁ大丈夫、ほとぼりが冷めるまで貴女方を此方で匿うだけですから。もし奴等がティーパーティーの人間なら報復は必至ですからね、ちょっとした恩返しですよ。」
アイリ「そんな、何も恩返ししてもらう程の事は…」
ジル「いいやさせてくれ、それでは我等の示しがつかない。ゲヘナ産のスイーツもある、議長にも話はしてある。これは貴女方の為でもあるのです。」
彼女達は顔を見合わせ、それを承諾した。風紀委員会の専用車に乗せ、私達は一旦帰路についた。
ジル「………まさか、こんな事になるとはね…。」
ヒナ「本当に…。これから確実に戦争が起こるわね…。」
ジル(戦争…か。イブキ先輩は全ての学園との融和を宿願としていた。トリニティも例外ではないそれは、果たされるのだろうか…。いや、果たさせる!)
そう決心した。
万魔殿、会議室
この場にいたのは、私と羽沼議長、イロハ先輩、そして風紀委員長の空崎ヒナさん。チアキさんとサツキ先輩はイブキ先輩の病室で付きっきりの看病をしている為、出席はしなかった。
そして会議が始まり、羽沼議長が重たい口を開けた。
マコト「トリニティ共へ宣戦布告をする。」
議長の口から開口一番発されたのは、案の定宣戦布告の意思だった。声や言動こそ落ち着いているが、その表情は氷の様に凍てついていた。よく見れば目の色は若干赤く、直前まで泣いていたことを物語っていた。
イロハ「虎丸の整備は既に完了しています。何時でも出撃可能です。」
ヒナ「……」
ジル「(やはりこのままでは戦争は必至…!肝は冷えるが…言うしか無い…!)待って下さい!ここはトリニティとの和平交渉なり賠償請求なりに留めることにしましょう。まずイブキ先輩の復讐よりも、イブキ先輩の笑顔を取り戻す事が何より優先されます。」
イロハ「それはそうですが…だからってイブキが受けた苦しみを晴らさないままで終われるものですか!」
マコト「そうだ!このまま何の報復も無しなら再びイブキが苦しむ事になる!だから二度とこのような事が出来ぬよう制裁を加えるべきだ!」
私は辛抱強く聴いた。しかし誰も彼も復讐に囚われているだけだった
イブキ先輩は己の仕返しなぞ考えてないだろうに……!
ジル「しぇからしいわ!!!!!」
マコト「なっ…!?」
イロハ「ビクッ」
ヒナ「!?」
ジル「今イブキ先輩が欲しいものは何かよく考えろ!!!奴等の血肉か!?奴等の悲鳴か!?違ぇだろ!!!イブキ先輩が一番欲しいもの!!それは!!見上げるほどにバカデカいプリンでしょうが!!!それにイブキ先輩は、自分の大好きな先輩が傷付く姿を見たいと思うか!?全く関係ないトリニティ生やゲヘナ生が傷付く姿を見たいと思うか!?そんな姿を見たらどんな表情をするかよく考えろ!!!怒りに囚われていたとは言え!そんな事も分からないくせに洒落臭え事言ってんじゃあねえぞ!!!」
戦争になれば無論誰かが傷付く、もしかするとヘイローが壊れる者も現れるかもしれん、幼子の涙で止まるはずもない、そんな事になればイブキ先輩の一生のトラウマになる。それだけは絶対にまかりならない事。すると
プルルルル、プルルルル
ジル「?電話か…えっ、イブキ先輩が目覚めた!?」
マコト「何ィ!?」
ジル「……聞きましょう。イブキ先輩が欲しいものが何か…!」
ゲヘナ学園 医務室
マコト「イブキ!大丈夫か!?」
イブキ「…マコト先輩、イロハ先輩、ジルちゃん。」
イロハ「…御免なさい…直ぐに来れなくて、本当に御免なさい…。」
マコト「もう大丈夫か!?何処も痛くないか!?この通りだ!許してくれ!痛かったろう!辛かったろう!直ぐに助けに来れなくて本当にすまなかったぁぁ!!!許してくれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
そう悔恨を叫びイブキ先輩に顔をうずめる議長の姿は、その背中は…とても弱々しく見えた。
ジル「…本題に入りましょう、羽沼議長。とりあえずハンカチどうぞ。」
マコト「あぁ…そうだな…。イブキ、何が欲しい?何でも言ってくれ、バカデカいプリンでも良い、バカデカいパンちゃんでも良い…幾らでも言ってくれ…」
イブキ「…イブキね……プリンが食べたい。」
マコト「!…そうか…分かった…。」
ジル「分かりました、直ぐに予算を作成します。お二方、戻りましょう。」
マコト「あ、…あぁ。」
イロハ「…直ぐに戻ります。」
そうして会議室に戻り、次の議題が始まった。
ジル「さて、次はイブキ先輩の為のプリンですが、まず予算ですね。まぁこれは調達先は自明の理なんで省きましょうか。」
マコト「待て、その調達先は何処だ?」
ジル「それはアレですよ、トリニティからの賠償金で作るんですよ。」
マコト「キキッ…そうだったな…。」
ジル「それでは向こうへの弾劾は私が行きましょう。そしてもし…。」
マコト・イロハ「もし?」
ジル「怨嗟がまだ残っているのであれば、私が預かりましょうか?向こうの出方次第では…最悪は戦闘も辞さない事になるかもしれませんので。」
マコト「そうだな…ここで一切合切預けてしまえばスッキリするだろう。…よろしく頼む。」
ヒナ「…でもそれは敵地で敵も多い、尚且つ増援が来ない。そんな状況で戦う事が出来るの?」
戦う事が出来る??
ジル「大丈夫ですよ、御三方。」
そう言い私は羽沼議長へ近づき耳元へ口を近づけた、囁けるように。
マコト「な、何をする気…」
ズオオオオオオォォォォ…
マコト「ッ!?(何だ…この圧迫感…!)」
ヒナ(まるでこの場の重力が一気に増したような…)
ジル「こんな事言うのもアレですが…あの時は訳あってありったけを出せていませんよ?羽沼議長と、……"ヒナさん"」
ジジッ…ジッ…
ヒナ「なっ…!?」
ジジッ…ジッ…
マコト(何だ?ジルの体に…ノイズ?)
ジル「それでは今から向かいます。なあに直ぐ戻ってきますから。」
マコト「…無事に戻ってこいよ。」
To be continued
どうもこんにちは、作者です。
イベント見てきました、メグが可愛かった。カードゲームは何なんだ…?何も分からない…雰囲気で戦っている…。必要とあらばゲヘナとも手を組むイチカの覚悟を見れた良いイベントストーリーでした。
次回からですね、ゴア描写が出てくるのは。そして途轍もなく長くなってしまった、これなら分割が出来た…。
それでは次の物語で会いましょう。