社会人になりブラック労働に苦しむ作者です。
最近ガンダムが死ぬほど楽しいです。
書きたい。以上。本編です。
C.E70、血のバレンタインの悲劇によって、地球・プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利。だが、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヶ月の時が過ぎようとしていた。
C.E.71 9月22日 地球軍MS開発から今日までの戦局の推移。
オーブ連合首長国の宇宙コロニー、ヘリオポリスにて地球軍は5機の新型MSの開発を行うも、ザフト軍クルーゼ隊により4機が鹵獲。残る1機、ストライクもクルーゼ隊から任務を引き継いだザラ隊の活躍によりこれを撃破。
〜中略〜
その後執り行われたアラスカ、JOSH-Aに侵攻する「スピットブレイク」さらに、地球軍に唯一残ったマスドライバー施設を攻撃する「パナマ攻略戦」により地球軍を地上に押しとどめることに成功するもストライクを量産した「ストライクダガー」や、新型MSによりパナマは奪い返され、再びプラント本国は侵攻の危機にさらされる。
そして先日、哨戒機によって地球軍の侵攻を確認。いよいよボアズ侵攻が行われる。しかし、いくら物量や新型があるとはいえ、この要塞を落とすことは非常に困難であると考えられるが、相手の真意はいったい・・・・・・
しかし、かつて向こうから奪った要塞を今度は防衛するなんてね。不思議な感覚。
「ホーキンス隊長。失礼します。まもなくブリーフィングです。作戦室までお願いします」
「ええ。分かったわ」
私、クレール・ホーキンスの自室に来たのはホーキンス隊副隊長のハイネ・ヴェステンフルスだ。
返事を必要最低限に作戦室へ向かう準備をする。
~ナスカ級高速戦闘艦一番艦“ナスカ”~
~同作戦室~
「それではこれからボアズ防衛作戦ブリーフィングを始めます」
「まず相手の戦力ですが、哨戒機が確認した数ですとアガメムノン級約10隻ネルソン級30〜40隻、ドレイク級多数。詳細不明ですが、艦隊総数100はくだらないかと」
艦長のサイモン・バックナーがそう告げると、あまりの大艦隊に全員の表情に緊張が走る。
「一方でこちらの戦力はおよそその6割。いくら守備軍が精鋭とはいえ厳しいと言わざるをえませんな」
「さらに月からの増援も考えると戦力差はざっと3倍まで膨れ上がるわね」
さらに追い打ちをかける自軍の状況をみて余計に空気が落ち込む。
「けど、やらなきゃ次は本国だ。ここで絶対止めないとですね。なぁに、俺たちならできますよ」
「ハイネ、そうは言うけどどうするんだよ」
ハイネが暗い空気を吹き飛ばそうとするがうまい方法が出てこず、黙ってしまう。
「・・・・・・戦力差は嘆いても仕方ない。だからできることをしましょう。まず基本はスリーマンセル。常に背中を取らせないこと。武装は重斬刀よりも予備のマガジンを多めに。スラスターは3割切る前に帰ってくること。今回は防衛戦。長期戦になるから深追い厳禁。いいわね」
「・・・・・・・・・あ、はっ!!!」
クレールの矢継ぎ早の指示に一同固まるがすぐに冷静さを取り戻す。
そしていよいよ作戦が開始する。
C.E.71 9月23日 地球軍によるボアズ侵攻が開始された。
地球軍からはストライクダガーをはじめ、メビウスも大量に放出される。その数実に千は超えている。一方で守備軍も多くのMSが出撃する。ジンやシグーだけでなく、新型のゲイツも多数配備され、隊長や副隊長クラスの兵に配備される。
それはホーキンス隊も同じだった。
「ハイネ、いくら新型とは言え慣熟訓練足りてないでしょ。無理だけはしないでね」
『へっ、了解!でもまあ現場はとにかく走るだけだ。やれるだけやりますよ。ハイネ・ヴェステンフルス、“ゲイツ”いくぜ!』
ナスカのカタパルトからオレンジ色に塗装されたゲイツが出撃する。
そしてその次に通常の緑色を少し薄く塗装されたゲイツがスタンバイした。
『ホーキンス隊長、ご武運を』
「ありがとう。艦は常に敵艦隊との位置を確認。囲まれないようにね。」
『了解。任せろ』
「頼みます。クレール・ホーキンス、“ゲイツ”、出撃します!」
戦闘中域ではいくつもの光が止まることなく付いては消えていく。
だが、この光の中で何人もの将兵の命が散っているのだ。
それでも戦闘は止まることなく続く。
一方でそんな状況に怖気付くことなく自分の愛機を駆り、戦場を縦横無尽に飛び回る機体がある。
ホーキンス隊のクレールだ。
「必要な機体は補給を!足や弾薬が尽きたら落とされる!ハイネ、シェロ!右のドレイク級、3分で行ける?私はネルソン級に行きます」
『勿論だ!』
出撃前仲間に告げたことを繰り返しつつ指示も出しながら動き回る。
一方で自分は単独で攻撃に移る。
ネルソン級も接近に気付き、対空砲火で迎撃するも、彼女を捉えることはできない。
「遅い!」
ビームライフルで機銃を潰しつつ、エクステンショナル・アレスターを片方だけ射出し、不規則な動きで接近し、クローで艦橋を潰し1分とかからず墜とす。
そしてそのままハイネたちのところへ翔び、ドレイク級も撃墜する。
「2人とも、無事?」
『さっすがクレールだ!俺たちの出る幕なくなっちまうぜ』
『ありがとうございます!機体にダメージはありません』
「了解。ではこのまま戦線を維持します。着いてきて」
『『了解!!』』
その後隊の仲間と合流しつつ地球軍艦隊を墜としていく。そして補給を終えたのち、ついに地球軍が動く。
「月方面の戦線が押されてるみたいね。ただちに急行します」
『了解だ。けと、一体何が?向こうにだって戦力は十分にあるはずだろ?』
「おそらく新型ね。あれのせいでパナマは墜とされたみたいだし・・・とにかく。急ぎます」
現場に急行してクレール達が見たのは大量の味方だったものだ。あたりにはジンやゲイツの破片が散らばり、パイロットの生存の可能性を丁寧に否定していた。
そしてまた1機、亀の甲羅を被ったような緑色のMSにより胴体を真っ二つにされた。
墜とされた僚機は距離を取ろうとするも敵機のビームは逃すことは無かった。
『ビームが、曲がった?!一体どうなってやがんだ!!』
目の前の出来事にハイネは思わず声を荒げた。
それもそのはず。本来ビーム兵器は光と同じく直進しかしないのだ。それを覆されては混乱は必然だ。
そんな状況にも関わらず、クレールは冷静に指示を出す。
「ハイネ、シェロ!援護して。いくら相手が不思議な能力があっても無限じゃない!それに、曲がるのにも限度があるはずよ!」
それだけ告げ、ビームを撃ちながら接近する。
ハイネ達も周りを囲むように牽制射撃をする。
だが、
「バカな!こちらのビームライフルまで曲がるなんて!」
敵の能力はクレールたちの常識を悉く覆していった。
その後ビームがダメなら実弾だとシェロのジンが突撃銃やミサイルで攻撃するも、一切のダメージが無い。
「こいつ、まさかPS装甲まで搭載しているだなんて・・・一体この機体1機にどれだけ盛り込むのよ!」
普段冷静なクレールもついにキレる。それはそうだろう。ビームも実弾も効かない相手が目の前にいるのだ。
そして、突如として辺りをとてつもない閃光が包む。
思わず目をしかめ、動きが止まってしまう。
クレールは「しまった!」と思ったが、何も起きなかった。周りを見ると両軍とも動きが止まっていた。
「何が・・・?」
『おい!クレール!ボアズからの連絡が一斉に途絶えた!』
「!?」
ハイネからの通信に思わず通信機を確認する。これまでひっきりなしに連絡が来ていたボアズ作戦司令部からの連絡が全て途絶えていた。
メインモニターを最大望遠にしてボアズを見る。だが、ボアズはそこに無かった。
「一体何が??」
『ホーキンス隊長!ボアズの最後の通信で、核が使われました!』
「な、なんですって?!」
ナスカからの通信が突如として届く。
ありえない。
彼女の頭には疑問しか出ない。なぜなら地上含め宇宙も至るところに核分裂を阻害するNジャマーが存在しているのだ。核分裂が作用しないため通常の核ミサイルはもちろん、核融合を用いたミサイルでさえ起爆のきっかけとなる部分は核分裂を用いるのでこちらもあり得ない。
なぜ?
今はそれどころではない!今大切なのは"なぜ"ではなく"これからどうするか"だ。
ならばすることは一つ!
「全軍!ただちに撤退!!」
オープン回線でザフト全軍に伝える。
『お!おい!どういうこったクレール!』
「もう守るべき要塞はない。敵は核を使った可能性がある。だったら少しでもヤキンの防衛に回す。ハイネ、あなたもよ」
『じゃあクレールも!隊長だろ!部下を率いて下がるぞ!』
ハイネは共に撤退を提案するがそうはいかない。
先程撤退を告げたが、混乱した部隊は動きが遅い。これでは的になるしかないのだ。
「無理ね。これだけの部隊を下げるには殿が必要になる。だから命令。ハイネ、部隊を率いてヤキンへ。合流した後の指揮を任せる」
『くっ・・・了解・・・クレール、絶対死ぬんじゃねえぞ』
ハイネは渋々承諾し、撤退を開始する。
本当はこんな命令聞きたくない。共に逝きたいのだ。だが、それでは他のものも死ぬ。そんな真似は出来ない。彼は軍人で、戦争をしているのだ。
唇を強く噛み、鉄の味がするのも気にならず、撤退をしていった。
それを見送ったクレールは覚悟を決め、迫り来る敵機に目を向ける。
「敵は掃討戦に移ったようね。撤退まで大体30分稼げればいいかな」
向かう敵機に攻撃を仕掛ける。
四方八方からの攻撃に晒されるが、全力でバーニアを吹かし致命傷をどうにか避ける。無理な機動のためか、5分もしない内にスラスターは半分以下になり、バッテリーも少ない。戦力差はまさに数百倍。だがなんとかするしかない。そうでないとプラント本国が危ないのだ。
「おかしい・・・?新型がいない」
辺りを見渡しても来るのはストライクダガーとメビウスのみ。1機だけだからと舐められているのかどれも練度が低い。
これならなんとかなると思い、ライフルを撃ち続ける。
1機、また1機と撃墜をし、20を超える頃には数えるのをやめていた。
後に敵機は一切無く、今のクレールの姿はさながら要塞とも例えられる鉄壁の動きだった。
たが、それも長くは続かない。
「限界・・・かしら。持った方かしら」
コックピット内はすでにアラームが大量に鳴り響き正常に動く部分は少ない。機体も傷だらけで両脚がなく、ワイヤーも破損していた。こんな状態ではまともに戦えない。これが自分の最後かと思うが、まだ死なない。
ハイネと約束したのだ。生きて帰ると。
「まだ、やれるだけやってみる・・・生きるんだ!」
もはや動かない機体のレバーを何度も動かすが機体は応えない。
しかし無情にも動かない自分に気がついた敵機が銃口を定める。
「最後、か。」
撃たれる覚悟をし、体が強張る。
だが、いつまでたっても攻撃が来ない。
モニターを見ると、そこにはコックピットを潰された敵機がいた。
『クレール!』
「ハイ、ネ?」
撤退したはずの部下が猛スピードで接近し、自分の機体を掴み、再度逆方向へ全速で離脱していく。
「ハ、ハイネ!どうして戻ってきたの!」
『ここで死なせるわけにいくかよ!よく見たら敵さんほとんど追撃してこねぇ。だったら殿はするだけ無駄だ!』
どうやらほとんど追撃はなく、来たのもほぼ自分のところらしく、思ったより撤退がスムーズに進み戻ってきたとのことだ。とはいえ敵機がある可能性は勿論あり、既に墜とされる危険性を考えたら無駄足になることの方が多いのに彼は駆けつけたのだ。
「ハイネ。ありがとう。おかげで助かったわ」
『いいってことよ。そしたらこの戦争が終わったら一緒に飯でもどうだ?』
「ふっ、考えておくわ」
気の緩みか、たわいもない無駄話をする。
だが実感できる。自分は生きているのだと。
ならこの命、大切に使わねばと、そう心に誓うのだった。
ボアズ侵攻、ザフトは要塞と部隊の8割を消失。多くの隊がメンバーの大半を失う中、たった一つだけ、誰1人として欠けることのなかった隊がある。その名を、"ホーキンス隊"。彼らの活躍はその後のヤキン・ドゥーエ攻防戦でも轟くこととなる。
これは、本来歴史の影に埋もれるはずだった一人の隊長の、あり得たかもしれない物語。
はい。
性懲りもなく、新しいものに飛びついてます。
あの、間違いなく次の更新遅いです。
それでもよければ見てってね。
一応今回出てきたキャラ、名前だけ出しときます。
クレール・ホーキンス
今作主人公。一応原作キャラではあるが「ホーキンス隊」の存在と、ヤキン・デゥ-エ攻防戦にいたこと以外一切が不明。もはやオリキャラ。
ハイネ・ヴェステンフルス
SEED Destinyにも登場する原作キャラ。後方不注意さん。推しです。現在オレンジカラーゲイツに搭乗。
シェロ・ベルン
ホーキンス隊のメンバー。ハイネと同期の緑服。気さくで善いやつ。搭乗機はジン。
サイモン・バックナー
ナスカの艦長。若手の多いザフト軍にしては40代と高齢。愛煙家。