伝道者を破壊せよ!   作:欠けたチーズ

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ほださすほだされ

森羅達を置いて第八に戻ってから数時間

 

「なぁ輪廻」

 

「ヴァルカン、かどうかしたのか?」

 

視線が目ではないのが気になるが青い目を見つめる

 

「その髪飾り何で出来てるんだ?」

 

「知らない!」

 

元気よく答えれば驚いたような顔をされる

 

「知らない?貰い物か?」

 

「物心ついた時からついてたんだよ」

 

不思議そうな顔をされる

 

「アタシ産みの親に捨てられてるから、施設の人も拾った時にはついてたって…おか…育ての親も気にしてないからって言ってたから、これがなんなのかはしらねぇな」

 

「なんか悪い」

 

「気にしてねぇよ、で、これの話だろ?」

 

今見えはしないが黒に赤い線が入ったヘンテコな髪飾りを指差す

 

「ああ」

 

「知りてぇんだったな」

 

いま自分がどんな顔をしているのかは分からないが予想はつく、ニヤついて君の悪い顔をしている

 

「取れたら見ていいぜ」

 

「そんだけか?」

 

「ああ」

 

頭を差し出す

それと同時に髪を触らられ髪飾りを触る感覚を感じる

 

ー数秒後

 

「ん?」

 

ー数十秒後

 

「はぁ?」

 

「ふんん」

 

ー数分後

 

「どうなってんだこれ!?」

 

「お手上げ?」

 

悩んでいる声を聞いているのも面白しろかったが手を離し考え始めたヴァルカンを見て笑みを浮かべる

 

「残念だけだもね、ヴァルカンこれはなんでか取れないのだよ、なんならリヒトが1週間くらい取ろうと奮闘してお手上げした物なのだよ」

 

「輪廻、一周間じゃなくって、6日間と20時間29分だよ」

 

「はいはい今はいいから!」

 

まさか聞いていたとは思わず気持ち悪いほどに細かい数字を言われる

 

考え込むヴァルカンを眺める

 

「そんなに取れない物なのか?」

 

見ていたのか不思議そうに近寄ってくる桜備に頭を差し出す

 

「…あれ?これ俺がこう言う女の子向けのやつに慣れてないとかじゃないよな?」

 

「髪飾りってのはここまで苦労して取るもんじゃねぇからな」

 

「いた!引っ張られてる」

 

「え、ごめん」

 

申し訳なさそうに言われ、体格に似合わない姿に笑みが溢れる

 

「にしても、どうなってんだそれ」

 

「知らない」

 

「僕が調べた時も全く分かりませんでしたからね」

 

リヒトがお手上げするんだ、きっとこれはこの星の役目に関係する物なのだきっと、そうでなければ逆になんなんだ

 

「いつかとってくれる?」

 

「おう!任せとけ」

 

その言葉に安堵しつつ笑みを浮かべる

 

期待はしねぇけど、もしかしたらジョーカー含めコイツらも世界を救って私をこの役目から解放してくれるかもしんねぇな

 

ーー

 

環はシスターになるべく、アイリスと勉強中らしい

 

その様子を近くに座り眺める

 

「輪廻もシスターなんだよな?なんかコツとかない?」

 

「コツ?」

 

休憩中なのか体を伸ばしながら聞いてきた環にぼんやり考える

 

そもそもある程度の知識は与えられていた、それに上乗せして覚えるくらい簡単な事

 

「…まぁ簡単だから頑張れよ」

 

「コツがないやつじゃんか!」

 

「そうですよ、環さんなら大丈夫です」

 

環よりもやるきなアイリスを見て微笑む

 

ああやっぱりアタシも、世界に従順なんだな

 

ーーー

 

今日は森羅と中隊長が食事当番らしいが、森羅がいないから代わりにアタシがやることになった

 

「手際がいいな」

 

「そりゃ、アイツに料理させたら…なんかよく分からない物混ぜられるし」

 

リヒトは必要最低限の料理はできる、だが何かよく分からない薬品を混ぜてくる、リヒトが料理を作った日にはジョーカーとの押し付け合いが始まる、にこやかに2人分の料理を持って来た日にはジョーカーと一緒に逃げ出す何てよくある事だ

 

それらを思い出してげんなりする

 

「それは大変だったな」

 

いつも通りの顔で労いの言葉をかけられる

 

この人表情に出ないだけで案外普通の人?

表情が変わらず、目つきが悪いせいで分かりにくいが、案外普通なのか?と首を傾げる

 

「嫌いな食べ物とかあるか?」

 

「無い」

 

「そうか」

 

気まずい空気が流れる、皿を取り盛り付ける

 

「アタシはクレープが好き、中隊長さんは?」

 

「…俺は寿司が好きだ」

 

「お、なら今度行きつけの店にでも連れて行ってくれよ」

 

ずっと手元を見ていた目つきの悪い目が眼鏡のレンズ越しにようやく目が合った

 

「断る」

 

「言うと思ったよ」

 

料理をお盆に乗せ運ぶ

 

手伝ったお礼といいクレープを作ってくれた

店に出せるレベルで美味しかった

 

ーーー

 

数日後2人が帰ってきた

 

「輪廻!」

「輪廻!」

 

2人に同時に呼ばれたコイツら仲良いな?などと考え始めていたが次の2人の発言でそんな考えが吹き飛んだ

 

「新門大隊長が!輪廻と手合わせして勝てって!」

「紅丸が!手合わせで勝てと!」

 

「え、やだ」

 

なんてことを言ってくれるんだ

そんな面倒なことしたくない

 

「なんで新門大隊長はそんなことを?」

 

まずは説明が必要だと思ったのか、大隊長が2人に聞いてきた

 

「新門大隊長が輪廻並みに強くさせると言って、最終確認でと」

 

「それアタシがボコボコにされるだけじゃね?」

 

「手合わせしたとは聞いていたが本当に何があった?」

 

ーーー

 

軽い説明を終え、やはり手合わせをすることとなった

パーカーを脱ぎ、屋上で手合わせをすることとなった

 

軽い運動をする

 

「怪我のないようにして下さいね!」

 

面倒なので2人同時に来てもらう事にした、そして見物人としてマキとリヒト、そしてアイリスがいる

 

「初め!」

 

マキのその声と共に走り出す2人

 

目にも止まらぬ速さで来た森羅の蹴りを防ぎ、足を掴み地面に叩きつける

 

「とう!」

 

切り掛かったアーサーのプラズマを手で流す

長時間触っていれば手が焼け使い物にならなくなる、だが一瞬なら平気だ

 

流し、隙のできた体に蹴りを入れる

 

思った以上の力だったのか吹き飛んでいった

 

隙を逃さないと言わんばかりに攻撃を繰り出す森羅、蹴りを躱しそらを避ける

 

2人の攻撃を同時に交わしつつ受け流す

 

「輪廻さんてあんなに強いんですか!?」

 

「前より強くなっている2人を同時に」

 

そろそろ辛くなってきたから終わらせるか

 

森羅の首元を掴みアーサーに投げる

 

「おい悪魔!邪魔をするな」

 

「あ!?」

 

「仲悪いのか良いのかよく分かんないな」

 

言い合う2人の頭を掴み、2人の頭を叩きつける

 

「が」

「ぐ」

 

額と額同時がぶつかり、倒れ込む

 

「輪廻の勝ち!」

 

「いえーい」

 

両手を上げ勝利のポーズをする

 

「ぐぐぅ」

「うぅ」

 

うずくまる2人をよそにパーカーを着る

 

「輪廻はどうしてそんなに強いんだよ」

 

額を抑え痛みでか、目に涙を溜めながらそう聞いてきた森羅に困り首を傾げる考える

 

「…んー」

 

普通の人じゃないって言っても信じてもらえないだろうしな…

 

「そう言う作りなんだよ」

 

「鍛え方ってことか?」

 

「さてはて」

 

「なんだよそれ…」

 

立ち上がり、考え始める2人

 

「まぁアタシに追いつくのも時間の問題だな…後数ヶ月もしたら今のアタシには追いつくぜ」

 

「俺は数週間で追いつく」

 

「なら俺は!それよりももっと早く!」

 

競い始める2人を横目に、「アタシもずっと同じ強さじゃねぇよ?」と言ったが聞いてなさげだ

 

「2人の強さはどんな感じ?」

 

「森羅もアーサーも長く持ち込まれていたら終わってたな、だが実戦がまだ足りねぇ後知っている相手って事もあるのか若干の油断もある…まぁ成長速度は早いし、まだまだ強くはなるぞ」

 

リヒトに聞かれ、望むような答えを提示する

 

考えるような素振りをしていたがすぐにいつも通りの笑みを浮かべている

 

「輪廻って思っていた以上に強いんですね。何かしていたとか?」

 

「基礎は学校で習った、あとはどっかの天才馬鹿がたまに命狙われかけるからな」

 

嘘は言っていない、お嬢様学校という事もあり、ある程度の自衛は出来るようにと教え込まれた

それにリヒトは灰島の研究員の総務をしている人間だ何か情報欲しさにたまに襲われかけている、本当にたまに

 

「学校って…」

 

「第一女学院」

 

「えっ!?」

 

「そんなに凄いところなんですか?」

 

マキの声に言い合っていた2人もこちらに寄ってきた

 

「凄いも何も、お嬢様学校でしょ!?」

 

「お嬢様…?」

 

「失礼な視線だぞ」

 

見えないとでも言いたげに見つめてくる森羅の腹を軽く殴る、ポスという軽めの効果音がつきそうなほどに弱く

 

「第一女学院って、全生徒がお嬢様で口調もお嬢様言葉だって」

 

「アタシは一般入学だからな…それに口調に関しては皆がお嬢様言葉なんじゃ無い、あそこにいたら気づいたらお嬢様言葉になってるんだよ」

 

その言葉にリヒトに視線がいく

 

「時々輪廻の口調がそういうのに変わってたね」

 

たまにジョーカーの前などでお嬢様言葉が出ていた時があった、楽しげに口調を似合わないといい爆笑されていたが

 

「ほらな、上も下も横も全てがお嬢様言葉だと写るんだよ」

 

「影響されやすいだけじゃ無い?」

 

「…反論はしない」

 

口調が映る事だけではなくどっかの誰かの鼻歌も移っている時がある、それを思い出しそう宣言だけした

 

ーー

 

「輪廻」

 

手合わせも終わり、室内に戻ろうとしていた時アーサーに呼び止められ足を止めて振り返る

 

「なん…なんだよ」

 

突然視界が明るくなっのがわかる

右側だけ長い前髪を上げられたのだと

 

「何してんだよ馬鹿!」

 

「やはり違うな」

 

アーサーは洞察力が以上に高いと思っていたが、そう思いながら手を払いどける

 

右と左で何故か瞳孔の色が違う、それに手合わせ中に気づいたのだろう

 

「見せてくれ」

 

「勝ったらな」

 

いつになるか分からないが、まぁいいだろうそう思い、不満げに何か言いたげに見つめて来るアーサーを無視して室内に入る

 

 

 

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