森羅とアーサーは第4に行った
なんでも森羅がアドラリンクで第4の大隊長を見たとのことだ
『宣言通りアイツで遊んでやるよ』
「…」
通り過ぎるこのように聞こえた声
止まっていた手を動かし、2人分の仕事をさっさと終わらせる
ーー
終わりのない平行線
黒い炎が地面を焼き尽くしている
『燃やせ燃やし尽くせ』
森羅の憎悪に上乗せするかのように自分の憎悪をのせている一柱目
青い目と自分の目が合ち笑みを浮かべていた、見せつけるかのように、いやみせつけるかのようきではない、見せつけているのだ
「…」
少しばかし干渉するか?
ーあの子達を助けてー
そんな言葉を思い出し、迷うことなく地平線を歩き出す
「いつまで下を向いているつもりだ森羅!前を向け、下を向くな」
『何を』
「下を向いてばかりじゃ今みたいに絶望や狂気に飲み込まれるぞ、前を向け希望を見ろ!森羅!」
一柱目が後ろから森羅に抱きつくような体制のおかげか森羅がこちらを見ることはなかった、ただ体を少しはね、考えている様子だ
『お前は相変わらずだな、絶望なんて知らないくせにそんなことを言って…羨ましいな、絶望も憎悪も何もかもないくせに、空っぽのくせに人のふりをして』
「ああそうだ、必要ないと判断されてそこら辺の感情は与えられてない。だからこそ、絶望に染まった際真っ先に前を任せられる」
心底嫌そうな目が見つめて来る
その顔を見て嘲笑うかのように鼻で笑う
嫌そうな顔の後無理やりリンクを切られた
ーー
「どうした」
「特になんでも無いですよー」
動きが止まっていたからかそんなことを中隊長から言われてしまった
ーー
森羅が帰ってきた、アドラバースを持つ人間が新たに生まれたらしい
まぁ知ってるけど
あと変なこと言っていたな
「俺に干渉してきた女が最後に言っていたんですが、後は星の使徒に聞けって」
困ったああ困った
星の使徒きっとそれはアタシのことだ、それはリヒトも分かっているのだろう星の使徒の話になった瞬間こちらを見ていた。やめろ
「星の使徒ってなんなんだよ、敵なのか味方なのか」
だがいい具合にネザーでの出来事は忘れられているらしい
ーー
火事場に現れては助け金品を要求する謎の女学生がいるであろう現場に向かう
複数の火災が起き、少女どころではなくなっていた
「焔人鎮魂と人命救助が最優先!」
圧倒的人手が足りていない中、大隊長が指示を出している
ーー
「炎は魂の息吹黒煙は魂の解放灰は灰としてその魂を永遠の炎にきせ、ラートム」
やっとまともにシスター業をやった気がする、そう思いながら中隊長が鎮魂していく様子を眺める
「こう見ると輪廻ってシスターなのか、違うのかよく分からないよな」
「そういうのを失礼って言うんだぞヴァルカン」
何を当然かのように言い放つのだこいつは、そう思いながら次の現場に向かおうとした
「っ!」
「輪廻!」
白装束が突然輪廻に襲いかかった、1人火縄が倒したがその穴を埋めるべく次々と現れる
まるで輪廻を1人にさせるべくヴァルカンや火縄の邪魔をしていた
「後から環がくる!こっちはなんとか自分でする!」
「…分かった、くるぐれも無理はするな!」
輪廻の強さは信頼していないわけではない、火縄自身もネザーの時になんとか助けられていた、だが数の暴力の前にはどんな強者でも無力になる時がある、それを心配していた
ーー
誘導されているかのように、逃げ進める人気のないところにいきつき、チャンスと言わんばかりに輪廻は白装束を投げ飛ばす
「っと」
3人目を投げ飛ばした時に、炎の攻撃が飛んできて、咄嗟に避ける少しバランスを崩したところを掴まれ投げ飛ばされた
地面に転がりながらも急いで体制を整える
「輪廻?」
「森羅…」
誘導されていた理由が分かった
森羅と褐色の肌の男の間に入っていた
目の前にいる男がハウメアの守り人のカロンだと言うことはすぐに分かった、そしてカロンから繰り出された拳を咄嗟に受け止める
重く力の強いそれに耐え切れるわけもなく、民家に吹き飛ばされる
「輪廻!」
心配そうに駆け寄る森羅をよそに、痛む体を無視して無理やり立ち上がる
「星の使徒、お前は今ここで殺させてもらう」
「は!?星の使徒?輪廻がか!?」
目隠しで見えないが、とってもなく睨まれているのがなんとなくで分かる
口の中が切れて、口の中に溜まった血を吐き出す
「待て!アイツに攻撃を入れたって跳ね返されるだけだ、アイツは攻撃エネルギーを熱に変換して来る第二世代だ!」
不安そうに見つめて来る森羅を無視して、カロンに駆け出し拳を力一杯当てる
防御していたが、威力が強かったのか勢いで少しだが吹き飛んだ
「人間とは思えない力だな」
「そうだね、人間じゃないから」
興味なさげに答えた声、続けて攻撃を入れる
「守り人はすごく厄介、だからここで排除させてもらう」
冷たい声
カロンに次々と攻撃を入れていく
襲い来る打撃にカロンはただ防御するだけだった
「星の使徒、お前がいるとこっちの目的が果たしにくい」
「知ってるよ」
この星の意思でもあるため、この星を壊そうとしている伝道者側からしたらどうしようもないほどに邪魔だろう
「だからこそお前を殺さなきゃならない!」
カウンターかのように拳を顔に叩きつけられる、爆発し火力の上がった一撃、手で防いだが間に合い切らなかった
「…」
殴られた勢いで森羅の足元に転がるが痛みなんて無視して立ち上がる
「まて輪廻一旦体制を」
鼻から滝のように血を流し始めていると言うのに、無言のまま無表情のまま立ち上がる姿に異常を感じ取ったのか止めに入るが、目の前に獲物がいると言うのに止まるはずもなく森羅の静止を振り切りまたカロンに攻撃を入れにいく
誰がどう見たって無茶な闘い方だ
「森羅お前は早く新しい柱を保護しろ」
カロンの後ろの方、2人の白装束に拘束されている桃髪の少女を見ながら言う
体に走る痛みを無視して歩き出す歩くたびに鼻から出ている血が地面に落ち小さな赤い水たまりを作る
無茶な闘い方、命を投げ出すような闘い方と言う事は自分でも自覚している、それでも使命のためにその一心で体を動かす
「行かせると思ってるのか?」
「邪魔させると思ってんのか!」
駆け出した森羅の方に行こうとしたカロンに飛び蹴りをかます、両手で防御されたが、関係なしに攻撃を入れる
強く力を入れ振るった拳は皮が剥がれ肉が剥き出していく、それを無視してさらに拳をぶつける
「痛覚がないのか」
「あるに決まってんだろ!クソ痛いわ!」
手が血塗れになろうとも、攻撃を続ける姿に驚いたように呟いていたが、半ギレで返せば目隠しをしていても分かるほどに驚いたような顔をしていた
「っ!」
肩に手刀を落とされる、手刀といってもただの手刀ではなく攻撃が蓄積され、大砲かのように強い一撃だった、体の内から酷く痛む攻撃
「四柱目五柱目も確保して星の使徒は殺す」
「輪廻!」
体の中が痛い、膝をつきカロンを見上げる
「来るな」
来ようとした森羅を静止する
「これでまだ生きてるなんてな…」
可哀想な物を見るかのように見られているのが分かる
「ああ、そうだな知らなかったのか?世界は残酷なんだぜ?試練を与えそれを楽しげに眺める」
馬鹿にするかよように笑い、立ち上がるのも面倒でただ見上げる
「ならもう楽にしてやる」
「殺せると思ってんのかよ」
カロンが拳を振り上げる、放出していないエネルギーも乗せ、拳に炎が纏まりついている
あれに当たったら流石の輪廻といえど死にはしないがしばらくは戦闘不能になるだろう
だがそれが分かっていて輪廻はただ見上げているだけだった
拳が振り下げられる
輪廻はただでやられるつもりはなかった、世界の命令に従い、破壊する、まで行かなくってもせめて大きな傷跡はつくろと考えていた
だからこそ拳にまとう炎を喰らった瞬間炎が消え、カロンの動きが止まる
待っていたと言わんばかりに立ち上がり、人の急所を狙う
目隠しで隠れている目、首、心臓、肺、腎臓、を力一杯殴る
「がっ」
「げほ」
時間がきれ、動けなくなっていた体が自由になるのと同時にカロンは後ろに倒れる
それと同時に輪廻も血を吐き出し地面に座り込む
ー破壊しないさい破壊しなさい破壊しなさい破壊しなさいー
頭に鳴り響く声
「あーもう」
やめてくれ、なんて声は出せない、揺らぐ視界潜る音
「輪廻!」
「…しんら」
うっすらと見える森羅を呆然と見上げる
何をしている早く保護をしろ
保護をしなければあたしの仕事が増える
殺さなきゃいけなくなる
そう言いたいのに声はうまく出ない
あ
カロンが立ち上がるのが見えた、痛む体を無視して立ち上がり目の前にいる森羅を後ろに引っ張る
「なにを」
理解してない森羅とは裏腹に、カロンが繰り出した攻撃を防御することもできず受ける
民家の壁を破り、瓦礫の上に転がる
「…」
頭に響く声がうるさい
うるさくって意識を落とすこともまともにできなかった
ーー
「…大丈夫かよ」
落ち込んだ顔の森羅が顔を覗き込んできた
ゆっくり立ち上がる
「見た目ほどじゃねぇからそのツラやめろ」
心配そうに不安げに見つめる森羅の顔を眺めながら、防火コートの袖で雑に鼻血を噴く
「でも、俺がもうちょっと強かったら」
「その話をし始めたらアタシもそうなるだろ、しけたツラしてんじゃねぇ、いくぞ」
ふらつく森羅の肩を持ち、ゆっくりと歩き出す
血と土の匂いが鼻を掠める
ジョーカーだったらこれに煙草の匂いも追加されるんだろうな
などとくだらないことを考える
「全部話してもらうからな」
「聞かれなかったから言わなかっただけだ、聞かれたら話す」
信じてなさげに見つめる赤い目と目が合う
ーー
あの後血まみれの姿を見られたせいかすごく心配された、マキ達に手当てをされる、と言っても顔は大した怪我にはなっていなかった
「どうしてこんなことになるまで使ったの」
怒られているかのように言い放たれた
事実怒られているのだろう
「わかんない」
「わかんないって何だよ」
心配して様子を見に来ていた環に呆れられたように言われた
包帯が巻かれた手を優しく包み込まれた
「輪廻さん無理はしないでください」
「…うん」
アイリスにそう言われてしまえば頷くしか出来なかった