伝道者を破壊せよ!   作:欠けたチーズ

17 / 23
しんらい

少し重い空気、大隊長の部屋

森羅と大隊長そして輪廻がいた

 

「輪廻が星の使徒というのは本当なのか」

 

「本当ですよ」

 

「なら何故今まで黙っていた?」

 

その質問に首を傾げる

 

「そんなの頭がおかしいと一瞥されるからに決まっているからじゃないですか、それに何処から情報が漏れるかわからない、変なところから命狙われるのはごめんだ」

 

突然、アタシ星の使徒なんだよね、何で言い出したらそれはそれは白い目で見られるだろう、そして厨二病、痛い子、スピリチュアル入ってる子というレッテルを貼られるそれは嫌だ

それに星の使徒なんて新しい宗教を作り出すには十分な存在、邪魔だと思う人間なんてたくさんいる

 

「…目的は何だ?」

 

「伝道者の壊滅。だから邪魔さえしなきゃ敵対する気はない」

 

困ったように唸り始める大隊長をよそに真剣な顔で見つめてくる森羅

 

「輪廻は何で星の使徒なんかになったんだ」

 

「なったんじゃないよ、作られたから存在してるんだよ」

 

「作られたって」

 

「星の終わりたくないという意思がアタシを産んだ、そしてその願いのためにアタシ伝道者を壊滅、あるいは結果的に壊滅する結果を作り出す。それらがアタシが受けている命令」

 

機械のように冷静に淡々と話す姿に一種の恐怖すら湧いて出てくる

 

「結局、お前は何なんだよ」

 

よくわからなくなった、輪廻が何者なのか、星の使徒が何なのか

 

「星が死にたくない一心で作った使い捨ての道具」

 

と簡単に言い放った

自分を使い捨ての道具言い放ち、そのことにさも何も気にしていないかのような口ぶり

 

「何でそんなこと言えるんだよ」

 

「大した情報も与えられていない。」

 

それに能力もサポート向けだ、きっと世界的には英雄的に世界を救う人物がいる、あるいは作った、存在を知っているのだろう、その踏み台にさせるべく、輪廻が存在しているのだろう

 

そう結論付けていた

 

不満げに見つめて来る森羅をただぼーっとしながら眺める

 

「輪廻、お前が知っている情報を全て教えて欲しい」

 

「世界は人類に試練を与えるのが好きだから、許可されている範囲内でならば」

 

言えるのは森羅の母親のこと、アドラの世界のことだけだ、後は、人類の自力で追いつくところを見たいという世界のちょっとした我儘で喋ることを禁止されている

 

それについてはジョーカーにも説明した、残念がっていたが近くに答えがいるからか、すぐにいつも通り煙草を吹かし、なら早く見つけなきゃなぁ、と笑っていた

 

ーー

 

軽く説明すれば驚いたような顔をしていた

 

「俺の母さんと会うことは出来るのか」

 

「伝道者が動き出してアドラの世界が少し不安定だ、だけど少しだけなら多分…守り切れる…多分」

 

どんどんと力を失っていく言葉に不安が募る

 

「リヒト捜査官は知っていたのか」

 

「知らない言うわけがない、言ったら調べるからと言って実験道具にされる…絶対やだ」

 

やられた後だがあれは結構やだ

 

それにリヒトが知らないというていにしたのは、もしもの事があってジョーカーとの繋がりが発覚することを防ぐための嘘だった

 

輪廻の嘘を信じたのか納得したような顔をしていた

 

「輪廻」

 

険しい顔の大隊長が名前を呼んだ、その姿に背筋がはる

 

「1人でよく頑張ったな、これからは第8も輪廻に協力して伝道者を壊滅する」

 

「…」

 

想像もしてなかった言葉に1人呆気に取られる

てっきり、拒絶されるのかとばかり思っていたからだ

 

「輪廻はもう第8のメンバーだ」

 

「…変なの」

 

その言葉を聞き安心してしまった

あの時と同じ恐怖があるかもしれないというのに、受け入れてしまった

 

「本当に変なの」

 

大切な人を失う恐怖を恐怖を知っていて、分かってしまっているのにそれを受け入れた自分にもただ不思議でならなかった

 

「第8は家族だからな」

 

そういい頭を撫でられる、大きい手が優しく頭を揺らす

 

ジョーカーとは違い壊れ物にせするかよように、育ての親とは違い力強く

 

頭を撫でられる、心地よく感じてしまった

 

ーー

 

「輪廻もアドラバーストを持っているってことは俺と同じ柱なんだよな?」

 

そう言えばさっき話した内容に自分がアドラバーストを持っていると言ったのを思い出した

 

「アドラバーストは柱じゃなくっても使えるぞ?」

 

「え!そうなの!?」

 

話を聞いていた大隊長が1番驚いたような反応をしていた

 

「あと、森羅お前の母親は探しとく見つけたらすぐ言って合わせるからな」

 

「探すって」

 

「お前よく考えろ、あの終わりのない地平線の何処かに居るんだぞ、まだ不安定なお前と探すよりあたし一人で探した方がいい」

 

「…手伝えることって」

 

「ない」

 

不満げ顔をしている森羅に向かって包帯でぐるぐるになった指でピースサインを作り笑う

 

「あるとしたら期待して希望を抱えて待ってろ」

 

「何だよそれ」

 

微笑ましそうに眺める大隊長を横目にさらに笑う

 

ーーー

 

言っていなかった事がある

使い捨ての道具だと確信した理由があると

 

情報が少ない、サポート向きの能力以外にもあった

世界を救う救世主を見つけてしまったからだ

 

相変わらず心配げに見つめて来る森羅を眺める

 

世界の本命

だとしたら、アタシがすべきことはたった一つ

森羅を助け、世界を救わせることそれがアタシが死ぬ結果になったとしてもだ

 

世界から人間として認められた森羅に妬みなどはない、似たような嫌もしかしたら同じなのかもしれない相手、だがそう言った感情は用意されていないかのように、森羅に関しては負の感情はなかった

 

「期待して待ってろよ、森羅」

 

背中を優しく叩く

 

信用した信用してしまった背

 

「大隊長も信じてくれてありがとうな」

 

今日1番の笑顔を浮かべる

 

さて、ジョーカーには悪いが浮気してしまおうか

 

そんな考えが浮かぶ

 

「後森羅炎出せ」

 

「何でだよいきなり」

 

驚く森羅をよそにしゃがむ

 

「アドラバース持ちの人間の炎を喰らえばアドラリンクをすることができるようになる。森羅との繋がりが強い方が見つけやすくなる」

 

と言えば渋々炎を出す、それを喰らう

 

ブザー音と無意識に考えている内容が流れ込んでくる

 

ーーー

 

リヒトは誰かに注射器を刺していい資格を持っていない

 

「輪廻ー?」

 

もう一度調べていいと知るや否や、また血液やら何やらを取ろうと追いかけ始めたのだ

 

「輪廻見てません?」

 

「いえ、輪廻は見てませんけど」

 

皆が事務仕事をしている時に扉から顔を出したリヒトに森羅は不思議そうに答えた、いつもならリヒトとよく一緒にいるのにと

 

「輪廻の危機察知能力には困った物だよ」

 

そう言いながら扉から出て行ったのが分かる

 

「輪廻もこうなる事がわかってて黙ってたんだろうな」

 

第8のメンバーにはすでに輪廻が星の使徒だということは知られていた、星の使徒であることそして使い捨ての道具である事を言えば、よく分かっていないアーサー以外何故かすごく優しくなった、その様子を見て輪廻相変わらず「怖…」と言っていたが

 

「もう行ったぞ」

 

「助かりました」

 

「え」

 

そう言いながら中隊長の机の下から出てきた輪廻に森羅は驚いたように声をあげていた

 

「いつから」

 

「朝から!」

 

時計を見れば今は昼前、つまりは朝からリヒトから逃げるだに中隊長の机の下に隠れていたという事

 

「何でそこまでするんだよ」

 

サクッと採血されて仕舞えばいいと、言えば輪廻は眉を下げ答えた

 

「あいつ人に注射器刺していい資格ないんだよ、ただ知識で打とうとしてる」

 

「えぇ」

 

確かにそれはやだと共感してしまった

 

「やっぱり隠れてた」

 

待っていたかのように扉を開けたリヒトに輪廻は酷く警戒していた

 

警戒も他所に、リヒトは白衣のポケットから一枚の紙を取り出し輪廻に差し出した

 

「クレープ食べ放題券?」

 

何処かの店の物だろう、こんなので釣られるわけないと思っていた時その券に手が伸びた

輪廻の手だ

 

リヒトに手招きをされそのままついて行った後ろ姿を眺め

 

「えぇ…」

 

嫌がっていたはずなのに綺麗に買収されていく様子を目にし、そんな声を漏らす

 

ーー

 

リヒトの部屋に入り、我が物顔で椅子に座る

 

「血液は取らないから」

 

その言葉に酷く安心し、なら何故連れてきた?という疑問が頭をよぎる

 

「僕実は怒ってるんだよね、何でだと思う?」

 

その質問に候補が沢山頭の中で上がる

 

「…や、薬品をこぼして水でカサ増ししたことか」

 

「それは後で聞くよ」

 

違ったらしい、その上いらんことまで言ってしまった

 

黒い瞳がただじっと何をするでもなく見つめて来る

 

候補が沢山ある、そして今みたいに違う事を言い怒られる可能性がある事をいいなねない

 

「わからない」

 

「…本当に?」

 

「分かんない…」

 

心当たりが多すぎて逆にわからなかった

 

「無理しないでって言ったよね?」

 

「…」

 

その言葉に目を逸らす

確かに言われた、だが普通に忘れていた

 

第8に来てから1番大きな怪我をしたからか怒られているのだと悟った

 

「言ったよね?」

 

「言ってた…ね」

 

「覚えてるならどうして無理したの?」

 

「…本能というか何というか…壊さなきゃって頭の中埋め尽くされて…その」

 

言い訳を必死に考えようとするがなかなか出てこない

そもそもリヒトが起こる事態珍しくかなり焦っている、前に一度、ジョーカーと秘密基地内で遊んでいた時に高い薬品を落として割って怒られた事を思い出す、かなり怖かった、普段怒らない人が怒ると怖いというのは本当だった

 

「そうだね、輪廻は星の使徒だからそこら辺は仕方ないとするよ、でも。君の命を無駄にする方が駄目でしょ」

 

「ごもっともです」

 

すごく怒っているのが分かる

冷や汗が止まらない

 

「次は気をつけるよね?」  

 

「はい」

 

じゃぁもう言っていいよっと、昔取られた血液検査の結果の紙を机から取り出して眺めながらそんな事を言われ、脱兎の如く逃げ出す

 

ーー

 

朝の禊に、環が加わった

 

3人で並びながら祈りを捧げる

星の使徒だとバレた今やる必要はないが、一応シスターなので、あとアイリスと祈りを捧げるこの時間が何気に楽しい

 

そんな楽しい日課を先に済ませ、リヒトと共にネザーの秘密基地に向かう

 

「ジョーカーにも色々伝えてるからバレたことは言わなくっても平気だよ」

 

「へー」  

 

馬鹿にしたように笑われるかななどと思いながら秘密基地の扉を開ける、ソファに機嫌が悪そうに座っているジョーカーの姿が見えた

 

「輪廻座れ」

 

声色から察知した、怒られるやつだと

嫌声から察知しなくっとも分かる、ジョーカーが指を刺す先は地面だ正座しろということだろう

素直に従い正座をする

 

「先に言い訳は聞いとくぞ」

 

「特にないです」

 

言ったところで、不機嫌が増すだけだ

 

「前にお前を気にかけているって俺言ったよな?」

 

「はい」

 

「気にかけている相手が知らないところで死にかけてたら心配してキレもするよな?」

 

「死にかけではな」

 

「あ?」

 

「何でもないです。」

 

死にかけではないと弁明しようとしたが余計なことは言うなの圧が凄くやめた

一つしかない紫色の瞳が威圧的に見つめて来る、それに耐えきれず目を逸らす

 

視線が突き刺さる

 

「一年前にも似たようなことあったけどその時は怒られなかった。」

 

「灰島か、あの時はお前の生死がかかっていなかったそれにあの後リヒトがいろんなところに圧かけたのしらねェのかよ」

 

「知らない」

 

そんな事があったのか、と考える

確かにあの後灰島に行く事は無かった

 

「お前自分の命を投げ出してでも世界を守る気か?」

 

「…それが使命だから」

 

「お前が命を投げ出す必要があるのか」

 

「そう作られたから」

 

答えが気に食わなかったのか、目を細め煙草の煙は怒っているような顔になっていく

 

「…」

 

無言のまま煙草を吸い始める姿に間違えたなと理解した

 

空気中にどんどう舞っていく煙

 

「…」

 

「次からは自分の命を投げ出さないように気を付けます。」

 

気まずい空気の中、必死に頭の中を回して出した言葉

 

「今を乗り切るため言った出鱈目じゃねェよな」

 

「今後気をつけるように、心がけます。」

 

長い時間正座をさせられたせいか足が痺れてきた

 

煙草の息を吐いたのを眺める

 

「次は無いからな」

 

「はい」

 

次は無い、と言われたところで何をさせられるのかよく分からないが

 

すごく怒っていることだけはわかりかれ以上火に油を注ぎたくないなと思ってしまったから、世界の本命がいる事は口に出せなかった

きっとまた怒る気がしたから

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。