伝道者を破壊せよ!   作:欠けたチーズ

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保護者

世界は人々に試練を与えるのが好き

その結果で世界自身が死にかけても

 

世界から与えられる情報はそのまま話すことができない

答え合わせ程度のものしかできない

 

「第七の紺炉中隊長と会ってきた」

 

答え合わせ程度しか出来ないためアドラリンクどうこうの話し合いには参加していなかった

そして森羅と第五の火花大隊長が出かけたのは知っていた

 

「うん」

 

「自分と鏡写しのような鬼と出会ったって…火花大隊長がいうにはドッペルゲンガーって」

 

「残念だけどまだいえないかな…」

 

その答えを言うにはまだ早い

 

ーーー

 

森羅達は浅草に行くらしい

 

「てことで輪廻も行くぞ」

 

「やだ!」

 

森羅に腕を引っ張られるが一歩も動かないという強意志を持ち踏ん張るがそもそも森羅も軽め引っ張っているだけなので踏ん張る必要はない

 

「森羅嫌がってるし…」

 

「新門大隊長に連れて来いって言われてるんですよ」

 

「絶対ボコられる絶対ボコられる!」

 

止めに入ったマキにそう返していたが、目的は絶対に手合わせという名の一方的な暴力だ

 

行く気がないと分かったのか森羅は何故かアーサーとアイコンタクトをとった、嫌な予感がした普段仲が悪いのに協力するような事をするだなんて

 

「ちょま、わ」

 

突然アーサーが近づいたと思えば持ち上げられる突然のことしかも手は森羅に掴まれていたためバランスがうまくは取れず簡単にアーサーに抱き抱えられしまった

 

「輪廻も本気で抵抗してないのでいいと思いますよ」

 

心配そうに見つめる面々にフォローを入れるかのようなリヒトの言葉に無言のまま見つめる

助けてくれないかなと

それに本気で抵抗したら怪我をさせてしまうそれは嫌だった

 

「なぁー」

 

「嫌なら僕の時みたいに逃げるでしょ?」

 

とニヤニヤした顔で言われた

 

「途中で帰ってきちゃうかもしれないもんね!」

 

投げやり気味に叫び、浅草に連れて行かれる

 

ーーー

 

手を引かれながら歩き進める

 

「浅草に舞い戻りし騎士侍見参」

 

「侍騎士じゃなくっていいのか?それだと侍だぞ」

 

「よかったねうんうん」

 

「悪かったよ、新門大隊長が輪廻連れてこなきゃ稽古つけないって言って」

 

適当な返事に拗ねていると思ったのかそんな事を言われるがそこまでお子様じゃない気にしてないアピールをする

 

「悪いのは全部新門紅丸だ」

 

森羅の顔が引き攣った

拗ねてないアピールをした結果、怒っていると思われている事に輪廻は気づいていない

 

そんな事を気に求めず手を引かれ歩く

 

浅草に来たのは森羅、アーサー、輪廻だけではない、輪廻の手を引いている環も加わった

 

環の顔がコア張りかなり不安げなのがわかる

 

何で声をかければいいのかと困っている中目的地に着いたらしい

見覚えのある建物が目に入った

 

「ごめんください」

 

そういいのれんを手で上げ中に入った森羅の背を追いかけるように中に入る

入る時に環が手を離した、寂しそうに振り返り後ろを振り返るが緊張しているのか気づいていなかった

 

「早いな、時間前に来るのは皇国式か?いつものちょんまげと、強い嬢ちゃんの3人だろ?」

 

「今回はもう1人いやして」

 

掃き掃除をしていた紺炉中隊長と目が合う

 

やっと入ってきたと思えば頭を深く下げ

 

「古達 環です私にも稽古をつけて下さい!」

 

そう言い切った

断ることなんてさせないと言わんばかりに輪廻は紺炉中隊長の方を見つめる、それに気づいたのか

 

「若は断らねぇと思うぞ」

 

と言われた

断ったら断ったで実力行使だと内心意気込む

ーー

 

外にいた紅丸の元に行き、環がいる理由稽古を受けたい理由を話している間、絶対に断らせないために無言のまま見つめる

環は好きだ、優しくって一緒にいて楽しいから

だからやりたいと思うことはやってほしい、できるだけ後悔のない生き方をしてほしい

 

「おい」

 

その言葉に双子が降ってくる

どうやら環は稽古に参加できるらしい

安堵のため息をつく

 

双子は環に抱きつき

 

「何して遊ぶんだ?尻軽女」

「つまらなかったら承知しねぇぞアバズレ女」

 

「…?」

 

最後の方何を言っているのか分からず首をかしげる

基本知識は世界から受け取る、その中に悪口など存在せず外部から受け取る知識もお嬢様学校育ちゆえにヒカゲ、ヒナタが言った悪口は輪廻の知識内には無かった

 

「日下部…輪廻…」

 

「そいつらのお守りは大変だぞ」

 

「頑張れ、環」

 

お守りをした事はないが取り敢えず応援する

 

ーー

 

ヒカゲとヒナタに連れられ環が去っていく

森羅の服の裾を引っ張る、気づいたらすぐに視線が合う

 

「しりがるてのとアバズレってどういう意味だ?」

 

「え」

 

赤い目が見開き見つめてくる

 

やっぱり常識の範囲の知識だったか!?

 

世界からの情報は基本歴史のみ、それに加え女学院にいたこともあり罵倒の知識は少ない、知っていてもジョーカーが言っている物しか知らない

 

「いや…知らないなら…そのままの方が…」

 

ジョーカーならば笑いながら教えてくれるのに、そう言う物ではないのかと首を傾げる

 

「いつまで喋ってる気だ」

 

「分かった帰る」

 

環が心配でついて来たがもう用は済んだ、帰ろうとしたが首根っこを掴まれ、子猫のように持ち上げられる

 

「首がぁ…」

 

「帰ろうとしてんじゃねぇ」

 

背後からドスの効いた声が聞こえる

 

ーーー

 

手伝えと言われ木材を運ばされる

 

浅草の広場

木材に体を平行になるように両手両足を固定されぶら下がる2人

 

「これは何してるんですか!?」

 

「そういう趣味?」

 

「違ぇよ」

 

そう言いながら指先から炎を出した

 

森羅達の下に敷き詰められた木の達に火をつけた

 

「熱!熱熱!!」

 

声を荒げている森羅と唸り声をあげ続けるアーサー

豚の丸焼きのようになっている姿を見て隣にいる紅丸の方を向き

 

「やっぱり趣味?」

 

「違ぇよ」

 

そして視界の端の方で地面に転がる環

 

「…趣味だ」

 

知ってる。人を痛ぶるの好きな人と似たようなことしてる

 

「違ぇってんだろ」

 

と軽く頭を叩かれた

 

何で

 

ーーー

 

ちょっとアイツら見てろと言われてしまった、言った張本人は何処かに行った

 

トイレかな?

 

「輪廻!助けてくれ!」

 

「んー…でもこれやりたい事は何となくわかるんだよな」

 

人とは時に死に近くなった時に覚醒するものだ

 

「熱!っ!」

 

「ぅうーー」

 

「…人間って不思議だよな」

 

視線を合わせるようにしゃがむ、火から脱げるように身を身じろいでいる

 

「何の話だよ!これ本当に」

 

「人間はどの生物よりも生に執着している、だから死に近づけば…面白いよな」

 

「何が!?なんで大事なところ言わないんだよ!?」

 

続きが気になるのかそれとも外して欲しいのか叫ぶ森羅を見ながらキャハハと笑う

 

「次はお前だ」

 

首根っこをを掴まれる

その声に嫌な予感がし、ゆっくりと後ろを向く

 

瞳孔の形が違う赤い目

 

「帰りたい」

 

泣き言を呟きながら引きずられていく

 

「待て!どこにいく!?」

 

「新門大隊長!?待ってください!いつまでこの状態でいさせるんですか!?」

 

小さくなっていく2人の姿を見て焦ったような声が聞こえる

 

ーー

 

最初に紅丸がいた場所に連れて来られる、ついた途端掴んでいた首根っこを離され、突然のことに何の構えもしていなかったため、地面に転がる

 

「お前の事、桜備から聞いているぞ」

 

星の使徒のことかな?

 

上に来ていたはっぴを脱ぎ、戦う気満々な紅丸を見て嫌な汗が流れる

 

「本気で来い」

 

「やだ」

 

立ち上がり、服についた土を払う

 

「あ?なんでだよ」

 

「何でって、負けが決まっている戦いを望んでやると思ってるの?」

 

誰だって自ら負けるのは嫌だ

 

「そうか、それなら」

 

「っ!だわ!?」

 

突然殴りかかってきた、急いで避ける

思いもしなかった攻撃だったため、バランスを崩してまた転がる

 

「お前が戦う気がなくっても、俺は本気でお前を殺しにいくぞ」

 

「…」

 

人差し指と中指を絡ませて、火の玉を大量に作り出している

 

ダラダラと嫌な汗が流れる

すぐに立ち上がり飛んでくる火の玉を避ける

 

繰り出される攻撃を避ける

拳の軌道を変えるために手でずらし、蹴りを避けるために体制を低くしたり

休む暇も逃げる隙も与えない攻撃

 

「…っ」

 

「本気で来ないなら殺すぞ」

 

攻撃のスピードが上がっていく

ずらし、避けれていた攻撃もどんどん当たっていく

 

距離を取らないとやばい

 

そんな思考読まれているのか距離を取ればすぐに近づいてくる

 

「っ!」

 

拳が顔に入った、威力が強く軽く後ろに下がる

垂れてきた鼻血を服の袖で軽く拭く

距離を詰めて来なかったことに疑問を持ちつつどうするかを考えていた時、何かが風を切り近づいてくる音が聞こえた

 

火のついた纏が数本、輪廻に向かい飛んできていた

 

もうすごく帰りたかった

第八でもネザーの秘密基地でもどちらでもいいからとにかく帰りたかった

 

紅丸と纏が一斉に攻撃してくる

 

「壊しても後から文句言うなよ!」

 

紅丸の攻撃は躱し、纏は一撃で破壊する

 

折れ、砕けた纏が地面に転がる

 

「一つ聞きたい、お前なんで俺相手に手加減している」

 

「手加減できる相手だと思ってるわけ!?馬鹿なの!?」

 

馬鹿と言ったのが気に食わなかったのか、足を引っ掛けられ尻餅をつく

 

痛みに耐えつつ、紅丸を見上げる

 

「物相手には一撃で破壊出来るほどの力を使って、人相手にはある程度手加減している、それに気づいてねぇわけじゃないないだろ」

 

「人類は保護すべき対象。破壊、殺害は出来ない」

 

「それが、星の使徒だったか?それの役目か?」

 

見下ろしてくる赤い瞳が嫌に刺さる

 

「そんなんで手加減して死んだら元も子もないだろ」

 

「アタシの敵は伝道者だけだ、伝道者は保護対象に入ってない」

 

「伝道者以外が敵になった場合どうする気だ」

 

「…邪魔をするならばそれも対象外」

 

「なら本気でやれ」

 

ゆっくり立ち上がる、体中が痛くって立つのもやっとで

 

「お前は、伝道者を壊した後はどうする気だ」

 

考えもしなかった質問に困惑して固まる、その様子を見てか、ゆっくり歩き寄ってくる

 

「…その後」

 

考えても無かった

世界の指示は伝道者の破壊と人類の保護

それを果たそうとして今しか見てなかった

 

「っ!」

 

「ぼさっとするな、まだ終わってねぇよ」

 

「くそ!まじ嫌い!」

 

殴りかかってきた拳を間一髪で避ける

考えながら戦うしかないらしい

 

伝道者を破壊したらどうする?

分からなかった

考えもしなかった

だって自分は人ではない

未来も絶望も希望もない

 

攻撃を避ける

 

「気にいらねぇな」

 

「は!?」

 

胸ぐらを掴まれ投げられる

木製の柵にぶつかる、投げられた勢いが柵は折れていた

飛んできた火の玉を避けるために痛む体に気を使う暇もなく体を飛び起こす

 

「お前自分を犠牲にしてでも使命とやらを果たすきか?」

 

勘がいいのかよく見ているのか分からなかった

 

「それが世界の指示であるならば」

 

「お前にとって世界は価値がある物なのか?」

 

「価値?何言ってるんだよ…価値って」

 

考えもしなかった質問に動揺が酷くなる

思考が揺れる

思考が思考が

考えなくっていい事が頭の中によぎりそれがぐるぐる回る回って回って

 

世界が産んだんだから従うのが当たり前で

世界に価値も何も見入る必要なんてなくって

世界が望むならば命なんて投げ出して

それに世界に従わないと…

お母さんもお父さんも殺されて

 

殺されて?

 

世界に殺された

 

普通ならば世界に殺されたなら普通は

 

ブザー音が頭の中に鳴り響く

 

『やっと気づいたのか?父親も母親も殺した世界に対する恨みを』

 

「…」

 

『普通は恨むんだよ、憎むんだよよくもあの人達を殺したなってな、それをお前は今まで気付かなかった気づけなかった、何でか分かるか?世界に都合のいいように作られて、そんなこと考える事ができないように洗脳されていたんだ、でもようやく気づけたようやく変われるチャンスを掴めたんだ』

 

楽しそうに囁く声

いつもならば反論するのに声が出なかった

 

『恨めよ、こんな世界ってこんな世界なんてって、壊しちまえよ。どうせ世界を救ってもお前は報われることなんて無いんだ。こんな世界ぶっ壊しちまえ、お前が世界を壊しても誰も何も言わないさ、だってお前が1番の被害者なんだから』

 

「ちが」

 

考えないようにしていた事を言われ、動揺してしまった必死に否定の言葉を出したがそれは途中で途切れた

アドラリンクしていたとしても現実では紅丸と手合わせ中、様子がおかしくなり止まっていたとしても攻撃は止まない

腹を蹴られ、何の構えもしていなかったため、崩れ落ちる

 

「っぅ」

 

『世界に従ったって従わなかったとしても、お前は世界から見捨てられるぞ』

 

冷静な声が現実を叩きつけてくる

耳を塞ぎたかった、考えたく無かった

 

『頑張るほどの価値なんてないんだよこの世界に』

 

さっきとは違い楽しそうに優しい声が囁いてくる

 

「価値が無い?お母さんもお父さんも世界に殺された…恨むべき?どうやって…どうすれば」

 

頭が混乱していく、一柱目の掌に堕ちていく

 

ー使命を果たしなさいー

 

頭の中に響く声で一瞬で現実世界に戻される

 

「待ってください!新門大隊長!これ以上は輪廻が死んじゃいます!」

 

うつ伏せに倒れているのか地面が近い

その状態から聞こえてきた声に顔を上げようとしたが、痛みで動かず目だけを上に上げる

着物姿で両手を広げて紅丸と輪廻の間に立っている環の姿がぼんやりと見えた

 

「退いてろ、環」

 

『もう壊しちゃおう、疲れただろ?頑張っただろ?』

 

ー使命を果たしなさい。使命を果たしなさい。使命を果たしなさい。使命を果たしなさい。使命を果たしなさい。使命を果たしなさい。ー

 

天使と悪魔の囁きかのように声が聞こえてくる

 

痛い

苦しい

 

『もう輪廻だけが苦しむ必要なんてないよ』

 

ー使命を果たしなさい。ー

 

痛む体を無理やり動かして起き上がる、鼻血が出ていたのか、ぼたぼたと効果音がつきそうなほど違う地面に落ちていく

 

「…」

 

ふらつく足で立つ

 

「輪廻…」

 

心配そうに声をかける声は輪廻には届いていなかった

 

『壊しちゃおう全部』

ー使命を果たしなさいー

 

今視界に入る世界が、アドラの世界なのか現実なのかよく分からなくなる

 

「後でていいだろ」

 

頭が割れそうなほどに痛い、視界がぼやける

モノクロの世界と色のついた世界が点滅していてはっきりとしない意識

 

「どうせ伝道者壊さないと終わる世界なんだ、伝道者を壊してそれから考えればいい、考えて気に入らなかったら世界も壊せばいい」

 

『お前はとことん可哀想なやつだな。洗脳を解くチャンスだったのに、世界のために死ぬかもしれないのにまだ戦うのか」

 

長い金髪、前髪の隙間から見える青い瞳

相変わらずの見た目に何故か安心感がくる

 

「一柱目お前の言うとおり、アタシはただの捨て駒で世界にとってはどうでもいい存在なのかもしれない、でもだからってお前の憎悪には飲まれない、そもそも憎悪なんて無いんだから呑まれられないけどな」

 

心底つまらないとでも言いたげな顔のまま消えていく

 

「…」

 

現実の世界に意識が戻った

それと同時に死を覚悟した

紺色の服が視界に映り少しだけだ顔を上げれば紅丸の顔が見えた

 

痛みに耐えるために目を瞑り歯を食いしばる

 

額に軽い衝撃が走る

 

「な、…なに…」

 

額を抑え距離を取る

手の形から軽くデコピンをされたのだと分かるが何故そんな事をしてくるのか分からなかった、さっきまで殺そうとしていたのに

 

「お前はもうちょっと人を頼れ」

 

「な、なんだよ急に」

 

後退り距離を取る

もう稽古という名の一方的な暴力は終わったのかこちらに歩み寄ってこない

 

「1人で突っ走って死ぬ前に、森羅や桜備に頼れ」

 

「…」

 

目を逸らし黙る

 

「輪廻ぇ…」

 

不安な声を出しながら見つめてくる環が視界に移った

 

「死ぬ気なんてさらさらねぇよ」

 

ふらつく足、来た時よりもボロボロになった服

少し解けから待っている髪

汚らしい格好だがそれでも自慢に笑い胸を張って

 

「アタシは死なない、死ぬ気なんてない死ぬくらないから世界の命令なんて無視する」

 

またあの時の二の舞のようなセリフだが、この時の輪廻はあの時の最悪がまた起こるんじゃないのかという心配は無かった、第8もジョーカーも世界に殺されるほど弱くないと分かっているからか、それとも世界からの呪いから少し逃れたからか、またあの時のような事は起こらないという自信だけが何故かあった

 

自信満々な言葉に顔に、納得したのか珍しく目を見開いていた目はすぐにいつもの気だるげになり、汚れを落とすためか風呂場に案内するように環に指示を出していた

 

ーーー

 

着慣れない服を見にまとう

 

記憶では知っている、昔東京皇国となる前日本では来ていたとされている、服着物

 

お腹の辺りが帯で巻かれ少し圧迫感があり、くるぶしら辺までの長さの裾

 

環の黄色とは違う紺色とまではいかない暗い青 

そして痛々しいほどに巻かれた包帯、頭、腕、鼻あたりと頬にはデカくガーゼがつけられている

 

「動きずらいな」

 

「やりすぎた安静にしてろ」

 

「本当ですよ」

 

文句言いたげに頬を膨らまし輪廻に軽く抱きついた環を見つめ、微笑む

 

「環すき」

 

「にゃ!?」

 

そんなことを言い出し抱き返せば顔を赤くして照れられる

 

紺炉に叱られたせいかついさっきまでとは違い何だが小さい背中を追いかける

 

森羅やアーサーの元にでも向かうのだろう

 

ーーー

 

「やりひゃいことはわかるへどさ」

 

団子を咥えながら、目の前の光景を眺める

足にロープを括り受けられる引きずられている2人

 

「食い終わってから話せ」  

 

「やりたい事はわかるけどさ、非効率的すぎない?」

 

「やりたい事?」  

 

首を傾げ聞いてくる環に心よく答える

 

「感情が十分ある生き物って不思議でね、死に際あるいは感情的になっている瞬間が1番力を発揮出来るんだよ。まあわかりやすく言えば、火事場の馬鹿力ってやつ?だよね?」

 

甘いものは嫌いと言いながら饅頭を食べている紅丸に聞けば頷かれる

 

「桜備辺りがいい例だ」

 

「桜備大隊長が…!」

 

「そう言えばお前は死にかけたのに馬鹿力出なかったな」

 

「駒が逃げないように一部の感情は与えられてないの、恐怖もそうだよ」  

 

3色団子の緑1番最後を食べるのに苦戦している時にそんなことを聞かれ答える  

 

横にすれば頬にはつくけど簡単に食べれるな

 

そんなことを思いながら団子を頬張っていると2人からの同情的な視線に気づいた

 

ーーー

 

森羅達を置いて第8に先に戻った

 

着物を借りて

 

「ただいま戻りました」

「戻った」

 

着物のまま先に環が帰ったからか茉希やアイリスから歓声が聞こえる

 

そして次に輪廻が顔を出した瞬間空気が凍った

 

「見た目ほど酷くないぞ」

 

「どうしたの!その怪我!大丈夫なの!何があったの!?」

 

「紺炉中隊長から連絡が来ていたけど!こんなに!」

 

驚き駆け寄る茉希やアイリス、大隊長

その声を聞きつけ集まってくるメンバー達

 

「見た目より酷くないからぁ」

 

必死に落ち着かせようとするが、なかなか治らない

 

「あ!ちょ中隊長!どこに電話かける気ですか!?第七とか言いませんよね!やめてください」

 

「断る」

 

環に助けを求めようとしたが、紅丸や輪廻の態様に不満があったのか、茉希達と一緒に騒いでいた

 

中隊長の電話のせいか後日菓子折りが届いた

 

恥ずかしいから本当にやめてほしい

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