伝道者を破壊せよ!   作:欠けたチーズ

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パシリ

一年前の災害の際に、育ての親が死亡した

 

いい機会だということで、表向きではリヒトの助手として生きる事になった

無能力者でヒョロがりもやしの護衛も兼ねて

 

「いやー助かったよ」

 

「もやしって…大変なんだな」

 

リヒト曰く重い荷物を運びながらそんなことを言われる

 

灰島での部屋移動の手伝いを頼まれた、別にクレープ食べ放題券につられたわけでは無い、一応リヒトの助手らしいから手伝っているのだ

 

台車に乗せられたダンボール達その上にさらに乗せていく、こんな光景引っ越し業者の作業以外ではなかなか見ないだろう、それほどまでにダンボールを積み重なる、重さで下の方が少し潰れたが輪廻的にはどうでもいいので見なかったことにした

 

「これも重いけど平気?」

 

「お前の重いは案外軽いから平気だ」

 

親指を立てていう、もやしのリヒトでも多分一般男性ぐらいの力はあると思う、だが作り物と比べて仕舞えばそんなの比べる必要すらない

 

「あんな小さな女の子に…」

「重いもの持たせて」

 

ヒソヒソと声が聞こえるが別にいい、あたしはクレープ食べ放題券がもらえるならなんだっていい

 

そもそもリヒト自身あんな言葉に気を止めるような性格はしていないので反論もせずただ頼まれた仕事をする

 

「輪廻が手伝ってくれて助かったよ。毎回毎回この作業だけが辛くってね」

 

「もやし…」

 

「もやしで悪かったね」

 

腰が痛いと嘆いていたリヒトを見て呟いた言葉は聞こえていたらしい

 

「それに効率的に考えて僕より力も体力もある輪廻に頼るのは当たり前なことだと思うけど」

 

つまり券も前もって準備して、断る選択肢をなくしていたわけだ

 

「食い意地が張っているみたいじゃんか」

 

好物であるクレープ食べ放題券で釣られると分かっていたとなる、それはまるで食い意地が張り、食べ物で簡単に釣られる子というイメージがリヒトの中にいるということになる、そのことに気づきジト目で見つめればニヤニヤと笑っていた

 

「実際そうでしょ?」

 

「…けっ」

 

「ガラが悪いよ」

 

重い荷物が入った段ボールがいくつも積み重なった台車に手をかける

成人男性でも運ぶのを少し手こずる台車を最も簡単に押し始める

 

「次も輪廻に頼も」

 

「次は焼肉もつけろよ」

 

「食べ物で簡単に釣られすぎじゃ無い?」

 

「…」

 

趣味もなく睡眠で見る夢も世界からの仕事の命令ばかり、生きること自体が仕事みたいな生物なため、食べることしか楽しみがないので必然的にそうなる

 

「まぁいいけど」

 

「やりー」

 

ジョーカーならばきっといいとは言わない、行ったとしてもどっかの誰かと賭けに勝って懐が潤っている時だけだろう、安定した職についているだけあって不安定なジョーカーとは違う

流石は金を持っている奴だ、と感心しながらも現地はとったリヒトが忘れたと言っても奢らせようと心に決める

 

ガラガラとタイヤが軋みつつ転がる音が静かな廊下に響く

 

「子どもの声?」

 

一瞬聞こえた子供の悲鳴

 

「耳いいね、数枚の扉越しだけど子供を研究するところがあるんだよ」

 

そういい指差した頑丈な扉

 

「へー」

 

微かに聞こえた子供な悲鳴、胸糞悪いが関係のない事にいちいち首を突っ込むほど暇ではない

 

早く終わらせてクレープをたくさん食べたい

一応世界からの命令の中には人類を守ることも入っているが、不真面目な輪廻は今はその時ではないとよくわからない言い訳をして無視をすることにした

 

「もういやだぁあ!!」

 

その声と共に歩こうとしていた廊下に扉が強く打ち付けられた

 

通路の横にあった扉が吹き飛んだ、壁に扉がぶつかり大きな音を立てて扉が地面に転がった

咄嗟にリヒトと荷物を自分の後ろに引っ張る

 

「ぅ」

 

引っ張った時に聞こえた微かに聞こえた悲鳴は無視する

 

「もうやだ!痛いのも!苦しいのも!いやだ!」

 

警報が鳴り響き、壁につけられていたベルとライトが作動する

チカチカと目に悪い赤い光を点滅させながら、五月蝿い音だけが響く

 

「嘘でしょ!?」

 

後ろで驚きの声をあげているリヒトを庇うかのように立つ

 

声の主が姿を現した、周りに大量の火の玉を浮かべさせ目には大粒の涙

 

「ひっ』

 

輪廻達に気づき小さく悲鳴をあげでいた

 

「痛い事される前に!」

 

無数の火の玉が輪廻に向かって飛ばされた

目視だけでもかなり温度の高い炎だとわかる

 

「…」

 

それを躊躇なくキャッチした

一つではなく全て、そして何事も無かったかのように手で掴んだ火を握り消した

 

「熱い…いたぃ」

 

「なんで素手でやったの?」 

 

強い熱への耐性があった、それ故に平気だろという軽いノリでやったが、手のひらは実感ただれていた

 

「ぅっうああぁあああ!!」

 

「どうする?」

 

先とは比べ物にならないほどの火の玉を空中に出し始めた様子を見て指を刺し、指示を待つ

別に倒してもいいがここは灰島内、首にかかるカードがなければここにすら入れない人間である輪廻は一応聞く事にした

 

「どうするって言われても、僕も専門外だし…かと言ってこのまま焼け死ぬのも…子供側の研究者がくるまで足止めできる?」

 

「足止め超得意」

 

能力が能力なので

 

自信満々にピースしながら言う

 

「僕はすぐ来るように呼ぶから」

 

そういい携帯を取り出していた

何処かに連絡するのだろう

 

「うああぁあん!!」

 

その声と共に火の玉が発射される、先よりも早く

 

廊下には消化器が設置されている、だが目の前にある火の玉には効果がないだろう

 

爆弾も使えず傷つけず捉える

この場を切り抜ける術はたった一つしかない

 

「…ぇ」

 

火の玉を一つ喰らう

 

能力についてはもしもの事があったらと言う事で、少しだけ書類に書いて提出した記憶がある、だから平気だろうと軽く考えていた

 

その瞬間火の玉は消え子どもの動きが止まった

 

「攻撃しないでよね」

 

「ぇ」

 

止められるのは数秒間だけ、あっという間に時間は過ぎ、子供は少し落ち着きを取り戻したのか不思議そうに見つめている

 

「いまの、おねえさんが?」

 

震えた声に頷く、かなり落ち着きを取り戻したのかさっきまでの怯えた顔はなくなっていた

 

「駄目じゃないか、逃げちゃ」

 

男の声に子供はまた怯えた震え出した

 

ゆっくり歩く足音が聞こえた

 

「それに他の人にまで迷惑をかけて」

 

黒いスーツに片手には包帯

 

「いけない子だ」

 

「し、しにがみ、のおじ、さん」

 

震える口から聞こえた言葉

 

死神のおじさんと呼ばれた人物は子供を見るなり顔を歪ませていた、それは楽しそうに

 

黄色の瞳と目があった

歪んでいた顔を一瞬でなおり、つまらなさそうな顔になった

 

「子供のくせに弱くない、駄目だ駄目だ」

 

突然近づきそんなことを言われる

困り果て、後ろにいるリヒトに指を刺して説明を求める

 

「あっちは弱そうだ」

 

リヒトの方に目をつけ手を伸ばしたその手を掴む

 

「不審者?」

 

「いや、違うと思う」

 

目の前にいる男は怪しいが、リヒトの言葉を信じることにした

 

「黒野くん!流石に研究者の方に手を出すのは!」

 

他の人達も来たらしい、手を離せば素直に手を引っ込めてくれた

 

「いゃ、いやだ!助けてよ!」

 

大人達に子供が拘束されていく

 

そんな中関係ないと言わんばかりに火傷でただれた手のひらをリヒトに見せる

 

「痛そう」

 

「痛い」

 

中身の無い会話をして、何故か絆創膏をもらう

 

いや意味ないだろ

 

再生力が高いから絆創膏でいいと判断されたのだろうか

 

「ねぇ!僕を止めたみたいにこの人達止めてよ!」

 

「やだよ」

 

冗談だよと言われちゃんと冷却剤をもらえた

 

なんで持ち歩いてんだ?

 

ガーゼと包帯を白衣から取り出して簡単な処置をされる

 

「なんでこんなに持ってんだよ」

 

「何処かの誰か達が怪我をすぐ隠すから」

 

さて誰のことを言っているのだろうか、きっとジョーカーだアイツたまにふらっと出て行ったかと思ったら血まみれで帰ってきた時とかあったからだ、アタシじゃないな、うん

 

「止めた?」

 

子どもの言葉に興味を持ったのか何人かの視線がこちらに向いた

 

「悪いけど、彼女はこっちの手伝いをしてもらっている子だから」

 

とだけ言えば引き下がったのだろう何か言いたげな顔で見つめてくるだけだった

 

「その手伝い少し手伝う代わりにその止めたと言うものを見せてもらっても?」

 

台車を片手で押したのを見てそんなことを言われる

 

「残念だけど、遠慮させてもらうよ」

 

廊下の真ん中で邪魔をする扉を足で簡単に退かす

 

その行動に言葉を失うかのように息を呑む音が聞こえた

 

「相変わらずそれをどうやって素で出せているのか不思議で仕方ないよ」

 

「そう言う作りなんだよ」

 

「…まあ今ので余計に目をつけられた気がするけど…いいか」

 

止めた、という時で何か利用するか満々かのように輪廻を実験道具として利用したがり、その上目の前で異様な怪力を見せられたのだ

リヒトはこの後のことを考えたが、めんどくさくなり思考を放棄した

 

「大丈夫だ、面倒事を追うのは全部リヒト1人だから」

 

あたし、灰島、関係ない

 

と心の中で呟き他人事の如く本来は重い荷物を押す

 

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