薄暗く煙草臭い部屋の中
1人でコツコツと爆弾を作る
「灰島はどうだった?」
「んー、普通?」
思い出したかのように聞いてきた声に適当に答える
「普通なら手怪我しねぇよ」
「普通に荷物運んでたら、研究されてる子ども扉破ってきてさ、飛ばしてきた普通に火掴んだら普通に怪我した」
包帯で巻かれた手を見せつけて「痛い」と言えば鼻で笑われた
「一つ言っておくけどよ、輪廻が怪我すること自体普通じゃねぇ」
「そんな!人を頑丈すぎる何かみたいに!」
「事実そうだろ」
呆れたようにいわれた、その姿を不満しかないと言いたげに見つめるが反応は無い
煙草の煙が微かな風に揺らされるのを眺め、すぐに爆弾を作っている最中だった手元を見つめる、包帯巻かれ少し上手く動かせないが沢山ぶっ壊せる爆弾は作りたい休めばいいのに相変わらず作り続ける
扉が開き入ってくる人物に目もくれず手元の作業を続ける
「いい話と悪い話どっちから聞きたい?」
突然のリヒトの言葉にジョーカーと視線を合わせる
「左遷」
「横領」
「悪い話を当てる奴じゃないし二つとも違うから」
輪廻、ジョーカーの順で発言したが違ったらしい、ついでに二つともやってないからと言われた
「じゃ良い話」
違うならば悪い話に心当たり無い、体を伸ばしながら聞けば相変わらずニヤニヤと笑っている
「クレープ食べ放題券2枚と焼肉を奢る」
「こき使われるやつ?」
「それしかねぇだろ」
ご飯の話が出てくるあたりもうそれしかない
「悪い話はどうなんだ?」
何故か楽しげに輪廻の代わりにジョーカーが聞いていた
「輪廻が灰島に目をつけられた」
「悪い話だな」
「どーするよ?」
一応アドラバーストもどきを所持していたり、普通の人間とは違うため調べられたら一瞬で実験動物入りだ
「一回だけ実験してみない?」
「買収されたな」
こんな乗り気なのはおかしい、見つめればヘラヘラした態度で笑っている
「輪廻にとっても悪くない話だと思うよ?それに僕の研究の費用も上がるし」
「売るの?」
自分の研究の費用のために自分をあるのかと言いたげに見つめる
リヒトの付き合い上何となく考えていることはわかる、売りはしないだろうだが何をさせられるのかはわからなかった
「違うよ、やるだけやれば良い、その際に発火能力は使わなければ良い」
こんなに乗り気な理由にも納得しつつ面倒くさい内容に顔を顰める
「ついでに、これに協力してくれるならジョーカーにもおこぼれあるよ」
「まじか」
「あ!くそ!買収されやがった!」
自分は蚊帳外の話に興味なさげにしていたが、自分にも利があると分かった瞬間のジョーカーの行動は思ったより早かった逃げようとしていたが気づいたら首根っこを掴まれていた
「明日ね」
そういい手をひらひらとふり、逃がさないでよねと、ジョーカーに言い放ったリヒトを文句言いたげに見つめる
ーーー
全く仕方ない奴らだ
監視がいくつもされている耐熱性の部屋に通されながらそんなことを考える
体を軽く伸ばし、軽い準備運動をする
『何かあった場合すぐ止めるから安心してね』
頑丈なガラス越しにそう言ってくる男を見る
ニヤニヤとした顔のリヒトも見えた
アイツら揃いも揃って笑みが不気味なんだよな
自分もそうだと言うことに気づいていない輪廻はそんなことを考えながら開いた扉を見つめる
「始めようか」
入ってきたのは先日見かけた死神のおじさんと呼ばれていた人
心底つまらなそうにしてはいるが獲物を見るような目で見られるのは気分がいいとは思いない
「死神のおじさんも仕事だから仕方ないが、本来は君みたいな強い子の相手はしたくないんだ」
「何で死神?」
ふと疑問に思ったことを口に出す
「死神の方が子供達は怖がるから」
「へー」
興味なさげに返答する
「そろそろ始めても良いかな?」
「どうぞ?」
ゆっくり手についた包帯を取っていく
ってもな、この人結構強いと思うんだよな
ご飯に釣られて来たけど…能力は使っちゃいけない…負けも勝ちも指定なし…なら負けておくべきか?
包帯を取り終わったのか包帯がつけられていた真っ黒な腕が見える
灰病、聞いたことはあるが実物を見るのは初めてだった
「来ないのか?なら」
「…っ」
腕を振ったと思えば、黒煙がぶつかるのと同時にきた何とも言えない思い一撃
腕に当たってなどいない、勇逸当たったとすれば腕を振った際に出た黒い灰
本気でやり合って勝てるかどうかの相手に内心諦めを感じ始める
勝てるか微妙な相手、ならばさっさと負けて終わらせたい
冷や汗をかきながら駆け出す
棒立ちの体に蹴りを入れる、蹴りを入れる位置がわかっていたかのようにガードされるが威力が威力なので軽く飛んでいた
「子供しかも女にしては力が強すぎる」
「そう言う作りなんで」
また駆け出し攻撃を入れる
右から拳を叩き込もうとしたが分かっていたかの容器避けられる
さっきから変に舞っている灰か?
「だが安心したよ、俺より弱くって」
「っ、ぐ」
腹を強く殴られよろめく
「頑丈だな…」
「いてぇ」
思ったより良いのが入り焦る
すぐに体を後ろに投げ、体制を整える
「…っ」
すぐに駆け出す、威力に関しては通じているならば威力で何とか本気出している風を装って
「別に俺は痛ぶれれば何だって構わないが」
駆け出し殴ろうとしたところを腕を掴まれ力強く地面に叩きつけられる
倒れたのと同時に首を掴まれ身動きが取れない
「君がこれに協力的じゃないと君達の安全は保証できなくなるよ」
「…」
首を掴む力が強くなるが一切顔色変えずただ見つめていた
君達、それは今この場にいる輪廻の安全、そしてリヒトを人質に取った発言
その言葉にどう負けようかと、考えていた思考が抜けていく
「それはよくないよ」
首を掴んでいる腕を掴み力ずくで離させる
力ずくで無理やり剥がささせる、首を掴んでいた腕を引き剥がし、腕を掴み馬乗りになっていたそいつの体ごと投げ飛ばす
「邪魔よくない」
ゆっくり立ち上がる
前髪で隠れていた右側の目が見えた
反対の目とは違い瞳孔の色が黒い
「っ」
今リヒトに死なれるのも困る
ここで邪魔されるわけにもいかない
殺してでも…目的を遂行するために
「…はぁよくない、その目は良くない」
黒灰を固め武器を作り出していた
「お前はまだ俺より弱くいろ」
「大人は子供の成長を見守る物だろ。素直に喜べよ変態」
「一つ言っておくが俺は変態ではない」
武器を構え今にでも飛びかかりそうだったが輪廻の発言を訂正するためかわざわざそんなことを言っている
「人をいたぶる趣味を持つのは世間一般的に変態と呼ぶと思うよ?」
「自分よりも弱い奴を痛ぶるのが好きなだけだ」
「だからそれを変態って」
「違う」
食い気味に反応され困ったように首を傾げる
「…変態は自分のことを変態と呼ばれるとすごく否定するって話本当だったんだ」
なるほど、と感心する
ガラス越しに大人が何名か吹き出しているのが見えるが、気にしない
「…」
「とっ」
切り掛かって来たが簡単に避ける
「お喋りはお終い、実験の続きをしようか」
はぐらかされた気もするがまぁ良い
持っていた剣を投げられる、避けるが壁に当たった瞬間その剣は灰となり、空中に舞う
走り殴りかかってくるが簡単に受け止める
「わ」
防がれ、軌道を逸らされた拳は輪廻の後ろ、黒い灰が舞っている中何かを掴んだ音が聞こえた
あ、そう言うことか
次の攻撃を悟り急いで避けようとするが遅かった、肩を浅く切られた
「…っ!」
急いで距離を取る
「頑丈で良いなぁ」
灰が濃くなる
部屋の地面が見えないほどに
「弱れば弱るほどやる気が出る」
灰で姿が見えなくなる
「楽しみだよ」
「…はぁ」
ため息をつき地面に手をつく
地面越しに伝わる振動
何処を歩いているのか、どっちを向いているのか
何となくわかる
今は何となくでいい
地面から手を離し立ち上がり歩き出す
「っ」
死神のおじさんに向かって拳を思いっきり叩き込む、灰で作った剣でガードしていたが、剣は簡単に折れ折れた剣から体に拳が進む
「キャハ」
壁にぶつかる音が聞こえた
拳は腫れ上がり、皮膚から骨らしきものが飛び出していた
「…痛ぃ」
灰が晴れる
壁にぶつかったまま動かないそいつを見つめる
『く、黒野くん、大丈夫かい!?』
心底つまらなそうに見つめる黄色の目
「はぁ、油断した…」
「いいわけだ!大人の言い訳!」
やーい!と子供じみた煽りをする
『も。もうお終いにしようか…能力のデータは取れなかったが、素の身体能力であれほどできるとは…興味深い」
『残念ですけど、彼女は灰島の所有物ではありませんよ』
マイクを切っていないせいか会話がダダ漏れだ
「リヒトー帰ろうぜーいてぇしー」
折れた拳を見せつければ顔を顰めていた
「初めてだよ、倒されたのも君みたいな強い子をいたぶりたいと思ったのも」
立ち上がり近づいてきた死神のおじさんに警戒し戦闘体制を取るが相手はもうその気が無いのかゆっくり近づき目の前で立ち止まる
「また来い、その時は痛ぶって泣かせてあげるよ」
「もう来ない」
急いでこの部屋から出ることにした、獲物を見続ける目に見られ続けるのは気分が悪くそれに怪我もひどく痛み始めてきたから
ーーー
両手包帯で巻かれている
「どうせ奢りだし、高い肉」
「…本当にさ…」
スーパー、カートを押しながらそんなことを言えばため息をつかれた
「で、どうだった?戦闘データ」
「能力を使わずやったから残念がってたけど」
「そうじゃなくって、お前経費が増える以外にアタシのデータ欲しくって受けたんだろ?」
「何で分かったの?」
目についた高い肉をとりあえず入れる
「いや、なんかお前ジョーカーと遊ぶ時ついていこうか悩んでるじゃんたまに」
結局死ぬ危険があるから来ないからと付け加えれば不気味に笑われる
わしゃわしゃと突然頭を撫でられる
「何だ?」
「いや?頼りにしてるよ?輪廻」
よくわからないなぁこいつ
そう思いながら肉をカゴに入れていく
ーーー
若干肉の匂いが残る秘密基地、リヒトは仕事が残っていると胃をさすりながら帰った
「無事な手まで怪我して来やがったな」
「思いっきり殴った!めっちゃスッキリした」
親指を立てて言えば呆れたのか何も言わなくなった
「心配してやってるのによ」
「へぇ」
ニヤニヤとしながら見つめるが目を合わせようとしない
しばらく続けていたら軽く頭をチョップされた
2人にとって妹分的なポジション