ネザーは広い、なんせ東京皇国中にあるのだから
広すぎで迷うこともある、そんな時は無線でジョーカーに連絡をすればいい、文句を言いながら迎えに来てくれる
無線を片手にジョーカーと連絡が取れるのを待つ
『迷子か?』
ネザー内で散歩してくると言って出て行ったからそんな事を言われる
「いつも迷子になるわけじゃないから」
慣れたように言い放った声に文句言いたげに返す、文句は言わない言ったら次迷子になった時に迎えに来てくれなくなるから
『じゃあなんだよ』
「焔人見つけた」
『それは本当!?』
ジョーカーの声ではない声が返事をした
リヒトも近くにいて会話を聞いていたのだろう
『ネザーにいたと言う事は!もしかしたら大災害時の焔人かもしれないって事だよね!?』
『五月蝿え!無線渡すから離れろ』
無線越しにゴソゴソ聞こえるが早くしてほしい、流暢に話しているが現在進行形で焔人と鬼ごっこをしている
倒せるがリヒトが焔人で実験したいとか言っていたため連絡している
『どこに居るの?』
「あー走ってるからな…あ!秘密基地まで誘導しようか?」
無線越しにジョーカーの呆れた声が微かに聞こえた
だって!だってさ、呑気に歩いていたら曲がり角でバッタリ焔人とぶつかったんだぞ!?少し前髪焦げたんだぞ!?仕方ないじゃん!?ぶつかったと思ったら声上げて追いかけて来たんだぞ!?倒そうと思ったけど!優しさで今連絡してやってるんだぞ!呆れた声出すなよ!
心の中で文句やら言い訳を並べる
『準備して待ってるよ』
楽しげな声が聞こえてくる
次に物を漁るような音が微かに聞こえる
数十分走った
走って走って
微かに見えて来た派手な飾り
「輪廻避けてね」
「…え」
突然影が出来た、その方を見れば防火性のを持つであろう布が広げられ落ちて来ていた
避けてと言う事は、当たるなと言う事だろう
と言ってもどう頑張っても当たる
「ぎゃっと!?」
咄嗟に地面に転がり避ける
声にならない悲鳴を上げ始める焔人
「…ぇなに何で?」
流石に数十分も走っていたせいか息が上がる、それを必死に整える
布は地面に張り付いたように剥がれない、焔人がいるであろう場所だけが盛り上がり、暴れているのがわかる
「よぉ、お疲れさん」
香る煙草の匂い
目をやれば煙を吐いているジョーカーが見えた
「つかれた」
「まだやる事あるぞ」
と、焔人を指差すジョーカーの姿
「…」
「お前が言ったんだから最後までやるんだよ」
「いわなきゃよかった」
優しさは時には自分に牙を向く
と今日学習した
布を触り、熱い、と言っているリヒトを眺めて立ち上がりしょぼくれた顔で捕獲する
「どこに置く?ジョーカーの部屋でいい?」
「やめろ」
焔人を布で包み持ち上げてから言えば、嫌そうな顔で言われた
「よく冗談言うぞアタシは」
「冗談とマジの違いが分かりにくいんだよお前は」
「それわかるかも」
と2人から言われてしまった
お前らの方がわかりにくい
そう言おうとしたが布越しに暴れる焔人の攻撃が顔に当たり言葉が出る前に消えた
ーーー
焔人を捕獲してから数ヶ月経ったある日
「どっかいくの?」
珍しく他所行きの服を着て、ずと鏡の前で何かしているジョーカーに声をかける
「ああコレを試しにな」
そういい見せてくれたのは小瓶に入った灰
「例の?」
輪廻と追いかけっこした焔人を利用してリヒトが作った灰
焔人を捕獲し何か実験などをしていたのは知っていた
別に死体から何かを作り出す事に関してはどうとも思わない
「来るか?」
機嫌がいいのか笑みを浮かべているジョーカーの顔もそうだが煙草の煙も笑みを作っている
相当機嫌がいいらしい
「暇だし行こうかな」
やる事もなくぼっーとしていたためすぐに、出かける準備をする
と言っても持ち出すものもないため、鏡の前で準備をしているジョーカーの準備が終わるのを待つ
長いな…
ずっと首元のジャボを弄っている、たいして変わらないのに、動いたら意味ないのにずっと弄っている姿にため息をこぼす
いつも部屋着なのに何で今日はこんな着込んでいるのか分からなかった
そう言えばクラスメイトの子達も前髪命ですわとか言ってずっと弄ってたな、変わらないのに
それと同じなのかな?
ーー
ネザーから出て周りを見渡す
「第8の管轄?…ああ例の悪魔の足跡にちょっかい出すの?」
森羅 日下部。その人物とは輪廻も関わりがないわけではない、と言っても直接的な関わりは今のところない、あるのは間接的な関わり
ジョーカーも何かしらの関わりがあるらしくいろいろ調べているのは知っている
「正解」
楽しそうに話す姿
鼻歌を歌いながら歩く背を見つめる
ジョーカーの鼻歌ってなんか気づいたら移ってるんだよな
「丁度いいのがあるな」
「焔人だね」
人だかり、消防車や特殊消防官の姿が見えた
マッチボックスには大きく8の文字が書かれている
背後からでよく見えないが、多分ジョーカーは相変わらず不気味に笑っている
「仕掛けてくる」
「野次馬してる」
軽い足取りで行ったジョーカーを眺めつつ、なぜか3人離れたところにいる第8の消防官を見つめる
突然爆発し、その火が嘲笑うかのように動く
その様子に驚いたのかそれとも焔人の仕業だと思ったのか急いで中に入っていく
しばく入っていき、凄まじい音がした、建物が崩れるかのような
「すごい音したぞ!」
「倒壊したか?」
そんな野次馬の声が聞こえる
ふと後ろを見ればジョーカーが楽しそうに家を見ていた
気配を消すのが癖になったいるのかいつの間にかいたジョーカーに驚くこともせず駆け寄る
アイツ早いな
「どのくらい使った?」
「少しだけだ」
そういい瓶を見せてくれた
量の変動はない
「そんなに減ってないのにあの威力…使い方次第では結構」
ああ楽しいなぁ
急いでできてきた第8を見つめる
「ジョーカー的には第8はどう?」
「まだ見極めが必要だ」
「そっか、まぁ面白そうだよねあそこの隊」
命令よりも人命を優先した大隊長をはじめとした愉快なメンバー、珍しく人数の少ない隊
「もう行くぞ」
楽しげに考え始め、時間がかかると思ったのか探すように背中を押される
まぁ第8も気になるが
「…焔人捕獲しまくるか?」
「場所がねえ、やめろ」
あの灰を大量生産して伝道者に壊したいなぁ
という考えは読み取られていたらしい、止められた
ーーー
今日は特殊消防官の新人大会があるらしい、そのせいか2人とも楽しげに出かけて行った
確かリヒトは普通に呼ばれていて、ジョーカーは乱入するらしい、ジョーカーに誘われたが一応リヒトの助手をやっているため繋がりがバレる可能性があるためやめた
欠伸をしながら渡された無線を耳につけ地上に出る
クレープを1つ購入し、文字にならないノイズを聞き流す
微かにノイズに混じって鼻歌が聞こえる
ご機嫌だな
そんな事を思いながら口にクレープを運ぶ、いちごの酸っぱさと生クリームの甘さがいい感じに混ざり合って美味い
『誰だお前は!っ』
地面に何かが落ちる音、音から大会運営側の職員を気絶させたのだろう
3人分の音が数秒で聞こえてくる
ーーー
場所を移動して新人大会が開催されている場から少し離れた、ビルの屋上
同じく新人大会をこの場から見ている人達もかなりいるのか皆会場が見える位置にいる
その中で1人片耳に無線をつけ会場を眺めながらクレープを貪る
『俺は!ヒーローだ!』
あの後、悪魔の足跡事森羅とジョーカーの戦いを無線で聞き流し時間が経ちすぎたせいか他の参加者も乱入したあたりでジョーカーは引くことにしたらしい、今は灰をばら撒きヒーローならば全員救えと無茶を森羅に言い放ち終わったぐらいだった
ヒーロー、そんな言葉を聞きクレープを口に押し込みゴミを丸める
ヒーローね
興味が湧いた、書類を見た時は大した興味は湧かなかったがその言葉を聞き不思議と興味が湧いた
無意識に笑みが浮かぶのが何となくわかる
知りたくなった、何故ヒーローなのかただただ興味が出た興味が湧いた
直後無線から耳を押さえたくなるほどの爆音が聞こえ急いで無線を取る
「…いたぁ」
耳を抑える
それと同時に視界の先の会場も爆発していた
周りがざわめき、何があったのかと会場に釘付けになっている、そんな中1人出口に向かって歩き出す
痛む耳を抑え、文句の一つでもつけようかと悩みつつ、もう一個クレープを食べてから帰ることに決めた
アタシが持っている森羅日下部の弟の情報でも釣られ無かった
それはヒーロー故かそれともジョーカーが怪しすぎて警戒されたせいか
どっちにしろ
「ジョーカー振られてやんの」
くすくすと笑いながら人気のない路地裏に向かう