森羅達が浅草に修行をつけてもらいに行くらしい、なぜかリヒトが同行するようにと連絡が来た…めんどくさいと思いながらも同行する事に
「輪廻はシスターなんだよな?」
「そうだけど、リヒトが付いてけってさ」
浅草の道のり、歩きながら説明すれば気抜けた返事が聞こえる
「姫に何をさせようとしているんだ?」
「姫ってなんだよ」
「騎士として当たり前だ」
「何がだよ」
突然の発言に理解ができず、助けを求めるように森羅の方を向きアーサーを指差す
「馬鹿騎士」
行動や発言でなんとなく察してはいたが、改めて言われ疑問が確信に変わった
「なんとなく理解した、大変だな」
同情すれば乾いた笑みが聞こえる
ーー
第七の大隊長と森羅達が稽古しているのを眺める
新門 紅丸
黒い神に真っ赤な瞳、左右で形が違う瞳孔
見ているだけでも冷や汗が流れる
一目見た時から、あ、コイツやべぇと思っていたが、稽古している姿だけでもわかる、何故これほどの強さを持ちながら、
「嬢ちゃんは元々いたのか?」
その声に、稽古している3人から目を離し顔の傷が特徴的な第七の中隊長を見て答える
「新しく入ったシスターだよ」
「シスター…なら嬢ちゃん的には浅草は思うところあんじゃねぇのか?」
その言葉に首を傾げる
疑問がよぎったが、聖陽教の教え的に浅草の存在はアウトなのだと気づいた、と言ってもそもそも聖陽教など人間が勝手に作り出し勝手に崇めているだけ、星がわざわざ作り出した存在であるため、神など存在せず、ただ星の意識が全てだと分かっているため、太陽神を信じてすらないし信仰もない
「特に思ってないから来てる」
「変わってんな」
意味がわからずまた首を傾げる
ーーー
リヒトも来て、森羅の必殺技らしきものを完成し始めていた
「一旦休憩だ」
「だぁ」
「っ」
そういい倒れ込む2人
数時間ぶっ通しで続けていたためか発火限界が近いと判断したのだろう
「で、お前」
突然輪廻を向き話しかけてきた姿に驚きつつ言葉を待つ
「なかなかに強いだろ」
「いいんじゃない?」
「アタシの意見は?」
なぜかやる空気になっている
が特に断る理由もない、嫌だが手合わせするために前に出る
本音は全力で断りたいが、ここで戦えることを見せた方が後々何かと役に立つかもしれない。本当は嫌だが
負けると分かっていて負けに行く馬鹿はそうそういないだから嫌だ
「大丈夫かよ」
「アイツ相手だぞ?」
と心配している声を上げながら、退く2人
戦闘体制をとる紅丸
空気が嫌と言うほどにひりついている
殺し合いの場と同じようなひりついた空気
「来ないなら行くぞ」
走り出し拳を突き出してきた、攻撃を避ける
追撃されていく
拳を避け、軌道を逸らして
「攻撃してこねぇのか」
「…」
攻撃を仕掛ける暇がなかなかない
輪廻は戦闘経験が少ないわけでもない、むしろ森羅達と同い年にしては多い方だ、世界が作ったと言うこともあり、身体能力も高いそれを踏まえても今の輪廻では新門紅丸には勝てない、この時点で分かってしまうほどの実力差があった
世界の強さの割り振りがおかしいことなんて前々から分かっていたけど!これはおかしいって!
内心不満を垂らしながら、紅丸の手の軌道を逸らし、殴り込む
だが腕でガードされダメージは大して入ってなさげだが、反動が入り地面を踏ん張りながら後ろに飛んでいく、距離は取れたことに内心安堵しながらも次の攻撃に備える
「見た目以上に力があるな」
「そーだね」
能力を使ったのか熱風が襲いくるが熱に耐性があるため大して効果はない
駆け出し、飛び蹴りを入れる
横から頭を狙って入れた蹴りは腕で防がれる
楽しそうに笑う姿にゾッと何か背筋に冷たいものが走るような感覚
咄嗟に体を後ろに投げ、距離を取る
「さっきから攻撃全然仕掛けてこねぇじゃねぇか、本気でやらねぇなら、負けるぞ」
この人なんで手合わせで殺し合いの殺気を出してくるの?
冷や汗が止まる気配がないほどに流れていく
「思ってたのと違ったな…」
殴りかかられ、最初と同様に拳をいなす
微かに黒いブーツが動くのが見え、蹴りを入れてくる、そう判断し瞬時に横から入った蹴りを体制を低くてギリギリのところで避ける
地面に手をつかほどに体勢を低くすれば、一旦攻撃は避けきれたが追撃がくる
地面に手がつき、体勢が低く瞬時に動けない今、上からから蹴りに対象出来るはずもない
避ける事もせずそれを受け止める
ブーツの底を手で掴み投げ飛ばす
「っ」
距離が取れた今すぐに体勢を整える
ジョーカーとも何度か手合わせはしている、だがアイツはお遊びでやっている、だからかこのひりついた空気になかなかなれない
簡単に着地をし、指を見た事ない形にし始めた
なんだあれ
「へ」
炎が飛んでくる
頬を撫でるように飛んできた炎に唖然とする
「実践と同じだ本気でやるぞ」
灰島の奴とは違うヤバさ
焦りつつも無数に飛んでくるそれらを避ける
避け切れないものは手で弾き
そんな中でも絶えず紅丸からの攻撃がくる
「っ」
弾き、防ぎ、流す、それらの行動が多く多少の攻撃が入ってしまう
このままじゃやばい
能力を使うか
別にダメなんて言われていない
あっちが使っているんだからいいだろ
新門紅丸が強いのは輪廻でも分かっていた、それでもただでは負けたくなかった、誰かの影響で強くなった負けず嫌いがこの手合わせを白熱させていく
飛んできた炎を喰らう
「な!」
「炎を食べた!?」
「あ?」
駆け出そうとした状態で止まっり、炎の攻撃も止まった
リヒトが森羅達に能力の説明をしているのを聞き流し、内心能力を使って良かったんだと安堵しつつ目の前の状況に意識を直ぐに戻す
「っ!」
5秒なんて短すぎる
離れた位置にいる紅丸に近づいたそれだけで終わる、だがそれでよかった
動ける瞬間になったのと同時に攻撃を仕掛ける
「だっ!」
力一杯拳を振り上げる
「え」
だがその攻撃は流され、腹に重い蹴りを入れた
地面を転がり寝転がる
転がり回ったせいか目が回る
「森羅達より強いな…」
もう満足したのか手合わせは終わりを迎えた
「え!」
「戦乙女だったか!」
そんな声が聞こえ、痛む腹を抑えながらゆっくり立ち上がる
「お前がコイツに教えていたのか」
「まさか、教えられるわけ無いじゃないですか。輪廻が此処まで戦えるのは元の身体能力が高いのもあると思いますよ」
服についた土を払う
「輪廻って思った以上に強いんだな…俺も頑張らないと」
「騎士として、戦乙女すらも守れるようにならねば」
2人目は何言っているのかわからねぇが、まぁいい
「森羅、アーサー、お前らは今日明日でアイツ並みに強くなってもらうぞ」
帰りたい、クレープ食べたい
紅丸の言葉に、2人が唖然としているのを眺めながら現実逃避をかます
「災難だったな嬢ちゃん」
同情の目を向けながら真っ白な濡れたタオルを差し出してくれた、第七の中隊長である紺炉に感謝しつつ真っ白なタオルを遠慮なく土まみれにする
ーーー
「酷い目にあった」
道草をすることなく真っ直ぐ第8に戻った
本当は道草をしたかった、だがリヒトが直ぐに帰ろうと我儘を言うので仕方なく…
「リヒト捜査官に輪廻…なんでそんなに土まみれなんだ?」
払い残っていたのだろう、頭についていた土を払われる
「新門大隊長と輪廻が手合わせしたんですよ」
「なに!それ大丈夫なのか!」
「怪我はない」
何をされたのかすごく心配された、大隊長だけではなく、書類仕事をしていたマキや中隊長も顔を上げていた
「酷い目にあった」