「フォンテーヌにこんな飲み物があったなんて……!」
いつもより積極的な旅人に連れられてやってきたフォンテーヌ!
往生堂の仕事は渡し守に頼んで、今はフォンテーヌにあるとあるお店で休憩してるんだ!
「胡桃? こっち見て~」
『パシャリ』
「ん~? あっ、今の私可愛くないから消して!」
もう、いつの間に……表情も作ってなかったから絶対可愛くないもん。
「ええ? 胡桃はいつでも可愛いんだけどなあ」
くっ、破壊力が……!
誰が旅人を『こんなの』にしたの?
今ならその人に往生堂特別サービスプランをつけちゃう!
「消して! 消して! 消して!」
今の私ならジタバタ選手権テイワット大会で1位をとれちゃうんだからね!
「っと、そんなに暴れないでよ。ほら、フォンテーヌ特製ハート形ドリンクがこぼれるよ」
そう言って旅人が指し示す先には、2つのストローがハート形にデザインされた爽やかな見た目の飲み物。
……ここ、それなりに人通りもあるテラス席なんですけど!?
「誰が頼んだんだ! だ・れ・が! お店に入るなり『カップルドリンクを1つ』って言ったのは!」
いや嬉しいけど!
嬉しいけど!
旅人から恋人のように思われてるのは!
「? カップルで1つって書いてあるんだから、頼むのは当然1つでしょ?」
「ぐぬぬ……」
か、勝てない……。
「はい、こっちが胡桃のストローね。一緒に飲もう?」
旅人がグラスを動かして赤色のストローの口を私に向ける。
「わかったよ! 飲めばいいんでしょ!」
こうなったら逆にびっくりするくらい素直になってやるんだからね!
「あっ、ちょっと待って! はい、もう1回こっち見て」
どうせ写真でしょ……うん、今度は可愛くできたかな。
「……」
旅人が顔を赤くしてる……。
おや?
おやおや?
「もしかして旅人、私のウインクに見惚れちゃった?」
主従逆転のチャンス!
「……そうだよ、胡桃が可愛いから」
ぐっ、なかなかやるね旅人!
でも私の素直パワーが上手くいってる!
「ふ~ん、私可愛いんだ~」
旅人から仕掛けたくせに反撃されちゃって。
んん~、素直な旅人もいいけど恥ずかしがってる旅人もかっわいい~!
ああもう、好き!
「旅人、早く飲も? ほら、あなたの可愛い胡桃が目つむって待ってるよ? 顔近づけなくていいの?」
まるでキスをおねだりするようなセリフでちょっと恥ずかしいけど、今の旅人ならこの堂主胡桃の可愛さの前でイチコロなんだからね!
「……これでいい?」
旅人にそう言われたのでそっと目をあけてみる。
……思ったより近いなあ!
普段から思ってはいるんだけど、ちょっと顔整いすぎじゃない?
「う、うん……じゃあ、いただきます……」
飲み物に集中しないと緊張で息ができない……!
旅人が気になって味なんかわかんないし……。
「パインジュースも入ってるんだ、これ」
量はそこまで多くないし、旅人も飲んでるからすぐに飲み終わっちゃった。
「そ、そうみたいだね!」
わからないけど!
「……よし決めた」
ん?
何を決めたって?
旅人が立ち上がったってことは、次の場所へ行くのかな?
「次の行き先は決まってるの?」
私も旅人に倣って立とうとすると……ほら!
何も言わずとも手を差し伸べてくれるんだよね~。
「決まってるよ。とりあえず予約しているホテルかな」
「えっ」
目を拭ってみてもお日様が眩しい……。
……すでにあの世だったり?
私の番?
「? どうしたの?」
「い、い、い、いや! なんでもないよ! ホテルね!」
やっぱり夢じゃない!
ど、ど、どうしよう!
まずはシャワー浴びないと!
それから……今日の下着って可愛かったっけ?
えっと、香水はバックの中?
……ああ、心の準備が!
「そんな張り切らなくても……荷物預けるだけだし」
……。
「も、もちろんわかってるよ!? ただ、荷物置いたあと、どこへ連れてってくれるのかな~って!」
びっくりした!
あっ。
「なんで自分の体抱き寄せてるのって……あっ」
旅人が悪い顔してる!
「胡桃? 怒らないから言ってごらん? 『ホテル』って言われて、何考えてたの?」
こんな状況で素直パワーとか言ってられないよ!
「……なんにも考えてない!」
旅人がニヤニヤしながら私の耳の側に……!
「もしかして、えっちなこと、考えちゃった?」
もう無理、恥ずか死する。
「……旅人のイジワル」
旅人にされるかもってドキドキしながら喜んじゃったから余計に恥ずかしい……。
「ごめんって! ほら、行こう?」
これいつまで続くの?
私の心臓持たないんだけど。