「あ~楽しかった! フォンテーヌにはこんな施設まであったんだ!」
そう言いながらホテルのベッドへダイブ!
疲れた体にはやっぱりふっかふかのベッドだよね!
「楽しんでもらえたなら何よりだよ。それにしても胡桃は強運だね。あそこまで勝ち続けた人はいないって働いてるメリュジーヌが言ってたよ」
「なんていったって私は往生堂の堂主だからね! 運も味方にする才能があるんだよ!」
往生堂の仕事からは逃げられないけど、たまには運で稼ぐ仕事もありかも!
あれ、そういえば璃月の法律じゃ賭け事って違法なんだっけ……?
あ、フォンテーヌのこの施設でもモラを賭けたゲームはしてないよ!
遊んだのは施設内でのみ使える硬貨を賭けたゲームだからね!
「フォンテーヌでも長期の滞在はしたけど、俺もこの施設を利用したのは初めてだよ」
初めてが私とで良かった……って、そっか、旅人はフォンテーヌでも色んな人と出会ってたくさんの冒険をしたんだ。
……むむっ、私のセンサーが『フォンテーヌでも旅人は女性の友達をたくさん作っている』って言ってる!
いつか旅人に質問攻めしようかな~。
「明日はどうするか考えてるの?」
もう1回同じ施設で遊んでもいいけど、旅人が思い浮かべる別のプランも聞いてみたいかな。
「ん~水の中に潜ってみる? グレート・フォンテーヌ・レイクなら元素力を扱える人は道具も無しに水中呼吸できるって聞いたし、それに実際に体験もしたし」
わあ、それってお魚さんたちと触れ合えたりもできるってこと!?
ありあり!
「採用! せっかくだから詩も……ってさすがに紙は濡れちゃうか」
あれ?
じゃあ服は?
「そうだね、そういうものはダメかな。まあ試したことはないんだけど」
んん~じゃあ先に水着を買うことになるのかな。
「……ところで旅人、近くにお洋服屋さんとかってある?」
フォンテーヌに行きたいって言った旅人は多分水着持ってきてるんだよね。
……どうせならこのタイミングで旅人好みの水着でも仕立てちゃおうかな!
「あるけど……なんで?」
え、もしかして私も水着持ってる前提で考えてるの?
そうだったら流石に私、用意周到すぎない?
ちなみにちゃんと持ってきてないよ!
「だって、潜るんでしょ? 水の中に」
って言ったら旅人が笑い始めた……。
ええ……そんなに変なことなの?
「胡桃、そっか……うん、もちろん水着が必要になるね!」
こんどは張り切り始めたんだけど……。
なになになに!
私、そんなにおかしいの!?
「……水着いらないとか?」
潜るところまでも元素力でなんとかなるものなの?
「……うん」
旅人のいじわる!
また私をそうやってからかう!
「ふん、旅人のことなんてもう知らないもんね!」
旅人が『ごめんなさい』って言うまで私拗ねるからね!
「……でも胡桃、(可愛い水着欲しくないの?)」
「……!」
耳打ちはズル!
でも、旅人に可愛いって言われるのは悪くないかも……。
いやダメダメ!
拗ねるって決めたらとことん拗ねてやるんだから!
「強情だなあ……じゃあ、これならどう? トランプで勝ったらなんでも1つ命令できるっていうのは」
ぐぬぬ……。
「……その勝負、この胡堂主が受けて立つ!」
旅人に命令できるなら拗ねるとか後回し!
今日の私は賭け事連勝の調子の良い日だからね!
「お、やる気になった」
そりゃ負ける気しないし。
「どうしよっかな~何してもらおうかな~」
いじわるされた分お返ししてもらおう!
旅人が恥ずかしがること、旅人が恥ずかしがること……あれ、無くない?
じゃあ、私が得することでいっか。
「……とりあえず勝ってから考えれば?」
それもそうだね。
「いざ、尋常に!」
……。
…………。
………………。
「……私の、負け?」
待って待って!
……旅人、ズルとかしてないよね?
「さ~て、何にしようかな~」
ええ……この流れで私負けるの?
「旅人……その、変な命令はなしだからね?」
なんでもって言ったけど、調子に乗って際どい命令したら口きかないから!
「それじゃあ、ガチな感じで『好き』って言ってほしいな」
……まあ、それならいっか。
ところで『ガチな感じ』って何?
「ガチもなにも、私旅人のこと普通に好きなんだけど」
あ、地味に告白しちゃった。
なんだかんだでまだ告白してなかったのに。
「……やりなおし!」
しかもやり直しさせられたし!
私の初めての告白が!
「……はじめてだったのに」
これには私の全細胞もがっかり。
……もう、いいや。
ここまでして恥も何もないし。
「さん、にー、いち、アクション!」
やかましいわ!
……こほん。
「……ねえ、私、旅人が好き。あなたの姓を胡にしたいくらい大好き」
旅人の言う通り、ガチな気持ちだからね!
……でもトランプで負けたからとはいえ、ここまで言ったからには私の気持ちに応えてほしいな。
「……満足!」
返答は無し、だよね。
まあ、分かってたけど。
「なら良かった。この堂主の演技は完璧だからね!」
……ちょっとがっかりな気持ちもあったりなかったり。
「よし、それじゃあ胡桃、こっちおいで」
ん?
……こんな感じ?
「そうそう、もっと抱きしめてほしいな」
もう、注文が多いなあ。
……旅人、あったかい。
これなら私の後ろ向きな気持ちも薄れそう……。
「……耳、借りるね」
どうぞ?
「(俺も胡桃が大好き。告白がこんな感じになったのは申し訳ないけど、胡桃のことだから真面目に『好き』って言ってもらえないんじゃないかって思って。でも、こう、正面から言われるとやっぱりドキドキするね)」
……ふん!
そんなに私をからかうなら口きかないんだから!
「つーん」
私をこんなに恋させちゃって、どう責任とってくれるんだろうね!
姓を胡にするしかないんじゃないかな!
「……照れてる」
言うなって!
いじわるな旅人にはこうだ!
「ぬぬぬ……!」
この手、離さないからね!
「胡桃、ギブ……抱きつき過ぎだって」
やった、私の勝ち!
「ギブって言ったし、告白してもらえたし、これは実質勝ちだね!」
トランプなんてただのゲームだし!
旅人の『好き』って言葉が聞けたのなら私の勝ちで間違いない!
「必死に誤魔化してる胡桃も可愛いなあ……というか、実質勝ちは普通に負けでは?」
あ~!
聞こえない、聞こえない!
恋人になったのなら、たくさん甘えてもいいよね!