鍼灸師辻友紀乃   作:クライングフリーマン

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「指圧やったな。今は指圧するモンも減ってナア。蚊アが止まってたんやて?」
私は、服を脱ぎ横になった小金井に指圧をしながら話をした。



28.人間は人形じゃない

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。

幸田仙太郎・・・友紀乃の後輩。

小金井啓助・・・新規の客。幸田の紹介。

 

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私の名前は辻友紀乃。

辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。

旦那は「腹上死」した。嘘。

本当は、がんだった。

膵臓がん、って奴だ。

私は、鍼灸師で柔道整復師だ。

お馴染みさんは、これでも多い方だ。

今日も、「「いちげんさん」の話。と言っても、幸田の紹介だ。

 

小金井は、呼ぶと、恐る恐る入って来た。

「幸田から話は聞いてる。ベッドでええか。ウチは患者によって、布団の上でも治療するよ。」

「あ。ベッドで。」

「指圧やったな。今は指圧するモンも減ってナア。蚊アが止まってたんやて?」

私は、服を脱ぎ横になった小金井に指圧をしながら話をした。

よく勘違いされがちだが、鍼灸師や理学療法士が話をしながら作業するのは、口先三寸で誤魔化す為ではない。技術が未熟な、下手な者が、話術で誤魔化す野も事実だが、ベテランは、「ココロをほぐす」作業を同時進行しているのだ。

緊張がほぐれると、痛んで居る箇所がはっきりする。そのためのテクニックだ。

「済みません。亡くなった母も肩凝り性でして、下手なマッサージやと『蚊アが止まった位やった』って、よう言うてたもんやから。」

「いや、お母さん、よう言うた。ははは。詰まり、もみ方が緩すぎやったと。」

「はい。3ヶ月位前に、通院していた治療院が廃業されまして。で、臨時に行った所が、上手くなくて。以前、お世話になった幸田さんに相談したら、ここを紹介してくれました。」

「学校出たてで修行中かな?指先だけでなく体全体使う必要があんねん。」

 

30分後。施術が終って、予約を済ませ、小金井が帰る時、幸田がやってきた。

次の予約は幸田だ。

「幸田さん、助かりました。エエトコ紹介して頂いて。」

「そやろ。先輩の技術は天下一品や。」

「ほな、先生。来月また頼んます。」

小金井が帰ると、念の為幸田に聞いてみた。

「浮気調査か?」

「いえ。痴漢えん罪調査です。」「ああ、触ってへんのに、『痴漢です』って騒いで金せびる女か。聞いたことあるわ。」

「本庄先生に言われて調査して、会社クビになりかけて、本庄先生が『マスコミ』に言うって言ったら、クビ取り消し。当然ですわ。」

「成程な。」

 

―完―

 

 

 




「済みません。亡くなった母も肩凝り性でして、下手なマッサージやと『蚊アが止まった位やった』って、よう言うてたもんやから。」
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