学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~   作:大島海峡

2 / 9
1.

 その日、宿木(やどりぎ)群青(ぐんじょう)は、講堂に呼び出されていた。

 

「お呼びでしょうか!」

 踵を鳴らし打ち揃え、背を反らす。高々と鳴らした声音は硬質である。本人の気質と、警察官の父の影響である。

 短く刈り上げた髪、若い肌に、歴戦を感じさせる大小の傷が刻まれた大男である。

 

 普段は集められた若き戦士にして学生達が集められ、学園長ないし各寮の指導者から薫陶を受けるこの場も、単身呼び出されればその広さを持て余し、静寂はかえって耳に痛い。

 

「いや、良く来てくれた」

 そしてそこで待つウォズの並行同位体、通称『青ウォズ』教頭も、普段は壇上においては居住まいを正しているが、今日は一席の背もたれに腰掛け、両脚を投げ出していた。

 青いスーツを瀟洒に着こなし、優美な座り姿で帳簿を手にした彼は、王の従者というより、貴公子そのものに思えた。

 

「宿木群青。疾風寮二年。『仮面ライダー龍騎』()()()。先遣隊としてディサイダーズの調査に参加。その際、彼らと交戦。契約モンスターたるドラグレッダーを失いつつも、離脱に成功する。以後、準戦闘員として治安維持に従事――で、間違いないかな」

「はっ、左様……でありますが」

 直線的であった彼の語気が、当惑に澱む。

「確認しただけだよ。なにしろこの学園は、『似た人物』が多いのでね」

 

 ライダー学園。

 いつしか、無数に分岐するような仮面ライダー達の歴史、世界。そこから生み出された、本道ならずして未熟なるライダー達。それを束ね、それぞれの世界を救済する術を模索する養成機関。それこそ、この学園である。

 先にその最たる脅威、ライダー狩りのディサイダーズなる勢力にここを襲撃された。仮面ライダーたちは総戦力で抵抗するも、なす術なく惨敗した。

 いや、そもそれは遊興(ゲーム)であって勝負にさえなっていなかった。

 時間逆行、超自然的復元能力など様々な技術が集まるがため、設備面はそこから立て直しつつあるが、それでも人的被害は今なお尾を引いている。

 

 そしてそれより前、彼らの先遣隊と出くわした群青もまた、その遭遇戦において絶望的な敗北感を植え付けられた一人だ。

 

「……ま、何はともあれ、無事にこの学園に戻ってくれて良かった」

「いえッ、諸龍騎がたに比して、無様な生き恥をさらしております! 新たにモンスターと契約次第、汚名返上がため、再び前線に復帰したく!」

「いやいや、そんな君にこそ、実は頼みたいことがある」

 

 強めの謙遜と共に、ファイズフォンがごとく身体を畳むようにした彼の横に、青ウォズは歩み寄った。

「は、なんでしょうか」

 そして下げたままの群青の頭に唇を寄せ、囁くように

 

「この学園に、裏切者がいる」

 

 と告げた。

 群青は、心臓を掴まれたような心地で見返した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。