学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~ 作:大島海峡
その日、
「お呼びでしょうか!」
踵を鳴らし打ち揃え、背を反らす。高々と鳴らした声音は硬質である。本人の気質と、警察官の父の影響である。
短く刈り上げた髪、若い肌に、歴戦を感じさせる大小の傷が刻まれた大男である。
普段は集められた若き戦士にして学生達が集められ、学園長ないし各寮の指導者から薫陶を受けるこの場も、単身呼び出されればその広さを持て余し、静寂はかえって耳に痛い。
「いや、良く来てくれた」
そしてそこで待つウォズの並行同位体、通称『青ウォズ』教頭も、普段は壇上においては居住まいを正しているが、今日は一席の背もたれに腰掛け、両脚を投げ出していた。
青いスーツを瀟洒に着こなし、優美な座り姿で帳簿を手にした彼は、王の従者というより、貴公子そのものに思えた。
「宿木群青。疾風寮二年。『仮面ライダー龍騎』
「はっ、左様……でありますが」
直線的であった彼の語気が、当惑に澱む。
「確認しただけだよ。なにしろこの学園は、『似た人物』が多いのでね」
ライダー学園。
いつしか、無数に分岐するような仮面ライダー達の歴史、世界。そこから生み出された、本道ならずして未熟なるライダー達。それを束ね、それぞれの世界を救済する術を模索する養成機関。それこそ、この学園である。
先にその最たる脅威、ライダー狩りのディサイダーズなる勢力にここを襲撃された。仮面ライダーたちは総戦力で抵抗するも、なす術なく惨敗した。
いや、そもそれは
時間逆行、超自然的復元能力など様々な技術が集まるがため、設備面はそこから立て直しつつあるが、それでも人的被害は今なお尾を引いている。
そしてそれより前、彼らの先遣隊と出くわした群青もまた、その遭遇戦において絶望的な敗北感を植え付けられた一人だ。
「……ま、何はともあれ、無事にこの学園に戻ってくれて良かった」
「いえッ、諸龍騎がたに比して、無様な生き恥をさらしております! 新たにモンスターと契約次第、汚名返上がため、再び前線に復帰したく!」
「いやいや、そんな君にこそ、実は頼みたいことがある」
強めの謙遜と共に、ファイズフォンがごとく身体を畳むようにした彼の横に、青ウォズは歩み寄った。
「は、なんでしょうか」
そして下げたままの群青の頭に唇を寄せ、囁くように
「この学園に、裏切者がいる」
と告げた。
群青は、心臓を掴まれたような心地で見返した。