学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~   作:大島海峡

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4.

 その推しのパン屋『アッカンベーカリー』のシャッターは、閉ざされていた。

「あれっ……今日、休みじゃないはずなんだけどなぁ」

 首を傾げた六鹿に、その場を通りがかった住民が声をかけた。

「あぁ、なんか店長がね。この間から行方不明になっててさ」

 と、表情を陰らせつつ。

「そこの兄ちゃんも、良く見回りとかしてくれてんだけどねぇ。なんか他にも似たようなことが起こってるっていうし……これも、なんかディサイダー、みたいなのと関係あるのかい?」

 と、少し離れたところに立ち尽くす、群青に問うた。

 

「へぇ――そうなんだ」

 シャッターの前に屈みこんだ六鹿が、その眼を気持ち眇めた。

 

 顔をわずかに強張らせた群青の五感は、別のものを感じ取っていた。いや、幻を作り出していた。

 シャッターの隙間から、漏れ出る赤い血。むせ返る鉄の臭いは鼻孔を通り、喉を焼く。

 頭の中に、鏡面を爪で掻くような異音が響く。

 

「今、何を、感じている?」

 その六鹿の声で、群青は我に返った。

 どれほど、幻に囚われていたのか。気づけば通行人はもちろんのこと、その六鹿の、ターゲットの姿が、忽然と消えていた。

 

「ど、どこに行った!?」

 焦燥感に衝き動かされるまま、彼は路地を駆け摺り、四方を見渡す。

 撒かれたか、と。良いようにあしらわれた悔しさと、

「まさか……いや、そんな……」

 漠然とした恐怖とが、この硬骨の男を支配していた。

 

 やがて袋小路に至った彼の前に、逃げ場のないほどのオーロラの壁が迫り、そして押し当てられる。

 

 咄嗟に目を閉じた群青だったが、気が付いた時にはまったく別の場所に、孤立していた。

 それは、どこかの大規模な会場の跡地だったのだろうか。

 

 高い天井の先で割れた電灯が明滅を繰り返し、粉砕されたコンクリートや硝子片。椅子や机の残骸が、無造作に散らばっていた。

 

「――俺の動向なんざ、学園長も青ウォズさんも、とうにご承知のことさ」

 そんな薄暗がりの中で、朗々と若い男の声が響き渡る。誰何するまでもない。つい先まで行動を共にしていた、楔引六鹿のものだった。

 

「だって、俺らの勝手を容認しているのはあの人たちだからな。働きへの見返りと、本当の役割を悟られないための隠れ蓑として」

 だが声色は、ふざけた様子はまるでなく、低く落ち込んでいる。

 まるでその調子は――地獄からの使者の如く。

「どこだ!? どこに隠れた!?」

 群青は首を左右に振り回し、その影を追った。

 

「そんな俺を探れって命令(コト)はさ――『こいつは学園の敵だから、排除しろ』って、俺自身への指令なんだよ」

 だが探るまでもなく、彼は正面から歩み寄ってきていた。

 

 

 

 

「てか、お前だよね? ディサイダーズと通じて奴らを学園へ手引きした、裏切者ってのは」

 憐れむような、目付きと共に。

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