学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~ 作:大島海峡
それから程なくして、学園長室。
学園の中でもごく限られた教員、生徒しか場所を知られていないその居所で、楔引六鹿は復命に来ていた。
「……この
背を向け、
「宿木群青が敵に寝返ったのは、それこそ最初の偵察任務中。ジョージ
鋭く冷ややかな学園長の横顔に気づき、ウォズは咳払い。表情を公人として引きしめて、六鹿と向き直った。
「ともかく、君のおかげでレイドラグーンの増殖は食い止められ、被害は少なく済んだ。あらためてご苦労だった、楔引くん」
「早めに動いてくれたのなら、もっと少なく済みましたけどね」
一方、扉にもたれかかる六鹿は、シニカルに返した。
ウォズは、肩をすくめた。
「仕方がないさ。裏の取れない内は動けなかったんだ。それに……もし学園長がすべてを見通すほどの完璧な存在だったら、まずこんな学園は作らないよ」
口ぶりこそ穏やかだったが、旧主に冷ややかで辛辣な態度が、そこからは見て取れる。
「だが、これで終わりではないだろう。不穏の火種は、未だ学園の内外に燻っている。引き続き、君の方も警戒だけは怠らないようお願いしたい」
「へいへい」
だからこの話は終わりだと、有無を言わせない調子でウォズは言った。
あの後、捕らえた宿木群青はどうなったのか。どういう処分を受けたのか。
それすらも、考えたところで詮の無いことだった。
「特別手当だ。何か欲しいものがあれば、忌憚なく言って欲しい」
そう学園長が話の腰を折り、対して六鹿は悩ましげに頬に掌を当てつつ、
「迂闊なもん頼むと余計な貸し作りそうで怖いなあ」
と警戒を示す。
だが、無下に断るわけにもいかない。少し考えた末、
「あ。そだ」
ふと思いついて、人差し指を立てた六鹿は、とぼけた調子で答えた。
「『アッカンベーカリー』のカレーパン、山ほど喰いたい」
と。
そうねだることの意味、要望を汲んだ青ウォズは、鼻白んだ様子で学園長に目線を投げた。
その可否を、委ねるべく。
ずっと背を向けていた学園長は、そこでようやく横顔を傾け、かっとその眼を見開いた。