学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~   作:大島海峡

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7.

 それから程なくして、学園長室。

 学園の中でもごく限られた教員、生徒しか場所を知られていないその居所で、楔引六鹿は復命に来ていた。

 

「……この調査結果(ホン)によると」

 背を向け、(モニター)越しに、生徒たちの様子を眺める学園長に代わり、その傍らの青ウォズが口を開いた。

 

「宿木群青が敵に寝返ったのは、それこそ最初の偵察任務中。ジョージ狩崎(カリザキ)こと、ライジングジュウガに敗れドラグレッダーを失った彼は、直後に脅されてシアゴーストと契約を結ばされた。そのエネルギーを供給する見返りとして、学園世界の座標や内部情報を伝えた。だが襲撃後は用済みと見なされ、それも断たれ、ついには人間を……といったところだ。口封じと破壊工作を兼ねた、実に合理的で上手い手だよ……いや、失敬」

 

 鋭く冷ややかな学園長の横顔に気づき、ウォズは咳払い。表情を公人として引きしめて、六鹿と向き直った。

 

「ともかく、君のおかげでレイドラグーンの増殖は食い止められ、被害は少なく済んだ。あらためてご苦労だった、楔引くん」

「早めに動いてくれたのなら、もっと少なく済みましたけどね」

 

 一方、扉にもたれかかる六鹿は、シニカルに返した。

 ウォズは、肩をすくめた。

 

「仕方がないさ。裏の取れない内は動けなかったんだ。それに……もし学園長がすべてを見通すほどの完璧な存在だったら、まずこんな学園は作らないよ」

 口ぶりこそ穏やかだったが、旧主に冷ややかで辛辣な態度が、そこからは見て取れる。

 

「だが、これで終わりではないだろう。不穏の火種は、未だ学園の内外に燻っている。引き続き、君の方も警戒だけは怠らないようお願いしたい」

「へいへい」

 

 だからこの話は終わりだと、有無を言わせない調子でウォズは言った。

 あの後、捕らえた宿木群青はどうなったのか。どういう処分を受けたのか。

 それすらも、考えたところで詮の無いことだった。

 

「特別手当だ。何か欲しいものがあれば、忌憚なく言って欲しい」

 

 そう学園長が話の腰を折り、対して六鹿は悩ましげに頬に掌を当てつつ、

「迂闊なもん頼むと余計な貸し作りそうで怖いなあ」

 と警戒を示す。

 だが、無下に断るわけにもいかない。少し考えた末、

「あ。そだ」

 ふと思いついて、人差し指を立てた六鹿は、とぼけた調子で答えた。

 

「『アッカンベーカリー』のカレーパン、山ほど喰いたい」

 と。

 

 そうねだることの意味、要望を汲んだ青ウォズは、鼻白んだ様子で学園長に目線を投げた。

 その可否を、委ねるべく。

 

 ずっと背を向けていた学園長は、そこでようやく横顔を傾け、かっとその眼を見開いた。

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