学園仮面ライダー ダークサイド 〜ディアブロス~ 作:大島海峡
旧体育倉庫。ヴァニタスのアジトの一つ。
そこで、一人の少年が、切羽詰まった表情で、テーブルの上に置かれたものを見つめていた。
――デザグラ科、二年。
普段は己のゲーム作りに没頭し、俗世のあれこれには関心を示さない彼が、険しい表情を見せている。
そして置かれたものとは、化野の唯一の釣果。マヨネーズであり、それを前にして、彼の腹の音が盛大に鳴った。
おもむろに掴むとキャップを開け、吸い付かんとした。
「止めろ、
化野がその手を止めた。
「僕は……神だ! この程度の脂分……問題なく我が糧としてくれる!」
「お前の才能は神でも、お前自身は神では無い。腹を下すだけだ」
ふざけた状況にも大真面目に嗜めつつ、『止めるのを手伝え』と、険しい表情で背後に控える一同を顧みた。
「嫌よ、お断り」
いち早く
真っ先にその視線の意図に気づいたのは、ラウズカード科三年、
「だったらよ、何処までイケんのか、見届けてやろうぜ」
などと囃し立てる。
「どうでも良いが、直接口つけんのは止めろ。俺らが使えなくなって、また買いに行くことになるだろうが」
などと、ライドウォッチ科の
「もむもむもむ」
声にならない声を発したのは、ガシャット科一年、
『これは自分が買ってきたんで、あげないス』
といったところらしい。
「すまないな、黎斗……せめてサーモンぐらいは釣れていれば、こんな思いをさせずに済んだのに」
端正な顔をひょっとこ顔に歪めて唇をすぼめて伸ばす黎斗。その背後に回り込んだ化野は、そのまま首を絞め落とさんとした。
「やっほー」
そこに、彼らのリーダーが戻ってきた。
紙袋を小脇に抱えた楔引六鹿が、手を挙げながら入って来たのを見て、一同の視線が注がれる。
その紙袋には、彼の一押しのパン屋『アッカンベーカリー』のロゴマーク。そしてあふれ出んばかりの、山盛りのカレーパンが詰められていた。
自らが持ったそれを横目に見つつ、
「イヤミのつもりだったんだけどなぁ……いや、分かっててやったな」
何故だか呆れたように嘆息した。
「ほう、殊勝だな。これが捧げものというわけか。遅れたことについては、不問としてやろう」
化野の腕を軟体動物的にすり抜けた黎斗が、余裕の笑みを取り戻して腕組した。
「ん、あーそうだったね。ほら、クロちゃんご飯ですよー」
と、その彼の大きく開かれた口に、六鹿は、カレーパンを放り投げた。
「六鹿、黎斗に甘すぎでしょ」
「いや、むしろペットか子ども扱いじゃね? つか、オレにもくれよ」
「あ、じゃああたしも」
「んぐ……じゃ、自分もゴチになるス」
「お前はさっき食ったばっかだろうが」
などとそれぞれに寄り集まるメンバーに、六鹿は手ずから袋の中身を手渡していった。
そして、存外に数の少なくなった残りを、自分と、
「ほい、キューちゃんも」
化野とで分け合う。
「俺はライフエナジーで十分ですけど」
「吸わせないけど」
「分かってますとも……えぇ、はい。ですが、他の皆を代表して」
苦笑と共に、化野はカレーパンを受け取った。そしてそれをじっと見つめてから踵を揃えて六鹿と向き合い、
「お疲れ様です、ボス」
と、噛みしめるように労いの言葉を捧げた。
「おう」
六鹿は、自らのカレーパンを持ちつつ、屈託のない笑みを返したのだった。
俺の本当にやりたかった『学園仮面ライダー』(唐突)
その枠組みが、大体こんな感じの話でした。
それをようやく吐き出せてスッキリしましたので、今度こそちゃんとオーズを完結まで導いていきたいと思います。というかどっちかと言えばそっちが本命なのに、皆々様におかれては長らくお待たせして申し訳ない限りです。
それでは、またその作品でも、あるいはまた別の方向でも。