冥王流を世界最強に   作:卵掛け丼

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初めまして。卵かけ丼です。
見てわかるとおり、ど素人の作品です。
違和感や、読みづらい点、多々あると思いますが、
温かい目でお付き合いいただけたら幸いです。



学戦都市3

クローディアはふと手を打って言った。

 

「そうそう、大切な連絡事項を忘れるところでした」

 

彼女の声に綾斗と雄が顔を向ける。

 

「我が学園の特待生には各種費用の免除のほかに、いくつか特権がございます。その一つが、純正煌式武装の使用に関する優先権です」

 

「それって……あの特別なマナダイトを使ってるってやつ?」

 

綾斗が少し身を乗り出すようにして聞いた。

 

「ええ。ウルム=マナダイトですね」

 

クローディアの説明に、綾斗は興味深げに目を細めた。

 

"落星雨"によって地球に落ちてきた隕石は、万応素と呼ばれる未知の元素と、マナダイトと呼ばれる特別な鉱石をもたらした。マナダイトは万応素が結晶化したものとされている。そして、その中でも極めて純度の高い結晶が"ウルム=マナダイト"だ。それをコアに用いた武装が、"純正煌式武装"と呼ばれている

 

「もちろん強制ではありません。中には副作用、私たちはそれを“代償”と呼んでいますが、それが必要な場合もございますので。使用を希望されますか?」

 

「確か適合率とかあるんだよね」

 

「はい、それが最も重要なファクターです。我が学園の基準は八〇%。それを下回る場合、ご希望の武装があっても貸与はできません」

 

「ふーん……」

 

綾斗はあまり乗り気ではない様子で、肩をすくめた。クローディアは一瞬表情を曇らせる。

 

「どうかしたのか?」

 

雄が声をかけると、クローディアは少し躊躇ってから口を開いた。

 

「……実は、まだ確証は取れていないのですが、純正煌式武装の貸与記録に少し不審な点がありまして」

 

「不審な点?」

 

「はい。ある純正煌式武装について、貸与記録が残っていないにもかかわらず、実戦データだけが残されていたのです」

 

「つまり、誰かが無断で持ち出したか、記録を改ざんした……ってこと?」

 

「可能性としては後者のほうが高いです。貸与記録は装備局のコンピューターに保存されていますが、実戦データはウルム=マナダイト自体に記録される仕様です。あれは未だ未知の部分も多く、手が加えられなかったのかもしれません」

 

「その実践データっていつ頃のなの?」

 

「五年前です」

 

「……なるほどね。そういうことなら見せてもらえる?」

 

「了解しました。詳細は追って連絡いたします。それまではこちらをお使いください」

 

そう言ってクローディアが差し出したのは、煌式武装の発動体だった。

 

「オーソドックスなブレード型の煌式武装です。あなたに合わせて最低限のセッティングはしてあります。調整が必要なら装備局へ」

 

「ありがとう」

 

クローディアはうなずき、次に雄を見た。

 

「次は雄の番ですね」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

「え?どういうこと?」

 

綾斗は目を丸くしていた。

 

「雄が腰に下げているそれは、純正煌式武装ですよ」

 

「ええっ!?」

 

綾斗が思わず声を上げる。

 

「先ほど申し上げたとおり、純正煌式武装は基本的に学園が管理しています。ただし例外もございます。例えば、星武祭での優勝により所有権を得るなど……。雄の“封牙”は、そのようにして桐ケ谷家に渡った純正煌式武装です」

 

「なるほど、確かにさっきのと比べても、ものすごいオーラを感じるよ……」

 

綾斗は先ほど借り受けた煌式武装を見比べながらつぶやいた。

 

クローディアは静かに頷きながら、穏やかな声で切り出した。

 

「所有者はもちろん雄のままで問題ないのですが、学園側として再度登録する必要があります。星武祭に出場するにはね」

 

「だろうな。管理が徹底してるって話を聞いてたし、なんとなく察してたよ」

 

雄の返答に、クローディアは軽く微笑みながら続けた。

 

「ですので、あなたの純正煌式武装――封牙を登録しますので、一時的にお預かりしてもよろしいですか?」

 

「構わないよ。ただし……鞘からは出てきてくれないと思うけどね」

 

その言葉に、クローディアの目が一瞬だけ鋭さを帯びるが、すぐに柔らかな笑みに戻る。

 

「構いません。明日には返納できるよう手配いたしますので、それについても追ってご連絡いたします」

 

「了解」

 

クローディアは次の確認をためらいなく口にする。

 

「あなたも代わりの煌式武装が必要ですか?」

 

「いや、俺は必要ない」

 

きっぱりとした雄の言葉に、クローディアの唇がわずかに緩んだ。

 

「ふふ、そうでしょうね」

 

そのやりとりを聞いていた綾斗が、首を傾げながら尋ねる。

 

「剣士なのに必要ないの?」

 

「それについてはまた後で。そのうち見せる機会もあるだろうし」

 

「そうなんだ。じゃあその時に見せてもらおうかな」

 

ふと綾斗の表情が変わり、思い出したように声を上げた。

 

「ところで、一つ思い出したんだけど……」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「最後の転入手続きっていうのは?」

 

クローディアは、まるでそれを待っていたかのように、優雅に頷く。

 

「ああ、そのことですか。それは……嘘です」

 

「嘘?」

 

雄の驚いた声に、クローディアはすぐに続けた。

 

「方便とも言いますね」

 

「あなた方はとっくに我が学園の正式な一員です。手続きなんて、なーんにも残っていません。ですが、あの場を収めるには一番効率的だったのです。ユリスはあれで根が真面目ですから。ルールを破ってまで決闘を続けることはしないと分かっていました」

 

「なるほどね。さすが生徒会長だな」

 

雄の素直な感嘆に、クローディアは少しだけ得意げに目を細めた。

 

「お褒めにあずかり光栄です」

 

綾斗が息をつきながら、静かに言葉を漏らした。

 

「本当に助かったよ。あのままだったら、負けてたから」

 

「本当にそうでしょうか?」

 

クローディアの瞳が綾斗をじっと見つめる。その視線に、綾斗は思わず目を逸らしかけたが、何かを感じ取って踏みとどまった。

 

その瞬間、校内にチャイムの音が鳴り響く。

 

「そろそろお時間ですね。それでは、また後ほど」

 

クローディアが一礼し、二人を送り出す。

 

雄と綾斗は静かに生徒会室を後にし、並んで教室へ向かって歩き出した。

 

扉が閉まる直前、クローディアは誰にも聞こえない声で、そっと呟いた。

 

「やっと……お会いできました」

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