□■アルター王国-レジェンダリア国境地帯・山林
躍り出ると同時に繰り出された巨腕をあなたは幅広の刀身で受け止めた。
とても生身の拳とは思えぬ硬質な衝突音。その威力に大きく
が、その代償は大きく大剣の刃は毀れ、重心にも歪みが生じてしまっていた。
武器破壊には及ばないとはいえ戦闘に堪え得る状態とは言えず、鍛冶師に調整し直してもらう必要があるだろう。
攻撃力に割り振っているとはいえ
続けざまに放たれる拳の連撃を大剣で凌ぎながらあなたは観察を続ける。
《看破》で顕わになった【ゴラムドラム】のステータス傾向はHPが約六〇万、STRとENDが共に一万の大台を突破しAGIは精々亜音速程度。
見た目通りのフィジカル特化ステータス、伝説級モンスターの中でも上澄みに位置する領域で、逸話級<UBM>としても相当にポテンシャルが高いことが伺えた。
しかし特筆すべきは今尚
攻撃の合間に挟まれるドラミング動作によって、任意のステータス強化が
その名を《
ステータス強化の上限値がどれほどなのかは不明だが、それを把握する前にあなたの手に負えなくなるだろう。
まるで
結論、分が悪い。
なのであなたは逃げることにした。
「ギニャッ!? アニキ、何を――」
乱暴に回収したアイルへ詫びる間も惜しく、一言「鼻を塞げ」とだけ指示を飛ばしたあなたは【アイテムボックス】からあるものを放り投げた。
それに気付いた【ゴラムドラム】は余裕の表情で回避するが、甘い。
投擲されたソレは中空で自ら破裂すると、広範囲に渡って土気色をした煙幕を噴き出す。
『GYA!? GUE、OEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!??!?』
「ギニャアアアアアアアアアアア!!!????」
効果は覿面、その煙幕を浴びた【ゴラムドラム】とその配下達、そしてうっかり少しだけ嗅いでしまったアイルが鼻を押さえて悶絶する。
これぞあなたが知り合いから手に入れた対生物用緊急避難アイテム、【こやし玉】である。
卓越した【高位調香師】謹製のこれは一嗅ぎするだけで悶絶必至の臭気を放ち、通常の感覚器官を持つ生物であれば間違いなく戦闘不能に陥るという悪魔の兵器だ。
先んじて防護マスクを装着していたあなたにその臭気は届いていないが、見ているだけで吐き気を催しそうな惨状である。最早光景が臭いとすら言えた。
あなたとしても決して使いたくはなかった……染み付いた匂いは一晩は残り続ける上に、シンプルに臭すぎるために食欲減退どころの話ではない。美食のためにプレイしているあなたにとっても苦渋の決断だった。
あなたは悶絶するアイルを抱えて亜音速で戦場を離脱した。
猛烈な激臭に高速移動の揺れが加わり顔を蒼くするアイルだったが、残った理性でその吐き気を耐えて
つくづく状況判断の出来た少年である。あなたは内心で感心しながら群れから距離を取り、戦闘を仕切り直すことに成功した。
◇
前準備がいるな、とあなたは専用の【消臭剤】を振り掛けながら呟いた。
今頃猿達は思わぬ反撃に怒り心頭でいることだろう。だが今しばらくの時を稼ぐことには成功した。
【こやし玉】で鼻は死に、染み付いた激臭は風向き次第だが接近を報せてくれる。
一方でこちらは一時的に無臭化したため、猿達の死んだ鼻であなた達を補足するのは相当に困難だ。
あの手の魔獣系モンスターの多くは視覚や聴覚と同等以上に嗅覚にも知覚を依存している。配下を手分けしてこちらを探すにしても効率は大幅に落ちるだろう。
猶予があるうちに準備を終える必要がある、とあなたは告げた。
「準備……逃げる準備ですニャ?」
――無論、
あなたは兜の奥で常ならぬ獰猛な笑みを浮かべて答えた。
早々遭遇できるものではない<UBM>の討伐チャンス、それをみすみす見逃すあなたではない。
その下心が半分と、もう半分はこのまま逃げても本来の目的は未達成に終わるのもある。
「ニャアン……それもそうですニャ、きっとあのお猿さんたちのせいで【デミドラグタイガー】も住処を追われたんですニャ」
モンスターの大移動による生息環境の変貌。このゲームではままある現象だ。
果たして如何なる理由で猿達が密林を追われたのか……その理由はあなたにはわからないが、悲しいかな原因となり得る事象の数々には心当たりしかない。
レジェンダリアでは日常茶飯事なのだ。特殊な環境もそうだが、いろいろとやらかしかねない人物が多すぎるせいで。
ともあれ悲観することはない。十分に勝ち筋は見えている、とあなたは自信を持って告げた。
腐ってもあなたは戦闘系超級職、たかだか成り立ての逸話級<UBM>相手に遅れを取るような存在ではない。
「ふおおおおおおお、さすがはアニキですニャ! して、どうするおつもりですニャ?」
――なので飯にしよう。
ずっこけるアイルを他所にあなたは携帯食料を齧りながら答えた。
「のんきにご飯を食べてる場合ですニャー!? ていうかボク、まだあの匂いが残ってる気がしてとてもじゃないけど食べる気になれませんニャ!!」
せやろな、だからこそ使いたくない切り札だったのだし。
しかしあなたはまったく冗談の色を浮かべず、心底本気で食事を必要としていた。
三食欠かさず摂取していたあなただったが、彼と食卓を囲んだ前日の夕飯と今日の朝食はあくまで
なので食事が必要である。それも早急に、より効力が高いメニューが。
そう決断したあなたの
黒檀色をしたシックな装いの飾り扉には『OPEN』の掛札が吊られ、自ずから開かれていく。
扉の向こうに広がる光景は、品の良いテーブル席が一つと、調理器具の数々が並ぶ充実したシステムキッチン。
それらを内包した小洒落た洋装の食事空間で、白エプロンに
「ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらの席におかけください」
「ニャ……!?」
思わぬ光景に目を丸くするアイルを促して、料理人――【ニスロク】の引いた椅子に腰掛ける。
「ご注文は?」
強化値重視であること。
すぐに提供できること。
そして
「お連れ様は如何なさいますか?」
「ボ、ボクですニャ? えーとえーと……」
「当店にメニューはございません。お申し付けくだされば大抵のものはご提供できますが……わたくしめにお任せいただくこともできますよ」
「じゃ、じゃあそれでお願いしますニャ……?」
「承りました。それでは今しばらくお待ちくださいませ」
注文を受け取ったニスロクが厨房へ戻ると、彼女はそのまま風になって調理を開始した。
残像すら見えるハイスピードはほぼ超音速の領域に達し、かつ名店の【料理人】もかくやの技量で数々の料理を作り上げていく。
そうして五分もしないうちにメニューは出来上がり、見るからに食欲を唆る一皿の数々が食卓へ並べられた。
「お急ぎとのことなので説明は割愛させていただきます。また今暫くのお暇をいただきますので、お食事を終え次第休業となりますことをご了承くださいませ」
それではお食事をお楽しみください――そう言い残してニスロクは消えた。
ごゆっくり、と添えなかったのは
あなたとしてもゆっくりと味わう暇も無いのは残念だったが、料理の味そのものは格別である。
さぁ食べよう、とカトラリーを手に食事を始めたあなたに釣られ、アイルもまだ戸惑いを隠せないながらも提供された料理をおずおずと口に運んだ。
「――ッ!?」
――途端、衝撃を受けて言葉を失った。
口内に収まり、味蕾を通じて駆け抜ける圧倒的味覚の奔流。
彼がこれまでに食べてきた料理のどれよりも上回る、最早暴力的とすら言える常識を塗り替える美味。
その味を表す言葉が見つからず、ただ貪るようにして食べるアイルに「美味いか?」の声。
コクコクと何度も頷いて再び食事に没頭する彼に、あなたは満足そうに頷いた。
――客人を招いたのは久々だが、猫妖精族の舌にも合ったようで何よりだ。
あなたはいつの間にか仕立ての良いフォーマルなスーツ姿に《着衣交換》していた。
【美食王】のイメージに相応しいドレスコードで、品良くカトラリーを駆使して食事を進めている。
堂に入った所作は一朝一夕で身についたようなものではなく、あなたがこれらの美食に相応しい熟練の食通であることを言外に示していた。
あなたの<エンブリオ>、【妖食屋 ニスロク】。到達形態はⅥ。
TYPE:ガードナー・キャッスルに属し、亜空間に存在する小さな
その能力は銘やモチーフとなった悪魔の名前そのままに「美味しい料理を作る」ことに特化している。
あなたはずば抜けた舌を持つ食通である。古今東西の美食に造詣が深く、一度味わったものは決して忘れない。
そして【ニスロク】が保有する《料理》スキルは、そんなあなたの味覚に相応しい技量を持つ。それこそ超級職にも劣らぬ程に。
加えてキャッスルとしての特性で料理技術そのものにも強力なバフが掛かり、ニスロクの提供する一皿は魔性の如き美味を誇る。
一方でニスロク自身は一切の戦闘能力を持たず、ガードナーとしての役目は果たせない。
また食事目的以外での滞在を許さず、避難所としても機能しないためキャッスルとしても役に立たない。
店への入口となる扉は今も外界に存在したままで、もし外部からの攻撃を受ければ即座に放り出されてしまうだろう。
だからこそ時間を稼ぐ必要があった。そのうえで必殺スキル――【
通常の調理工程――火入れや熟成等、調理に擁する物理的制限――をある程度無視し、通常調理では不可能な効果を持つ特殊料理を制作できるがその代償にはバラつきがある。
だがそうするだけの価値は大いにあった。
あなたの全身に活力が漲り、圧倒的な
「ニ゙ャーーーーッ!! なんだか元気がモリモリ湧いてきたニャ! 負ける気がしねーニャ!!」
同じく完食したアイルが目に見えてハイになりながら拳を振り上げた。
想定外の<UBM>との遭遇で萎縮していたので向精神作用と【恐怖】耐性を始めとする精神系耐性料理を供されていたが、常識外の美味と合わさってテンションが暴走しているらしい。
まぁ害は無いようだからいいか、とあなたは脇に置いていざ出陣した。
――さぁ、狩りの時間だ。
◇
一方【ゴラムドラム】率いる【ビート・コング】の群れは、激臭の煙幕から脱出するも無惨な有り様となっていた。
主要感覚器官の一つである嗅覚は完全に麻痺し、体臭を媒介としたコミュニケーションが遮断されてしまっている。
自然界には存在しない精製された悪意的なまでの悪臭は単なる感覚麻痺のみに留まらず、あまりの臭さにコンディションは不調そのもの。
悪影響は全体の士気にまで及び、配下達の戦意は喪失しかけていた。
しかし長たる【ゴラムドラム】はそうではない。彼は今怒り心頭に達していた。
激怒のドラミング音を鳴らして群れを一喝すると、及び腰だった猿達の表情に戦意が再び湧き上がる。
士気高揚のビート。【ゴラムドラム】の怒りに呼応したように鼻息を荒くするも瞬く間に統率を取り戻していった。
【ゴラムドラム】には使命があった。群れを新天地に導くという大いなる使命だ。
かつての楽園であった密林は、恐るべき
レジェンダリアでは落ち目の群れに再起はありえない。
しかし、だからといって唯々諾々と滅びを受け入れられるほど諦めが良くないのも生命というもの。
長たる【シルバーバック・ビートコング】だった彼に率いられた群れは少なくない犠牲を払いながらも住処を離れ、レジェンダリアへの外へと進み続け――その最中で■■■■■を宿し、適合したために<UBM>と化した。
<UBM>と化した彼が手に入れたのは強靭な肉体と、より強力になったスキル。
同種間でのコミュニケーション兼戦力強化のための全体強化スキル、《エンハンス・ビート》。
それに加えて、より強力なバフ効果を自身に齎す
仕様上相容れない全体強化と単体強化の併用と、バフ効果の累積。付与術師系統垂涎の特権こそが【ゴラムドラム】が新たに得た可能性。
群れさえ取り戻せばかつて以上の栄華を勝ち取れるだろう力。
だからこそ彼はなんとしても外敵を葬らねばならなかった。
王国とレジェンダリアの境に位置する山林地帯。
妖精郷ほど自然魔力は充溢していないが、王国ほど乏しくもない。
植生もかつてほどではないが生きていける程度には充実し、かつ外敵も少ない。
先住していた
雑食性でもある彼らは今度は自らが捕食者となって先住者を追いやり、ここにようやく新天地を得たのだ。
だからこそ守り通さねばならない。群れと、新たな楽園を。
そのために常以上に攻撃的となった【ゴラムドラム】はなんとしても外敵を排除せよと群れへ通達し、自ら配下を率いて追撃を開始した。
匂いは辿れないが群れという数の利がある。
群れを幾つかの分隊に分け、ドラミング音で意思疎通し、高度な連携を取りながら標的を探し回る。
エリア一帯の代表的な捕食者であった【デミドラグタイガー】に代わり新たな支配者となった猿達の、山狩りの如き打音がこだまする包囲網に、その他のモンスター達はじっと息を潜めて姿を隠した。
そうして捜索を続けるうち、四半刻もした頃に『標的発見』のドラミング音が鳴る。
――が、即座にそれは鳴り止み、奇妙な沈黙が瞬時横たわった。
――やられたか。
【ゴラムドラム】は察するも、哀悼を激昂に変えて雄叫び突撃を開始した。
荒ぶる群れを率いて猛進し、外敵排除の音色を群れ全体で奏でながら、物見の示した地点へ駆けつけ――
――
前方の木陰から躍り出た
あなたが振り上げた見るからに重量のありそうな剣呑そのものの鉄塊の槌頭。
最初の会敵の焼き直しのような光景。
しかし違うのは、先のそれとは違って目の前の
『GRUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!』
高水準なフィジカルステータスに加え、全体・単体バフの双方を重ねて最上位純竜級レベルにまで強化された【ゴラムドラム】のENDをぶち抜き、【骨折】にまで追いやる馬鹿げた威力。
先に見えた時とはまるで別物の力に怖気が過るも、自らを奮い立たせて【ゴラムドラム】は吼え、折れた腕で
――やっぱりタフな生物系に打撃は相性が悪いな。
一撃で大ダメージを与えたあなたは、有利に反して不満げにそう思った。
初見時に大剣を損傷していなければ今の一撃で腕を落とし、もっと楽に事を運べたものを。
痛覚機能をオフにできる<マスター>とは違い、猛烈な痛みがあるだろうに尚も毅然と立ち向かいバフを重ねる【ゴラムドラム】にあなたは内心で感嘆するも、しかし殺意はそのままに再び大鎚を振りかぶる。
――生憎だが、まだ
二度目の打撃。避けるには距離が近すぎ、また速すぎるそれを【ゴラムドラム】は再び受け止め――今度は腕が拉げた。
全身を突き抜ける衝撃に意識が飛びかけ、僅かに繋いだ意識で防御行動を取るもそれが意味をなさない程に浴びせられる連撃は尽くが
モンスターとしてのフィジカルに優れ、バフスキルを特性とする典型的な純粋性能型である【ゴラムドラム】が手も足も出ずに防戦一方。
その困惑の意思をあなたが察したなら、あなたはきっとこう言って返しただろう。
美味い飯を食べた俺は、めちゃくちゃ強い――と。
意気込みや冗談などではなく、正真正銘その通りだった。
何故ならあなたは【
戦士系統から派生する下級職【
【食戦士】は特殊効果を持つ料理との相性が良い戦士系ジョブである。
その上位職には正当発展型にして
共に《食事効果増大》と《食事効果時間延長》の固有スキルを持つが、前者が
そしてあなたの<エンブリオ>は、
前述した特性を踏まえ、レベルEXに達したあなたの《食事効果増大》と併せれば――短時間限定ではあるが指定したステータスを
純粋戦闘型超級職の、それも前衛型が持つステータスを、数倍。
即ち今のあなたは【竜王】にも匹敵――あるいは凌駕する暴力の化身であった。
『~~~~ッッ!!??』
HP以外の【ゴラムドラム】のステータスを遥かに超える暴力からなる重連打。
一転して窮地に陥った【ゴラムドラム】だが、本来であればここまで劣勢に回ることはなかった。
何故なら彼もまたあなたとは違う形ではあるが強化効果に特化した<UBM>、バフを重ね掛けすればいずれ対抗し得るまでにステータスを引き上げられる可能性はあった。
しかし彼の強化効果には一つの欠点がある。
それは強化に際してドラミングというアクションを要すること。
また一度【こやし玉】によって戦場をリセットされ、その
【ゴラムドラム】は強力な統率者だった。
群れを率いる長としての資格に恵まれた、恐るべき指揮官でもあった。
しかしそれは群れが十全に機能していればの話であり――数を減らした群れを守るために先頭に立つしかなかった今の彼では、その本領を発揮するにはあまりに不都合が多かった。
『GRRRRR……GOAU!!』
『GAAAAAAAAAAAAA――GYA!?』
しかし依然として数の有利は猿達にある。
配下の【ビート・コング】があなたの攻撃を逸らそうと四方から襲いかかって攻め手を鈍らせ、残る戦力で長の救出に入ろうと動くが……その出だしを足元に敷かれた
「ニャッハー! 足元がお留守ニャー!!」
最大戦力二名が織り成す激闘。
それに猿達が意識を取られているうちに忍び寄ったアイルの設置した罠の数々が猿達を足止めする。
ある罠は地表を泥化させて足を引き、ある罠は装填された毒薬で獲物を【麻痺】させる。
あるいは強靭な
「ボクだってお役に立ちますニャ! アニキー! やっちゃってくださいニャー!!」
――よーし、いっちょホームランいってみっか!
アイルの声援にあなたはそう奮い起ち、万力を込めて鉄鎚を構えた。
大剣や鈍器などの大型武器には、
そして派生系とはいえ戦士系統に属する【美食王】は、それらの武器種にも当然精通している。
本家ほどのスキルレベル上限ではないが、それでも長年使い込んだ武器種でもある
元々攻撃力に優れた武器種であるハンマー。磨き抜かれた武器補正。そこに加わるチャージ補正と――今のあなたの数万に及ぶ
【ゴラムドラム】は度重なる打撃に
しかし、できない。それを実行するにはあまりに足へダメージを負いすぎたし……そもそも両の脚の骨も折れている。
赤子のような歩みでしか動けない今、繰り出される一撃を躱すにはあまりに鈍重が過ぎ――
轟――――ッ!!
風、と呼ぶにもあまりに暴力的すぎる余波。
バネ仕掛けを解き放つような勢いで掬い上げられた渾身のアッパースイングが【ゴラムドラム】の胴を叩き、これまでのどれよりも響き渡る快音を鳴らして彼を打ち上げた。
そうして【ゴラムドラム】は空の星となり――
【<UBM>【剛力大猩 ゴラムドラム】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ゆうた】がMVPに選出されました】
【【ゆうた】にMVP特典【剛力銅鑼 ゴラムドラム】を贈与します】
――そのアナウンスが決着の合図となった。
・【美食王】ゆうた
本作の主人公。
美味い飯を食ってたら美味い飯を作れる<エンブリオ>が発現して、食べるだけだと健康に悪いから【戦士】についたらトントン拍子に就職条件を満たして【美食王】になったエンジョイプレイヤー。
<エンブリオ>といい戦闘スタイルといい名前といい、「おまえそれで狙ってないは無理があるだろ!」と総ツッコミを受けたが、本人はマジでモ◯ハンを知らない。そもそもアクションゲームは苦手でRPG派。でもデンドロとの相性は良かったようでかなり適正が高い。
(・3・)<ネームの由来は本名のひらがな表記。遊んだRPGに毎回付けてたのをそのまま流用。
(・3・)<本来の戦闘スタイルは獲物を事前に調査してから、それに適した料理を食べてから戦いに挑むモン◯ンスタイル。
(・3・)<なのでよーいドンで始まる決闘や突発的な遭遇戦はすごく苦手だけど、一度逃げ延びて再戦したときはめちゃくちゃ強い。
(・3・)<だから逃走用のアイテムはいろいろ持ってる。
(・3・)<ちなみに舌のセンスは自前。
・【妖食屋 ニスロク】
TYPE:ガードナー・キャッスル 到達形態:Ⅵ
紋章:“コック帽を被った小悪魔”
能力特性:調理
スキル:《料理》等
必殺スキル:《悪魔の食卓》
モチーフ:ベルゼブブの専属料理人にして美味による誘惑と食卓の楽しみの権威者"ニスロク"
亜空間に広がる小さな料理店と料理人の<エンブリオ>。
ガードナーの料理人は戦えず、キャッスルの料理店にも立て籠もれないスキル特化型ガードナー・キャッスル。
最初はレシピ通りの料理しかできなかったが、進化を重ねるごとに特殊効果を持った料理を作れるようになり、アレンジ能力も向上していった。
必殺スキルは調理過程や必要時間をある程度無視しつつ、より効果の高い特殊料理を作れるようになるが、出来上がった料理に応じた様々なリソースを消費する。
(・3・)<料理版【コッペリア】みたいな<エンブリオ>。とはいえこれ系のやつは分野ごとにありそうな気もする。
(・3・)<舌に関しては規格外級の主人公の味覚を反映しているのでめちゃくちゃ飯が美味い。
(・3・)<必殺スキルについてですが、今回は一番代償が重い「調理時間の短縮」をオーダーされたので
(・3・)<「七日間の休業」「備蓄食糧の五割消費」「特別料金の徴収」などが課されました。
(・3・)<実は毎月一定額のリルを「給金」として消費しているのですが、これは主人公の「優れた職人には相応の報酬があって然るべき」というスタンスを反映してのもの。
(・3・)<そのおかげでほんのり腕前に補正が掛かっている気がしないでもない。
・【
戦士系統食戦士派生、食通複合超級職。下位は【
ステータス傾向はHPとENDにやや優れたバランス型。
量の【
固有スキルは《食事効果増大》と《食事効果時間延長》。両者ともスキルレベルEXで、それぞれ食事効果と効果時間が倍化している。
(・3・)<よく名前で非戦闘職と勘違いされる超級職。
(・3・)<美食は美食でもト◯コとかモンハ◯系の美食概念。
(・3・)<正当な美食概念のジョブも別に存在し、そちらは【
(・3・)<戦士系統としての才能も必要だし、美食家としての適正も求められるレアジョブの頂点。
(・3・)<じみーに美味い飯を作ってくれる料理人の確保も難しい。過去には自分で調理してた猛者もいたらしいけど。
(・3・)<ちなみに対となる【大食戦士】の上位となる超級職は【
(・3・)<【美食王】と比較してより実戦的なステータス傾向を持ち、必要となる食事の水準も低いけど
(・3・)<代わりにアホみたいな食事量と、それを維持する食費が必要になるためこちらもレアジョブ。
(・3・)<某メイデンなら余裕で条件を満たせるものと思われる(
・【剛力大猩 ゴラムドラム】
(・3・)<「ごうりきたいしょう」と読む。剛力は見ての通りで、大猩は「大猩々(=ゴリラ)」のこと。
(・3・)<大蛇なる脅威に住処を追われたために群れを引き連れ大移動し、国境地帯に移り住んだ。
(・3・)<全体バフと単体バフの併用、及び重ね掛けとかいう付与術師がチート呼ばわりしそうな固有スキルを持つフィジカルゴリラ。
(・3・)<でもう◯こでバフを崩された上に、同じくらいバフ型フィジカルゴリラの主人公が必殺スキルを使って再チャレしてきたせいで力負けした。
(・3・)<もし生き延びて成長してたら相当に脅威度が高くなったものと思われる。
(・3・)<特典武具についてはまた今度。