神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

101 / 107
8211字。

茨城での戦闘です。


物質修復の自壊攻撃

「クソッ、意外と面倒だぞコイツら...!」

 

アンチに銃をぶっ放しながら俺は吐き捨てるように言う。

 

茨城のアンチの持つハウリングは物質の修復だ。攻撃面ではてんで役に立たない力であるが、防御面ではとても強力な力であると対面していて嫌というほど思わされた。

 

出会うアンチ全員が鎧のような防具をつけているのだ。戦闘中に生まれたアンチ以外は全員鎧を装着している。おそらく、和歌山にいた物質生成能力を持つアンチが事前に作ってばら撒いていたのだろう。

 

和歌山の物質生成能力は基本どんなものでもどんな形でも作ることができるため、こうして鎧を作ることも可能だ。武器しか作れない武器生成操作の上位互換のようにも思えるが、あちらは作った武器を触れずとも操ることができるからそこで差別化されており...なんてことは今はどうでもいい。

 

奴らが厄介なのは、その高い防御性を持つ防具と、それを常に自らのハウリングで修復することで無限の耐久戦を仕掛けてくることだ。防具は破壊不可というわけではないものの、壊れたそばから直されていくため実質的に壊れていないも同義だ。全ての銃撃を受け止めて近づいてくる様は無敵のロボット兵器を見ているかのようだ。

 

「内部だ!内部に直接攻撃しろ!」

 

下位個体は銃撃で防具を破壊してから直されるまでの間に倒すことが可能だから良いが、上位個体はどうやっても無理だ。鎧はかなりギチギチに作られているため隙間を通しての攻撃も難しい。そのため、ハウリングを活用して中身に直接攻撃するのが一番手っ取り早そうだった。

 

「ってわけで、熱で苦しみな!」

 

周りの仲間が各々借りたハウリングで攻撃しているのを見ながら、俺は幻痛の熱を発動させて銃弾を叩き込む。

 

発射された弾丸には、ライフリングや空気抵抗での摩擦熱が乗る。そして、アンチの着ている鎧への衝突によっても摩擦熱は発生する。それら全てを増幅させて鎧との衝突の瞬間に鎧に増幅熱を移し、アンチの肉体に熱を叩き込む。

 

増幅熱を叩き込まれたアンチはまるで本物の炎に焼かれているかのように苦しみ出す。そうして苦しんでいると、アンチの身体は鎧と擦れる。その摩擦熱も増幅させてしまえば、アンチの身体にはどんどん増幅熱が蓄積していく。

 

そして、増幅熱が付いている状態では、本物の摩擦熱は冷えることはない。そのため、実態を持つ熱も増幅熱の増加と共に増えていき、やがて実際に皮膚を焼け焦がしていく。

 

実際に身体に傷が生じ始めれば、脳はこの熱を本物だと思わざるを得ない。そして、感覚に突きつけられている体感温度は数百℃数千℃にも達しているため、脳はもう助からないと命を諦める。まだ死は遠いのに、自ら意識をシャットダウンしてその場に倒れ込む。

 

「いっちょ上がりっと」

 

気絶したアンチの鎧を剥ぎ取り、頭に銃弾を叩き込んで殺す。そしてアンチに叩き込んだ熱を取り出して俺の中に収め、再利用できるようにしておく。

 

「よし、殲滅したなお前ら!先進むぞ!」

 

「了解!」

 

周囲を見渡してアンチが全員死んでいることを確認してから、俺は仲間達に指示を出す。今回の県庁突入部隊は俺が率いている。この中にハウリング能力者は一人もおらず、全員誰かから、もしくは複数人からハウリングを間借りしてこの隊に加わっている。

 

ハウリング能力者は今回一人も前線に出るメンバーとしては起用されていない。全員が後方待機をして、ハウリングの間借りの許可を出すだけにとどめている。こうしているのは、ハウリング能力者が殺されてアンチにハウリングを奪われることを極力回避できるようにするためだ。

 

これまで三十近くのハウリングをアンチから奪ってきたが、それによって一つのハウリングしか扱えない能力者よりも、多少出力が落ちるとはいえ複数のハウリングを扱える者の方が結果的に強くなることが増えてきたこと。そして、そろそろアンチとの戦闘も後半戦に入るのもあってハウリングを奪われる危険を冒すのはまずいだろうという判断によって、こんな作戦が取られるようになったわけだ。

 

じゃあ俺が前に出てるのってまずくないか?と思われるかもしれないが、一応俺は間借りを出来ないハウリング能力者という立場が出来ているため、唯一無二の人材だから前線に出さないわけにはいかないという理屈で出ることができている。これで何も知らない隊員への説明はついているし、上層部からしてみれば別に俺はどうなっても構わないため出動禁止命令が出ることはなかった。

 

……まぁ、流石にそろそろ何も知らない一般隊員からも俺の存在はちょっと怪しまれてはきているけどな。なぜなら、ハウリング能力者は他のハウリングを間借りすることができないはずなのに俺はできてしまっているからな。そういうところ含め、一般隊員からの俺への疑念のようなものが出始めていても何ら不思議ではない。

 

……けど、強ければ問題なかろう。アンチを倒せればどうでもいいだろうそんなこと。この中で一番強いのは俺だ。俺が一番アンチを殺せば、周りの人間なんか黙らせられる。

 

ってなわけで、ここまでほとんどのアンチを俺一人でボコしてきた。今回は上位個体含め多くのアンチがやってきたため仲間に任せたが、みんなもなかなか強いな...でも、ここまでやればもう問題はないはずだ。若干恐怖心を抱いていそうな者もいるが、俺の指示に従ってくれるようになっている。この調子で県庁に入ってしまおうか。

 

「……って、そりゃ県庁付近は警備も多いわな...!」

 

県庁のすぐ近くまで来たのだが、敷地内の広場には多くのアンチがいて...

 

「んで、アレは何だ?ロボット...?」

 

アンチの集団の中には、何やら人を模した機械のようなものが何体か混ざっていた。全身を鎧で包んでいるアンチと見間違えたわけではない。あれは完全にロボットでは...?

 

「なんかのハウリングか...?ひとまず攻めるぞ。やれ」

 

遠距離攻撃が可能なハウリングを持つ仲間に指示を出して、この位置から広場のアンチたちに攻撃を仕掛けさせる。

 

放たれるは爆発。アンチの集団の中心で巨大な爆発を起こさせて、アンチやそれに混じるロボットのようなものも含め丸ごと吹き飛ばす。

 

「よし今だ出るぞ!」

 

広場に突入し、本格的に攻撃を仕掛ける。爆発によって散り散りに吹っ飛んだアンチたちにそれぞれ攻撃を仕掛け、ハウリングを用いて鎧の内側を直接攻撃して仕留めていく。

 

「結局このロボはなんなんだ?...っと、まだ動くか!」

 

ひとまず近場のアンチを倒した俺は吹っ飛ばされて地面に転がっていたロボットに近づいたのだが、急に起き上がったかと思えば刃物でできた手をこちらに振り回してきた。

 

「っ...マジで機械なのかコイツ」

 

摩擦熱の増幅をしてみたが、特に熱がる様子はない。マジモンのロボットだとすると、俺の幻痛の熱は一切通用しないな...

 

「まぁ、ならば壊すだけ...!」

 

俺は間借りしていた雷身体強化のハウリングを発動し、ロボットに超高速の拳を叩き込んだ。俺の手は耐え切れず砕けるが、ロボットも金属の身体とはいえ耐えることができず破損する。

 

「さて、次を...」

 

治癒のハウリングで手を治しながら次の獲物を探す...その時だった。

 

「なっ...⁉︎」

 

破壊したはずのロボットがみるみるうちに修復されていき、完全に直ってしまったのだ。

 

「ぶ、物質修復か...⁉︎こういうこともできんのかよ...!」

 

俺は大慌てでロボットから離れる。なるほど確かに、こういう使い方ができるならロボットを使って無限に修復させながら戦う方が効率いいわな...!

 

「だったら、物質修復で直せないような破壊をすれば...!」

 

雷身体強化のハウリングを雷の体外放出を目的として発動させ、ロボットに近づいてぐるりと背後に回り込み背中に触れる。そして大量の雷を流し込み、駆動のための電気回路などを破壊しにかかる。

 

こういう破壊を物質修復で直せるのかがわからないため一種の賭けではあるが、どうだ...?

 

「……って、流してる最中だろ...なぜ動ける⁉︎」

 

雷を流している最中にもかかわらず、ロボットは動こうとしていた。おかしいだろ、少なくとも雷を流している最中は電流が乱れるから、遠隔操作の信号が乱れたり駆動系への電流伝達に支障が出るはずなのに...!

 

「やっぱ、そういうハウリングか...?クソッ、厄介だな...!」

 

効果がないため俺はすぐにロボットから離れた。

 

さてどうしたものか...多少の破壊なら簡単に直されてしまうし、ハウリングで直接動かしている疑惑がある以上身動きを封じることも難しい。完全に破壊するにしても、そんな威力のハウリングをアンチでもない奴に使って消耗するのはアホらしいし...

 

「……誰か!三朝のハウリング持ってる奴はロボットを埋めちまえ!コイツは倒せんから封印しろ!!」

 

三朝というのは、鳥取の壱式を倒した隊員の名だ。会得したハウリングは、砂や土などの地面の操作。その力を使えば、壊しても復活するロボットを封じ込めることができるはず...!

 

「了解!」

 

このハウリングを間借りした隊員は三人ほど居たらしく、地面に手をつけて操作を開始した。視界の範囲内にいるロボットの足元の地面をハウリングで掘削して穴に叩き落とし、掘った土をすぐさま穴に戻して埋めていく。

 

「ナイスだ!その調子で埋めていけ!なんならアンチも埋めちゃっていいぞ!」

 

次々と埋められていくロボットを横目で見ながら、まだ生存しているアンチを狩っていく。これで最後の一体...っと!

 

「ふぅ、これで県庁前は全員か...」

 

アンチは全員殺し、ロボットは全員埋めた。掃討完了だな。

 

「にしても、ロボットを操るアンチも県庁内にいるのかな...出来ればそっちを先に対処しておきたい...」

 

おそらく機械操作であろハウリングと物質修復のハウリングは合わせるとかなり厄介だ。県庁内に入ると先ほどのように地面に埋める対処法は使えないから、そもそものロボットが動くのを止める必要がある。機械操作のアンチを倒しておきたいが、果たしてどこにいるのやら...

 

「あー、八代聞こえるか?機械操作のハウリングを持つアンチがいるみたいなんだが、どこにいるかわかるか?」

 

通信機に呼びかける。予知のハウリングは間借りによって俺も使えるようになってはいるが、この手の調査は後方待機中の八代に任せるとしよう。

 

『機械操作だと?了解した。今調べ...ッ⁉︎』

 

「ん?どうかしたか?」

 

「これは...少し待ってろ仮谷幸希!これは...少しマズイことになっているかもしれない』

 

「な、何が起こってんの...?怖...ひとまずみんな待機!入り口前で連絡を待つぞ!」

 

仲間を呼び集めて県庁の入り口前に陣取り、八代からの連絡を待つ。

 

『……落ち着いて聞いてくれ。今、葉山にとある場所の様子を見に行かせた』

 

「とある場所?」

 

『栃木だ』

 

「栃木?まだ攻略前では?」

 

『ああ。そのはずなんだが...県庁を調べたらアンチが居なかった。いや、正確には死体だけ残っていた。至る所に死んだアンチがいて、知事室には、壱式と見られる死体があったそうだ』

 

「なん...だと...⁉︎」

 

『お前から機械操作のアンチがいると聞いた時、予知には知事室でお前と機械操作の壱式が戦う未来が見えた。だが、作戦前には物質修復の壱式と戦う姿を俺は見ている...そして、俺が予知で見た壱式は一体だけだ』

 

「……つまり、その壱式は機械操作と物質修復の二つのハウリングを持っているってわけか...!」

 

『ハウリングを奪い取ったのはかなり前だと推定される。そして確証は持てないが、おそらく物質修復のハウリングは元々栃木のものだ。茨城の本来のハウリングは機械操作...最初の情報はまるっきり間違っていたわけだ』

 

「なぜ栃木が物質修復だと思うんだ?根拠は?」

 

『栃木県庁で死んでいたアンチが皆防具をつけていたらしい。葉山がそう報告した』

 

「なるほど...了解した。調査ありがとう八代。葉山にも感謝を伝えておいてくれ」

 

『了解。気をつけろよ』

 

「おうともよ。必ず仕留めて帰ってくるぜ」

 

通信を切る。

 

「さて...面倒なことになったなぁ...」

 

二つのハウリングを一人の壱式が持っているということは、先ほど考えていた機械操作のアンチを先に仕留めるという方法は使えないことを意味している。破壊できない機械で永遠と攻撃を仕掛けられると相当厄介だな...どうしたものか。

 

「正面突破するしかないか...うん、それしかない」

 

いい作戦が思いつかないのでもう突入するしかない。我ながら脳筋すぎるが、さっさと壱式を仕留めるのが一番の近道である以上、ウダウダ言っていないで突っ込んだ方が早いだろう。

 

ここまでの道中、全てのアンチが物質修復のハウリングを使っていた。下位個体までもだ。つまり、栃木の物質修復のハウリングを奪ってからかなりの時間が経っていることがわかる。県庁内には無数のアンチがいると見ていいだろう...それら全てを正面突破するのは困難だろうが、やってやるしかない。

 

「作戦は特に無し。各々ハウリングを使って敵を打ち倒せ。俺はいち早く壱式の元に向かい、意識を奪ってハウリングの共有を防ぐ。終わったら通信機で連絡を取る、良いな?」

 

「了解」

 

あまりにも簡潔すぎる指示を出した俺は、突入のハンドサインをして仲間に入り口を開けさせる。

 

「散らばれ!各個撃破だ!」

 

突入と同時にフロア内を散り散りに散らばる。複数の階段からバラバラに登ることでアンチの迎撃を散らばせることができ、結果的に迎撃の密度が減って突破しやすくなるはずだ。

 

「まずは五階に...!」

 

茨城県庁の知事室は五階に位置している。階段でいち早く向かわなければならない。

 

正面の入り口から入ってすぐのところに大階段があるが、この階段は二階までしか繋がっていない。そこを登るのは仲間達に任せ、俺は階段を素通りして左に曲がる。エレベーターを通り過ぎて右に曲がったところに、より上階まで上がることのできる階段があるからそこに向かうのだ。

 

「おらよ...っと!トロい!」

 

進行経路にいた上位個体に蹴りを叩き込み、幻痛の熱の増幅熱を叩き込む。その直後にもう一度蹴りを叩き込んで床に転ばせる。熱で苦しんでいる間は思うように動けまい。しばらく行動不能に陥らせることができるはずだ。

 

「お前も...一旦止まってろ!」

 

近づいてきたロボットに雷身体強化を込めた拳を叩き込む。拳にヒビが入るものの、ロボットには握り拳大の穴が空いて一時的に機能を停止する。

 

「直される前に先へ...!」

 

傷ついた手を治癒で癒しながら俺は先に進む。ロボットが物質修復で直される前に出来るだけ知事室に近づかなければ。

 

「全部一階...怖いが行くしかない...!」

 

エレベーターホールの前まで来たのだが、どのエレベーターも一階で止まっていた。俺が前を通ったら全部の扉が開いて中から敵がわんさか出てくるとかあり得そうなんだよな...開くタイミングは、後ろで熱さに悶えている上位個体がこちらを見ているから、壱式への視覚共有をうまく使えば俺が通る瞬間に合わせられるだろうし...まぁ、ここを通らなきゃそこそこ遠回りをしなくちゃならないから行くけどさ...!

 

予知のハウリングをアクティブにしておきながら俺はエレベーターホールの前に飛び出す。

 

次の瞬間だった。予知が発動し、俺の身体が何かに打ち抜かれ、押し潰される未来が見えた。

 

俺は咄嗟に雷身体強化を発動し、一瞬でエレベーターの前を走り抜ける。この速度で通り抜ければ、予知で見えた攻撃は回避できる。

 

走り抜けてなんとか立ち止まった俺は後ろを見る。そこには、内側から弾け飛んだかのように吹き飛んだエレベーターの破片が散乱していた。

 

「き、機械操作で破壊した...のか?」

 

ひとまず、エレベーターの中からアンチやロボットが出てくるようでは無さそうで胸を撫で下ろす...そうしていたら、だ。

 

「うわっ、あれも修復できんのかよ...」

 

破壊されたエレベーターの破片がひとりでに動き出し、元の場所に戻っていき自動的に修復されていく。物質修復のハウリングの仕業か...

 

「……待てよ?ってことは、今の攻撃を連発できんのか...?」

 

機械操作のハウリングで機械を破壊しながら撒き散らして破片で攻撃。攻撃し終われば物質修復で直してまた攻撃可能状態に...無限に再利用可能なヤベェ罠じゃねぇか...!

 

「総員に告ぐ!エレベーターに注意しろ!破片を撒き散らす罠と化している!他の機械も同様の罠になりうる可能性があるから警戒!」

 

俺は階段に向かって走りながら通信機に向かって叫ぶ。破片を飛ばせるのはエレベーターだけとは限らない。他の機械も同様のことができるだろう...なんなら、あのロボットでも同じことができるのでは?自爆特攻することが可能じゃねぇか...ヤバすぎ...!

 

「何もかもが地雷になりうるじゃねぇか...けど、アンチがいない場所なら問題ないはず...!」

 

階段にたどり着いた俺は、上を見てアンチがいないことを確認してから階段を駆け上がる。ほんの少しだけ雷身体強化をかけて、数段飛ばしでどんどん上層階へと登っていく。

 

「っ、アレは...カメラ...?」

 

五階に続く踊り場に辿り着こうとしたその時、デジカメのようなものが置かれていることに気がついた。周囲にアンチはいない。だが、もしや...

 

「やっぱりか...!」

 

デジカメに近づいた瞬間、デジカメが内側から弾け飛んで破片を周囲にばら撒いた。何となく予感がしていたため、俺は冷静に摩擦熱の増幅と消費を使って飛んでくる破片の軌道を捻じ曲げて回避する。

 

「その機械が得た情報は操作しているアンチも手に入れられるってわけね...!」

 

その機械にセンサーやレンズのような外界の観測をできる機器が取り付けてあれば、その機械を操作しているアンチもその情報を得ることができるのだろう。だから、アンチに見られていない俺に対してデジカメで攻撃できたわけだ。

 

「だったら...!」

 

飛んでいった破片が集まって再度デジカメの形を取ろうとしているのを見た俺は、それを掴み取ってレンズを壁の方に向ける。これで問題ないはずだ。

 

「よし、先を急ぐぞ...!」

 

デジカメの罠の無力化に成功した俺は、五階に向かって駆け上がり...

 

背後の破壊音を聞いた。

 

「なっ...⁉︎」

 

またしてもデジカメが破壊されて破片を撒き散らした。そして、再び物質修復によって直されていくのだが...組み立て方が変わり、レンズは壁の方向ではなく階段の方を向いていた。

 

「向きを変えても戻せんのかよ...!」

 

これでは罠の無力化は無理そうだな。何かを被せようにも破裂で破壊されてしまうだろうし、この罠をどうこうすることは難しいだろう。

 

「破片が飛んだ破壊痕があるから、後続もデジカメの罠には気付けるはず...無視して先に進むしかないか」

 

仕方ないので俺はデジカメを無視して五階のフロア内に進む。

 

「向こうはエレベーターだから避けて...ってしたいところだけど、こっちにも罠はあるよねぇ...!」

 

エレベーターホールを避けて知事室に向かおうとしたのだが、それを防ぐかのようにロボットと、あからさまな罠として電子レンジのようなものが配置されていた。

 

「一旦無力化するしかないか...!」

 

俺は雷身体強化のハウリングを発動させながらロボットに近づく。

 

「……ッ、やっぱやるわな!」

 

ロボットに近づいた瞬間、ロボットは内側から爆発して金属片を撒き散らした。手榴弾が爆発したかのように撒き散らされる破片を、俺は強化された身体能力で避けるか弾くかして全て対処していく。

 

「そうだ、修復さえ防げれば...!」

 

勝手に壊れて勝手に直っていくロボットに、俺はポケットの中の小石を投げ込んだ。ロボットは投げ込まれた小石を内部に取り込むようにして修復され...修復が完了しなくなる。異物が入り込んだことによって全ての部品が元の位置に戻せなくなったため、物質修復の力が常に発動せざるを得なくなり動かすことができなくなったのだろう。

 

「これならいける!ならそれも破壊...!」

 

電子レンジにわざと近づき、破壊させる。破片を避けた俺は、小石を投げ込んで重要そうなパーツの間に挟み込む。

 

「よし、対処法発見!待ってろ壱式...!」

 

電子レンジの罠の無力化に成功した俺は、壱式の待つ知事室に向かうのだった。




アンチたちもいずれ、相性の良い能力を一つにまとめるのがことを考え始めるよね、というわけで二つのハウリングを持たせた壱式を敵にしてみました。

どんな攻撃を壱式がしてくるか...乞うご期待!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。