神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8157字。

会話パート半分、戦闘半分くらいですかね。


魔域と化した森、漏れ出る聖素

「ここから先が魔域よ。今は隠れてて見えないけど、中にはうじゃうじゃ魔物がいるわ」

 

俺たちは魔域...空間全体を魔素が占めている領域の目の前にやってきていた。魔界も魔域同様魔素で覆い尽くされている。その環境での戦闘に適応するため、ここで戦闘訓練を行うことになったわけだ。

 

「聖剣無しでこの中に踏み入れるの、ちょっと怖いな...なぁ、マジでみんなは平気なのか?」

 

魔素の濃度があまりにも濃い空間に人間が長時間いると、体調を崩したり気分を悪くするなどの悪影響が起こる。中に魔王がいる俺や、聖剣はないが勇者の加護があるライトは問題なく活動できるが、他の四人は魔素による影響をもろに受けてしまうはずだ。

 

「問題ないよ。前にも言ったけど、それ相応の対策はもう取ってあるからね」

 

「その対策の内容を知りたいんだよなぁ...まぁ、中に入ればいずれ分かると思うよ。それじゃあ、入ろうか」

 

ライトが先頭に立ってみんなで魔域と化した森の中に入っていく。鬱蒼とした木々は光を遮っており内部はかなり暗い。足元の葉も異常成長しているのか長く生い茂っていて魔物が隠れられるほどの障害物となっている。

 

……そういう環境だからこそ、魔物たちは俺らが森に入ってきた瞬間に奇襲を仕掛けてきた。

 

「あらよっと」

 

だが、そんな奇襲にやられるような勇者パーティーではない。会費の目による攻撃の予知によって魔物の奇襲を察知した俺らは、各々の武器によって一瞬で魔物たちを返り討ちにしてしまう……これくらいなら、回避の目がなくても返り討ちにできていそうではあるがな。

 

「草邪魔ね...刈り取ってしまわない?」

 

「そうだな。素肌に触れたら切れそうだし、いちいち掻き分けて進むのもだるいし、切っておくか」

 

「それは僕がやっておくよ。この魔道具なら楽に出来るからね」

 

そう言ってライトは持っていた剣を変形させると、周辺の草をその場から動かずに根元から切り取った。

 

「その魔道具...やっぱ便利だよな」

 

形が変わるあの魔道具は、元々は勇者候補であったアライブが持っていたものだ。本来は槍の形をしており、質量はそのまま、密度のみを変えることによって体積を変化させ、形を自由自在に変えられる武器である。重さが変わらないため、どれだけ形を変えてもさほど威力に差が出ず長く伸ばしても近距離と同等のダメージが出る便利な魔道具だ。ライトは普段は剣の形にして、聖剣の代わりとして使っているようだ。

 

「あれからずっと使わせてもらってるよ。彼の志は賞賛に値する。だから、せめて彼の武器は活躍させてやりたいからね」

 

アライブはこの世界を救うためとはいえ、あまりにも大きなことをしでかしてしまった。ライトの頼みで恩赦は出たらしいけど、それでもしばらくは塀の中での生活を余儀なくされている。そんな彼のことを思って、ライトはこの魔道具を使っているようだ。

 

「お前は律儀だなぁ...っと、今度は上からか!」

 

回避の目による予知で、太い木の枝の上から魔物が飛び降りてきて攻撃される未来が見えた。俺らが下の草に意識を向けているから上から攻撃しようってわけか。あまりにも安直だが、それでいて合理的。しかし、回避の目の前に小細工は無意味だ。

 

「それっ!...って硬っ!」

 

俺に向かって飛びついてきた魔物にダガーを差し向けたが、皮膚に触れたダガーは弾かれてしまった。魔法で逸らされたような感覚ではない。物理的に硬くて刺さらなかった感じだ。

 

俺は咄嗟に後ろに倒れ込んで魔物の噛みつきを逃れると、そのまま地面に背中をつけたまま蹴りを放ち、魔物の側面を叩いて蹴り飛ばす。

 

「魔素のせい...ってのもあるけど、単純に俺が弱くなってんのか...!」

 

魔物は周囲に魔素が多いとそれだけ強化される性質を持つ。そのせいで、俺の攻撃は弾かれてしまったのだ。以前の俺だったら、魔法によるバフであったり速度操作による加速によって多少硬くなろうが突破できていたが、今の俺のレベルじゃそれは難しいってわけだ。

 

「しっかりバフかけないとダメだなこりゃ...どうせ魔力回復できるし、バンバン使っちまうか」

 

周りのみんなが魔物を倒し終えて危機が去ったと分かった俺は、そう呟きながら立ち上がって背中についた草や土を叩き落とす。そして、腰についているポーチの中に入っている魔法図鑑に意識を集中させる。

 

9948、9949ページ 全体強化(仮)

 

新たに作ったページの魔法陣を起動する。これはニアと、その師匠で尚且つ俺の師匠でもあるリヒト二人の監修の元作り出された魔法陣であり、様々な身体能力を出来るだけ少ない量の魔力で効率よく発動させるためのものである。強化幅はそこまで大きくはないが、消費魔力はかなり抑えられている。言ってしまえば、少し前のページにある能力最大の複合魔法をデチューンしたものだな。

 

まぁ、いくら効率が良いといったところで、俺の魔力総量はまだまだ少ないから正直焼け石に水なところはある。じゃあ今から使うんじゃなくて戦闘中のみ使えば良いだろう、回避の目で攻撃は察知できるんだからそれに合わせて発動すれば良いだろう...などと思うかもしれないが、魔力切れはあまり気にする必要がないので使いっぱでオーケーだ。

 

俺は体内に魔王がいるせいか、聖素だけでなく魔素の中でも魔力回復が可能である。なんなら魔素が多い方が早いまであって、聖域の中にいるよりも回復が早い。そのおかげで、今の俺の魔力総量なら魔力を使い切ったとしても少し待つだけですぐ全回復するから気にする必要がないのだ。魔力切れしてても回避の目は使えるしね。魔法は使い得だった。

 

「……ん?あっ、そういうこと?」

 

魔力回復について考えていたら、不意にその事実に気がついた。

 

「なんか変だと思ったら、みんなの周りに聖素が漂ってんのか...いや、漏れ出てるだけ?体内に聖素を取り込んでいる...?」

 

「よく気付いたわね。まぁそんなところよ」

 

どうやらこれが、魔界対策とやららしいな。

 

「勇者の加護を、一部性質を変化させて勇者パーティー全員に分割して付与させているのよ。これによって、勇者の加護の一端を私たちも受けることができる。その分ライトの分の加護も減ってしまっているけど、活動できる人数が増えているから大きく見ればトントンね」

 

「勇者の加護を付与...って、そんなことできんの?」

 

「聖剣の力が弱まっている分、女神様の力のリソースが少し余っていたらしくてね。それを上手く活用したんだ」

 

「へー、それでみんなの中に聖素が...これが一部性質の変化の部分か」

 

「元々の加護じゃ聖素がないと魔力の回復が出来ないことに変わりなかったからね。魔界で活動する以上、魔力が回復できなければ話にならない。色んなバフは切り捨てて、悪影響を跳ね除ける力と聖素の生成の二つに絞ったんだ」

 

「なるほど、防御特化というか、継戦能力重視に割り振ったわけね。それなら魔界の中でも行動できるか...コレを俺にもやるつもりなんだっけ?リソースは問題ないのか?」

 

「僅かに残ってる分を回す感じになるかな。カリヤは加護なしでも動けるから、魔王の覚醒を少しでも遅らせる目的になるとは思うけど」

 

「それが出来るだけでありがたい...」

 

「出来るかは未確定だけれどね。魔王と競合する可能性が残っているし」

 

「そういやそんなこと言ってたっけか」

 

魔王の復活という明確なタイムリミットを先延ばしにできるかもしれないというのは何よりも重要である。魔王がどんなアクションを取るか分からないという危険性はあるが、出来るのならやっておくに越したことはないだろう。

 

……そういや、みんなに勇者の持つデバフ無効化の力が行き渡っているって言ってたな。となると、もし仮に俺が魔王に乗っ取られたとしても、全員が速度操作による全世界停止の影響を受けずに動くことができるのか。そう易々と乗っ取らせるつもりはないが、保険がかかっていると少し安心だな。

 

「さてと。説明も済んだところだし、そこそこ奥まで進んできた。ここで分かれるわよ」

 

「了解」

 

このまま六人で固まって動いていても訓練の効率が少し悪いので、事前に取り決めていた通りに三手に分かれることになる。

 

六人での連携を練習した方がいいと思われるかもだが、俺らは全員単体で強く個人技に秀でている。各々が考えてカバーに動けるため、下手に連携技を決めてしまうよりも、その時々にあった動きができるように個人技を極めた方が結果的に強くなるのだ。

 

ただ、俺やレストのように、あまり攻撃手段を持たない者もいるので二人一組で三手に分かれるのである。組み分けは、クミリアとニア、ライトとレスト、そして俺とステラだ。攻防、物理と魔法、遠距離近距離のバランスを鑑みた結果この振り分けになっている。

 

「よし、そんじゃステラ行こっか」

 

「うん!」

 

「余計な草は俺が刈り取っとくからな〜まぁステラは空飛ぶからあんま関係ないかもだけど」

 

「視界が開けてた方が助かるからやっちゃって」

 

9950、9951ページ 色彩剣装 原色・青

 

魔法図鑑に魔力を流し、色彩剣装という魔法を発動させる。剣に魔力でできた色のオーラを付与し、色に応じて様々な効果を発揮する魔法である。

 

以前は、本来の使い手であるカノウという男からスキルだけを伝授されていたが、この世界に来るにあたって全てのスキルを失っているためこの技も失われていた。けれど、ニアが色彩剣装の魔法を解析していたため、そこから伝授させてもらった。

 

本当は自分でこの魔法に辿り着きたかった。だから以前はニアから魔法陣を教わることを拒んでいたのだが、短期間で強くならないといけない今の俺はなりふり構っていられなかったので素直に教えてもらうことにした。

 

今回発動させた色は青。オーラを纏わせた剣の切っ先から無数の追尾する光の刃を放つという効果で、周辺の草を一掃するにはうってつけの魔法だった。

 

「魔法だとやっぱ使いやすいな...」

 

スキルだとある程度の刃渡りを持つ剣でしか発動できなかったため、ロングソードであったり刀で使うことがほとんどであったが、魔法として使えるようになったことでダガーにもそれぞれ付与できるようになった。小回りがきくし、左右にそれぞれ別の色を付与することもできるからかなり便利だ。こりゃ、下手に意地を張らずに教えてもらった方が良かったな...

 

「これでよく見えるようになったろ」

 

光の刃が辺り一帯の草を刈り取り、十分な視界が確保される。

 

「うん、コレでよく見える...!」

 

そう言いながらステラは矢を放った。飛んでいった矢は空中で横に逸れると、木の裏にいたらしい魔物を射抜いた。

 

「……それは、よく見えるってのとは違うんじゃないかな...木の裏にいるのはさ、草関係ないじゃん」

 

「そう?草のあるなしで結構違うんだけどな〜」

 

気配とかの話なのか...?と思いながら俺は飛んでいるステラの斜め下を歩く。

 

「そういう気配の察知とか、未だに上手くできないんだよな。速度探知に頼り切りだった時代が長すぎて、一年経ってもまだ周囲への警戒がちょっと疎かなんだよね...ちょっとは改善したとは思ってるけども、流石に追いつけそうにないな」

 

「私と比べたらダメだと思うよ?索敵の精度、魔法無しだとクミさんよりも良いもん」

 

「えっ...まぁたしかに、クミリアはバフ魔法込みでの身体能力と五感だから、魔法無しだったらステラに軍配が上がるのは納得できるけど...にしても常人離れしてるな」

 

「そりゃ村一番の英雄だからね。誰にも負けない特技の一つや二つ持ってるよ...っと、そこの木の裏に魔物いる。仕留めとくね」

 

ステラは矢を番え、弦を引く。

 

その瞬間、回避の目が発動した。

 

「ステラ!」

 

「う、うん!私も見えたよ」

 

矢を放とうとしていたステラの手が止まり、ゆっくりと弦を緩めた。

 

見えた未来は、放たれた矢が曲がって木の裏に到達した瞬間、矢が反転してこちら側に戻ってくるというものだった。回避の目の共有によってステラも同様の未来が見えているため、口頭で情報共有をすることなしに攻撃を取りやめることができた。

 

「矢を跳ね返してきたね...反射の魔法かな?」

 

「試してみるか...」

 

まだダガーに青のオーラが残っているため、光の刃を飛ばそうと試みる。

 

……しかし、回避の目は発動しなかった。

 

「飛び道具の反射とは違うのか...?ひとまず、姿を現してもらおうか!」

 

光の刃を飛ばし、魔物が隠れている木を切り倒す。

 

「……あいつ、見覚えがあるぞ」

 

木の裏に隠れていた魔物は一体。そして、既視感。

 

「あいつ、前に森で会った巨大化魔物に似てるな。物体透過の魔法と、魔法限定の軌道変更、そして魔法拡散...それらを駆使していた奴によく似てる。同系統の魔物と考えて良さそうだな」

 

熱操作を極めた魔法使いであるカイと初めて会った際に戦った魔物と目の前のコイツは良く似ている。宙に浮いているローブを纏った魔物...物理攻撃である矢を跳ね返してきたから、まんま同じというわけではなさそうだ。

 

「魔域の魔素に当てられて、サーマルの魔素増幅強化と似たような現象を引き起こしていそうだなこりゃ。見立てじゃかなり強いぞ」

 

「二人なら行けるよ。まず、何が効くのか調べるところから」

 

「ああ、回避の目の独擅場だ!」

 

回避の目の発動対象を魔物に適用させ、二人で攻撃の構えを取る。どの攻撃が魔物に効くのか、コレで一発でわかる。

 

……はずだった。

 

「ちょっ...全部無理とか聞いてないんだが...?」

 

回避の目は発動した...全て、こちらの放った物理攻撃が跳ね返ってくるというものだったが。ステラの矢も俺の剣も全て反射されるらしい。そして、俺が魔法を使おうというそぶりを見せた場合は何も見えなかった。

 

「魔法は跳ね返されはしないけど当たりもしない...ってことか?」

 

「無心の弓もダメっぽいよ。何も起こらない」

 

「それもダメなのか...っと、流石に攻撃してくるわな!」

 

俺らが戸惑っていると、魔物は閃光を飛ばしてきた。その未来を回避の目で見ていた俺は、閃光が飛んでくると同時に地面に足先を突き刺し、土を巻き上げる。閃光は巻き上げられた土に当たると、土を破壊したのち消滅した。カスタムされていない障壁は何かにぶつかれば消滅する。対処は簡単だ。

 

「ひとまず、何が起こるのか確かめないと...」

 

光の刃を放ち、魔物に攻撃してみる。

 

「っ...なるほど、単純に魔法拡散を使ってるわけね」

 

飛んで行った光の刃は魔物のすぐ近くまで辿り着くとその場で霧散した。魔法を魔力として散らしてしまう魔法拡散の魔法が使われている。

 

「……ん?これ、だいぶまずいのでは...?」

 

「物理攻撃は反射されて、魔法は無効化される...攻撃手段ある?」

 

「一応ありはするが...この組み分けで良かったな。どのペアにも回答がある」

 

もしこの魔物が複数体いて、他のペアの前に立ち塞がっていたとしても、各々回答となる攻撃手段を持っている。詰まされることはないだろう。

 

「ニアは周りの雑魚敵の処理を頼む。コイツは俺が仕留めるわ」

 

「わかった、任せたよ!」

 

ステラはふわりと宙を舞うと、立て続けに矢を放って近づいてきていた魔物を仕留めていく。

 

「さぁ、来なよ。一撃で仕留めてくるつもりでな」

 

俺は翻訳能力の力を発揮させながら煽りを入れる。翻訳能力によって俺の言葉は魔物に届き、煽られた魔物は閃光をチャージし始めた。

 

回避の目が発動する。数秒間チャージされて威力速度共に強化された閃光が俺の身体を貫く未来が見える。その未来から、どのタイミングで、どの場所を狙って閃光が放たれるのかを確認し、俺は待ち構える。

 

「ツラヌケ!」

 

魔物の口からカタカタと音が鳴った。その音は翻訳能力によって理解できる言語に翻訳される。

 

それと同時に、閃光が放たれた。空気を引き裂く閃光は、俺が地面を巻き上げるのを許さない圧倒的な速度で俺の眼前まで飛んでくる。

 

そして、突如として開いた空間の裂け目に吸い込まれていった。

 

「ハッ...お返しだ!」

 

そう言って俺は魔物に攻撃しようとするが...プツンと糸が切れたような感覚が走る。そして、俺の体内に入っていた魔道具がポロリと抜け出る。

 

「ちょっ...ここでかよ!!」

 

俺の作戦は、次元収納に魔物の魔法を一度取り込み、取り出すことで擬似的な反射を引き起こして魔物に魔法を跳ね返すというものだった。魔法拡散は、発動者以外の魔法を魔力に分解する。よって、魔物自身の魔法ならダメージが通る...それをしようとしたのに、肝心なところで魔力が切れるのはなんでなんだ...!

 

「回復までそう時間はかからない...耐え忍ぶしかねぇか!」

 

魔王のおかげで魔域の中では魔力回復速度が爆速なので、回復し切るまでおそらく一分もかからないはず。時が来るまで回避に徹するしかない。

 

「魔力なしで発動できるようにしておいて正解だな...っと!」

 

回避の目を駆使して魔物の閃光を回避していく。木の裏に隠れ、土を巻き上げ、走って避け...そうして、自然物を活かして縦横無尽に動き回り魔物を撹乱する。

 

「ったく、ちゃんと魔力残量確認しとけよ俺...!感覚でわかんだろ!」

 

以前は速度操作によって完璧に把握できていたが、今は違う。けれど、俺の体内の魔力は自由自在に扱えるため、よく気を配っていればどれくらい残っているかを感覚で掴むことはできるはず。それをしなかった俺の怠慢だ。

 

次元収納を開くところまでは成功したのが不幸中の幸いだな。魔力不足で開けなくてそのまま撃ち抜かれるだなんてダサいことにならずに済んだ。それで死んでちゃ、一生笑いもんだぜ...

 

「……よし!『古代道具(アンティークギア) 起動(ブート)』!」

 

魔力が復活したので、魔道具を体内に取り込む。

 

「今度こそ終わりだ!」

 

魔道具越しに次元収納が発動し、空間に穴が開く。そこから、先ほど取り込んだ魔物の閃光が放たれ...魔物の頭を一瞬で消し飛ばした。チャージして威力を向上させた魔物渾身の一撃だったからな。この威力にも納得だ。

 

「ふぅ...もっと魔力増やさないとだなぁ」

 

「おつかれーカリヤ。大丈夫だった?」

 

「トラブルはあったが、一応な。そっちは?」

 

「近くに隠れてる魔物は全部仕留めておいたよ」

 

「ありがとなステラ、助かるわ」

 

「ところで、さっきの魔物やばかったね...対処法無かったら誰も倒せないんじゃない?」

 

「だな。まぁ、ニアとレストあたりなら倒す手段持ってるし、一般人ならともかく俺らは平気だろうな」

 

ニアは魔法拡散で魔物の魔法を散らし、そうして生じた魔力で魔法を練り上げることで魔物の魔法拡散の影響を受けずに攻撃することができる。まぁ、そもそも魔物の魔法拡散を上から塗りつぶして魔法拡散を発動させることもできるからニアは一切苦戦しないだろうな。

 

レストには魔道具である盾がある。魔法拡散は魔道具には効力を発揮しない。よって、魔法拡散で無効化されずに完全反射を発動させることができ、それで魔物の閃光を全て跳ね返して終わりだ。

 

こういう対処法を持っていないと、反射による物理無効と魔法拡散による魔法無効を併せ持った魔物に勝てないわけだが...そういや、今までそういったことをする魔物に会ったことないよな?既視感の元である魔物も、物質透過と軌道変更や魔法拡散を同時に使うことはなかった。魔域によってそういうことが出来るような奴が現れ始めたのかな...

 

「なぁステラ。こういう、これまで見たことないような戦法を取ってくる魔物って、俺がいなくなってから増えたりしてる?」

 

「んー...そんなことはないと思うよ?私も今のは初めて見たもん」

 

「そうか...」

 

合っている確証はないけれど、あり得る可能性として、俺がこの世界に戻ってきたからってのはありそうだな。正確に言うと、俺の中にいる魔王が戻ってきた...だが。戻ってきた魔王に共鳴して魔物が強くなっている可能性は否めないだろう。

 

まぁ、それがわかったところでどうこうできるものでもないからだから何だって感じだけど、今後そういった見慣れない魔物が現れる可能性は考慮した方がよさそうだな。

 

「……ひとまず、特訓再開するか。このまま魔物倒していくぞ」

 

「うん!」

 

こうして、魔物討伐の訓練は続くのだった。




能力が能力なのもありますが、だいぶ弱体化してるんでカリヤくんの活躍があまりない...身体スペックもこの世界基準だと平均以上くらいなんでちゃんと活躍させるのが難しいんですよね...大人しくサポートさせておけって感じですね。
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