どんどん戦闘描写が苦手になっているような気が...
「おいおいどうしたよアクセル!銃弾くらい避けてみやがれ!」
「アグァッッ!!」
アクセルの肩に銃弾が突き刺さり、悲痛な声を出しながら地面に倒れ込む。
「……本当にどうした?音速のアクセルだろ?あの時はエアガンだったが普通に避けてただろ銃弾避けるなんて余裕なはずだ」
「お、音速...⁉︎」
「もしかして、手加減でもしてくれてんのか?そんなんしてたらすぐ死ぬぜ?ほら、早く雷装も使って最高速度でかかってこいよ。速度操作がない今の俺なら一瞬で殺せるはずだぜ?」
早口で捲し立てる。なんで能力を使わないのか皆目見当もつかないが、これじゃ面白くない。シンが貼った空気の壁のせいで動ける範囲は狭くはあるが、能力を使えない理由にはならないはずだ。今出せる全力で戦って欲しいのに...俺のことをおちょくってんのか?
「く...クソがァッ!」
「いや、だから遅いって」
アクセルは蹴りを放ってきたものの、その速度は常人のそれと全く変わりない。それどころか、一般人が放つ蹴りよりも遅く感じてしまう。音速の蹴りを想定しているからそのギャップなのだろうが、とにかく避けるのは容易かった。
「興醒めなんだが?遊びにもならねぇんだけど」
そう言いながら俺は銃を構えて、アクセルに向け...
「っと、流石に学んだか。でも遅いぜ?お前の異常なほどの適応力も衰えたか?」
先程の蹴りから続け様に振られた左手が拳銃を持つ手を弾いた。その衝撃で引き金が引かれるものの、弾丸はアクセルの顔の横を通り抜けて空気の壁に衝突し潰れた。
「なんなんだよコイツ...!」
「今更コイツ呼ばわりだなんて酷いなぁアクセル」
「なんで自分で殺した奴が一番会いたい奴なんだよ狂ってやがる!」
……何言ってんだ?なんか言ってる意味がよくわからん...
「つーかよーなんでまた魔族として生まれてるんだよしかも前と同じ姿だし。今度は人として生まれるんじゃ無かったのか?神様何やってんだよ...ん?でもおかしくね?なんでこの世界にアクセルが...?」
「っ!ハァッ!!」
アクセルが放ってきた掌底を避ける。そしてその手を掴み、足を払って地面に投げ飛ばす。
「まぁいいや。アクセル本人なのは間違いないし、魔族なのも事実。なら、また殺してやるしかないわな」
転ばせたアクセルの背中を踏みつけ、拳銃を突きつける。音速で動かれたら普通に抜け出されるだろうが、全然能力使わないし、もしかしたら魔族として生まれ直したものの固有能力は身体能力強化じゃなくなってたのかもな。
「じゃあ、死のうか。今度はちゃんと人として生まれてきてくれよ?」
「っ...
え?こいつ急に何言ってんだ?
不思議に思いながらも、引き金を引けば全て終わる。無視して俺は引き金を引いた。
「……ジャムった?」
確かに引き金を引いたはずなのに、なぜか弾が出なかった。こんな時に運が悪い...そう思いながら俺は拳銃を消し、もう一度作り出す。銃口を覗いて確認とかもう一度引き金を引くとか、そんな馬鹿なことはしない。腔発とかしたら堪ったもんじゃないからな。弾が詰まったなら再度作る方が安全で早い。
……だが、もう一度銃を生み出したにもかかわらず、銃弾は発射されなかった。さっきの銃はアクセルに叩かれたからそれで壊れたのかと思ってたが、今回の銃はそんな整備不良を起こすような要因は一切ない。なら、なんで撃てないんだ?
「……ありがとう、兄さん」
アクセルのポツリとつぶやいたの声が耳に入った。
「ああ...いつでも守ってやるさ」
「お前...何やってんだ?」
横を見ると、シンがこちらに手を向けて立っていた。さっきまでの不発...まさか、こいつが能力で空気を固めて弾丸の発射を阻止したのか?もしそうだとしてもなんでそんなことを?
「さっきは間違って傷つけてしまったからな...その罪滅ぼしだ。絶対に守ってやる。だから...まずはその足を退けろ!カリヤ!!」
シンがこちらに向かって走ってきた。あの手の形は...空気の剣を持ってる!
「クソっ!何しやがる殺せるチャンスだったんだぞ!」
アクセルから離れてシンの不可視の攻撃を避ける。その時ちゃっかりと銃を作り直してアクセルに向けて撃ち込んだが、空気の壁を張られて止められてしまった。
「俺の妹を...傷つけるんじゃねぇ!!」
「はぁ⁉︎何言ってんだお前こいつがお前の妹に見えてんのか⁉︎そいつは幻覚だ目を覚ませ!」
「幻覚じゃねぇ!どっからどう見たって本物じゃねぇか!」
「ちげぇよこいつは魔族!魔族のアクセルだ!断じてお前の妹でもなんでもねぇ!」
「お前こそ何言ってんだ紛れもなくアイラだろってか俺の妹をこいつ呼ばわりするんじゃねぇ!」
何が...何が起こっているんだ?この世界じゃアクセルはシンの妹になってる?いやでも、流石にそれはないか?それよりも、何かしらの幻覚によってアクセルを妹のアイラ?とやらに見せている方がらしく感じる。
他の魔族...いや、普通に敵軍の誰かの能力かもしれない。はたまた、大穴だがこの世界でのアクセルの固有能力という可能性も...
「……っ!」
チッ、シンが攻撃してくるせいでおちおちと思考に耽ることもできねぇ。
「……ははっ、そうだよコレだよコレ。自分が正しいと信じて潰し合う同士討ち。これが俺の必勝パターン」
……俺?っつーか、やっぱりそういう作戦なのか。その人にとって大事な人の姿を見せて、自らを守らせる...下劣な作戦だな。生まれ変わって、精神性も変わっちまったかアクセルさんよぉ...
「シン兄さん、ここから出して?そして、そいつぶっ殺しちゃって」
「まずっ、逃すか!」
アクセルに逃げられる。そう思って走り出そうとしたものの、空気の壁に衝突してしまう。もう、壁の位置を変えてアクセルを外に出したのだろう。おそらく、今空気の壁の内側にいるのは俺とシンのみだ。
「妹の頼みだ。死んでくれ」
「クソっ、どうしてこうなるかなぁ...!」
まぁいい。俺だけ壁で隔離とかされなかっただけマシだ。もうそんなことをされていたら、俺は何もできなかった。シンがここにいるなら、ぶちのめして能力を解除させるという方法が使える。
アクセルを追うには、シンを黙らせるしかない。アクセルの策にまんまと嵌められてるってのが気に食わないが、今はそうする他にない。
「人と戦うなんて御免被りたいんだが...刃向かってくるのなら、ぶちのめすだけだ!」
魔力銃を生み出し、シンに向けて引き金を引く。
「チッ、やっぱ防御が硬いな...!」
シンの能力で厄介なのは、常に空気の壁を自らの周りに覆っていること。このせいで、魔力弾が防がれてしまう。魔力をほんの少しでも身体に流し込めれば勝ちなのに、それが現状不可能に近い。
だが、シンの能力には限界がある。前に戦った時、一気に大量の空気を操ったために鼻血を出しながら倒れたのを見ている。戦争が始まる直前の会話で、能力を使いすぎると倒れると本人の口からも聞いている。うまいこと能力を過剰に使わせてやれば、奴は勝手に自滅してくれるわけだ。
ただまぁ、自滅はあいつもする気はさらさらないだろう。こちらが誘発しようとしても、気絶までは行かない可能性が高い。けれど、消耗はある程度してくれるだろう。広範囲の操作をした結果、防御に回すリソースが無くなるなんてこともあるはずだ。なんとかして防御に回す能力のリソースを割く...それが勝ち筋か。
「ならこうすれば...!」
シンの手の握り方、腕の振り方から武器の種類と大きさを予想してなんとか避けながら、俺は魔力銃のマガジンを別のものに変える。
「くっ、目眩しか!」
地面に着弾した魔法弾が、周囲の空気に色をつけていく。前に議員魔族を襲撃した時に使った魔法だ。シンの能力で着色した空気は分解されてしまうだろうが、それで能力のリソースを割けるならやる価値はある。
「ってかこの煙どこかで...っ!」
色のついた空気の中を走ってシンの背後に近づき、ドロップキックをかましてやる。空気の壁に阻まれはしたものの、衝撃だけは伝わったらしくシンの身体が押し出されてよろめく。
「ぐっ...んなっ⁉︎」
なんとか体勢を立て直し、反撃のために一歩踏み出したシンだったが、凍った地面に足を取られてすっ転ぶ。実はさっき、煙を作る魔法弾とは別に路面凍結の魔法弾も撃ち込んでいたのだ。
「氷⁉︎...ハッ、まさかお前あの時の...!」
「おかしいなちゃんとその辺の記憶も消したはずなんだが...な!」
魔法弾をシンに向けて放つ。シンは当然の如く空気の壁で防御するが...魔法弾は着弾と同時に空気の壁を凍り付かせた。
「まさか、お前の狙いは...!」
ぐるっとシンの周りを一周しながら魔法弾を放ち続け、最後に跳んでシンの真上の壁も打ち抜いた。
「はい閉じ込め完了。まぁ抜け出すのは簡単だろうが、その隙はしっかりと狙わせてもらうぜ?」
「……なら、立て籠るだけだ。完璧に閉じ込めたところで、俺は窒息しないぞ」
「不正解。その対処は間違いだぜ」
もう何回か、魔法弾を撃ち続けた。壁の一点、全く同じ位置に、何度も何度も弾丸を当てていく。
……するとどうだろう。そこには、ほんの僅かな大きさではあるが、極小の穴が空いていた。弾丸は通らないほどの大きさ。だが、魔力だけは撃ち込める...それくらいの大きさはあった。
「さっきまでは壁の表面の水分が凍りついただけだったが...知ってるか?空気も凝結するんだぜ?」
指先に集めた魔力をその穴に向けて撃ち込んだ。放たれた魔力の弾丸は、極低温のせいで空気の壁の一点が凝結したことによって生まれた穴に吸い込まれるように入っていき、液体空気を通り抜けて壁の内側へと入っていった。
「あぐっ⁉︎」
シンはうめき声を出しながら後ろに倒れ込み、凍った壁にもたれかかるようにして倒れた。
次の瞬間、貼られていた空気の壁が全て解除された。魔力弾が命中したことで能力が解除されたのだろう。先ほど言った通り、凍っているのは空気の壁の表面にあった水分なので、氷の壁だけはシンの能力が解除されてもそのまま残って...
「ってやべ⁉︎」
流石に薄い氷の壁ではシンの体重を支えることはできなかったらしく、体重を預けていた氷の壁が崩壊し、シンの身体はそのまま地面に向かって倒れ込もうとしていた。あのままだと頭を打ってそれなりにまずいことになるだろう。回復の魔法弾で治せるとはいえ、怪我はさせるものじゃない。俺は急いで地面をかけ、滑り込むようにしてシンの下に入ってその身体を受け止める。
「……ん?」
おかしい。魔力弾を受けたなら、拒絶反応でもっと苦しんでもおかしくないはず...
「……あぶねっ⁉︎」
俺が直接追加で魔力を流し込んだのと、シンの手に空気の剣が握り込まれたのはほとんど同時だった。その直後、空気の剣が振るわれたものの、魔力による拒絶反応によって剣は消滅した。
「お前まじか...魔力弾を喰らったフリするとか咄嗟にできることじゃねぇぞ...」
俺が凝結させて穴を開けた空気の壁のさらに内側に壁を貼り魔力弾を防御。そして、防御したということが悟られないように、攻撃を喰らって気絶したかのように装いながら能力を解除して倒れ込み...俺が近づいてきた時に騙し討ち。これを即興で考えたのかよヤバいな。
シンにとっての誤算は、魔力弾を喰らうと拒絶反応が起こり能力が使えなくなるということだろう。攻撃を喰らって気絶し能力を解除する...普通の攻撃だったならそれは自然でも、魔力弾では不自然にしかならない。気絶まではしないからな。そして、最後の不意打ちも能力の強制解除によって防がれた。
こちらにはチートじみた手札があったから勝てたが、戦略では完全に負けていたな...
「く...フンッ!!」
「あぐっ⁉︎」
突然、シンに左手で頬を叩かれた。その衝撃で歯が口の中を切ってしまい、軽い痛みが走る。
「テメーなんで動ける⁉︎ってか暴れんな!」
魔族も動けなかったってのになんでこいつ暴れられんだよバケモンか⁉︎
「んぐっ...!!」
俺はシンの上半身側を押さえつけていたのだが、シンは足を大きく動かして無理矢理俺の側頭部を蹴り飛ばしてきた。
その衝撃によって軽い脳震盪が起きてしまったのか、視界が揺らぎ、平衡感覚が乱れる。そのせいで力が抜け、シンに抜け出されてしまう。
「っ、こい...つ...!」
そのまま寝技を仕掛けてきやがった⁉︎肩関節を壊しにきてやがる魔力で守らねぇと!
「魔力に酔いやがれ...!」
能力を使って魔力を大量に生成し、シンに触れられている箇所から一気に放出する。
「う゛っ」
放出された大量の魔力は、シンの皮膚からだけでなく呼吸によって口や鼻からも体内に入っていった。それによって急激に拒絶反応が増してシンの身体から力が抜けた。
「……はぁ、はぁ、はぁ...」
シンを振り解き、ゆっくりと立ち上がる。さっきの軽い脳震盪のせいで吐き気がするが、なんとか我慢しながらシンの頭に魔力銃を突きつける。
「お前にはまだ戦ってもらわないといけないが、このままだとまた妨害されるのは明白だからな...」
まずは記憶改竄の魔法弾で、この場にシンの妹がいたという記憶と、俺が議員魔族殺害の場にいたという記憶を消しておく。次に、回復の魔力弾でシンの傷を全て治し、最後に体内の魔力を全て引き受けて終わりだ。
これでシンは戦闘に戻れるし、アクセルを妹だと見間違うこともないから邪魔してくることもない。
「……よし、あとはアクセルを追うだけ...!」
自らにも回復弾を撃ち込んで傷を治し、シンの身体から引き受けた魔力と魔法弾で身体能力を強化してアクセルを追いかける。アクセルの場所は魔族の探知能力でなんとなくわかるから、追いかけることは可能だ。距離的に、センフリの兵士たちと出会っていてもおかしくはない。急がなければ。
背後でシンが起き上がるのを気配で感じながら、俺はセンフリの方向に向かって走る。
「アクセル!!」
二分ほど走り、ようやくアクセルを見つけた。その周囲では、センフリの兵士と見られる人たちが倒れていた。近くに隣国の兵士はおらず、彼らが持つ武器に血が付着していることから、あたかも同士討ちしたかのように見える...というより、本当に同士討ちしたのだろう。
そして、まだ何人か立っている人も残っているが、互いに武器を向けていて今まさに斬りかかろうという場面だった。
「嘘だろもう追ってきたのか⁉︎」
「まずは一対一に...!」
魔力弾を放ち、アクセルの周囲に立っている人全員に命中させる。また俺のやることを邪魔されてはたまったもんじゃないから、先んじて全員潰しておいたのだ。
「これで邪魔者はいない。正々堂々の一対一をしようじゃないか」
「くっ...やなこった!」
「うわ逃げた。でもおっせー」
なぜかは知らないが、アクセルは俺と戦った時よりも傷が増えていた。そのせいか、だいぶ走るのが遅い。小走り程度でも追いつくだろう。
「あーもうそっち行くなよ面倒じゃん」
アクセルは人が多くいる方へと向かおうとしていた。また幻覚を見せて同士討ちを狙っているんだろう。先んじて魔力弾を撃って阻止することはできるけど、後でその魔力を抜く作業が必要になるから出来ればあまりやりたくはない。
……でも、とりあえずあそこにいる数人には撃たないとダメそうだな。
「はいはい全員止まれー」
俺は走りながら魔力銃を構え、アクセルの進行方向にいる人たちに狙いを定め...
「あ...やべ...」
視界が揺らいだ。さっきの脳震盪、実は結構重症だったのか?回復弾一発じゃ足りなかったか...
「あべっ!!」
走っていた状態からすっ転び、顔面から地面に突っ込んだ。い、痛い...!
「あだっ⁉︎」
前の方から、声がした。右手で握っていたものはそのまま、左手に魔力銃を作り出して自らの頭と顔に回復弾を何度も撃ち込み、傷を癒して脳震盪を和らげながら身体を起こし、声がした方を見た。
そこには、膝から崩れ落ちたかのように地面に座っているアクセルの姿が...
……いや、魔族がいた。
「アクセルじゃない?...っ、そうか思い出した...!」
あいつはアクセルなんかじゃない。一番会いたい人の姿を見せる能力を持つ魔族だ。どうやら、俺もその能力の影響を受けてしまい、あの魔族をアクセルだと誤認していたようだな...
「さっき倒れた時、偶然引き金が引かれて魔力弾が発射され、それが偶然魔族に当たった...のか。なんで俺、最初から魔力弾をぶつけなかったんだ...?」
あの魔族をアクセルだと勘違いしていたから、魔力を撃ち込んでも拒絶反応は出ないっていうふうに無意識のうちに考えてしまっていたのだろうか?まぁ、そもそもなんで別の世界にアクセルがいるんだって疑問すら浮かばなかったわけだし、気づけないのも仕方がなかったのかもしれない。ちょっと遊ぼうとしていたってのもあるか...
「……まぁ、無力化できたしいっか。あとはさっさと殺すだけだな」
「そう簡単に...殺されてたまるかってんだ...!」
「……撃ち込んだ魔力量が少なかったか。動けるとはな」
撃ち込んだ魔力量によっては、能力は使えなくとも動けはすることもあるってさっき学んだばっかりだ。どうやらこいつもまだ動けるらしい。
……能力が使えなくなってるかってのはまだわからないのか。さっきので一旦解除はされたけど、奴の能力は傷つけられることをトリガーとしているからまた俺が攻撃しなければ能力の再発動はできない。撃ち込んだ魔力が少なすぎてもうとっくに身体から抜け切っている可能性もあるな。一応気を付けておくか...いや、一撃で仕留めればいい話か。
「俺はまだ遊び足りない...この力を使うには傷つかないといけないんだ。その分くらいは楽しんだって構わないだろ?死んじゃ遊ぶことなんて出来ねぇ...だから、殺されるなんてまっぴらごめんだ」
うわー言ってることよくわかんねぇ自分勝手すぎね?
「そんなん知ったこっちゃないね。俺はお前を殺す。それだけだ」
拳銃を生み出し、魔族に向けて構える。
「……い、いいのか?そこから攻撃したら、俺の後ろにいる仲間に当たっちまうんじゃないか?」
「人質取ってるつもりか...?この距離じゃ外さないぞ」
まぁ、貫通しちゃって後ろにいる奴らにも当たるってことは考えられるか...自分の手越しに撃って威力減衰とかはクッソ痛いからやりたくないし...
「……じゃあ、直接切るだけだな」
俺は拳銃をそこらに放り捨て、能力を使って魔力を生成する。それを体外に放出し、剣の形に固めて保持する。
「その身体で何回避けれるかな!」
走って魔族に近づき、魔力の剣を横一文字に振り抜く。
「くっ...!」
魔族はそれを屈んで避け、第二の刃が迫ってくる前にその場を飛び退いた。そしてとある方向へと一目散に駆けていく。
「よ、よし...手に入れたぞ...!」
そして魔族は俺がさっき放り捨てた拳銃を掴み取り、俺に向けてきた。
……馬鹿が釣れたな。
「死んじまえ!!」
魔族は銃口を俺に向けたまま引き金に指をかけ、そのまま引いた。
だが、弾丸は発射されない。
「なんd
魔族が困惑し声を上げようとした瞬間に俺は接近し、その首を魔力の剣で刈り取った。首が落ち、顕になった血管から血が噴き出す。
「元から弾なんて入れてねぇし、入ってたとしてもいつでも消せるっての。つーか罠だって気づけないもんかねぇ?」
あんな風に投げ捨てるとか、拾ってくれと言っているようなもんだろ。そもそも相手が使っている得体の知れない武器を拾って使ってやろうって発想、浮かんだとしてもそうそうやらないだろ。色々と、知能がアレな魔族だったな...能力さえ無ければ一瞬で方を付けられただろうな。手間取らせやがって...
「これで魔族はあと2人...か。別働隊は任せちまって魔族を優先していいかな...?」
あれからまだ伝令は一回も来ていない。つまり、敵国の右翼側の兵はまだ動いてないということであり、そこにいる光を操る魔族もまだ動いていないわけだ。そこに一人で突っ込むのは流石に無理があるだろう。側面から襲ってきている兵の対処に回った方が良いのかもしれない。
しかし、そっちの兵を相手取るにしてもいかんせん人数が多すぎる。攻撃は魔力弾で事足りるにしても、防御は攻撃が飛んでこないことを祈る運任せになってしまう。そんな危険は冒さず、当初の目的通り魔族だけに狙いを絞った方が戦いやすいかもしれない。
「……とりあえず後回し!」
ただここで立ち止まって考えるのでは少し時間がもったいない。さっき魔力弾を撃ち込んだ人の治療をして、手を動かしながら考えた方が良いだろう。そうしているうちにまた新たな伝令が飛んでくるかもしれないしな...
と、見事なまでに問題の先延ばしをするのだった。
攻撃のレパートリーが銃を撃つか魔力を操るくらいしかないのがネックなんですよね...速度操作と魔法でなんでもできたあの頃が懐かしい...