戦争の終結...とちょっとした戦いの回です。
「やーっと殺せたぜ...よかったよかった」
作り出した拳銃や魔力銃を全て消しながら、俺は腕を伸ばして伸びをする。
目の前には魔族の死体がある。それの脳天や四肢には矢が刺さっていて...次の瞬間には消え去っていた。
「マジで助かったぜハント。お前がいなけりゃ多分一生殺せなかったわ」
そう言いながら俺は空を見上げた。すると、透明化能力を解除したハントが空中を飛んでおり、ゆっくりと降下してきているのが見えた。
「まさか、一日と経たずに呼ばれるとは思ってもなかったよ」
「ああ、俺もこんなに早く呼ぶことになるとは思ってもなかったぜ。出来れば、もう少し早く来てくれたら嬉しかったんだがな」
「無茶言わないでよ。これでも全速力で飛んできたんだから」
「まぁなんとなく想像はしてたけどな。距離めっちゃ離れてるし、来るのには時間かかるだろうなとは。ベストタイミングで来てくれたからなんとかなったが...ってか大前提として、ちゃんと連絡が伝わってて良かったわ。そこ正直心配だったんだよな」
ユーリに渡して、アンスの頭に向けて撃てと言いながら渡した魔力銃を覚えているだろうか。あれはアンスに俺の記憶を流し込むための魔力銃だ。アンスの持つテレパスの能力は、知らない人に向けて発動することはできない。だから、ハントのいる場所や容姿、名前などを込めた記憶をアンスに共有するためにユーリに魔力銃を託したのだ。あらかじめマガジンの中に魔力を貯めておけば、俺以外の人が引き金を引いても魔法を発動することができるからな。時間もあまりなかったし、これが最適だった。
不慮の事態が起こって伝達できなくなる恐れはゼロではないから不安だったが、ちゃんとハントまで届いてくれて本当に良かった。
「急に頭の中に声が響き出した時は驚いたよ」
「お前がテレパスの能力者経由で連絡しろつったんだからちゃんと身構えててくれよ」
「いやだからまさかその日のうちに来るとは思ってなかったんだって...けど、なんで呼んだんだ?戦争が起きたとか魔族が紛れ込んでいるとかは聞いてたけど、カリヤがいればなんとかなると思うんだけど」
「まぁ普通に殺し殺されの戦争をするんだったら呼ばなくてもよかったかもな。結果論で言えばこの魔族を殺すにはハントの能力が必要不可欠だったから呼んで正解だったが、本来の目的は違ったんだよ」
「本来の目的?」
「この戦争は魔族によって引き起こされた、言わば今この瞬間には起こり得なかった戦争だ。これで人が死んだとなれば、色々と不都合があってな...そこでハントの能力の出番ってわけだ」
「僕の力...そうか、僕の弓矢なら殺さずに無力化できる。だから僕を呼んだってわけか」
「そういうことだ。俺も魔力弾で無傷で無力化できるが、地上から徒歩で全員を相手するのは流石に無理があるからな。空から透明になったまま狙い撃ちできるハントがいたら心強かった。まぁ、先に魔族を倒したら能力の効果が切れたらしくて、一般兵は戦意喪失しちゃったから出番無しだったがな」
「だからもっと早く来てほしかったって言ってたのか...それで、苦戦してたみたいだけどこの魔族はなんだったの?僕がいないと殺せないってさっき言ってたけど」
「こいつの能力は光を操る力で、端的に言うとどんな攻撃でも光をぶつけることで弾くことができるから攻撃はほぼ通らないっていうクソ厄介な魔族だったんだ。俺の手持ちの武器だとどうやっても倒せそうになかったから、唯一こいつの守りを貫通できるであろうお前が来るまでなんとか時間稼ぎをしてた」
「なんで僕の力だと攻撃が通るんだ?」
「こいつの守りは光を衝突させることで成り立っている。ならば、実際には物質として存在しているわけではない幻覚の弓矢なら貫通できるってわけだ」
「……幻覚とはいえ、矢は触れるし目にも見える。見えるってことは光を反射してるわけだから、その理屈じゃ無理なんじゃない?」
「目に見えるのはそこに矢があるように周囲の人に思わせているだけだから、別に光を反射させているわけじゃないと思うぞ?」
「でも、飛んできてる矢を剣で弾いたりすることもできるから、物をぶつけて撃ち落とすことはできるはずだよ。本人がそこにあると思っているなら、力を使って光で弾くっていうのもできると思う」
「……あれ?もしかして結構危ない橋渡ってた?」
自分自身の能力のことだ。当然俺よりもハントの方がその性質を理解しているだろう。そのハントが撃ち落とせたかもと言うってことは...だいぶ危険な賭けを知らず知らずのうちにやっていたらしい。
「……多分、現実には存在していない攻撃だから自動防御の対象から外れていたとかかな...任意防御をされていたら普通に防がれてたかもしれないとか怖すぎる...」
知りたくなかった事実だ。精神に悪すぎる...成功して良かった、今はそう思うことにしよう。
「いやホント、来てくれてありがとうなハント。正直言うともうこれで戦争終わったからお役御免なんだが、これからどうする?」
「あ、そうなの?じゃあ...何かお土産でも買ってから帰ろうかな。というわけでお金ちょうだい」
「おけ。魔族討伐の功労者だからな持ってけ持ってけ」
あんまし使うことがなくて余りに余りまくっているお金を幾分かハントに渡す。
「じゃあなーまた何かあったら呼んでくれー!」
そう言ってハントは飛んでいき、上からセンフリの中へと入って行った。また呼ぶ機会があるかはわからんが、何かあったら早めに呼んでおこうか。遠いと来るのに時間がかかるからな。今回の一件で得た学びだな。
「カリヤ、今の人は...?」
おっ、休憩のために下がらせていたシンが戻ってきた。もう一回くらい交代するかなとか思ってたが、それよりも前にハントが来てくれたからただ見てただけになってたな。
「戦闘中に話した切り札だ。あいつが来るまでの時間を稼ぐために俺たちは頑張ってたわけだ」
「なるほど、なんの時間を稼ぐんだとずっと考えてたが、あの人が来るのを待っていたのか。何か特別な力を使うのに時間を使うのだとばかり思っていた」
「悪かったなその辺の話をちゃんと出来なくて。魔族に警戒されちゃ困るから言えなかったんだよ。だってそうだろ?お前の防御を貫ける能力者がこれから来ますだなんて目の前で話してたら誰だって警戒するし、急いでセンフリに向かうか逃げられるかの二択になるだろうからそれを避けたかったんだ」
「別に話さなかったことを責めてるわけじゃないから、そんなつらつらと言い訳をしなくてもいいぞ。それが必要なことだったのは俺も理解しているからな」
敵を騙すにはまず味方から...とは微妙に話が違うが、情報流出を防ぐために味方にも秘密にするのは鉄板だ。シンも軍人だから、それは理解しているようだな。
「……ところで、なんだが...」
「ん?」
「カリヤは...軍人じゃないよな?」
おとっとぉ?また記憶を消す必要があるか...?
「どうして...そう思ったんだ?」
「色々と不自然だったからな。それにさっきいた人、マルチだろ?この町にはマルチは一人もいない。だから別の町出身の知り合いなんだろうが、ここの軍に配属されるのは生まれも育ちもセンフリの人だけだ。外に知り合いがいることはあまり考えづらい。だから、カリヤは別の町から来て軍の中に潜り込んできた何者かってことになる。そのなんでも作れる力があれば、俺たちの記憶を操ることも容易だろう」
そこまで看破されてるのなら、ハントがこの町に来た時に偶然出会って仲良くなったんだ、みたいな言い訳をする必要はないかな。一応理論に穴があるからそこを突くことはできるけど、どうせ他にも理由はあるんだろうし、いちいち反論するのも面倒だ。
「……その通りだ。なんでそんなことをしたのか、理由もわかってるんだろ?だから俺を捕らえる...みたいなのはやめてくれよ?」
「そんなことしないさ。魔族を殺すために来たんだろ?結果的に戦争も早期終結したんだし、俺としては感謝したいくらいだ。まぁ、上の奴らがどう処分を下すかは知らないが」
「そこはなんとか上手いこと言っておいてくれないか?俺、次の魔族を探しに行かないといけなくてさ」
俺がそう言うと、シンは深い溜め息をついた。
「……それなら早く行くといい。どうせ俺しか気づいていないんだし、今姿をくらませてしまえば形も残らない死に方したただの一般兵としか思われないさ」
「おぉ...溜め息疲れた時はどうなるかと思ったが、マジでありがとうシン」
「余計なこと言ってる暇あるならさっさと行け」
「信頼してるからな、記憶操作は無しにしてやる。じゃあな」
シンに別れを告げ、俺はセンフリの中へと戻っていった。
「よいしょっと...事務所戻るか」
出来るだけ人目を避けながら軍の施設の中に潜り込んだ俺は、更衣室で元の服へと着替えていた。借り物だけどこの軍服どうしようかな...走り回ったせいでそれなりに汗が染み込んじゃってるし、この痕跡から俺の居場所を特定できるような能力者がいたら困るし、処分したほうがいいのかな。
「一応持って帰っておくか。よくよく考えてみれば、戦死したってことにするんだから服だけここにあってもおかしいしな」
部屋に誰もいないからと普通に独り言を呟きながら、出口への一歩を踏み出す。
その瞬間だった。背後から一回、足音がした。出口は俺の視界内。誰かが出入りした可能性はゼロだ。つまり、何者かが俺の真後ろに突如として現れたことを意味している。
そして、俺の真後ろからは、魔族の気配がハッキリと...!
「クソっ!空間置換か!」
その場を飛び退きながら振り返ると、そこには狂気に満ちた歪な笑顔を浮かべながらこちらに向けて手を伸ばすハルラの姿があった。そしてその奥には空間の裂け目ができており、おそらくその向こう側には空間置換の魔族、サギリがいるのだろう。能力を駆使して俺に不意打ちを仕掛けてきたわけだ。
「遊びに来ーたよ♡」
「っ!!」
あの手に触れたら即座に全身を切り刻まれてジ・エンドだ。とにかくなんとしてでも避けなければならない。そんなことを考えるよりも前に、俺の手は勝手に動いて持っていた軍服をハルラに投げつけていた。
「わぷっ⁉︎」
ハルラは顔面に軍服を喰らい、驚いた声を出しながら後ろへ少しよろめいた。
「へ、へぇ...面白いことしてくれるじゃん」
顔に乗っかった俺の軍服をグシャッと掴むと、一瞬で切り刻まれて消滅した。
「処分してくれて助かるぜ」
無意識にやったことだが、そのおかげでなんとか距離を取ることができた。こうやって軽口を叩けるくらいには余裕もできた。
そのおかげで、一つの違和感にも気づくことができた。どうしてハルラは軍服を避けられなかったのだろう。飛んでくる弾丸を粉微塵にできるのだから、この近距離でも投げられた服を粉々に切り刻むことなんて容易なはずだ。急な出来事で反応できなかったっていうのも考えづらい。何か理由があるのか...?生物は直接触れないと切れない、みたいな感じの制約があるのかもしれないな。
まぁそんなことは一旦置いておくとして、だ。今はこいつをどうにかする方が先だ。何かに繋がるのかもしれないが、死んじゃ元も子もないからな。なんとかしてこいつから逃げるか返り討ちにしなければ。
「つーか、やっぱり記憶は消せてなかったか。魔力も抜けんの早いし、もうちょいダウンしててくれよ...」
戦った魔族が俺のことを知ってるっぽかったからそうなんだろうとは思ってたけど、本当に記憶消去に失敗してたとはな...
「ああ、最後に飛んできたアレ?サギリくんが消してくれたけど、喰らってたら記憶消えてたんだ。結構怖いじゃん」
「絶対お前の方が怖いぞ...」
ハルラの方を見て話をしながら、ジリジリと出口に向かって動く。なんとかこの施設の外まで出て人目の多いところに行けば、大人しく引き下がってくれるだろう。能力は確かに強いが、それでも大人数を相手取るのは面倒なはずだ。顔バレもあまりしたくないだろうしな。まぁ希望的観測でしかないが、そうなることを祈ってひとまずは外への脱出を目指す。
「まぁいい。また魔力ぶち込んでやるだけだ。それでもいいってんなら覚悟しな」
魔力を作り出し、全身に巡らせる。そしてその一部を指先に集め、ハルラに向ける。
「あーそれ?面倒だけどミシュちゃんなら治せちゃんだよね。だから喰らったところですぐ戻ってきてあげるよ」
おっらこいつ意外と口が軽いな。ミシュって奴が回復系の能力を使って魔力の拒絶反応を治したのか...いや、回復とは限らないか。能力の応用でもいいから、魔力を体内から取り出すことができればどんな能力でもいいからな。ひとまず、ミシュっていう名前の魔族がいること、それは確定情報だ。
「わざわざ殺されに戻ってくるならありがてぇ...な!」
魔力弾をハルラに向けて指先から放つ。魔力弾は切り刻めない。ハルラには避ける術はない。
「……ありがとーサギリきゅん♡」
空間に穴が開いてそこに魔力弾が吸い込まれる。そして俺の目の前にも穴が開いてそこから魔力弾が返ってくる。
そうなんだよな、撃っても空間置換で返されちまうんだよな。魔力を剣の形にしたとしても、切ろうとした箇所に穴を開けられて俺の背中を切ることになるだろう。どこから見てるのかは知らんが、面倒極まりない。攻撃は牽制程度にとどめて、この場は逃げることに集中しよう。倒し方も後でゆっくり考えることにする。
「しょうがねぇなぁ...ハァッ!」
魔力を込めた拳でドアをぶち破り、そのままの勢いで更衣室の外に出た。普通に扉を開けたら遅いからな。空間置換を貼られて脱出不可能になる前に出る必要があったから破壊してそのまま外に出る。
「あれー壊しちゃっていいのかなー?」
部屋の外に出て廊下を走る俺を追って、ハルラが部屋から出てくる。扉の破片が散乱しているが、それを躊躇なく踏み抜きこちらに向かって走ってくる。あいつ、痛覚ってもんがねぇのか?
けど、そのおかげでちゃんと罠にハマってくれたな。
「あ、れ...?なんで動けな...」
ばたりとハルラが地面に倒れ込む。扉を破壊したその瞬間、飛び散った破片に僅かながら魔力を仕込んでいたのだ。それに触れたため、軽度の拒絶反応が起きたってわけだ。
本当に僅かな量しか仕込めていないから、いつ回復するかわからない。だから攻撃しにいくことはせず、このままハルラから距離を取る。
「罠はなんぼあってもいいからな〜」
床や壁に魔力を流し込んだり、魔力でワイヤーのようなものを作って貼ったりなどして罠を貼りながら外に向かって逃げていく。この世界じゃ聖杖世界よりも早く魔力が空気に拡散してしまうせいで長くは持たないが、逃げる時間くらいは稼げるだろう。
「一個懸念点はあるが...それよりも前に外に出る!」
常に全身に魔力を纏い、急に触れられても身を守れるようにしながら全速力で廊下を駆ける。たしかこの辺に出口が...いや、待ち伏せされてるかもしれないから...!
「部屋の窓から...!」
出口の手前にある部屋の中に入り、そこの窓をぶち破って外に出る。
「お、みーつけた!」
やっぱり出口の目の前で待ち伏せしていたようだ。魔力の拒絶反応から回復してから、サギリに協力してもらいあそこまで転移してきたのだろう。窓から出て正解だったな。
「悪いが諦めてくれ。痛い目見たくなければな」
ハルラのいる方と真反対の方向に向かって駆け出す。
「逃がさないよ〜
ブツッと声が途切れた。後ろを振り向くと、ハルラが消えていた。唯一の懸念点であった短距離転移だろう。いや、短距離転移と予想をしてはいるが、未だその実態は不明。本当に転移なのか定かではないが、定かではないからこそハルラの持つこのもう一つの能力は警戒しなければならないのだ。
「……あれ?」
ある違和感に気づく。その違和感を辿ると...
「そこか?」
俺は急に立ち止まり、前に向けて魔力を霧状に放出した。
次の瞬間、前方にハルラが出現して魔力の霧をモロに吸い込んだ。
「ゲホッ!ゴホッ!コフッ...!」
霧状の魔力を吸い込んだためか、大きく咳き込みながら拒絶反応を示すハルラ。大量に吸い込んだから、しばらくは回復しないだろう。それはすなわち、この場をなんとか切り抜けたことを意味している。
しかし、今の俺の頭はそんなことをどこか片隅に追いやっていて、別のことを思考していた。
「お前その力...転移じゃねぇな?」
ハルラの姿が消えたにも関わらず、魔族の気配はまだそこにあった。そして、それがゆっくりと移動して俺を追い越し、現れた。だが、透明化ではない。俺を通り抜けるような形で気配は通り過ぎていったからな。
だから、考えられる能力は...
「再生能力...それがお前のもう一つの能力か」
切断能力で自身の身体を粉々に切り刻み、粉々になったまま移動する...これは空気を切ることで風を生み出して移動しているのだろう。そして再生能力を使って体を再構築し出現する。それが転移に見えていた能力の正体だ。
「今思えば、扉の破片を踏み抜いてたのも再生能力があるからだったんだな...ほら、サギリだっけか?さっさと連れていきな。お前がいるんじゃどうせ殺せないし」
俺が適当な方向を向きながらそう呟くと、ハルラが真下に開いた空間の裂け目に吸い込まれて何処かに消えていく。一応殺せないこともないんだろうけど、それを試すよりかはサギリを殺すか魔力の拒絶反応で能力使用不可になってる時に、一対一でハルラとは相手をしたい。一対一じゃないと魔族探知を使った転移先の予測もしにくいしな。
「……行ったか」
空間の裂け目が閉じ、魔族の気配が消えたのを感じてから俺は胸を撫で下ろした。そして、騒ぎになる前に足早にこの場を離れる。
「やれやれ...この先も同じような感じで襲われまくるのかな...」
魔族に顔が割れてしまっている。そのため、今さっきみたいに急に空間置換で近くに現れて襲ってくるなんてことはこれから日常茶飯事になることだろう。それを防ぐ手段は、整形でもして顔を変えるでもしない限り無理だろうな。
「はぁ...ため息止まんね」
これからのことを考えるとため息が止まらない。ポジティブシンキングをすれば、あっちからきてくれるから探す手間が省けると捉えることもできるが、それを上回るほどのデメリットだ。いつ襲われるかわかったもんじゃないからおちおち寝てもいられない。
「つーかこのままだとアイツらを巻き込んじゃうんじゃないか?人質みたいなことされるのも困るし...」
このままドンカラの輸送隊についていく形を続けていれば、いずれ彼らを魔族との戦いに巻き込んでしまうことだろう。それを避けるためにも、一人旅に戻ることを考えないとな。どうせ外国にいる魔族を殺しにいく時になったら別れることになるんだし、少し時期が早くなるだけだな。
「まっ、戦争終わったら帰るって約束だし、とりあえず今は帰るしかないけど...帰ったら話すか」
ドンカラの事務所へと向かいながらみんなに伝えることを考えておく。他にも、仮にすぐに別行動することが決まったとして、次にどこへ向かうかってのも考えておかないとだな。考えることだらけだめっちゃ思考加速したい。
「……そーいやあと魔族何人残ってんだ?えーっと、今日三人殺して、今まで四人殺してるから殺したのは七人。んで、確か全部で二十人いるって話だから、あと十三か。でその中の二人は名前と能力が確定してて、もう一人も大体推測できてる...と、こんな感じか」
『あー、その話なんじゃが...』
うおっ、神様の方から話しかけてくるなんて珍しいな。
「どうした神様。なんかあったのか?」
『実はのう...魔族はあと十二人なんじゃ』
「十二?計算違いはしてないはずだが...もしかして神様が言ってた二十ってのが間違ってた?」
『いや、それは正しい。確かにこの世界には二十人の魔族がおった。じゃが、そのうちの一人がお主の知らない場所で殺されたのじゃ』
「なんだなんだ仲間割れでもしたのか?それとも普通に人に見つかって処刑された系?」
『後者じゃな』
「まぁスイレイのあの村にだってハルラが見つかって放り込まれてたしな。勝手に見つかって処理されることもあるか...ん?そんなこと起こるなら俺来る意味あったか?勝手に見つけて勝手に殺してくれって感じなんだが」
『お主が各地で魔族を狩った影響じゃ。魔族が町に潜り込んでいることが広まったからこそ、監視の目が強まって見つかるようになったのじゃ。お主が来てなければこんなことは起こりえん』
「なんだそうなのか...残りの十二人も勝手にどっかで殺されとけって感じだが、そうもいかないんだろうな...しゃーないこれからも頑張りますよーっと」
神様にそう告げながら、俺は事務所に戻るのだった。
なんかサラッとハルラのもう一つの能力を明かしてしまったな...タイミング的にここしかなかったので致し方なし。
あと、ナレ死をやったのは決して魔族の数を多くしすぎたから無理矢理減らしにいったわけではなく、この世界におけるカリヤくんの影響を示すためにやった計画的なものです。
まぁこれから先の十二人全員を描写するかは分かりませんが...