神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8618字。

ネームドキャラ出してくぞ〜


外交を断つ村、支配する魔族

「村に入れんかった...」

 

村に入ろうとしたら、村人に門前払いをくらってしまった。外から来たと伝えただけでこれだ。ただ俺が怪しかったからってわけでは無いのだろう。

 

「鎖国状態ってことなのかな...村に入れないとなると、どうしたものか...」

 

とりあえず村からは離れた。あのまま近くに止まっていたら警察的な立ち位置の人に通報されそうだったからな。今は離れたところから様子を伺っているところだ。

 

「つーかよくこんな場所で外との交流を絶てるもんだな。水もあるし農業してるから自給自足の生活をしてるんだろうけど、この規模だと長期的な鎖国は無理じゃね?」

 

なんというか、村の規模と田畑の大きさが見合っていない。これで外と貿易をしていないとなると、どうやって食い扶持を稼いでいるんだと心配してしまうくらいだ。

 

「そもそも情報収集が出来てねぇからなぁ...仕方ない。この村は後回しにして別のところ行くか」

 

上からこの村を見下ろした時、山と山の間の谷になっている部分に街道が伸びているのを見つけていた。あそこを通れば他の町に行けるだろう。

 

「ぐるっと大回りしなきゃダメか...」

 

魔力銃を作り出し、自分の頭を撃ち抜く。それによって自らにバフをかけ、村の外周をぐるっと回るように走る。

 

「……なにこれ?枯れた川...?」

 

走っていたら、まるで元々川があったかのような窪みがあるのを見つけた。そしてその周りには、荒れた田畑のようなものもあった。

 

「川が枯れて作物が取れなくなったから放棄した感じなんかな...ってことは元々ここまで村が広がってたってことなのかな?」

 

いつ川が枯れたのかはわからないけど、田畑の荒れ具合から見るにそんなに時間は経っていないような気がする。ってことは最近のことなわけで、これから収穫量が落ち込むって分かりそうなものなのに、それでも外との交流を絶っているのが不自然なように思えた。

 

「何か裏がありそうな気配がぷんぷんするぜ...」

 

そんなことを呟きながら枯れた川や荒れた田畑を飛び越え、二、三分ほどで街道のある場所へとたどり着いた。

 

「よし、それじゃあ次の町に行きますか...ってなんだ?馬車来たぞ?」

 

街道の向こう側から馬車がやってきていた。この村の人たちなのかな。いや、村が鎖国してることを知らずに来た行商人みたいな説もあるか。とりあえず魔力銃は見られないように消しておいて...と。

 

「魔族じゃないみたいだし、コンタクト取ってみるか」

 

こちらに向かってくる馬車に向かって歩く。

 

「おーどうしたあんちゃん。もしかして門前払いされたかー?」

 

馬車を操っていた女の人が先に話しかけてきた。

 

「そうですね。余所者はさっさと帰りなってんで話になりませんでした」

 

「やっぱりそうなんか...おーいユーリ!サッサと帰るで!」

 

「そんな大声出さなくても聞こえているよ。というか、一応行ってみようぜ?今回は荷物が荷物だし、受け入れてくれるかも」

 

女の人が荷台に乗っているユーリという男に呼びかけると、相変わらずうるさいなと声を漏らしながら男は荷台から降りた。

 

「それじゃあ交渉しにいってくる。カミレは荷物番頼む」

 

「あいよー!」

 

男は一人で村の方へと歩いて行った。さっきの会話からして、二人とも村の人ってわけではなさそうだな。荷物とか言ってたし、俺の予想通り行商人か何かなのだろうか。

 

「なぁあんちゃん、村の人じゃないんだろ?どこから来たの?」

 

「いろんなとこを旅している最中なんですよ。それで向こうの山を越えてやっと村だと思って近づいたら門前払いですから、嫌になっちゃいますわ」

 

「それは災難やったなぁ。アタシたちも、数日前に急に余所者は入ってくるなとか言われて驚いたもんだよ」

 

「お二人さんは行商人か何かで?」

 

「そうや!すぐそこの...って、あんちゃんは向こうから来たから知らんのか。この街道をちょっと行ったところにベースキャンプがあってな?そこからぎょーさん商品乗っけてここまでえっちらおっちらとやって来たわけよ」

 

「なるほど...」

 

んじゃあいったんそのベースキャンプとやらに行ってみるとするか。お金もあるし、そこで色々と物資を調達するとしよう。行商人のベースキャンプってことは色んな物があるだろうしな。

 

「おっ、戻ってきた戻ってきた。どうやったー?」

 

「全っ然ダメ。やっぱり聞く耳持たないよ」

 

「だから言ったろー早く帰るぞって」

 

「水なら買ってくれるかもと思ったんだけどなぁ...」

 

「ほら早く乗れー」

 

「飛んだ無駄足になっちゃったな...すみませんねそこの人。うるさくて耳痛いでしょう?」

 

「誰がうるさいって?」

 

「お前以外に誰がいるんだ?...初対面の人に指差すんじゃ無い!」

 

「あいたっ!ツッコミ激しいわもぅ...」

 

冗談で俺の方に指を向けた女の人を思いっきり引っ叩く男。そういうコントでもやってるのかこいつら...?

 

「あっ、そうだあんちゃん!馬車、乗ってく?」

 

「えっ、いいんですか?」

 

「ええよええよー山乗り越えたあとなんやろ?足疲れてるだろうし乗ってけ!」

 

「公害レベルの声量で迷惑かけただろうし、乗っていくといい。ベースキャンプまで送っていくようちのカミレが」

 

「誰が公害や!」

 

「……二人がいいなら甘えさせてもらいます」

 

馬車の荷台に乗り、空いているスペースに座り込む。

 

「えーっと、君はどこから来た人なんだ?風貌からしてエストの民っぽいけど...」

 

「遠いところから旅してる人なんやってー!」

 

馬車を操って方向転換しながら女の人は言った。

 

「じゃあエストってわけでもないのか。それにしても旅人か...見たところ荷物はほとんどないようだが、よくそれで旅をできているな」

 

「で、出来るだけ身軽にしておきたい性分でして...」

 

この世界に来たばっかりだから荷物はほぼゼロだけど、それで旅人とか言われたら不思議に思うよなそりゃ。うまく話を逸らすか。

 

「でもほら、この通りお金だけは持っているんで。次の日生きれるお金さえあればなんとかなるってね」

 

お金の入った袋を取り出して見せる。

 

「次の日...って、次の日どころじゃ無いぞこの量。飛んだ大金持ちじゃないか!」

 

えっ、そうなの?この紙幣、そんな価値あったのか...あっ、そうか。冒険者という仕事がない以上、俺は金を手に入れる手段があまりないことになる。だからあらかじめ所持金を多くして、魔族を殺す任務に集中できるようにしたのか。使いすぎと盗みに気をつけないとな...」

 

「お金持ち⁉︎どんだけ持ってるん⁉︎」

 

「多少使い込んでもこれなら数年は持つだろうな...これ、どこで手に入れた?」

 

「いやーちょっと親が裕福なもので」

 

親(神)だけどな。まぁ身体作ってくれたし親と言っても差し支えないだろ。

 

「えー少しだけ分けてくれへん?」

 

「馬鹿なことを言うな!...でも、うちの商品を買う形ならアリか...?」

 

「そういえば、この積荷ってなんなんですか?」

 

商売魂を出しつつあってなんか買わされる流れになりそうだったから話題を変える。

 

「水と食糧だな。あの村、最近川が枯れたりとかして食糧不足になりつつあるって話だから持ってきたんだが...こうして何度も突っぱねられているわけだ」

 

「今日は水多めに持ってきたってのに馬車まで見に来ることすらせんかったなぁ...ユーリの交渉が下手ちゃうんか?」

 

「そもそも交渉すらできていないさ。もう僕の姿を見るだけで農具を構えてくる始末だ」

 

「そ、そこまでなんですね...」

 

「ハッキリ言って異常だろ?どう考えても食糧不足になることは確実なのに、それでも外との交流を断つのを優先している。このままじゃいずれ全滅だぞ...」

 

「それもこれもあの気に食わんイケメンのせいや!アイツが村をダメにしとる!」

 

「イケメン...?」

 

「ほら、村の入り口の方からこっちを見ている長身の男がいるだろ?あれが最近代替わりした新しい村長だ。あの男の政策で、外交停止とかいうふざけたことをやっているんだ」

 

「長身の男...?」

 

遠すぎて見えねー

 

「あんちゃんには見えんやろ。ユーリの能力でも無きゃこの距離じゃ見えんて」

 

なるほど、ユーリの能力は千里眼みたいな感じなのか...ああでも確かに、よーく目を凝らせば長身の男がいるような気がしないでも...っ⁉︎

 

……アイツ、魔族だ。

 

「……どうした?そんな怖い顔して」

 

「えっ?あ、ああ、ちょっと目を凝らしすぎて眉間に皺が...」

 

どうやら村長であるあの長身の男は、魔族らしい。神様がくれた魔族判別能力がしっかりと見分けてくれた。多分、この村を滅ぼすために外交を禁止し、食糧難に陥れようとしているのだろう...いやでも、それならもう少し別の方法でやっていそうな気がするな。流石に作戦に穴がありすぎる。こんな短絡的な策では無いはずだ。もう少し情報を集めるか...

 

「……その人、二人からしたら目の上のたんこぶなのでは?」

 

「そうやな〜アタシらの仕事を邪魔する奴やからな。言ってみりゃ魔族みたいなもんや!」

 

「はは、ガチの魔族だったらどうします?」

 

「だったらええな〜一発殴りたいわ」

 

ホントのホントに魔族なんだけど、今ここでそれを言ったところで何言ってんだこいつってなるだけだから言えないな。

 

「あんのクソイケメンの嫌なところな?あんな見た目してるっちゅーのにやることが陰湿なところや!」

 

「カミレってホントあの人のこと嫌いだよね。ドンドン悪口が出てくる...まあま、そらは僕もだけど」

 

「陰湿...とは?」

 

「あんちゃん向こうのほうから来たなら、枯れた川があるの見たやろ?あれ、枯らしたのアタシらドンカラのせいやって言い張ってるんや」

 

ドンカラ...よくわからん単語がいきなり出たけど、この世界だとある程度知られている名なのか...この人たちが所属してる行商人のグループみたいなものかな?二人でベースキャンプを建てたとは考えにくいし、ベースキャンプってのもそのドンカラとかいう集団のものなのだろう。んで、魔族はその集団が川を枯らしたと主張していると...

 

「……それは、ドンカラが川を枯らして水と食糧を不足させたところに商品を売りつけようとしてる...みたいな主張をしてるってことですか?」

 

「そうやそうや!今のでわかるとはあんちゃん頭ええなー!」

 

マッチポンプ疑惑をかけることで村人に外の人への不信感を抱かせ、外交をやめさせる...か。村長の一存で外交するかどうか決められるのかと疑問に思っていたが、そういうふうに操作していたならまぁ納得だ。

 

「してないことをしてるって言われるのがいっちばん腹立つわ!」

 

「でも、流石にもうそろそろ泣きついてくるとは思うんだよね。もうかなり食糧も底をつき始めているだろうし」

 

「だったらええけどなー」

 

馬車に揺られること数分。まだベースキャンプまで距離があるみたいだ。村から結構距離あるな...ってか、それなりの勾配だけど積荷は大丈夫なのか?このツボに水が入ってるんだろうけど、絶対こぼれるだろっていう角度なのに中身は漏れ出していなかった。蓋があるとはいえ、隙間から水がこぼれてもおかしく無いのに...

 

「ってか揺れもあんま無いし、そういう能力ですか?」

 

「アタシの能力やー」

 

「嘘をつくな」

 

「嘘やー」

 

……なんだこのやりとり。

 

「物のバランスを保つ能力を持ってる子がうちにおって、その子の力で揺れを抑えてるんや。水がこぼれないのもそのおかげなんやでー」

 

「へーかなり便利そうな能力だな...」

 

「そういやあんちゃんの能力はなんなんや?」

 

「えっと...物を作れる力ですね。作れるものは限られてますけど」

 

「物質生成系か!便利やなー」

 

「貴女の力はなんなんです?」

 

「アタシ?アタシは動物の使役や!そのおかげでアタシが馬車担当になってるってわけ」

 

「へー使役能力...使役ってのはどの辺まで出来るんだ?もしかして、小動物を村の中に潜り込ませて情報収集できたりとか...?」

 

「……あんちゃんそれ妙案やな」

 

出来るけど気づいてなかったのか...この人あれだな。サーマル感がすごい。

 

「せや!あの陰険イケメン、犬に襲わせたろ!」

 

「物騒なこと言うなよカミレ。そんなことしたところで、きっと僕たちのせいにされて更に拒絶されるだけだ。たとえそれが、カミレの能力関係なく偶然起こったことだとしてもね」

 

「せやなぁ...なんとかして誤解を解いて、商品買ってもらうしかないか」

 

商品売りつけるのは確定事項なんだな...

 

「……そーいやあんちゃん、名前なんやったっけ?能力聞いて名前聞いてへんかったやな?」

 

「そういえばそうだったね。さっきから名前呼び合ってるからわかってるかもだけど、僕はユーリ。で、そっちのうるさいのがカミレだ」

 

「よろしゅうなー!」

 

この世界も苗字はないみたいだな。聖杖世界じゃフルネームを教えてたけど、めんどいし苗字だけ教えよう。今までずっとカリヤ呼びだったし、今更名前呼びはむず痒いからな。

 

「仮谷だ。よろしく」

 

「カリヤか...ますますどの国出身かわからんな」

 

名前でどこ出身かわかったりするものなのか?なんか面白い文化してるな...ってかさ。

 

「さっきからカミレさんずっとこっちの会話に混ざってますけど、ちゃんと操縦出来てるんです?」

 

「能力で指示出してるから問題なしや。ってかさん付けやめーやむず痒くてしゃあないわ」

 

「変に謙った喋り方もしなくていい」

 

そんな謙った言葉遣いしてないと思うんだが...あれか?丁寧語の文化がなくて謙譲語として翻訳されてるのか?翻訳先にない言葉だったりするとちょくちょく翻訳バグるんだよな...気をつけよう。

 

「なら、普通に喋らせてもらうよ」

 

「気ぃ使わないのが一番や。自然体で行こうぜあんちゃん」

 

「カミレは自然体すぎて失礼な時あるから気をつけたほうがいいとは思う」

 

「アタシのどこに失礼なところがあるんや?おぉん?...っと、見えてきたであんちゃん!あれがアタシらのベースキャンプや!」

 

カミレの声を聞いた俺は、荷台の上から顔を出し、進行方向を見た。

 

なんというか...印象としてはモンゴル感がすごい。自由に移動ができるようにするためか、モンゴルのゲルみたいなテントで建物が造られていた。あーあれだな、ブレ○イやティ○キンの馬宿っぽい雰囲気もあるな。

 

「結構広いな」

 

「あれでも他のよりかは小さい方なんやで?他のベースキャンプとフールとを繋ぐ中継点に過ぎないからな」

 

フール?...ああ、あの村の名前か。急に知らない固有名詞出てきたからビックリしちゃった。聖杖世界じゃ山奥に住んでて常識をあまり知らないって設定にしてたから色々丁寧に教えてもらえたけど、今回は旅人設定にしちゃったからある程度のことは知ってる前提で話されちゃうのか。ちょっと困るな...

 

「んじゃあ他のはもっと広いのか。初めて見たから知らなかった」

 

それとなーく、俺はあんまりものを知りませんよみたいな雰囲気を醸し出しておく。

 

「そうなん?街道に沿って旅していれば絶対見たことあると思うんやけど...そういえば山を超えてきたってゆーてたな。わざとズレたところ歩いとるんか?」

 

「まぁ結構自由気ままに旅してるんでね。だから変なとこばっか行ってて有名どころにはあんまし寄れてないという」

 

「だからこんなにお金を持っていたのか。町で使っていなければそりゃここまで貯まるな」

 

「はは、そっすね」

 

……伝わったか伝わってないのかわからないけど、まぁある程度のイメージは刷り込めたかな。

 

「よし、到着や!ユーリ積荷戻すでー」

 

「乗せてもらったんで手伝うぞ」

 

「そりゃありがたいわ。それじゃあそのツボ向こうのテントの中に持ってってー。あっ、蓋には触っちゃアカンで!かけられた能力が解けちゃうから」

 

「りょーかい...やっぱ水だから重いな」

 

前の世界での筋力が残ってたらこれくらい軽々と持てたんだろうけど、今の俺じゃ結構キツイ。蓋から水が漏れ出ることはないけど、一応ツボの中で水は少しだが揺れている。その揺れもあって、だいぶ持ち上げるのが難しく感じた。

 

「そこのテントの中だっけ...よっと」

 

足でテントの入り口の垂れ幕をずらして中に入り、中にいた人に会釈してからツボを置く。誰だコイツとでも言いたげな怪訝な顔をされたけど、後ろに続いてユーリが入ってきてくれたおかげで、不審者としてとっ捕まえられるようなことはなかった。怪しいけど手伝ってくれている親切な人くらいに思ってくれたのだろう。

 

「量的にこれをあと六往復くらいか...」

 

「いいや、あと二回でいいはずだ」

 

どゆこと?と思ったが、テントから出たらユーリの言葉の意味がわかった。

 

「ほーらいけいけー」

 

カミレが動物を操り、積荷を運ばせていたのだ。いろんな種類の動物が、器用に積荷を乗っけてテントの中へと運んでいっていた。

 

「凄いなアレ」

 

「そうだろう?本人は非力もいいところだけど、アレがあるからやっていけているんだ。全員で移動する時も、御者は彼女だけで事足りるから正直に言って一番役に立っているかもしれない。本人に言ったらすぐ調子に乗って付け上がるから絶対に言えないけど」

 

あの性格だしなーと俺も心の中で思いながら、次のツボを持ち上げた。

 

「そういえばこの辺には川流れてないように見えるけど、この水ってどこから汲んできたんだ?まさか能力で作った水だったり?」

 

「能力はたしかに使っているが、生成したわけではないな。少し遠出して汲んできたり、他のベースキャンプから運ばれてきたりしたものに保存の能力をかけて状態を保っているんだ。ほら、テントの中にいた男がいただろう?ベスと言うのだが、彼の能力なんだ」

 

「バランス能力だったり保存能力だったり、優秀な人が集まってるんだな」

 

「能力が役に立ってないのは僕ぐらいだな」

 

「千里眼だっけか。使いようによっては役立ちそうだけどな」

 

聖杖世界じゃ索敵に使えるけど、魔物のいないこの世界じゃ遠くを見通せてもあんまし意味ないよなぁ...何かしらには使えるとは思うけど、どうしても前の世界基準で考えちゃうからあんまり思い浮かばないな。

 

「使いようか...僕には思いつかなさそうだな。せいぜい遠くの様子を確認できるくらいだし」

 

……俺その能力欲しいんだけどな。もし千里眼を使えたら、遠くにいる人でも魔族かどうか判別できるしな。今後は身分のせいで入れないとか、世界情勢のせいで町に入れないとかもあるだろうし、遠くから見る手段は欲しいところだ。双眼鏡とか無いかなこの世界?

 

「僕にもっと想像力があればなぁ...ん?あれは...」

 

ユーリが村へと続く街道の方へと目をやり、何かを見ていた。

 

「……なぁ、カリヤには、アレが何に見える?」

 

「アレ?悪いが遠すぎて何も見えんぞ。何かあるのか?」

 

「これでどうだ?」

 

僕の肩に触れながらユーリは言った。

 

突如として、俺の視界がガラッと変わった。まるでスナイパーライフルのスコープを覗いたかのように視野が狭くなり、その代わりに遠くのものが鮮明に見えるようになっていた。他人に能力を付与することもできるのか...やっぱ強くねこれ?

 

「何が見える?」

 

「人、だな...農具を持った農民か?」

 

農具を持った農民らしき人たちが、六人ほど街道を歩いてきていた。

 

「……槍?」

 

農具だけだと思ったら、槍みたいなの持ってる奴いるな。なんでそんなの持ってるんだ?

 

「やっぱりか。僕が変なものを見たわけじゃないみたいだな...」

 

「アイツら何してんだろ。外交拒否ってんのはあっちの方なのに、あっちから来るなんて」

 

「何しにって、決まっているだろ。略奪しに来たんだよ...みんな!荷物全部馬車に乗せろ!早く撤退するぞ!」

 

ユーリの大声が周囲に響いた。その声に触発されるように、ベースキャンプ内にいた者全員が慌ただしく動き出した。

 

「撤退って、逃げるのか⁉︎あんなん余裕で返り討ちに出来るだろ?」

 

「なに言っているんだそんな装備うちには無い!」

 

そうだった魔物がいないから最低限の自衛をできる武器も技術もないのか...!

 

「荷物全部運び切れるのか?」

 

「無理だろうな。だが、少しぐらい奴らにやってやっても問題ない。売り上げはゼロだが、それで奴らの生活が保たれるならそれでいい」

 

「……いや、それじゃダメだ。そんなものその場しのぎにしかならない。それに、この略奪が成功してしまったら、この先ずっとその方法に頼ることになる。最終的に他の町の手で、略奪者集団として村は潰されるだろうな」

 

あの農民たちが略奪をしようとしているのも、村長の魔族の指示なんだろう。魔族さえいなければ、村は平和でいられたんだ。略奪者として罪人になる必要は毛頭無い。

 

「だから、ここで止める。アイツらぶちのめして人質にして、指示を出してる村長に、地に頭擦り付けて謝らせようぜ。それが一番だ」

 

「一番...かどうかはわからないけど、ぶちのめすって言ったってこっちには武器が無い!」

 

「カミレに動物を操らせてアイツらを襲わせるのは?」

 

「反撃されるかもしれへんのにそんなことさせるわけないやろ!」

 

荷物を動物に運ばせているカミレが反論してきた。まぁ、そりゃそう言うだろうな。

 

「じゃあ俺が止めてやるよ。世話になった礼だ」

 

街道のほうに向かって俺は歩き出す。

 

「逃げる必要はない。ゆっくり水でも飲みながら、落ち着いて見ているといい」

 

久しぶりの戦闘がまさか人間相手になるとは思わなかったが、初陣だ。一対六...軽く肩慣らしと行こうか!




活動報告にも書きましたが、この作品、現時点でエピソードが16ほどあるんですよ。
しかも、これは確定している分だけなので、気分とアイデア次第ではまだ増える可能性があるという...
一つのエピソード、異世界にどれだけの話数をかけるのかはガチの未定なので、どれだけ続くか分かりませんが、必ず書き上げますので、気長に、本当に気長に読んでくださると幸いです。
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