神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8036字。

今回は戦闘一切無しです。


友情形成と死印名簿

「ふぃ〜ようやく帰って来れた」

 

ハサミツの転移によって魔王城に戻ってきた。真上が開けていて空が見えることが転移の条件なため、魔王の間に直接飛べないのは少し面倒だがまぁ歩いて部屋まで戻るのもこれまた一興だな。

 

「にしても、変な空してるよなぁ...どんな趣味してんだマリスタの奴」

 

この世界の空模様は、地球や聖杖世界のそれや、源流世界のずっと天頂に太陽があるそれとも違う。この空は、人類と魔物の勢力図そのものだ。

 

人類側が獲得している領土は昼で、魔王軍の領土は夜、戦力が拮抗していて争っている最中の場所はどっちつかずの夕焼け模様...と言った感じだ。空を見ればどっちが支配している領域なのかがすぐにわかるのはありがたいが、マリスタはどう言う心境でこの空模様を作ってるんだろうな...

 

「ったく、どの世界もことごとく俺の生活習慣を乱しにかかってきやがるな...」

 

一日が三十時間の聖杖世界に、ずっと昼間の源流世界、そして場所によって昼夜が変わるこの世界。せっかくその世界に適応してもすぐ別物になるから結構辛い。世界を渡り歩くとこうなるんだな...

 

「そういやこの世界の名前どうしようかな...適当に法術世界でいいか。魔法と魔術ってことで」

 

源流世界もそのまんま使っちまってるけど、流石にそのまますぎか?こういうネーミングセンス無いんだよな俺...

 

「とりあえず戻ったら最後に殺した奴が誰だったのか確認するか...」

 

そんなことを呟きながら魔王城の中に入る。アイツが何気に重要人物だったりとかは流石にないよな...?

 

「……あっ、代理様だー!」

 

どこからともなく声が聞こえてきた。なんだろう...と思って辺りを見渡すと、少し先の天井から水滴が落ちてくるのが見えた。その水滴の上にはバツ印があって...ってことは、こいつ死印付きの魔物なのか?

 

「全員しゅーごー!」

 

声が響くと、天井や壁や床から水が染み出してきて、最初に落ちてきた水滴に向かって集まってくる。水滴はどんどんと大きくなっていくと、少しずつその形を変えていき人に近い形に変化していく。

 

「せーの」

 

「「「お疲れ様でーす!!!」」」

 

……み、耳がキーンとする...多分群体型の魔物なんだろうけど、合体した状態でも一体一体が声を発することできるんだな...そのせいでバカみたいな声量になってるけど。

 

「す、すまないが喋るのは一人だけにしてくれ...俺の鼓膜が死ぬ」

 

「ハッ!ゴメンなさい代理様!」

 

「そう、それでいい...それで、何の用だ?名前と用件を言ってくれ」

 

「私たちの名前はミセラ!それで用件なんですけど...あの!代理様ってロザドを切ったって本当ですか⁉︎」

 

「それは本当だが...」

 

「私諜報部所属で、ロザドの部下なんですけど...あいつ私たちが死印付きだからって危険な場所ばっか送り込むんですよぉ酷くないですか⁉︎」

 

「そ、そうだな...」

 

俺個人としては死印付きに危ない仕事を任せるのは理にかなっていると思うんだけど...なんか否定しちゃいけない雰囲気だから黙っておく。

 

「なんとか生還してもまた別の場所に行けって言われて、ロザドは安全なここで報告するだけ...そんなのおかしいぞ!って思ってたところで代理様がロザドを切ったって話が飛んできて、もう嬉しくて!」

 

あいつ嫌われてんだな...でも、やってることは正しいのに嫌われているのはなかなかに不憫だな。ってかミセラだっけか、こいつもなかなか優秀だな毎回生還してるって何気に凄いぞ。液体で自分の体をバラバラにできるってのが諜報に向いているんだろうな...

 

「スカッとしましたありがとうございます!!」

 

「自分の上司がやられたってのに凄い清々しそうじゃん...」

 

顔とかそういうパーツは一切ないから表情はわからないが、その分声に感情が乗りまくっている。本当に嬉しいんだな...

 

「そういえば私たち、初めて代理様のこと見たんですよねぇ再臨の時は諜報に出ててあの場にいなかったんですよ」

 

「そうだったのか。よく俺が魔王だって...って、そりゃわかるか人間だし」

 

「ですです!一眼見てすぐ代理様だってわかりました!」

 

ってかこいつどうやって世界を知覚しているんだ...?そもそも声どうやって出して...って、魔物に常識は通用しないわな。そういう魔法なんだと思っておこうスルースキルは大切だ。

 

「ところでなんですけど、代理様の名前ってなんですか⁉︎みんなに聞いても教えてくれなくて...」

 

「カリヤと呼んでくれ。様も付けずに呼び捨てでいい」

 

「カリヤ...はい!わかりました!これからはカリヤって呼ばせてもらいます!」

 

「……」

 

「ど、どうしました...?」

 

「……ちょっと、感動してるだけだ...」

 

「どうして⁉︎」

 

「あーヤバい涙出そう...」

 

まさか、こんな素直ですぐにフランクに来てくれる良い子がいるだなんて...

 

「……あー、ゴメンな。感無量で取り乱しちまった...あと、そんな怯えなくて良いからな」

 

私たちが泣かせちゃったの⁉︎とオロオロとしているミセラをまずは落ち着かせる。

 

「今までいろんな奴に名前呼びしてくれって言ったのに誰一人としてやってくれなかったからさ...やれ魔王様やらやれ代理殿やらで嫌気が刺してたところに君たちがきてくれた。ちょっと救われたよ...」

 

「そんなにですか⁉︎それなら私たち、もっと名前呼びしてあげます!他の仲間たちにも名前呼びするように頼んでみますね!」

 

「おう任せた!...マジでな」

 

「にしてもみんなから聞いていた印象と違うねーみんな怖がりすぎじゃない?」

 

「それなー堅苦しいの苦手だし、どんどん気軽に絡んできてほしいのに...」

 

「それならロザド切っちゃったのマズくない?私たちはそれで好感を持ったけどそれって相当レアケースだし、容赦なく部下を切り捨てるって恐れを抱く子の方が多いと思う」

 

「あれはアイツが俺のやること邪魔しようとしたからさ、そりゃ邪魔する奴なら味方だろうと斬るよ。この力なら傷つけずに意識を奪うことなんて容易いしな」

 

「そっかぁ...それじゃあロザドが悪いね!」

 

「そういうことだ」

 

「あっ!ちょっと召集かかっちゃったから行ってきます!私たち頑張ってお仕事するから、カリヤも頑張って!じゃあね!」

 

ミセラはそう言うと、慌ただしくバラバラになってから壁を伝い、天井へと染み込んでいった。ああやって直線的に向かえるの便利だな...今の言動的に、分割した個体同士は遠隔でやり取りができるっぽいし、連絡用に少し置いておいて残りは別の場所にってのが出来るのも便利だ。直属の部下に置きたいくらいだ...

 

「ふんふふーん!」

 

上機嫌に鼻歌混じりで魔王の間へと向かう。まさかこんな出会いに恵まれるとはな...

 

『良かったじゃない友達ができて』

 

「……チッ」

 

『舌打ちは酷くない?』

 

「見てやがったのか...」

 

『そりゃ見てるよ。にしても、かなり上機嫌ね。そんなに嬉しい?』

 

「何がどうなってそりゃ見てるになるのかはわからんが...まぁ、そんなに嬉しいのは本当だ。だってようやく俺の言う通りにフランクに接してくれたんだぜ?嬉しいに決まってんだろ」

 

『それは良かった...けど、良いのかしら。そんなに仲良くしてしまって』

 

「ん?どういう意味だ?」

 

『あの子、死印付きなのよ?あんなに仲良くしてしまったら、貴方の性格的に別れ難くなってしまうんじゃないかしら』

 

「あー...」

 

た、たしかにそうかもなぁ...

 

「あり得そうで怖ぇ...そうだよな、もし最後まで生き残ったとしても最終的には死んでもらわないといけないんだもんな。自害を命ずるか、俺自身の手で殺す必要がある...うわ待って出来ないかも」

 

俺が簡単に魔族や魔物、人間を殺せたのは、そういう使命があったからというのもあるが、一番の理由はそいつとあまり関わりが無く人となりを知らないからだ。そいつについて深く知ってしまえば、それだけ殺しにためらいが出てきてしまう。まぁ、そいつについて深く知っても好敵手として清々しく戦えたアクセルという例外はあるが...今ミセラに抱いている感情はそれとは違う。これ以上親密になってしまえば、始末できなくなってしまうかもしれない。

 

「……でも、だからって邪険に扱うとかもそれはそれで出来ねぇ...!後のことは後の俺が考えれば良い!はいこの話終わり!」

 

『強引に終わらせにいったね...絶対後悔するよ』

 

「終わりつったろやめだやめ。さっさと消えな」

 

『ちぇーつまんないの』

 

マリスタが消える。うるさい奴だぜまったく...

 

「はーようやく戻って来れたぜ」

 

ようやく魔王の間まで戻ってきた。入り口の前に立つ門番に向けてよっすと手のひらをひらひらとさせながら中に入るか。

 

「色々あってなんか疲れた...この場所休憩できる場所ねぇんだよなぁ」

 

魔王の間って休憩できるスペース無いんだよな。だだっ広いから心も落ち着かないし、ある物は魔王の座だけ。そんなので休めるはずがない。

 

「それでも気合いで寝るしかないか...まぁしゃーないよな、元々人間用じゃないわけだし」

 

もしかしたらこの椅子って何かしらの回復効果とか付いてたりするのかな...魔物専用だから人間の俺には効果が無いとかありそうよな。とかそんなことを考えながら椅子に座る。

 

「あーウルドラで食べたアレ欲しいな。アレ美味しくないけど異様に体力回復するからな...っと、そんなことはどうでも良い。名簿だ名簿」

 

死印付きの名簿を取り出し、パラパラと捲る。

 

「さっき心破裂で殺した奴はどいつかな〜っと、こいつか」

 

魔王城に転移する直前に殺した男を名簿から見つけ出し、そいつが何者なのかを調べる。

 

「……へぇ、ウルドラから北東の小さな村出身のただの一般人か。なんであんなとこいたんだ...?」

 

空模様を見てウルドラが安全になったことを知って逃げてきたってところかな...

 

「その村には、他に死印付きの人間はいない...か。じゃあそこの警備兵は撤退させて良いな。別のとこに人員割こう」

 

いつまでも無意味な警備をさせるわけにはいかないからな。それに、今は死印付きだけで各地を守ってるからどこも人員不足だし、人員を回せるなら早々に回すべきだろう。

 

「ってかこうやってマジマジと名簿を見るの何気に初めてだな...良い機会だし読み込んでおくか」

 

前に軽く目を通したことはあったが、その時は重要人物にしか目を向けていなかったからあんまり詳しくは読めてないんだよな。普通の人や、魔物の欄も一緒に読んでいこう。

 

「……案外普通の人だと情報少ないんだな。それに出身と現在の所在地は書いてあるけど、これリアルタイム更新ってわけじゃなさそうだから今は違う場所にいるとかザラにあるなこれ」

 

さっきの男も、所在地は村だったが実際はあんなところにいた。おそらく名簿作成時点での居場所が記されているんだろう。そこから移動していた場合、逐一探し出す必要がありそうだ。

 

「そういう奴らの捜索は諜報部に任せれば良いとして...これなんだ?」

 

同じ町の住人がえらく大量に名簿に載っていた。数十人とかそんなレベルじゃなくて、数千人が死ぬことになっているようだ。もしかしたら、町そのものが滅んでるんじゃないかってくらいの規模だな。

 

「……あっ、注釈あった。なになに...?魔王軍最大の攻撃によって人類側に多大な損害を与えたスターバス滅亡事件...人類側にとって重要な軍事拠点であった町スターバスの住民7114人全員と、偶然そのタイミングで駐在していたり滞在していた軍人や旅人796人、合計7910人が虐殺された...ねぇ」

 

だいぶな事件だな。正史ではそんなことが起きるはずだったのか...うわ、日時まで事細かに書いてある。今から大体一ヶ月くらい先の出来事か。

 

「なるほど、その数日前にスターバスが人類の手に落ちて、そこが最前線の拠点になっていたのか。だからそこを狙って全て破壊したと...」

 

ここ、かなりのターニングポイントになりそうだな。どうやら魔王軍側もこの戦闘でだいぶ痛手を負っているようだ。死印付きの戦闘員の約半分がこの戦いで死亡するはずだったらしい。そのせいで魔王軍側の戦力が削られて、この場は勝ったものの今後はズルズルと負けが続いて最終的に魔王が討ち取られると...

 

「……ん?スターバスの虐殺の時に魔物たちは死んでない...?少しタイミングがずれているな」

 

よく調べてみると、大虐殺が起きて住民全員が死亡してから十数分後に魔物たちがバッタバッタと死んでいくらしい。どうも虐殺中に返り討ちにあって死んでいったわけではなさそうだ。

 

「……あっ、なるほどね。最後の最後に勇者御一行が出しゃばってきたのか」

 

どうやら魔物たちは勇者御一行にやられて死んでいったようだ。もう全て終わってしまった後に到着する勇者...多分絶望だろうな。そこで魔物たちを殲滅したから人類の勝利へと流れが変わっていくんだろうけど、よく戦えたな。だって聖杖世界のカリスでの惨劇をもっと酷くして尚且つもう手遅れな状態ってことだろ?俺なら無理だよ立ち直れない。

 

「勇者一行は五人...あれ?それプラス戦姫がいたの?その六人で魔物を殲滅していったのか...どんだけ強いんだよそいつら」

 

六人で万の魔物と相対し、数千の魔物を殺し、残りにも手痛い傷を負わせて撤退させたらしい。とても人間とは思えねぇ...誰がどれくらい殺したかまでは載っていないから勇者や戦姫が強かっただけの可能性もあるけど、それはそれで二人がバケモンってことになるから嫌だな。

 

「あっ、でもこの戦闘で二人死んでる。タンク役の大盾使いが味方を庇って死亡、その直後に別角度からの攻撃で庇われた側の魔術師も死亡...か。残りの三人は最後まで死なずに生き残るんだな」

 

勇者一行の二人の死亡イベントもあるし、ガチでここターニングポイントだな。正確な日時も載っていることだし、スターバスの死印付きを殺すときはこれの再現をしてみるか。同じ道を辿れば、本来の歴史に沿って死印付きの処理ができるかもしれない。

 

「問題は、既にいくつか改変が起こっていることだな...」

 

まず、戦姫は既に死亡している。それによる行動の変化がバタフライエフェクトのように人々の行き来に変化を及ぼしていたら、本来はスターバスにいないはずの人間がそこにいる、ということが起こり得てしまう。

 

最初に戦姫を始末したのは、死印の無い魔物が何かの拍子に殺されてしまうことを防ぐためだったが、もちろん死のタイミングが変わることによる諸々の改変には俺も思い至っていた。それでも決行したのは、容認できない死が起きたら取り返しがつかないのと、最終的に死ぬべき者が死んでいれば過程が変わろうと問題がないからだった。

 

人間の死はこちらが狙いを絞れば問題ない。戦姫が殺すはずだった魔物も、最後まで生き残っていれば自害させればいい。だから先に殺してしまっていても問題ない...そう思っていたのだが、こんな町一つ滅ぼすような戦いがあると知っていて、しかもそれに戦姫が関わっていたとなればもう少し考えても良かったかもしれないな。

 

「戦姫がいないことで勇者御一行の到着が前後したら困るな...スターバスへの人の行き来は諜報部隊に監視させて、襲撃部隊には死印無しの人は狙わないように注意すればいいけど、そこは俺たちが干渉できないから難しいな」

 

早く到着しそうなら死印付きの魔物に足止めさせればいいかな...遅くなるなら俺らは待機していればいいか。上手いこと勇者たちと魔物たちを戦わせて、死印付きの二人を討ち取らないと...

 

「……待てよ?戦力足りるか?これ」

 

スターバスでの戦闘だが、本来の歴史では半分は死に半分は生還している。死んだ中には勇者到着前に駐在していた軍兵との戦闘で死んだ者もいるし、生還した中には最後まで生き残っていて死印がついていない者もいる。

 

そこで問題になるのが、死印付きの魔物を既にそこそこの数消費してしまっていることだ。各地の監視は死印付きにやらせているし、人類の反抗作戦によって殺されている者も少なくはない。本来はスターバスの戦闘で死ぬはずだった魔物が他の場所で死んでしまっているのだ。そのため、殲滅作戦にあたる魔物の総数がまず減ってしまっている。

 

そして、総数が減ってしまっていることで、本来よりも戦況が悪くなってしまい、勇者到着前に死亡する魔物の数が増えることが予想される。それが死印付きならば問題ないのだが、死印なしだった場合最悪だ。

 

かといって死印のない者を参加させないと、さらにこちらの総数が減ってしまう。そうなればスターバスを滅ぼすことすら危うくなってしまう。

 

スターバスの滅亡を優先して死印なしが死ぬ可能性を孕んだ危険な作戦を取るか、安全策を取る代わりにスターバス滅亡に失敗する可能性のある作戦をとるか...まぁこの場合取るべきなのは後者だろうけど、作戦は一ヶ月先の出来事だからさらに人数が減ってる可能性あるんだよな。

 

「……俺も出るか...?」

 

ウルドラでやったように姿を隠しながら攻撃すれば、足りない戦力を補強することは出来るだろう。長時間の展開は厳しいし、光や音は通す設定になっている以上絶対に安全というわけではないが、ヤバそうだったら俺が出るか...絶対止められそうだけど。

 

「スターバス関連はこんなところか...一応死印付きの魔物だけでもちゃんと戦えるように、もう少しいい訓練を受けられるように担当の奴らに言っておくか」

 

なんか聞くところによると、マリスタが言っていた、この戦争に負けても戦力差的に新たな魔王を再臨させればすぐにひっくり返せるだろうという言葉を信じて、死印なしの魔物ばっか集中的に訓練をしているらしい。

 

まぁ確かにそれ自体は正しい判断だと思うよ?死ぬって分かってるやつにリソースは裂けないし。けど露骨にそんなことしたら反発を産むに決まってるだろ...

 

「区別っつーか差別っつーか、そういう奴いろんな部署で蔓延ってそうだよな...そーいやミセラもそれの被害者か」

 

パラパラと名簿をめくり、今度は魔物の死者が載っているページから読み進める。

 

「やっぱ戦闘部隊と諜報部、統治部が死印付き多いな...前線出る仕事だしそりゃそうか。次いで城の警備兵と...あっ、裏方の方は死者ほぼゼロだな。そっちの方は差別も少なそうだ」

 

こうしてみると、人類側の方が死者多いんだな...それなのに今回魔王軍が敗北するのは、人類側は民間人の死者が多いのに対してこっちは戦闘員の死者が多いからか。でも戦闘員を支える裏方はほぼ無傷だから、立ち直りが早くてすぐに次の戦いに挑めると... そういうストーリーが伺えるからこの名簿見るの面白いな。

 

「……よし、あらかた目を通したな。おかげで色々知れたけど...これからどうしようかな」

 

俺らの目的は戦争の勝利ではなく、死印付きの人間の排除だ。それをするにあたって、諜報部が各地を駆け巡って情報を集め、死印付きの人間の所在を明らかにする。そして人類側が町を取り返そうと動いたタイミングで殺していく...今まではそうやってきたが、その方法だとこちらの死印付きの魔物が犠牲になってしまうことが多い。スターバス滅亡作戦をやるにあたって人員は残しておきたいから、別の方法を模索したいところだ。

 

「……そもそも俺、魔王軍にどんな奴がいるか全く知らないんだよな」

 

知ってる奴なんて、クレストとトースリ、ロザドにミセラ、ガスタとハサミツにこの魔王の間の扉を守っている門番二人くらいだ。それ以外にどんな奴がいるのかなんて全く知らずにこれまでやってきてしまっている。

 

「フランクに〜とか言いながら、こっちが関わろうとしないとか矛盾してんじゃねぇか...よし、ちょうど良い機会だし、いろんな部署を回ってみるか」

 

名簿を消して俺は魔王の座から立ち上がり、扉を開けて外に出た。魔王城探検と行こうじゃないか。




次回はいろんな部署を回るのでいろんなキャラを登場させる予定です。
なお、そのキャラたちは今から考えるっていうね...
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