神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8115字。

これからの展開のための繋ぎの回になりました。


打ち明ける力、源流世界

「まさか、ホンマに魔族やったなんてなぁ...」

 

血を流しながら地面に倒れ伏している魔族を見ながら、カミレが呟いた。

 

「死体残っちまうのかよ...」

 

俺もボソッと、誰にも聞こえないように呟いた。聖杖世界の魔族は、死んだら黒い塵のようになって飛んでいっていたから、どことなく殺した感が薄かった。だけど、こうも完璧に死体として残っていると、俺が殺したんだなと嫌でも実感させられる。腹にある第三の目の模様以外人間と姿形は何一つ変わらないというのもなんか嫌だ。魔族を見分ける能力がなければ、間違って普通の人を殺してしまったのではないかと思い込み精神を病んでしまいそうだ。

 

「にしても、こいつ本当は高身長でもイケメンでもなかったんやな。幻覚の力で容姿変えとったんか...」

 

「そうみたいだね。どうりで遠くから見た時と近くで見た時とで印象が少し違うわけだ」

 

「えっ、そうやったん?」

 

「ほんの少し、だけどね。自分のことを見てきた相手に自動で幻覚が発動するけど、遠いとその影響は小さい...って感じかな」

 

「多分そうだろうな。初めて遠目から見ただけの俺にも奴の姿は今のと違って見えたし、あの距離から見られていることを察知して能力を能動的にかけることは不可能だろうしな...で、だ」

 

俺は死んでいる魔族から目を離し、村人達に目を向ける。

 

「この通り、村長は魔族だった。川が枯れたのがコイツの仕業なのかそれとも自然に起こったことなのかの判別はつかないが、川が枯れた事実と幻覚の能力を使って村人のことを操っていたことは事実だ」

 

村人に向かって呼びかける。魔族にいいように操られていたのかと憤る者、まさか村長が魔族だとは思わず驚いている者、いまだに何が何だかよくわからず混乱している者と様々だが、構わず言葉を紡ぐ。

 

「だが魔族はもう死んだ。そして、俺の力でわかるんだがこの村にはもう魔族はいない。つまり、みんなは自由ってわけだ」

 

「えっ、あんちゃんそんな力も持っとるんか?」

 

「話遮らないでくれカミレ...んなわけだけど、流石に全員お咎め無しってわけにはいかないことはわかるよな?」

 

俺がそう言うと、何人か首を横に張る人がいた。この世界における肯定の合図だ。一瞬勘違いしそうになったが、ちゃんとわかってくれているなと思い話を続けていく。

 

「まず、外交はちゃんとしてもらう。食料自給が厳しいこの現状では、そっちも有益なはずだ。まぁちょっと吹っかけられるかもしれないが...それはドンカラと交渉して決めてくれ」

 

「なんかあんちゃん色々仕切り始めたで?」

 

「だからカミレは口を挟まないでって。今こっちに来てる人じゃ交渉なんて上手くできないし、ここはカリヤに任せよう」

 

「んで、方々の謝罪も必要だな。単純にドンカラへの謝罪もあるし、この村に立ち寄れなくて迷惑を被った人もいるはずだ。謝れる時に謝ってもらうぞ。あと、略奪の件で司法の介入もあるかもな。まぁその辺は魔族が絡んでるから叙情酌量の余地もあるし、未遂だからドンカラ側が何も言わなきゃそれまでだけど、ある程度の誠意は見せてもらわないとならない」

 

……ダメだその場で適当に喋ってるだけだから話が上手くまとまらん...お咎め無しとはいかないとか言っときながら、なんか普通に許される流れになってきてるなこれ。どうやってまとめたものか...

 

「……とまぁ色々言ったが、そちらもまだ混乱していることだろう。魔族の幻覚能力も解除されたとはいえ、完全にその影響から逃れられているかもわからない。それに、今この村にはリーダーがいない。その辺のゴタゴタが全部解決して、自分で何をすべきか考えて行動するといい」

 

「あっ全部丸投げしやった!」

 

か、カミレうるせぇ...いちいちツッコミ入れないでくれせっかく上手く誤魔化してたのに。

 

「とりあえず俺らは撤収するぞ。こっからは村の連中でなんとかすべきことだからな」

 

カミレとユーリのもとに行き、そう告げる。

 

「最後は丸投げやったなーあんちゃん。あれか?言葉出んかった?」

 

「その通りだよチクショウうるさいな」

 

「いやー良かったわ。これでべしゃりも上手かったら完璧超人すぎて引くとこやった」

 

「辻褄合わせるの苦手なんだよなぁ...すーぐダブスタになっちゃう」

 

自分で自分の発言の矛盾に気付いたりとかもあるから、ホントその場で即興で演説するの無理なんだよなぁ...聖杖世界で何度か演説じみたことさせられたけどいまだに正解がわからん。

 

「あと、カミレを止めるようなこと言いながら俺にプレッシャーをかけてきたユーリは許さん」

 

「えっ?そんなこと僕言ったっけ?」

 

「俺はそんなに交渉上手くありませんよーだ。そんなん商人の方が上手いに決まってるだろ」

 

「ああ、そのこと...それは普通にごめん」

 

「まぁこっちも謝るわ。勝手に色々仕切った挙句放り出したわけだし」

 

そう言いながら俺は馬車の荷台に飛び乗る。

 

「よし、出してくれカミレ」

 

「また仕切ってることに気づいてへんかったりする?」

 

そんなことを言いながらカミレは馬車に乗り込み、ドンカラの人たちが全員それぞれ馬車に乗ったのを確認してから能力を発動させ、馬を動かし馬車を移動させ始めた。

 

「……なぁカリヤ。さっき言ってた魔族を見分けられるっていうのは本当のこと?それとも村人たちを安心させるために言った嘘?」

 

馬車が動き出して、フールが見えなくなってきた頃、ユーリが突然そんなことを聞いてきた。

 

「本当のことだ。俺は視界内にいる人物が魔族か否かを見分けることができる」

 

「へぇ〜そないな能力あるんやな。もしも魔族が存在しておらへんかったら、なんの意味もない能力やん」

 

「そうだな。でも、この能力があるってことはその能力を使う状況が存在しているってことで、すなわち魔族の存在の証明になる。魔族がいなかったらこの能力も生まれてないはずだ」

 

「ってことは...魔族がいなくなったらその力も消える?」

 

「かもな」

 

まぁ、魔族を全員殺したら俺自身もこの世界から消えるんだけどな。次の世界に行かないとだし。

 

「にしてもあんちゃん、よくあんなすぐに魔族を始末できるなぁ。魔族ゆうてもほぼ人と見た目同じやろ?アタシやったら無理やわー」

 

「やっといてなんだが、俺も同意見だ」

 

ってか、見事にやらかしたな俺...これから魔族を殺して回るに際して、犯人が俺だとバレない方が都合がいいから、遠くから狙撃するとか周りに誰もいない時にやるとかいう暗殺をしていこうと思っていたのに思いっきり衆人環視の中やっちまったな。あの人数を口止めするとか無理だし、どうしたものか...

 

……もういっそのこと、この二人には俺の目的を伝えてしまってもいいかもな。それで、魔族に狙われたく無いから俺がやったことは内密にっていう流れに持っていけば...カミレの口が軽そうだからちと不安だが、この流れで行ってみよう。

 

「だけど、これが俺の使命だからな。怖気付いていたら何もできん」

 

「使命...って、魔族を始末することが?」

 

「ああ。俺が旅をしているのは、別にただの観光のためじゃ決して無い。この目で魔族を見分けて殺す。そのために世界を渡り歩いているんだ」

 

「……なるほど、やけに戦い慣れているかと思ったら、魔族と戦っているからだったのか...」

 

「んいや、それは目的とはちょっと別件なんだがな。魔族殺したのこれで初めてだし」

 

「そうなん?じゃあ魔族と戦うための特訓の成果やったわけか」

 

「いや、魔族と戦うのに肉弾戦とかしないぞ。遠距離から能力使ってズドンで終わりだからな」

 

「……じゃあなんでそんな強いん?」

 

「そもそもどうしてカリヤは魔族を殺して回ろうとしているんだ?魔族は人間と敵対していて危険な存在とはいえ、わざわざそんなことをする必要ないと思うんだけど」

 

うーむ...どう答えようか。神様の話じゃ、魔族が存在することでいずれ人間側に多大な損害が出るらしいけど、何かテロとか戦争でも仕掛けてくるのか?けどそれを伝えることは出来ないしなぁ...たとえ魔族に家族を殺されたみたいな設定を作ったとしても、仇の魔族だけでなく魔族全体を殺して回る理由にはならないし、何よりもすぐにボロが出てしまいそうだ。乗っとくしてもらえそうな理由が思い浮かばん...

 

「……もしかして、さ。カリヤって、別の世界を見る、もしくは世界を飛び出して別の世界に行ける力も持っていたりする?...いや、後者で確定かな」

 

……おおっとぉ?なんか思わぬ方向に話が...

 

「ど、どうしてユーリはそう思ったんだ?」

 

「ちょっと色々と考えてみたら、そうなんじゃないかと思ってね。魔族を初めて殺したのがさっきのことだとしたら、多分旅はそんなに長くはやっていないはず。だけどカリヤはドンカラのベースキャンプのことを初めて見たと言っていた。旅を始めてすぐのことなら、出身はこの近くのはず。それなら一度は目にしたことがあるはずなのに、見たことがないのはおかしい」

 

「ほうほう、それで?」

 

「もし仮に見たことがないのが本当のことだとすると、カリヤの出身はこの近くではないってことになる。風貌からしてもこの近くの人ではないしね。けど、遠くからやってきてここに来るまでに一度も魔族と出会っていないというのも不自然だ。となると、こことは違う別の世界からこの辺の近くに飛んできたというのが一番理に適っているように思えるんだ。さっき、世界を渡り歩いたって言っていたけど、まさにその通りだったわけだ」

 

いや、それは確かにダブルミーニングだったんだけど、まさか気づくなんてな...

 

んで、どうやら、過去に他の世界から来た奴がこの世界にいたらしいな。それがよくラノベであるような、ってか俺みたいな感じで神様的存在に送り込まれてきた感じなのか、そういう世界を渡る能力を持った奴が渡ってきた感じなのかはわからないが、前例があるならありがたい。その話に乗ることにしよう。

 

「そうだな...魔族によって世界が滅ぼされてしまった世界から来た、とかかな?可能性世界は無限あるからね。そんな世界があって、源流世界であるこの世界を救うためにやってきた...そんなところでしょ」

 

ふむ、可能性世界...並行世界が大量にある感じか。地球のある世界とか聖杖世界とか、そういったレベルで世界を超えてきたわけ人がいたわけじゃなさそうだな。あくまで出来るのは、この世界を中心とする並行世界間の移動だけか。で、ここはその可能性世界の大元となった、いわば本筋と...

 

「まっ、そんなところだな。確かに俺は、別の世界からやってきたよ。魔族を滅ぼすためにね」

 

嘘はついてない。ちょっと齟齬はあるけどな。

 

「はえー別世界から来た人初めて見たわ。ってかいくつ力持っとるん?物質生成に、魔族の検知、で世界間移動...他にもあったりせんよな?」

 

「能力はそれだけだな」

 

「能力は、ってなんかそれ以外なら秘密あるみたいに言うね」

 

「まぁその辺はおいおい話すってことで...でだ。俺があの村で魔族を殺したこと、できれば黙っててくれやしないか?」

 

「なんでや?」

 

「これからも俺は旅を続けていく。もちろん魔族を殺して回るためにな。だけど、もし俺が魔族を殺して回っているなんてことが魔族の間で知れ渡ったらさ、確実に狙われるじゃん?今回はイレギュラーだったけど、出来れば誰にもバレないのが一番なんだ。だから、そこら辺黙っといてもらえると、今後がやりやすくてね」

 

「なるほどな...了解や!」

 

「ユーリはしっかりカミレの口に戸を立ててやってくれ」

 

「えっ、もしかして信用されてへん?」

 

「仕方ない。カミレはお喋りだからね」

 

嘘やろ...と裏切られたような顔でユーリを見るカミレに内心笑いながら俺は続きを話す。

 

「ほんとw頼むぜww」

 

「笑い漏れとる⁉︎その抑えきれなかった笑いやめーや!」

 

「ははっwすまんすまん」

 

笑い堪えられなかったわ。どうせいつものことなんだろうに、やけにオーバーで深刻な顔するもんだからもう笑うしか無いじゃん。

 

「アタシ秘密は守れる女やからな?ちゃーんと未来永劫喋らんで!」

 

「ホントかぁ?まっ、いずれバレる時は来るだろうし、その時が多少前後するだけだからそんなに気にすることもないんだけど、一応頼むぜ」

 

「わかったよ。あの場にいたドンカラの人にも、村の人にも口外しないように伝えておく」

 

「ありがとう。助かるぜ」

 

と、ちょうど俺が礼を告げたタイミングでベースキャンプにたどり着いた。

 

「到着っと...二人ともありがとな。色々巻き込んじまって済まなかった」

 

「ええでええでー。あっ、旅してくなら今後ともドンカラをご贔屓にーなんならここで色々買うてくとええで!」

 

「そうするよ」

 

「……そうか、旅なのに何も持っていなかったのも、この源流世界にやってきた直後だったからか」

 

「そういうことだ。んで、どこで買えばいいんだ?」

 

「着いて行くよ。ここで何かを買うっていうのは本来していないからね。僕たちで仲介するよ」

 

「本来してないことをおすすめしてくるなよな...」

 

俺は二人に連れられてベースキャンプを巡り、旅に必要なものを買い漁るのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか、前の世界と似たようになったな」

 

まぁ似たようなのつっても、カバンだけなんだがな。武器は自分で作れるから、買ったのは持ち運び用のカバンと食料くらいだ。ってかカバン背負うの久しぶりだな...ずっと次元収納に物全部突っ込んでたから、こうやって自分で持たないといけないのはなかなかに新鮮だ。

 

「前の世界もそんな感じやったんか?」

 

あ、ナチュラルに前の世界って言ってたな。まぁ並行世界のことだと解釈してくれるだろうから別にいいか。

 

「そうだな。こうやってカバン背負って旅をしていたものよ...」

 

「なんか元旅人の老人みたいなこと言うね...」

 

「こう見えても世界を救ったことあるんじゃよ〜」

 

「完全に武勇伝を語る老人だね...というか、世界を救えなかったからこっちに来たんじゃ...?」

 

「……うん、そうだな」

 

ちょっと調子に乗りすぎたか。流石にこれ以上ボロを出すわけにはいかないし気をつけよう。

 

「いやーほんと助かったわ。二人のおかげでいいもの買えたよ」

 

「それは良かった...なぁ、少し話があるんだがいいか?」

 

「ん?なんだユーリ」

 

もうそろそろ出発しようかと思ってたんだが、なんだろう?

 

「その、カリヤが良ければなんだけど...僕たちと一緒に世界を回るっていうのはどうかな?」

 

「二人と?」

 

「ちょっと待ってや。その話聞いてへんでアタシ」

 

「わかっているとは思うけど、流石に歩いてこの世界全部をめぐるのは無謀だ。ドンカラの配送ルートしか通らないから行けない町とかもあるかもしれないけど、徒歩で行くより馬車で移動できた方がカリヤにとってもいいことだと思うんだ」

 

「無視された...」

 

「……まぁ確かに、足があるのは嬉しいけどいいのか?多分魔族関連のゴタゴタに確実に巻き込まれると思うけど」

 

「せやで?ユーリもあんまり面倒ごとには関わりたく無いやろ?」

 

「そうだね。でもこっちにもメリットがあるんだよ。まず、魔族を見分けてくれるでしょ?それに強いから略奪されそうになっても返り討ちにできる。今はまだこれくらいしか思い浮かばないけど、この二つがあるだけで随分商売がやりやすくなると思わない?」

 

「せやな!あんちゃん着いてきてーや!」

 

「ものすっごい手のひら返ししてるよこの人...」

 

「カミレはいつも通りだなぁ...で、どうかな?考えてみてくれない?」

 

うーん...気持ちはありがたいけど、確実に迷惑かけまくることになるからなぁ。断りたい...けど、足があるのは純粋に助かるし...

 

「他にもメリットを挙げようか。身分が保障されるんだよ。今のカリヤは世界を超えてきたばかりで戸籍がないだろう?出入りが厳しい町に入るのは難しいと思うんだ。だけど僕たちについて来れば、ドンカラの商人の一人として見てもらえる。魔族から警戒されることもないだろうね」

 

この世界、ちゃんと戸籍とかあるんだ...確かに、商人として身分を証明できるのは嬉しいな。旅人設定じゃキツイ時もありそうだし、なかなか魅力的だ...

 

「あと、カミレが喋ってないか近くで監視ができる」

 

「いいなそれ乗ったわ」

 

「えっ、最後の決め手アタシ⁉︎」

 

これから頼むぜと固い握手をする俺たちの間にカミレが割り込む。

 

「ちゃーんと監視はしないとだしな。ドンカラについていくぜ

 

「アタシそんなに信用ないん⁉︎」

 

「冗談だよじょーだん。身分がどうたらってところで俺の心は決まってたさ」

 

「ホンマかいな...」

 

「了承してくれて嬉しいよ」

 

「ってか、一緒に行くんだったらこんなカバンとか買う必要なかったのでは...?」

 

「そんなこともないよ。さっきも言ったけど、僕たちについて行くだけじゃいけない村や町がある。その時には別行動をすることになるから、そのカバンは必要さ。常にずっとサポートできるわけじゃないってことを覚えておいてほしい」

 

「なるほどあいわかった。元々一人で行く予定だったんだから少しでもサポートしてもらえるだけで大助かりだぜ」

 

「あ、言い忘れていた。ドンカラの移動について行くことになるから、何かあっても日程はズラせないということを覚えておいて」

 

「ふむ、町ごとに実質的なタイムリミットができたわけか...まぁいいぜ。その方が緊張感出るし、退屈しなさそうだ」

 

「それならよかった」

 

「せやったら出発は明日になるけどええか?」

 

「明日か。随分と早いんだな。ゴタゴタがあったからもうちょいここにいるもんだと思ってた」

 

「アタシたちは商人兼運び屋やからな。ここにいる大半の人らはここに残るけど、アタシらともう二人くらいでいろんなとこを巡るんや」

 

「へーそうなのか」

 

「それじゃあ僕、積荷持ってくるついでに方々への口止めしてくるよ。カミレも動物頼むよ」

 

「あいあいさー」

 

ユーリが荷物の入っているテントの方に消えていった。明日出発なのにもう準備始めるんだな。

 

「さて、明日になるまで何で暇を潰そうかな」

 

「何言ってるん?もう明日になるで?」

 

「えっ?それってどういう...」

 

カミレが懐から懐中時計を取り出していた。肩越しに覗き込むと、ちょうど長針と短針が時計の真上で重なったタイミングだった。

 

「ほらもう出発日や」

 

……まだ夜なってないよ?もしかして、昼間の間に日付が変わる世界なのか?

 

「……ちょい待て。なんかずっと太陽真上にあるくね?」

 

そういえばこの世界に来た直後もそうだったような...あれからまぁまぁな時間経っているはずだけど、これは...?

 

「それが普通やろ?あんちゃんがいた世界じゃ違ったんか?」

 

な、なるほど。この世界じゃ常に太陽が天頂にあるんだな。夜がないとか寝る時どうしてるんだろ。っつーかどうやって一日を区切ってんだ?日没とか日の出とか、わかりやすい指標がないのに一日の始まりをどうやって決めたんだ...この世界、不思議だらけだな。

 

「こっちじゃ夜っていうあの太陽が沈んで真っ暗になる時間帯が日の半分くらいはあったんだよ」

 

「はえー天変地異やないか。魔族で世界が滅んだことといい、だいぶこの源流から離れた世界から来たんやなあんちゃん」

 

「そうみたいだな...どこにどんな町があるかもわかんねぇや。教えてくれると助かる」

 

「ほな行き道で話すわ」

 

「あー、せめて次行く場所だけ先に行っておいてくれないか?事前に町の巡り方考えておきたい」

 

「次はなーセンフリって町やな。ちょっと警備がガチガチの町で、入る時に色々検査してくるで」

 

「つーことは初っ端からドンカラに入った意味が出てくるな。ってかそれも見越してユーリはこの話を持ちかけたんだろうな」

 

「せやろな。ユーリはああ見えて賢いからなぁ」

 

「ああ見えてって言うけど普通にある程度賢そうな見た目してるよな。誰かさんとは違って」

 

「どういう意味や?」

 

あっ、察することもできない...

 

「……よくわからへんけど、とりあえずアタシらは馬車乗って待ってよーや。荷物積み終わったら出発するでー」

 

こうして、一人旅になるかと思われた新世界での旅は、まさかの商人として行くことになったのだった。




わざわざネームドキャラ出したんだから、これからも出してやろってことで旅に同行することになりました。
一人でぶつぶつ独り言呟かせるよりも、誰かと喋らせた方が話のテンポも良くなるんでね。

ただ、カミレを安易に関西弁表記にしたのは少し後悔...なんか関西弁というよりも猛虎弁っぽくなってしまっているし。
翻訳の力が、カリヤの理解できる言語への翻訳がデフォルトで発動しているので、その世界での訛りをカリヤが理解できる程度のエセ関西弁で翻訳描写してくれている、という認識をしてくださると助かります...

最後に...すみません、テストが迫っているのでしばらくお休みを取らせていただきます...本当に勉強しなきゃなので結構長く更新止まります。
まだあまり多くの人に読まれていない段階で休載するのは内心マズイと思っているんですが、また更新されたら読んでもらえると本当に助かります。
次回は8月1日金曜日とさせていただきます。
では、勉強頑張ってきます...
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