神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8339字。

スターバス滅亡作戦開始です。


滅亡作戦と破壊の球

「いいか皆の衆!数日前、スターバスが人類の手に落ちたことは皆も知っていることだと思う」

 

魔王城にて、スターバス滅亡作戦に関わるものだけを集めた集会を開いていた。そのほとんどが死印付きであり、おそらくはこの作戦中に命を落とすであろう者たちだが、その目は使命感でいっぱいであることが見て取れる。

 

「明日、スターバス近くの森で待機し、人類軍の主力が次の町に赴くために出払った瞬間を狙いスターバスを襲う!そのために、今から出陣する!」

 

一度に大勢の魔物を輸送する方法がないため、スターバス付近まで今から出陣して陣取る必要がある。もちろん、人間たちにバレてはいけないので魔法を使って身を隠すつもりだ。

 

手段は既に決まっており、シャリヤの力を使うことになっている。シャリヤが妄想世界の中で、過去の自分の墓を隠していたあの認識阻害の膜を使い魔物たちを覆い隠すのだ。妄想世界の中に総員待機が出来ればよかったのだが、妄想世界に存在する者が多くなると世界の維持が困難になってしまうらしく、この方法を取ることになった。

 

「この作戦はスターバスの死印付きを全て駆逐する重要な作戦だ!死力を尽くして事に臨め!」

 

「ハッ!」

 

魔王城に、魔物たちの声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というのが昨日の話だ。今日はスターバス滅亡作戦当日。そんな中俺は...

 

「……うん、見回った感じ、死印付き以外の人間は居なさそうだな」

 

スターバスの中に潜入し、調査をしていた。その目的は、万が一にも死印付き以外の人間を殺してしまわないように、他の集落の人間が紛れていないかの確認だ。スターバスの人は全員死ぬことが確定しているが、外から来た人は必ずしもそうってわけじゃないからな。戦姫がいないことや、スターバスまでの集落から魔物を退却させたことなどがどんな影響を及ぼしているか分かったものじゃないし、ちゃんと調べなければならなかった。

 

「よし、それじゃあ人類軍が進軍するまで待つか...」

 

まだ人類軍は次の町へは進んでいない。全軍このスターバスに待機しているから、俺ら魔王軍も待機せざるを得ないのだった。

 

「もうそろそろ出て行くって話だけど、さっさと出てってくんないかねぇ?」

 

「早く行ってくれないと勇者たち来ちゃうもんね。早くどっか行けー!」

 

「ああだからミセラ耳元で叫ぶなって...」

 

今日もミセラは同伴だ。今日のミセラは特に大事で、もし仮に死印付きでない人間がいた場合それの報告と、人類軍の進軍を確認して魔王軍の突入命令を伝達するという、とてつもないほどに責任重大な任務を任せられている。

 

「……まぁ、勇者がもし早く来ちゃったとしても、俺なら勇者の攻撃を掻い潜って全員を始末できる自信あるけどな」

 

「あ、カリヤが前に言ってた奴だ。そういうの、フラグって言うんでしょ?」

 

「なお、俺の発言はフラグにはなり得ないってね。勇者が来ても、ミセラのこともちゃーんと守ってあげるぜ」

 

「お願いね〜」

 

そう言ってひゅっとミセラが髪の内側に戻っていった。

 

「さて、準備を進めるか」

 

俺は靴の裏から衝撃の剣を伸ばし、地面の中を切り裂いていく。衝撃エネルギー回収と共に、地面を脆くさせておいて地震を起こしやすくさせておく。

 

「適当に歩いて...まずはあそこ行くか」

 

地面を切り裂きながら俺は役所の方へと向かった。あそこは人類軍の拠点になっている。そこならば人類軍があとどれくらいで出発しようとしているか探れるだろうし、この町に残る後方部隊は拠点をそこに起き続けるだろうから罠を仕掛けていけば即座に殺すこともできるしな。

 

「よし到着っと...流石に中には入れないわな...」

 

通りすがりを装って窓から役所の中を覗き込む。色んなものが中に山積みにされている部屋が見えた。物置か...見た感じ、中身は食料かな?潰しても無意味だな、どうせ全員殺すんだし。

 

「上手いこと聞き耳立てて盗み聞き出来ればいいけど...ってヤバッ!」

 

パッと顔を窓の方から背けて足速にその場を去る。

 

「危ねぇ...」

 

「どうしたの?」

 

「知ってる奴がいた...スカラザンで会った奴だよ。顔見られてるから絶対に見られるわけにはいかねぇ...」

 

「あーあの軍人さん?たしかに、私たちあそこで死んだことになってるから、見られちゃったら面倒なことになっちゃうね...」

 

「けどこいつは設置しておきたいんだよな...出来る限り小さくして投げ込むしかないか」

 

役所の裏手側に回る。ここなら俺の顔を知ってるやつに出会うことも無いだろう。見た感じ、裏口っぽいところは無いようだしな...

 

「窓もねぇけど、この程度の文明レベルの世界だ。どうせ、建物の壁に隙間があるとかザラだろ」

 

壁を調べると、案の定壁に使われている木材と木材の間にわずかな隙間がある部分があった。しめしめと思いながら、そこに限界まで小さくした衝撃の剣の球を差し込み、役所の中へと入れる。

 

「よし、次行くか」

 

次に向かうのは門だ。このスターバスは戦争において重要な場所に位置しており重要な拠点となっている。それゆえに、この世界では少し珍しい外壁が設置されている町になっている。よって、東西に設置されている門さえ破壊してしまえば、人間どもの出入りは困難になる。ただの町民に壁をよじ登ることはできないだろうし、袋の鼠状態にになってくれることだろう。

 

「東は魔物が入るために必要だから、西側は破壊しないとだな...」

 

西側にある門へと向かう。ここにも衝撃の剣を設置して、開戦と共に爆発させて逃げ道を塞ぐのだ。

 

「……あっ、出ていった人いる...まぁしゃーないか」

 

西側の門にたどり着いた瞬間、スターバスから外に出て行く人間を目撃した。こういうのを制御できないのはちょっと面倒だな...とりあえず、報告は回しておくか。

 

「ミセラ、別働隊に今出ていった人間の追跡を頼む。人気のないところに出たら殺してくれて構わない」

 

「はーい、伝えておくね」

 

よし、これであとは俺のやることをやるだけだな。さっきみたく極小の球体を作って...あそこに投げればいいかな、ほれ!

 

ってな感じで、門の開閉を支えているチェーンのあるところに投げ込んでおく。このくらいの距離なら衝撃吸収のおかげで意外と狙って投げれるな。空気抵抗を消せるし、なんなら重力も消せるから等速直線運動で飛ばすことができる。それに壁に当たった時のエネルギーを吸収してそのまま真下に落とせるから、狙った場所に留めておくこともできるしな。これで設置完了だ。衝撃波を撒き散らせば、チェーンを壁ごと破壊して門を下ろし、壁の一部も崩れ落ちて完全に塞がることだろう。

 

「よーし、最後はあそこだな」

 

歩いて俺はとある場所に向かう。その場所は、この世界にとっては珍しい、けれど聖杖世界では普通に存在していたとある施設だ。

 

「おー、ここがこの世界のギルド的な場所か...民間で希望者を募って戦わせる冒険者もどきを作ろうとしてるらしいな」

 

色々と噂を聞く限り、希望者はしばらく訓練を成したのち、人類軍の別働隊として本隊とは別の村に向かいそこにいる魔物を殲滅する役回りをさせられるのだという。人手不足を補うための施策らしいが、正直俺らからすれば迷惑もいいところだ。

 

それは防衛が難しいから...などでは決してなく、死印付き以外の人間が希望して別働隊に配属されてくる可能性があるからだ。死印付きには俺らは手は出せない。生き残った民間の奴らが戦場に出てくることは、俺らからしてみれば一番嫌なことなのだ。

 

今はまだ、全員死印付きであることが確定しているスターバス内からの募集であるからなんとかなっているが、もしも別の町...例えば、既に死印付きの排除を終えている南西の集落から募られたならば、純度100%の死印無しなよ軍団が出来上がるから嫌ったらありゃしない。

 

だから、この施設は真っ先に潰して、他の集落でこのシステムが採用されないようにしなくてはならないのだ。

 

「よし、とりあえず入るか...」

 

建物の中に入る。中は...おっ、ギルドっぽい見た目してんねぇ。というか、結構人いるな。ここまで集まってるとは知らなかったな...

 

……好都合なのでは?ここにはスターバスに住んでいる力自慢が集まっている。ここを爆発させて最初に潰してしまえば、そういった一般人でもある程度戦える人を前もって潰すことができる。そうなれば、魔物が反撃を受ける機会も減って死にづらくなる...こちら側にとっては大助かりだな。

 

「お?どうしたあんちゃん?もしや、あんたも希望者かい?」

 

と、辺りをキョロキョロと見渡していたら陽気なおじさんが馴れ馴れしく声をかけてきた。

 

「少し興味を持ったので来てみたんですが、凄い人の数ですね...これ全員が希望者なんですか?」

 

ここで妙な疑いをかけられると非常に困るので、無難に対応しておく。

 

「おうともよ。噂を聞きつけた強者も他の町から来てるって噂だぜ?まぁ、そういう奴らはもう戦場に投入されてるって話だがな」

 

うわ、一瞬ドキッときた...もうこの町にはいないんだよな?それなら良いけど...

 

「にしてもよぉ...あんちゃんその身体で戦えんのか?見た感じそこそこ引き締まってはいるようだが...戦闘は筋トレや力仕事とは訳が違うぜ?」

 

お前らなんかよりも圧倒的に戦闘のプロだよこっちは...と言い返したくなる気持ちを抑えて、口を開く。

 

「大丈夫です。それなりに自信はありますので。それに、ここなら本格的に戦闘指導をしてもらえるのでしょう?でしたら、今差があっても問題はないはずです」

 

「がはは、それもそうだな!それじゃあ訓練頑張って、一緒に魔物どもをぶっ殺そうぜ!」

 

「……そうですね。では」

 

さっさと別れを告げて、馴れ馴れしい男から離れる。

 

「ねぇ、カリヤ」

 

耳元で声が響く。ここでミセラが話しかけてくるって、何か重要な報告があったのだろうか。あまり人がいない壁際に寄りかかり、小声でミセラに話しかける。

 

「なんだ?」

 

「いや、そこまで重要なことじゃないんだけど...今カリヤ、魔物どもをぶっ殺すって聞いた時にちょっと不機嫌になった?」

 

「……そうか?」

 

「あっ、ごめんね?今言うことじゃなかったよね...静かにしてるね?」

 

「ああ、うん。頼む...」

 

ミセラが引っ込む。

 

……にしても、俺が不機嫌になった...だと?魔物に情が湧いたってことか...?まぁ俺、自分で言うのもなんだけどチョロいしな...ちょっと一緒に過ごしただけで情が湧いて、仲間をぶっ殺すとか言われて不機嫌になるのもそこまで不思議なことではないか。

 

一時的にとはいえ、俺は魔王代理だしな...それに、今はミセラもいたからな。あんまり表に見せるわけにはいかないけど、それでも思わず不機嫌さが漏れ出てしまうくらいには苛ついてしまった。もしかしたら、魔王の魂が宿っているというのも理由の一つなのかもしれんが...流石に違うか。アイツが部下を気にかけるとかしそうに思えないし。

 

「ふぅ...とりあえず、あんまり目立たないうちにやること終わらせちまうか。ちょうどいいし、壁の内部の耐久性を削っておいて...と」

 

爆発させる用の衝撃エネルギーを貯めるのを兼ねて、寄りかかった壁に衝撃の剣を背中から突き刺して内部を切り裂く。目を閉じて感覚を研ぎ澄まし、壁からはみ出さないように慎重に切り刻んでいく。

 

「あとは、建物を支える支柱を脆くして...」

 

壁から離れ、建物の中を歩き回り支柱に手を触れる。手のひらから衝撃の剣を暴れさせて内部をめちゃくちゃに引き裂き、衝撃エネルギーに変換する。

 

「これで良いか。あとは作ったエネルギーをまとめてここに放って...終わりだな。さっさと出よう」

 

ここはちょっと...騒がしいし暑苦しくて苦手だ。あまり長居したくない雰囲気だったので足早に外へ出る。

 

「なんか、聖杖世界のギルドとは違うっていうか...あそこはどっちかというとプロ集団だけど、こっちは出来たばっかの施設だから浮き足立っている奴らしかいないのが騒がしい原因か...」

 

どう見ても戦いを舐めた奴らしかいなかったな。あんな奴らじゃちょっと武装したところで魔物に返り討ちにされるだろうな。

 

「さて、ここらで軍が動いてないか見ておくか」

 

さっき見て回ってからそこまで時間は経っていないが、さっきの時点でもう出発直前くらいだったからそろそろ動きがあるかもしれない。そう思って俺は東の門の辺りに移動する。

 

「……おっ、ちょうど出発したところか...っと、顔バレしないように遠巻きに見ないとか」

 

軍の輩の中には俺の顔を知っている人はそこそこいるだろう。万が一にも見られないように少し離れたところから人類軍が出陣して行くのを見届ける。

 

「……出発確認。だけど、しばらくは待たないとだな」

 

人類軍がスターバスからだいぶ離れてからでなければ、魔王軍の攻撃による騒ぎを聞きつけて戻って来かねない。荷物は少ないが、全員徒歩だからそれなりに時間はかかるはず...もう30分くらいは時間を置いたほうが良さそうだな。それだけ距離が離れていれば、スターバスの連中を皆殺しにするのにそこそこ余裕を持たせられるだろう。

 

「……誰かに魔法を使わせて、人類軍に異常を察知されないようにするっていうのもアリではあるな。ミセラ、そういうことできる奴がいないか聞いてみてくれ。いるなら、姿を隠しながら人類軍に近づき、幻覚でもなんでも使って異常を悟られないように尽くしてくれ」

 

「わかった。伝えておくね」

 

「よし、あとは時期を見て爆発させて、魔物を突入させればいいだけ...にしても、三つも分割してそれぞれ形状を保たせるの何気に大変だな。初めてやったけどそれなりに神経使う...」

 

衝撃の剣は基本的に、一部を身体に繋げておく必要がある。まぁ必須というわけではないから、今やってるみたいに球状にして設置しておくことだったり、銃弾や手榴弾のようにして放つことも出来るわけだけども、やはり基本は自身の近くで使うことを想定している。

 

自身から遠く離れれば離れるほど、衝撃の剣の膜は制御が困難になる。膜は自然と小さくなるため球状に勝手になってしまうし、小さくなれる限界に達したら今度は膜の厚みがどんどん薄くなってしまう。そうなれば、いつ溜め込んだ衝撃エネルギーが撒き散らされてしまうか解ったものではない。今は意識して保っているものの、気を抜けばすぐにでも爆発してしまうだろう。

 

「知らなかったぜ...この距離だと三つで限界だな。何があっても四つ目は無理...って、え?」

 

門の方を見たら、ガラガラガラ...と門が閉められつつあった。

 

「そっか、そっち側は魔王軍の領域のある方だから閉めちゃうのか...ってことは待てよ?魔物の入り口を確保するために、あの門壊さなきゃじゃね?」

 

魔物の身体能力があれば壁をよじのぼったり飛び越えたりすることは大抵のやつなら出来るだろう。けれど、それでは武器を置いていくことになったり、壁を越えられない個体が攻めれなくなってしまう。だから、あの門を壊して魔物が通る道を作ってやらないといけない。

 

「けど、四つ目は流石に作れないからなぁ...試すのも怖いし、やめておこう。あれを壊すのは、三箇所を爆発させてからだな」

 

完璧に同タイミングで壊す必要はそんなにないからな。壁を乗り越えてこれる奴らも少なからずいるわけだし、多少のタイムラグがあっても問題はないだろう。

 

さて、しばらくは待機だな。ミセラ経由で連絡を密に取り合って、作戦開始時刻を見極めなければ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況はどうだ?」

 

「だいぶ離れたところまでもう行ったらしいよ。だから、もう始めちゃってもいいと思う」

 

「わかった。それじゃあ魔物たちを門の近くまで進軍させておいてくれ。けど正面には行かすなよ?門をぶち破る時に巻き込んじまうからな。そんで、上から乗り越えて来れるやつは乗り越えてきて、先に暴れさせてやれ。もしかしたら、逃げるために自ら門を開けてくれるかもしれないからな」

 

「はーい、伝えておくねー」

 

本当にミセラが居てよかったな...と思いながら俺は西の門の近くに移動する。

 

「さーて...始めるぜ。最初で最後の...町一つ滅ぼす大虐殺を」

 

俺は能力を、全て解除させた。

 

次の瞬間、各地に設置された衝撃の剣の球体を構成していた膜が消滅し、貯め込まれていた衝撃エネルギーが放出された。

 

役所が、ギルド本部が、そして目の前の西の門のチェーンが破壊された。チェーンが破壊されたことで、西の門は勝手に落ちてきて道を塞ごうとする...そこに、不運な者が一人...

 

「あーあ、早速1キル...いや、もう既に何十と死んでるか」

 

振り向くと、二箇所で木片が巻き上げられていた。衝撃エネルギーの放出のうち、上向きに放たれたエネルギーが建物をバラバラにしながら吹き飛ばしたのだろう。木片らは空高くはね上げられたのち、重力にひかれて落下し物凄い速度で落ちて行く。爆発の瞬間に死んだ奴もいるだろうけど、木片や瓦礫の落下に巻き込まれて死んだ奴もいるだろうな。

 

「よし、それじゃあ...門を破壊しに行くか」

 

手をパンパンッと叩いて小さな衝撃の剣を生み出す。

 

「適当にエネルギー貯めながら...ギルドの方を経由して行くか」

 

生き残りがいるなら先に殺しちゃった方が良さそうだしな。

 

「……だいぶパニックになってるようだな。人が右往左往してやがる」

 

西の門の近くにいた人は、門が使えないことを知っているから東に移動しようとする。しかし、ギルドや役所の近くにいた人は、そこから離れようとして西側に移動する。それらが重なり合った結果、中央にいくにつれて人はどんどん増えていき、大渋滞を引き起こしていた。

 

「へぇ、今はまだ何が起こったか分かってないようだな...まぁ、それもそうなのか?魔物を見た奴はいないから、魔術を使える奴が何か騒ぎを起こした程度にしか思ってないって感じか」

 

それじゃあ、キッカケを作ってやらないとな。明確に、人類の敵が襲ってきたと分かるキッカケをな。

 

「誰でも良い。衝撃のために死んでくれ」

 

背後を気にしながら走っていた一般人に衝撃の剣を突き刺す。即座に生命エネルギーを吸い取り、剣を引き抜く。刺された奴は表情ひとつ変えず、そのままドサリと地面に倒れ込んだ。

 

今のでそこそこ衝撃エネルギーが貯まったので、剣を伸ばして無造作に振り抜く。道ゆく人に刀身が命中し、透過切断によって衝撃エネルギーへと変換して行く。

 

「な...え?」

 

人がバタバタと倒れていく異様な光景に気づいた人の口から声にならない声が漏れ出る。

 

「なんだ、その剣...お前、まさか魔物なんじゃ...」

 

すぐに逃げ出さないなんて馬鹿だなぁと思いながら、俺はそいつに近づいて衝撃の剣を喉に突き刺した。そして、ほんの少しだけ貯め込んだ衝撃エネルギーを放出する。

 

次の瞬間、そいつの首が弾け飛んだ。

 

一瞬何が起こったか理解できなかったようだが、誰かがヒッ、と声を出したのを皮切りに一斉に逃げ出した。

 

「あれま、逃げ場なんて無いのに」

 

人が少なくなり、通りやすくなった道を最短距離で歩いてギルドのあった場所まで向かう。

 

「お、ちゃんと壊れてるね。脆くした甲斐があったな...っと、生き残りはっけーん」

 

瓦礫の中からガサッ...と一人の男が這い出てきた。全身血だらけで、今すぐに治療を施せばまぁ助かるだろうって程度の傷を負っているようだった。

 

「あ、あんちゃん...助けてくれぇ...」

 

「お、あの時の馴れ馴れしいおっさんじゃん。どう?死にかけた気持ちは」

 

「な、何言って...」

 

「本当の戦争はいつ始まってもおかしくねぇんだ。いつか...なんて言ってたらその日には死んでるぜ?」

 

衝撃の剣で男の身体を透過切断する。

 

「チッ、既に死に体だから全然取れねぇや...まぁいい。こんだけあれば足りるだろ」

 

東の門の近くまで移動する。どうやら、この門を開けて逃げ道を確保しようという動きはまだ無いようだな。西側の状況がまだ伝わっていないのだろうか...それとも、外に魔物が待ち構えていることがバレてんのかな。

 

「どうせ時間の問題だろうけど...」

 

パッと斜め横を見ると、ちょうど魔物が壁の上まで到達したところを目撃した。けど、数は少ない。早く本隊を突入させないとな。

 

「壊すぜ。さぁ、来やがれ野郎ども!」

 

衝撃の剣を門に突き刺す。貯め込んだ衝撃エネルギーを全て注ぎ込み、門に流していく。

 

ドンッッッ!!

 

と大きな音を立てながら門にヒビが入り、そのまま粉々に崩れ去った。内側から振動されたことで砂状になるまで分解されたのだろう。

 

道は開けた。今か今かと待ち構えていた魔物たちが大勢雪崩れ込んでくる。

 

「人類よ。虐殺ショーの始まりだ」




なんか終始グダグダになってしまった気がする...正直、スターバスにはそんなに強い人いないので次回も案外暇するかもしれませんね。
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