新しい町に入る...けどそんなに進んでは無い?
「まさか、12時間も馬車に乗ることになるとは...」
カミレの操る馬車に乗ること12時間。やっと次の町であるセンフリが見えてきた。
「こんなに町遠いもんなのか...?」
聖杖世界じゃ一番遠くても8時間くらいだったからなぁ...それだけこの世界は聖杖世界とな比べ物にならないくらい広いということだろうか。
「こんなもんやろ?あんちゃんの世界じゃ違うんか?」
「まぁな...こんなに長い時間馬車に乗るのも久しぶりだわ」
聖杖世界で最後に馬車に乗ったのいつだっけ...能力で高速移動できるようになってから走ってばっかだったからなぁ。揺れが少ないからまだ平気だったけど、もし揺れがひどかったら絶対腰イカれてたわ...
「ゆうて大半寝てたやないか」
「そりゃ寝るだろ。やることもないし、久しぶりの戦闘で疲れてたしな」
ずっと太陽が真上にあって眩しかったけど、不思議とちゃんと寝ることができた。明るくても眠れるようにこの世界の人間は適応していたりするんだろうか?
「盗賊とか来たらどうするつもりやったんや...」
「何かあったら呼べって言っただろ?能力使うと疲れるから省エネしなきゃなんだよ何もない時くらいゆっくりさせてくれ」
「こっちは不眠不休で馬操らんといけんのに寝とるんやもん流石にムカつくで」
「……え?休憩一切取ってないのか?そりゃたしかにすまんだわ」
「はっはーアタシを崇めたまえー」
「調子に乗らないの。ほら、もうすぐ保安検査だから準備しておいて」
「保安検査?...あーそっか、警備厳しくて色々検査するって言ってたっけ...」
カミレの操る馬車は、城郭都市であるセンフリの入り口の一つの目の前で止まった。少し進んだところに馬車の長い行列が伸びている入り口があるけど、空いているこっちに並んでこないってことは、こっちは商人専用の搬入ルートだったりするのかな?
「アタシらは降りるで。積荷を検査するまで待機や」
「りょーかいっと」
馬車の荷台から降り、ユーリとカミレが立っているところに向かう。ってか他にも二人いるけど、一切話してないんだよなぁ...他の馬車に乗ってたから話す機会無かったし、お互いに誰だコイツって感じだな。話しかけた方がいい...よな?
「おっ、新人いるじゃん」
談笑している初見の二人に話しかけようとした瞬間、背後から声をかけられた。積荷を調べている人と同じ格好をしている男だった。身体検査でもしに来た感じかな多分。
「ついこの前入ったばっかやねん。カリヤって言うんや」
「そうか。ブラックだけど頑張れ」
「ちょっ、新人にそないなこと言わんといてーやー」
ブラックなんだ...ああでも、休憩無しで12時間馬車を操らせるのはたしかにブラックかもしれん...
「……ってかそうか。一人増えているならアレももう一つ必要か。少し待っていてくれ。今取ってくる」
そう言って男は門のほうまで駆け足で向かっていった。
「アレってなんだ?」
「力を封じる道具やな。ここの領主の能力が込められてるんや」
「外から来た人には全員つけることになっているんだよ。ここって、この国にとって結構重要な建物とか物、人が多くて、テロ対策で力を封じているんだ」
「へーそうなのか」
能力が封じられる...ねぇ?俺の力はどうなるんだろう。この世界の力じゃないから無効化の力を素通りできたりしないかな...聖杖世界の魔法拡散も速度操作には効かなかったし、同じように能力使えると助かるんだけどどうなるかな?
「そういや力使えないってあんちゃん大丈夫なん?」
「んー多分平気。俺の能力は特別だからな」
「別の世界の力だし、無効化の力も効かないかもね。もちろん、やってみないとわからないけど」
「……ってかサラリとこのお二人さんがいる前で話しちゃったけどそこら辺どうなってます...?」
思いっきり話聞かれちゃったけどあらかじめ話を通してあるのかな...?
「ペトラとアンスには既に話してあるよ。一緒に旅をするなら知っておいたほうがいいと思って...って、そもそも紹介してなかったっけ?」
「そうだな。ちょうど話しかけようとしていたところだ。えーっと、既に話は聞いてるとは思うけど、一応...俺はカリヤ。魔族を狩るために別世界からやってきた。行けるとこまでドンカラについて行くつもりなので、よろしくしてくれると助かる」
「よろしくしたってやー!」
痛い痛い背中バシバシ叩くなカミレやめてくれ。
「……ふふっ、魔族を一瞬で殺したって聞いてたからどんな怖い奴かと思っていたけど、よかった、案外優しそうね」
「バシバシ背中叩かれてる...カミレが気に入った奴なら悪い奴じゃなさそうだな。俺はアンス。んでこっちが」
「ペトラよ。そんなにサポートできることはないかもだけど、陰ながら応援するわ」
「ユーリには言ってあるけど、元々は俺一人でやるつもりだったんだ。だから少しでもサポートしてくれるだけで大助かり。よろしく頼むよ」
「サポートはもちろんしてやる。けど、曲がりなりにもドンカラの一員になったんだから、ビシバシ働いてもらうぜ?」
「望む所だ」
「待たせて悪いな。持ってきた」
自己紹介と握手をちょうど終えたところに、男が戻ってきた。
「ほいほいいつもの奴らは自分で装着してくれよ」
男はそう言いながら四人に首輪のようなものを渡す。あれが能力を封じる道具か。首輪なのは、側から見ても外から来た人だと分かりやすいようにするためかな。
「えーっとだ。カリヤくん...で合ってるか?」
「ああ」
「君、能力は何かな?結局封じさせてもらうんだけど、一応聞かせてくれ」
……一応少し誤魔化しておくか。武器を作れるって知られたら警戒されそうだしな。
「物質生成系の力だ。こんな感じで...金属を生み出せる」
能力を使い、銃のバレルだけ作り出す。これを見て、まさか武器の一部だとは思わないだろう。
「なるほど生成能力か。こういうので武器を作って、破壊活動したら作ったもの消して証拠隠滅ってパターン多いんだよな...」
「なんやなんや?うちの新人疑っとるんか?」
……それ、逆に怪しくなるからあんま割り込まないでくれると助かるんだけど...
「……いや、ドンカラの人らがそんなことするわけないし、大丈夫か...一応それ、持たせてもらってもいいか?」
「はいどうぞ」
「どうも...意外と軽いな。しかもなんだこの穴...よくわからんが、これで武器を作るのは難しそうだな。というか、どうせこれ付けるし問題ないか」
そう言いながら、男は俺の首に首輪を付けようとする...ん?
「ちょっとすまん。少し待ってほしい」
「どうした?首輪とはいえそんなに首は締まらんぞ」
「ああいや、首絞まるのが嫌なわけじゃなくて...」
俺はそう言いながら馬車の荷台に近づく。より正確には、荷台のすぐ近くにいる人に向かって。
「あんた、ちょっといいか?」
「んぁ?なんだお前...って何をする⁉︎」
俺は男の服を引っ張り、ビリビリに引き裂いた。
「あんた何を⁉︎...って魔族⁉︎」
服を引き裂いたことで、脇腹にある第三の目が顕になった。急な奇行に驚き俺を捕らえようとした首輪を持った男も、それを見て荷台のそばにいた男が魔族だったのだと理解する。
「クソッ、なぜわかった...!」
魔族はそう言うと、俺をドカッと突き飛ばす。
「おおっと」
「もうここには居られねぇか...!」
「なっ、飛んだ⁉︎飛行能力か!」
魔族は地面を蹴ると、フワフワと身体が浮き出し空高くへと飛んでいった。
……どうする?この距離なら銃を撃っても当てられるだろう。致命傷を与えるのは難しくとも、撃ち落とすくらいはできるだろうな。
けど、ここでそれをやるのは不味かろう。物質生成能力だと伝えた時、男は武器を作れるのかどうかを気にしていた。ここで銃を作り出してぶっ放すと、危険だとみなされて町に入れなくなるかもしれない。
でも、ここで魔族を逃すのもダメだ。顔を見られているし、なぜか魔族だと見破られてしまったことも仲間の魔族に共有されてしまうだろう。
本当にどうしよう。空さえ飛ばれなければ、たとえ逃げられても走って追いついて肉弾戦で倒せただろうに...考えが甘かった。魔族を見つけたからって手当たり次第に手を出すんじゃなかった。
こうなったら...男たちに背を向けて空気の弾丸でも撃って落とすか。急に魔族が落下するという不可解な光景にはなってしまうが、これがこの場の最善か...?
「逃がさない!!」
神様に許可を取り、能力を使おうとしたその時だった。後ろから首輪を持った男が走ってきて、空を飛んでいる魔族に向かって手を突き出した。
次の瞬間、男の手から鎖のようなものが飛び出し、魔族の足に絡みつく。
「ご同行願おう...か!」
鎖が巻き取られ、魔族が凄い勢いで引っ張られる。そして、あわや男と衝突するかと思われた瞬間、鎖が消滅しそのまま男がスッと横に避けたことで魔族が地面に衝突する。
「そーれ!」
地面にめり込んだ魔族に踵落としを叩き込む。
「ングッ...貴様ァ!!」
うおっ、地面への衝突プラス踵落としまで決めたってのにまだ意識あるのかよ。
……とか思っていたら、急に俺の身体が浮き始め地面から足が離れてしまう。
「こいつ...浮力操作だったのかよ⁉︎」
魔族の、あのフワフワとした飛び方...あれはただの飛行能力などではなく、浮力を操る力によるものだったのだ。ただ、そんな力があるなら俺だけでなく首輪を持った男も浮かせているはず。おそらく、俺を突き飛ばした時に何かをしたのだろう。能力発動に必要な何かを刻んだか、単純に接触したことによって条件を満たしたのか...少なくとも、浮いているのが俺だけってのは事実だ。
「こなくそ...降ろしやがれ!」
どんどん俺の身体は浮いていき、身動きが取れなくなってしまう。この高さ...落ちたらタダで済まないってのにさらに高度が上がっていく。
「……そうだ!魔族に首輪付けろ!!」
男はその声に即座に反応し、魔族に首輪を付けた。それによって魔族の能力が阻害され、俺にかけられた浮力が解除される。
高度上昇は止まった。そして、当然のように落下が始まる。
「ぐっ...暴風を生み出して減速を...んなっ⁉︎」
男の鎖が俺の体に巻きついた。それによって腕が拘束されてしまい、真下に向けて発射することができなくなってしまう。
「ちょちょちょちょっ⁉︎」
鎖がグンっと動き、地面に衝突する直前に下への運動エネルギーが真横方向へと変化する。そして勢いよく鎖が巻き取られ、ものすごい負荷と共に減速していく。
「痛い痛い痛いい゛だい゛っっ!!!」
急激なGの変化と、鎖の巻き取りによる腹部と腕の締め付け。とてつもない痛みが俺の身体を襲い、苦痛が意識を刈り取ろうと牙を剥く。
「死ぬだろんなもん!!」
叫んで無いとすぐ意識が飛びそうになるからヤケクソで叫ぶ。
パキンッ
……この音は、おそらくあまりの負荷に耐えられなかったために鎖が破損した音だ。
そして、まだ減速は終わっていない。まだかなりの速度がある状態で、俺の身体は今地面と並行に飛んでいる。
やがて、落下が始まる。
ドカッ!!
地面との衝突。激痛が走り、骨が折れ肉が裂ける感覚が頭に飛び込んでくる。
バウンドして、何度も地面と衝突し、地面を転がる。
……なんとか止まるよりも前に、俺の意識は吹っ飛んでいた。
「 んっ...」
目が覚めた。記憶は...しっかりしているな。意識が飛ぶ直前の出来事もちゃんと覚えている。死んではないようでまずは安心だ。
「ここは...町の中か?」
フカフカのベッドの上に寝かせられているようだった。ってことは病院...か?そして、首には首輪がついている。なぁなぁになって首輪無しで入れるのではと期待していたりもしたが、流石に付けられたようだ。
「づッ...ギプス付いてるのか。やっぱり骨折してたか...」
左腕がギプスでぐるぐる巻きにされて吊るされていた。治療はされてるみたいだけど、だいぶ重症らしいな。まぁ、あんな落ち方したらこうなるか...事象を捻じ曲げる幸運能力もないからな。生きているのが不思議なくらいだ。
「……ってか誰もいないん?なんか寂しいな...」
聖杖世界じゃ誰かしら近くにいる時に起きてたからな寂しく感じる...まだ会って2日も経ってないし仕方ないか。
「とりあえず、動いてみるか」
ベッドから降りる。ってか脚は無事なんだな。被害は腕だけで良かったぜ。
「そーいや能力は...使えるようだな」
神様の許諾無しに作り出せる銃を生み出すことができた。やっぱり、首輪の能力阻害は無視できるみたいだ。
「よーし外出てみよー」
扉の方まで行き、扉に手をかける。ってかよく見てなかったけど個室なんだな。金多く取られなけりゃいいんだが...
「うわびっくりしたぁ!...ってあんちゃんもう起きたんか⁉︎」
扉を開けたらカミレがいた。もう俺が起きたことに驚いているらしい...気絶してからそんなに時間経ってないのかな?ずっと太陽真上にあるから窓の外見ても時間わかんねぇんだよな...
「医者のねーちゃん呼んでくるさかい待っとき!」
そう言うとカミレはどっかに行ってしまった。
「……なんかステラを思い出しちゃったな。ノスタルジーが...」
っと、医者来る前に銃消しとこ。出しっぱなしだったよ危ない危ない。いたのがカミレで良かったわ。
「おぉ〜もう起きたのか早えーなぁ」
……なんかすっごい物臭そうな女の人出てきた。なんか、女版トリって感じだな。医者ってどの世界にもこんなのしかいないのか?
「おーし規則だから病状説明しとくぞベッド座りな」
促されるままベッドに腰掛ける。
「まずは内臓の損傷。これは鎖で腹部を締め付けられたからだろうな。俺ん力で治ってるから心配しなくていい」
うわ内臓もやられてたのか...んで、この人の能力で治してくれたと。
「次に全身の擦り傷。地面を転がった時に付いたんだろう。土が擦り込まれてたのを取るのが面倒で仕方なかった...これも治っているから問題ない」
雑菌とか心配になるな...そこら辺も能力でなんとかなってるといいんだけど。
「最後に、左腕だな。地面との衝突で、骨がポッキリといって皮膚から飛び出していた。いわゆる開放骨折ってやつだ。大体治しはしたが、完璧な治癒は流石の天才の俺でも無理だった。すまないな」
自分で天才言うんか...まぁ能力でここまで治せるのは凄いことなんだろうけど、ニアっていう完璧に治してしまえる天才を知ってるから見劣りしてしまうよな...
「まぁ、その腕も数日もすれば治るだろ。仕事には影響出るだろうが、まぁそこは上と掛け合って解決してくれ。経過観察も無いからもう来なくていいぞ。ギプスも治ったら勝手に取れるからその辺に捨て置けばそれでいい」
そ、そんな感じでいいのか...ってかそのギプスはどういう技術なの?この世界に魔道具はないらしいけど、誰かの能力が込められてたりするのか?
「……治してくれてまずありがとうなんだが、その、治療費はどの程度で...?」
これ、労災とか降りるのかな?ってかこの世界に労災ってある?
「問題ない。既に払ってもらっているからな」
それは、勝手に財布から抜いた...ってわけじゃなさそうだな。誰かが既に代わりに払ってくれてるのか?
「ほら、説明は終わったから早く出ていきな。待ってりゃ勝手に治る奴をずっと収容してやるほど、俺は優しくは無いんでな」
「その物言いずっと変わらんなー医者のねーちゃん」
「俺の名前はスイラだいい加減覚えろカミレ。ほら、さっさと出てった出てった」
スイラと名乗った医者に背中を押され、病院...というより診療所?的な場所から追い出される。扱い雑すぎね...?
「……なぁ、いつもあの人はあんなんなのか?」
「そうやな。でも、腕は確かやで」
「それはそうだけどよ...で、みんなはどこにいるんだ?」
「すぐそこにあるドンカラのセンフリ支部に全員おるで」
カミレの指差した方を見ると、建物の前に俺たちが乗ってきていた馬車が止まっていた。あの建物か。
「んじゃあとりあえずそこに向かいますか...治療もそこでしてしまおう」
そう呟いてから俺は歩き出す。カミレも横に並んでついてくる。
「治療?そないなことできる人うちにはおらんよ?そもそも、いたとしても力は使えんし」
「自分で治せる」
「ああ、そういう...やっぱり力使えるんか?」
「さっき試してみたが、ちゃんと使えるぞ。魔族を見分ける目もバッチリだ」
ぐるっと辺りを見渡してみるが、ひとまず目に見える範囲には魔族はいない...と。
「ここにみんないるのか」
「扉はアタシが開けるから待っとき。この扉固くて両手やないと開かないんよ」
カミレがふんっと力を込めて扉を引っ張ると、ギギギギ...と軋む音を立てながら扉が開いた。だいぶ老朽化してるな...直したりとかしないのか?
「おっ、戻ってきたか」
「怪我は...完治まではしてないようね」
アンスとペトラが順番に話しかけてきた。心配しなくていいぞと返事をしながら建物の中を見渡す。荷物置き場兼事務所ってところか...知らない顔の人が多くいるな。ほとんどが首輪をつけているけれど、つけていない人も所々いた。この町の人を雇っているのだろうか。
「……あれ?ユーリは?」
「上で作業しているわ」
「上か...なんの部屋なんだ?」
「既に何件か来ている取引希望の届出を整理している...ってところね。一人で作業していたはずよ」
「一人でか。それは都合がいい..ちょっくら腕治しに上行ってくるわ」
そう言いながら俺は、先程見渡した時に見つけていた階段を登り上の階へと向かう。
「治すって...あなたそんなこともできるの?」
「まぁある程度の傷ならな。骨折を治すほどの効能はないけど、ここまで治してくれてるなら自分でもいける」
上の階につき、ユーリやペトラなど、俺の能力を知っている者しかいないことを確認してから能力を発動させる。
「ちょっと場所借りるぜユーリ」
「え?あ、うん」
了承を得たので、そこらに置いてあった椅子を掴んで座り込み、右手に魔力銃を握り込む。
「これで...!」
魔力銃をギプスでぐるぐる巻きにされた左腕に突きつけ、何度も何度も引き金を引いた。回復弾が放たれ、着弾するたびに傷が癒えていく。
「……よし治った」
しばらく撃ち続けていたら、急にギプスがパキンと音を立てて割れ、左腕から外れて落ちた。完治したことで自動的に外れたのだろう。
「ま、まさか本当に治すだなんて...」
「今使ったのは物質生成なんだろ?それで傷を治すとかどうなってんだ...」
「その辺のことは色々あるから伏せさせてもらうわ...ってそうだ思い出した。俺の怪我の治療費って誰が払ってくれたんだ?」
代わりに払ってくれたとすればこの四人のはず。申し訳ないし払える額なら返しておきたい。
「あの保安検査のおっちゃんいたやろ?あの人が代わりに払ってくれたんや。魔族を捕獲できたから〜ってな具合にな」
「なるほどあの人が...って、捕獲?」
「保安検査員として魔族が紛れ込んでいたことは結構な大問題だからね。あの魔族が他の魔族を手引きして町の中に首輪無しで侵入させた疑いがあるから、情報を聞き出すために捕らえたんだよ。今は拷問でもされているんじゃないかな」
「そういうことか...ただ、俺としては殺しておきたいんだよな。あっちで処理してくれればいいけど...」
「どうだろうね。でも、多分僕たちがここを旅立つまでの間に用済みになることはないんじゃないかな」
「だよな。ここにいる間にどうにかして殺しておくか...そういや、ここってどれくらいの間滞在するんだ?」
「三日よ」
「三日か...能力によると、魔族は三人いる。一人は拷問されてるさっきの魔族でいいとして、残り二人を見つけ出して全員殺すのをあと三日でやらないといけないのか...」
この街に入ってわかった。この町には魔族が三人いる。結構広い町だし、なかなかに探すのに手間がかかりそうだ。一日一人のペースでもそれなりにキツイだろう。
「……今、残り二日になったわね」
……ずっと明るいから日付が分かりにくい...!今、日を跨いだの?マジで?
「地道に頑張るしか無いか...」
「あと、忘れてるかもしらへんけどあんちゃんも仕事はしてもらうで。アンスと一緒に町ぐるっと回って売り子をしてくるんや」
「商品運ぶのは俺に任せな。あんたは魔族を探すついでに売り子をしてくれ」
「了解した。すぐに魔族退治を終わらせて、そのあとはじっくり売り子に専念してやるぜ」
ウダウダ言っていても仕方がない。サクッと割り切って、残り二日のタイムリミットを余らせる気で臨むことにしたのだった。
異世界に行ったら高いところから落ちて怪我をするのが伝統芸なのかなって感じに怪我してますねカリヤくん...はたしてこれからもそうなるんだろうか...?