神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8527字。

大変長らくお待たせしました。
人魔憑依編 第三章 模倣の傷 開幕です。



人魔憑依編 第三章 模倣の傷
魔法失いし新世界


「……了解した。与える力はその通りにしよう」

 

「ところでなんだが、能力の付与ってどういう原理なんだ?そんなポンポン出来るもんなの?」

 

「出来るぞ。お主の魂に、能力だけが込められた空の魂を埋め込むだけじゃからな。能力の強度や設定によって魂に適合しにくいといったこともあるが、基本はすんなり入り込む。しかし、その仕様のせいで空の魂を取り出そうとした際に魔王に取り込まれてしまうのじゃがな...」

 

「与えるのも抜くのも簡単だけど、その分セキュリティも緩いんだな...んで、この能力に合った次の世界ってのはどんなのだ?」

 

俺が欲しい能力が上手いこと使いこなせる世界を神様が選んでくれることになっている。この能力だと、どんな世界になるのやら...

 

「そうじゃな...それならこの世界じゃな。魔法はあるが、魂の初期化事件によって人類が魔法を失った世界。魔法を失ったことで科学技術が発達しており、地球の現代科学にまでは達していないものの、これまでお主が渡り歩いた世界よりかは発展した技術で魔物や魔王の脅威と戦っている世界じゃ」

 

「ほぉ〜なかなか面白そうな世界じゃないか。人類は魔法を失ったって言ってたけど、ってことは魔物側は普通に魔法を使えるってことだな?」

 

「そうじゃ」

 

「なるほど。だからこの力が輝くってわけね...良いね気に入った!」

 

この能力を上手く扱える世界というのも面白いが、なによりも科学技術が発展しているというのが面白い。久しぶりに、自分が作ったもの以外の機械に触れられるのか...!

 

「あと、もう一つ伝えておくぞ。この世界には、まぁ厳密には違うのじゃが他の世界でいう勇者のような、魔王に対抗できる力を持つ者が一人おる。今回の転移位置はその者の近くにするから、上手く接近して協力関係を結ぶと良い」

 

「あ、そうなのね。一人旅もいいけど、やっぱ仲間がいた方が話が出来て良いよなぁ。どんな人なんだ?」

 

「……それは伝えないでおこうかのう。初対面の相手が自分のことをあれこれ知っているとわかったら、あまり良い気はしないじゃろう」

 

「あーそれもそうか」

 

「その世界についての諸々も、その者から聞いてくれ。実際にその世界に住んでる者の方が、ワシよりも深く事情を知っているじゃろうしの」

 

「オーケーわかった。それじゃあ送ってくれ」

 

「その前に能力の付与をじゃな...っと」

 

神様の手の上に光の球が生み出され、それが俺の体内へと入り込んでいく。

 

あの球って魂だったんだなぁ...どこぞのやらかした神様は魂の初期化とかしてたわけだし、神って存在は一律で魂の操作が出来たりするのかな?魔王を分離出来ないってことは操れる魂は自分の管轄してる世界の魂だけなんだろうけど...ん?ということはやらかした神ってだいぶ凄い神だったのでは?こんなに多くの世界に影響を及ぼしてるって凄いような...

 

「何か考え事をしているようじゃが、移動させるぞ。平時は一般人と変わらぬのじゃから、気をつけるのじゃぞ」

 

「わかってるよ。そんじゃ、行ってくるぜ」

 

足元の地面が消滅し、落下し始める。

 

新たな世界...それは、俺が誰かになる舞台だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、と...到着か」

 

穴に落ちてしばらくすると、パッと世界が切り替わった。俺の足はスタッと地面に触れ、靴越しに大地の感触を味わう。

 

「平原か...風が気持ちいいね」

 

さぁ〜っと風が吹き抜け、草が飛んでいく。俺は暴れる髪の毛を手で押さえ、草が目に入らぬよう目を閉じて風が止むのを待つ。

 

「……さて、協力者たり得る人の近くに転移させるって神様が言ってたけど、まずはその人を探しますか...」

 

風が止んだので目を開き、辺りを見渡す。所々ほんの少しだが丘になっていたり窪んでいたりと、地形がでこぼこしているせいでそこまで見通しは良くないな。第一印象で平原とは言ったものの実際にはそんなに平らじゃない。

 

「……遠くに見えるのって...ビル、なのか?」

 

かなり遠くではあるが、少し盛り上がった丘の向こう側に建造物のテッペンのようなものが見えた。そちらに向かって歩き出す。

 

「うわ、うわうわうわマジでちゃんとしたビルじゃん。こんな原っぱの近くにすごい現代的な町が...」

 

小さな丘を登ってみると、大きな町が見えた。相当高いビルも建っており、この距離であの高さに見えるってことは三、四十メートルくらいはあるな。普通に現代じゃん。

 

「こりゃ、いろんな技術にも期待が持てるなぁ...って、道路あんじゃん。道から逸れたところに転移してたのか俺」

 

遠くに見える町から視線を外すと、その町に続くように敷かれた道路を発見した。町と町の間はちゃんと道路が敷設されてるのかな?

 

「……アスファルトじゃん。もしかして、普通に車とか通るのかな?かなり横幅あるから片側一車線は余裕でありそうだな」

 

そう呟きながら、さて協力者を探すためにどっち側に歩き始めようかなと町の反対側に目をやったその時だった。

 

「あれ、って...いや、マジで?」

 

こちらに向かって走ってくる存在がいた。人とか魔物とかではない。

 

それは巨大な金属で出来た質量の塊。ギャリギャリギャリ!と音を立てながら道路を走っていた。

 

それは車なんてチャチなものではなかった。それは、もっと暴力的な...

 

「そこの通行人!危険だから傍に退きなさい!」

 

「あ、はい...」

 

スピーカー越しの声に圧倒され、俺はそそくさと道路傍に避ける。すると、そいつは駆動音を立ててギャリギャリと地面を削りながら俺の前を走っていった。

 

「ま、まさか...戦車があるとは...」

 

ちょっと、思ってた科学技術のだいぶ上をいってるかもしれない。普通に今から十数年前くらいの地球の技術くらいはあるんじゃ...

 

「た、魂の初期化で魔法が使えなくなってからどんだけ経ったのかは知らないけど、よくここまで科学に振り切れたな...戦車作るとか、その技術を人類が会得するのにどれだけ時間かかったんだろ」

 

ヤバい。この世界に来てまだ十分どころか五分も経ってないけど、もう楽しすぎる。この世界はどんな世界なんだろうと探検したくなるな...ん?

 

「あれ?神様ー」

 

気になったことがあったので、神様を呼ぶ。

 

『なんじゃ?』

 

「そういやなんだけど、今回俺って何すれば良いの?ある程度のこの世界の概要は聞いたけど、具体的に何をすれば良いかってのは聞いてないよな?」

 

『おっと...そういえばそうじゃったな。失敬失敬」

 

「いや、こっちもワクワクしすぎて急かしたのが悪かった。んで、何をすれば良いんだ?」

 

『この世界では、長らく人類と魔物率いる魔王は協定を結んでいた。個人レベルの諍いはとやかく言えないが、何が起こっても種として争うことはしないというものじゃ。戦争をすれば互いに数を減らすだけ。互いに手を取り合い、住む場所は違えど協力しあって生活していた。何か問題が起きれば、あらかじめ決めた法によって厳密に裁くことで収め、戦争には発展させないようにしていた』

 

へー人類と魔物の共存が出来てたんだな。法術世界とは違って、どちらか一方がもう片方を支配しているわけでもなく、完全に対等なのはなかなかに珍しい。

 

『しかし、人類が魔法を使えなくなったのを好機と捉えた魔王がこの協定を破り出した。まだ全面戦争には至っていないが、これまでのような協力関係は一切無くなり、魔王は魔物を一切制御することも無くなったため魔物による殺傷事件も増えてきた。それに対抗する形で人類も科学で兵力を高め、今は互いに見合っている膠着状態じゃ』

 

「ふむふむ...それで?」

 

『お主にやってもらいたいのは、協定の再締結じゃ。この世界の管理者から、魔王や人類の国王などの重要人物以外ならば、誰がどれだけ死のうと別に構わないと許可は取っている。魔物はいくら殺してもオーケー。魔王は殺さずに打ち倒し、人類との協定を結ばせる...それがこの世界での目的じゃ』

 

「なるほど。適度にボコして悪事をやめさせれば良いわけね。こりゃだいぶ平和的だな。つっても魔物は殺すけど」

 

『魔物は自然湧きする存在で魂は無い。倒すと散りはするものの、いずれどこかでまた形をなす、そんな存在じゃから殺しても別に構わないそうじゃ』

 

「なるほどねぇそいつはありがたい」

 

法術世界で魔王代理として魔物の長となり共に過ごしてきた身として、もしかしたら無意識のうちに魔物を殺すことに忌避感を抱いてしまっている可能性があったが、これなら問題なく殺せそうだな。

 

「教えてくれてありがとう神様。そんじゃ頑張ってくるぜ〜」

 

よし、目的もわかったことだし協力者を探しますか。

 

「どんな人なのか知らないから、どうやって探したものか...具体的に、どんな力を持ってて魔王に対抗できるのかも知らないから探し出すの難しいな」

 

どうしよ。戦車があるってことは銃とかもあるだろうし、単純に銃の扱いが上手くて魔物の魔法にも対抗できるってだけだったら、ちょっとゲンナリするなぁ。

 

「……おっ、魔物だ。さっきあんなところにいなかったよな...ちょうどさっき自然湧きしたってことか?」

 

足が六本あるトカゲのような魔物を見つけた。さっき神様が、魔王は魔物の制御をやめたって言ってたから、多分このまま放置してると色々問題を起こすんだろうなぁ...殺しておいた方が良さそうかな。

 

「どんな魔法を使ってくるか知らんが、能力の試し撃ちと行こうか!」

 

バッと走り出し、魔物の前に飛び出して止まる。

 

「ほら、来なよ」

 

クギャッ⁉︎と魔物は声を上げながらこちらを見て、その後口を大きく開いた。すると、歯の辺りから青い炎のようなものが漏れ出し、こちらに向かって火炎を放射してくる。

 

「おっ、わかりやすい力だな。試すのにもってこいだ」

 

俺は火炎放射を避けると、魔物の周りをぐるぐると走り回る。六本足だからある程度機動力はあるだろうが、その場での回旋は不慣れだろう。そもそも生まれたてだしな。だから、こうやって放たれる炎を避けながら回っていれば、いずれ追いつけなくなり背後から攻撃できる隙が生まれる。

 

「そいやっ!」

 

魔物の背後を取ってその背中に蹴りを叩き込む。

 

「よし、そこまでの傷じゃないが...これで発動できる。能力名『模倣の傷』、起動」

 

神様からもらった能力を起動させる。魔物につけた傷を起点とし、魔物の中の魔力が俺と接続する。

 

「さーて、自分の魔法を喰らってみ...って、なんだこりゃ」

 

なんか、思ってた魔法と違う...二つを合わせることで一つの事象を起こしていたのか。

 

「気を取り直して...喰らってみな!」

 

指を折り曲げ空を掴みながら手を魔物に向ける。そして、魔物は歯からであったが俺は爪の先から青い炎を放出する。しかし、その炎は種火でしかなく、放射できるほどの火力は持ち合わせていなかった。だから、もう一つの魔法を使う。

 

手のひらからミスト状に液体を放出する。その液体は魔法で生成された爆発的な燃焼を引き起こす物質であり、爪の先から出ている炎によって引火して燃えながら魔物に向かって飛んでいく。これが、二つの魔法から成り立つ火炎放射の正体だ。

 

「自分の魔法だろうに結構効くもんだな」

 

火炎放射は魔物に直撃し、全身を燃やし尽くす。炎を払おうとしても、燃えているのは可燃性の液体であるためそれを除去しなければ消えることはない。

 

「……意外とあっけないもんだな。もう死んだか」

 

魔物は一切身動きしなくなった。魔法を解除して炎を消してみるが、魔物はそれでも動かない。死んだと見て良いだろうな。

 

「あっ、体が消え始めた...そういや、倒したら散るって神様が言ってたな」

 

こうやって消えていき、別の場所で輪廻転生をしていくんだろうなぁ...にしても、魂が無いらしいけどどうやって動いてるんだろうな?魂があるってのが自分の中で普通のことになっちゃってるから、めちゃくちゃ不思議だ...

 

「……ん?なんか残った?」

 

塵となって消えていった魔物だったが、小さな骨らしきものがその場に残った。

 

「……魔力が詰まってる?ってか、まだパスが繋がってるな。もしかしてこいつがあれば...?」

 

能力を使い、魔力を引き出す。

 

「うわ、魔法使える。倒すと魔力が貯蔵されてる部位がドロップするんだなぁ...んで、それを持ってれば俺の能力も使えると...」

 

こうやって魔力の塊をストックしておけば、いつでもそいつの魔法を使うことができる...予想してなかったけど、なかなか良い噛み合いをしてるな。

 

「この能力、本来は目の前の相手の模倣だけを想定してたけどフロートみたいにストックができるんだとしたら話変わってくるな...」

 

今回もらった模倣の傷は、傷をつけた相手の魔力を使って魔法を発動させる能力である。傷をつけた瞬間に相手の魔力と繋がり、そいつが使用できる魔法を知ることができる。引き出せる魔力の量は傷の大きさに比例しており、能力を起動して魔力を扱えるようになる距離も同様に比例している。奪った魔力で魔法を使い、傷を広げてさらに使える魔力を増やす...傷が大きくなればより遠くからでも魔法を使えるようになり、遠距離からさらに傷をつけていく、などといった戦い方が必要となる能力だ。

 

この能力の利点はいくつかある。相手がどんな魔法を使えるのかを知れるという情報アドバンテージ、そして相手の魔力を使って魔法を発動させるため相手のリソースも奪うことができる点だ。うまくいけば、早々に相手の魔力を使い切ってしまって魔法を封じるだなんてこともできるだろう。

 

そして、これは想定していなかったことだが、倒した魔物がドロップした魔力源を貯めることで、その魔物が使えた魔法を使うことができる...つまり魔法をストックできることが判明した。魔力は消費してしまうため使い捨てのようになってしまうだろうが、たとえ相手に傷をつけて魔力を使えるようになったとしても、そいつが習得していない魔法は使うことができないという弱点を早々に克服できてしまった。

 

「フロートの使ってたような模倣能力が欲しくて、一応魔王に奪われたとしても影響が出にくいようにデチューンしたつもりだったんだが...図らずもフロートみたいな力になったな」

 

フロートは相手にしばらく触れることで力や姿形を模倣し、それをストックすることができた。あいつのストックはそのまま残機の役割を果たしていたが、模倣の傷でのストックは単純に手数の拡大でしかない。そこも含めて、うまく調整が出来ていると言って良いかもな...

 

「……ストック出来るんだとしたら、魔物は積極的に倒していった方が良さそうだな。収納どうする問題は出てくるが、うまく厳選していけば良いか...っと、ストックを目的にして倒すのならあんまり魔力を消費させないで倒す必要があるか。そうなるとこの能力を使って倒すやり方だと効率よく集められない...?なかなか考えものだなぁ」

 

……一旦考えるのやめるか。このままだと永遠と思考に耽ってしまい、目の前の目的を忘れてしまいそうだ。とりあえず魔物の骨はズボンのポケットにでも突っ込んでおく。

 

「協力者を探さないとだったな。にしても、会ったところでどうやって協力を取り付けたら良いんだろうか...この能力で魔法を使ってるところを見せたらいけるか?人間は魔法を使えないんだから、それでなんとか...いや、ダメか。人型の魔物だと思われるだけだな。見つけられればその後はどうにでもなると思ってたが、案外その後の方が厳しそうだな...」

 

会ってからどうするかも考えないとな、と思いながら原っぱを歩く。さっき見た感じでは整備された道路の周辺には人影はなかったから、道路から離れた場所に目的の人物はいるはずだ。出来るだけ丘になっている場所を歩いて辺りを見渡しながら、道路から逸れた場所を捜索していく。

 

「戦闘してる物音とかしてくれたら楽なんだけどなぁ...こいつが偶然探知魔法を持ってくれてたらもっと楽だったわけだが、まぁしゃーないわな」

 

今から探知魔法持ちの魔物を探すのは流石に本末転倒なのでしないが、このまま闇雲に探し回るのも面倒ではある。あっちが俺のことを見つけてくれるのが一番早くはあるが、そんなこと望んでられないしなぁ...

 

「……ん?子供?」

 

軽い傾斜を登り切ると、少し先にある林の中から子供が出てくるのが目に入った。いや、背が小さいだけで大人なのかもしれないけど、なぜこんなところに...もしや、件の協力者たり得る人ってあの人なのか...?

 

「……っ⁉︎一斉に魔物がポップした⁉︎」

 

あの人を取り囲むように魔物が三体湧き出てきた。一人で出歩いているとこうなるのは普通なのか?それとも、あの人が魔王にとって脅威的な存在で、排除するために魔物を作り出したのか?わからないけど...

 

「とりま助ける!!」

 

地面を蹴って一瞬で最高速度に達し、魔物たちに向かって走る。あの火炎放射は前に走りながら使うと自分に被弾してしまうから、使わずにそのまま物理で殴る...!

 

その時だった。パンッ!パンッ!と乾いた音が響いて、俺から見て奥側にいた魔物たちが後ろに倒れた。あの子供?の手には銃のようなものが握られており、銃口から煙が立ち込めていた。音の発生源はあれか...やっぱ銃はあるんだな。っと、そんなことは今は関係ない。二人倒せたが、まだ一人残っている。そいつは俺が...!

 

「オラァッ!」

 

飛び蹴りで魔物を蹴り飛ばす。

 

「うおっ...と。こいつは驚いた」

 

子供は驚きつつも、俺に蹴り飛ばされた魔物の頭めがけて引き金を引き魔物を殺す。

 

「感謝はしておこうか。助けてくれてありがとう」

 

随分と大人びた子だなぁ...これは大人説濃厚か?

 

「手助けは不要だったかな?」

 

「一応ね。にしても、なかなか足が速いな。あの時間でここまで走ってくるなんてね」

 

「……気づいていたのか?」

 

「あんなふうに走ってきていたら、大抵の人は気づくだろうさ。魔物たちは私に夢中で気づかなかったようだけどね...だからこそ、二度はしない方がいいだろう。そして、ここからも離れると良い。また先程のように魔物が急に湧き出してくるかもしれない。見たところ、君は武器を持っていないようだしね」

 

うーん、そう言われちゃうか。というか、この人が協力者なのかまだわからないんだよなぁ...法術世界の時とは違って事情を説明してくれる神的な存在はいないし、その協力者が俺のことを知っているわけでもない。この人だったら良いんだけど、どうしたものか。

 

「……ところで君。そのポケットに入っているものは魔物の骨かな?」

 

っ、見えてないはずなのに見破った?なぜ持っていることがバレたんだ...?

 

「……まさか、ね。そいつ、どうやって手に入れた?」

 

「これのことか?これは魔物を倒したら手に入って...」

 

「そうか...まさか、同類だったなんてね」

 

「え?」

 

「私もそれと似たようなものを持っている。しかし、それを手に入れる方法はただ一つ...魔物を通常の武器ではなく、魔法で殺すことだ」

 

「なっ...⁉︎」

 

ハッとなり、辺りの地面を見渡す。先程頭を撃ち抜かれて死んだ魔物たちは既に塵となって消失していた。だが、そこには何も落ちていなかった。全てが消え去っていたのだ。

 

「魔法以外で殺すと魔力器官が損壊してしまい、落とすことはない。これは絶対だ。ゆえに、君は魔法を使ったことになる...この世で使える人間はいないはずの魔法をね」

 

「……それじゃあ、どうやってあんたはそいつを手に入れたんだ?まさか、魔物に同士討ちさせたとか言わないよな?」

 

「おっと、その可能性が残っていたか。けど、君も否定はしなかったね。その身体にもう魔力は残っていないようだが、魔法を使ったことは間違いなさそうだ」

 

「魔力の有無まで見れるのか...そんなことを出来るってことは、あんたが魔王に対抗する力を持つ者か」

 

「おや?なかなか面白いことを言うね。けど確かに、私なら可能かもしれないね」

 

その子供?は俺の目を見てこう告げる。

 

「現存する唯一の魔法使いにして、知らない人は無い五百年前の大賢人...このフォルスなら、な」

 

現存する唯一の魔法使い...!この人が神様の言ってた人で間違いない!...けど、これだけ言っておこう。なんとなく、面白くなりそうだから。

 

「すまん、誰?」

 

「な...この私を知らないだと⁉︎歴史の教科書に載っている私のことを⁉︎君、義務教育通ってないのか⁉︎」

 

「義務教育はちゃんと通ってるが、この世界のじゃねぇからな」

 

「この世界...まさか、君は...」

 

「俺は異世界からの来訪者、仮谷幸希。あいにく、この世界の常識は持ち合わせていないのでな。フォルスなんて人は知らないね」

 

「ふ...はは、面白い!それなのに魔法を使うか!君に興味が湧いた!即刻着いてきてもらおうか!」

 

「え?」

 

フォルスが指をパチンと鳴らすと、周囲の視界が歪み出す。

 

そして...気がつけば、何かの部屋に飛ばされていた。

 

「ここなら誰にも聞かれない。根掘り葉掘り、色々聞かせてもらおうか!」

 

なんか...誘拐されたんだが...協力者とコンタクトを取れたのは良いけど、なかなか面倒なことになりそうだなぁと俺は思うしかなかった。




能力の効果についてうまい説明が思いつかず、非常にわかりにくい文章になってしまった...要するに、傷をつけたら相手の魔力を奪って魔法を使えるよ、という能力です。
今回は本編で描写したように、フロートの能力からカリヤくんが着想を得て作った力ということになってます。

そして、フォルスとかいう普通にこのキャラを主人公にして小説書けそうなレベルの設定を持ったキャラ登場。
今回の相棒枠なので、上手いこと楽しい掛け合いが出来るように頑張って喋らせますね。
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