神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8129字。

魔力過剰症がテーマの話になります。


魔力溢れし子供たち

「……はは、これはまた懐かしい場所に来たものだ」

 

「ん?どうかしたのか?」

 

私の呟きに幸希が反応した。

 

「あそこに見える町なんだが、幸希に出会う前に旅の最中に立ち寄ったことがあってね。一波乱あったところだからよく覚えているよ」

 

「なんだ、五百年前に来たことがある場所とかじゃないのか」

 

「なるほど、言い回しで誤解させてしまったか。それはすまない」

 

「……んで、その一波乱ってのは何があったんだ?どうせ魔法関連の話なんだろうけど」

 

「魔法関連というのからは少しズレているかもな。どちらかと言えば魔力関連だ。まぁ、幸希からすればどちらも変わりないように思えるだろうが...ふむ、あの町でやらなければならないこともあるし、そのためにも到着までに説明し切ってしまおうか」

 

さて、どこから話したものか...そういえば、あれはまだ説明していなかったか。そこから話すとしよう。

 

「ここで一つ問題だ。以前、器を持たないのに魔力を生成できる身体を持ってしまった子供は、産まれてすぐに魔力過剰症を起こして死んでしまう...といった話をしたが、人はどのタイミングから魔力の生成を始めると思う?」

 

「んー...産まれた後に魔力過剰症を起こすって言ってるけど、それはつまり流産であったり死産は魔力過剰症では起こらないって認識で良いんだよな?ってことは...母胎から産まれ落ちた後から魔力を作り始めるってのがそれっぽいけど、どうだ?」

 

「凄いな、ほぼ正解だ。正確には、母胎から出て自発呼吸を始めたタイミングからだ。魔力は生命力を作る際に副次的に生まれるものだ。よって、母胎内にいる間は親から生命力を分け与えられるから魔力が作られず、呼吸を始めて自ら生命力を練るようになった時に生成が始まるというわけだ」

 

「なるほど、ちゃんと理に適ってるな...それで?その話がどう一波乱に絡んで来るんだ?」

 

「魔法が失われる前にも、産まれてすぐに魔力過剰症を引き起こす胎児はそこそこ居た。器の許容量を生成量が上回ってさえいればどの時代でも起きうる出来事だからな。しかし、それによって命を落とす胎児はほぼ居なかった。それは、死に至る前に親や医者が胎児の魔力を発散させていたからだ。昔はほとんどの人が魔法を使えたから、人から魔力を抜き取ることが出来た。そのおかげで死に至ることはほぼ無かった」

 

「だけど、今は魔法使いがいないから魔力を発散させる術がない...だから大量に死んでしまったってわけか」

 

「器がゼロのせいで即死する胎児が多いのも理由の一つではあるがな。だが、即死さえしなければ、そして死んでしまうまでの間に何かしらの方法で魔力を抜き取ることができれば、魔力過剰症を起こした現代の胎児でも生き残ることができる」

 

「……偶然湊が通りかかって、胎児を助けたってことか?」

 

「その通りだ、察しが良くて助かる。ちょうどあの町の病院の近くを通りかかった時に大きな魔力の反応を感じ取ってね。すぐさま私が医者であるように見える認識改変魔法を使って病院に侵入し、胎児から魔力を吸い出し、私がいなくとも勝手に魔力を発散できるように魔法を刻んだ。そうして一人の胎児を救ったのだ」

 

「なるほどなぁ...俺にとっちゃそこまで波乱感は無いけど、湊からしたら大事件だったんだな」

 

「ああ。あれほどの魔力量は過去の時代でもそう多くはなかった。そんな逸材を生還させられたのだから、私にとっては大大事件さ」

 

「そんで、あの町でやらなきゃいけないことってのはそれ関連か?」

 

「そうだ。あれからしばらく経ったことだし、一応様子を見ておこうと思ってね。おそらく問題はないはずだが、念のため刻んだ魔法の調整もしておきたい」

 

「その刻んだ魔法ってどんなものなんだ?ただ単純に魔力を放出する感じ?」

 

「そんな単純な魔法があれば話は早かったのだがね。ただ魔力を放出させる魔法はないから、音を発する魔法に強制的に魔力を使わせて消費させている。子供にも大人にも聞こえない可聴域外の音だから健康も害さない」

 

「へー、放出させてるわけじゃないのか」

 

「自分のものならともかく、他人の魔力を体外に出すというという行為は本来とても難しいものなんだ。魔法を使ってそれを行うことは出来ず、直接触れることでしか出来ないにも関わらず出せる魔力は少量が限界。まぁ、簡単に出来てしまえば魔法使いはあっという間に無力化出来てしまうからそれはそれで困ってしまうのだが」

 

「だから強制消費の形を取っているのか...ん?でもさっき、昔はほぼ魔法使いだったから胎児から魔力を抜き取れたみたいなこと言ってたよな?その時も魔法で消費させてたのか?」

 

「軽度なら触れて抜き取り、重度なら魔法で消費させていたな。だが、胎児は抵抗しないから魔力を抜き取りやすいというのもあって、昔はほぼ直接抜き取っていたはずだ」

 

基本的に大人になる程魔力を抜き取りにくくなる。相手が魔力の扱いに長けた魔法使いであるならば、なおさら抜き取りにくくなる。魔力にまだ慣れていない子供だから抜き取りやすいというわけだな。

 

「……まぁ、幸希ならどんな相手からも魔力を抜き取れるだろうがな。他者の魔力をあれだけ自在に操り体外に抜き取れる者はこれまで生きてきた中で一度も見たことはない」

 

ワーウルフに決着をつけた町で、幸希があっという間に子供から魔力を抜き取った光景を見た。私でも数秒かかるところをあっという間に抜き取ってしまったことには少しばかり驚いてしまった。

 

「なぜ幸希はあんなにも魔力の扱いに長けているんだ?元いた世界には魔力は無かったのだろう?」

 

「だからこそさ。魔力が無かったからこそ、自分の中にある魔力を異物として強く認識できる。強く認識できるってことは、他の人より意識的に動かすこともできる。特に、身体の外に出すことは異物を除去するイメージで出来るからやりやすいんだよ」

 

「ふむ...なるほど。そんな感覚なのか...では、他者の魔力を早く抜き取れるのはなぜだ?今の説明では自己の魔力を操りやすいことしか説明出来ていない」

 

「あそっか...多分、模倣の傷のおかげかな。あれって傷を介して相手の魔力を奪い取るだろ?その感覚に似ているんだと思う」

 

「なるほど模倣の傷か...納得だ」

 

「納得してくれたようで何よりだ」

 

「……さて、ちょうど良いタイミングで辿り着いたな」

 

話が一区切りついたタイミングで町に辿り着いた。早速、件の子供を探しに行かないとな...

 

「そんじゃ、その子供を探しに行きますか」

 

「いいや、待て。魔力を持っているのだから魔力探知で探せる。たしか魔力の波長はこの辺りだったはず...」

 

記憶に残っているあの子供の魔力波形を思い出し、それに限定させた魔力探知を発動させる。

 

「……反応無しだと?」

 

「限定せずに探知してみたら?」

 

「……いや、違う。反応が無いわけじゃない。遥か遠方...クルイガを探知にかけた時のような、方角だけ分かるような結果だけ返ってきている」

 

「この町にはいないってことか。引っ越しでもしたのかな?」

 

「それならば良いのだが...ひとまず、反応が返ってくるというのは喜ばしいな。何かの弾みで魔法が破損して、魔力を発散できずに死んでしまっていた...というのが考えうる中で最悪なケースだったからな」

 

とりあえず今も生きていることが確認出来て良かった。まぁ、出来ることならば直接会って魔法の調整をしたいところではあるんだがな...

 

「……引っ越したのならば、どの町に向かったのか知っておきたいな。今後立ち寄る可能性もあるわけだし...家に向かえば近所の人が知っているだろうか?」

 

「えっ、家知ってるの?」

 

「医者に見える暗示をかけていたと言っただろう?その体裁を守るのと、経過観察をするために何度か家に訪問して様子を見ていたのさ。それゆえ、家の場所は記憶している。こっちだ。町の外周付近に居を構えていた」

 

幸希を引き連れて家へと向かう。

 

「ここのはずだ。明かりがついているが...新たな入居者か?」

 

家の前で様子を伺う。引っ越し先なら近所の人に聞くのが一番だろうが、今は不在のようなのでダメ元で現入居者に聞いてみるか...けれど、急に尋ねるのも怪しいよな。上手くコンタクトを取るのが難しい...

 

「……ん?なんだこの張り紙...」

 

と、幸希が家の壁に貼られている紙に注意を向けたその時だった。

 

家の中から誰かが出てきた。その手にはどうやら張り紙と同じものなのだろう紙が大量に抱えられていた。そして、顔を見ると誰が見ても不健康だと言うほどにやつれており...って、この人は...⁉︎

 

「あ、あの時のお医者様...⁉︎」

 

「虎狼さん...⁉︎」

 

馬鹿な、なぜあの子供の親御さんがまだこの町にいる⁉︎子供の魔力反応はこの町にはないぞ...どういうことだ⁉︎

 

「き、奇遇ですなこんなところで...もしかして、私たちを心配してやって来てくださったのですか...?」

 

「心配...?」

 

たしかにそのやつれた顔を見れば心配はするだろうが...と考えていると、ふと虎狼さんの持っている紙が目に入った。

 

そして、張り紙を読んでいた幸希と声が重なった。

 

「「魔物に連れ去られ...行方不明...⁉︎」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにももてなしが出来ず申し訳ない...」

 

「いえいえ、お構いなく」

 

話を聞くために私たちは虎狼さんの家に上がらせてもらった。あのやつれよう...子供が行方不明となり毎日駆け回って探しているからなのだろう。心底辛そうだ。

 

「ところで、そちらの方は...」

 

「私の助手のようなものです。こんな身なりですが、過去に酷い傷を負っていまして、その傷跡を覆い隠すためのものですので気にしないでやってください」

 

「は、はぁ...」

 

「あの、今日は沙苗さんはどちらに...?」

 

「家内は実咲が連れ去られたショックで精神を病んでしまい、隣町の大きな病院で治療を受けています...」

 

「なるほど、軽率に聞いてしまい申し訳ない」

 

……あの子供、実咲という名なのだったな。すっかり忘れていた。親御さんたちの名は会話の中でよく出ていたから覚えていたが、肝心の子供の名は完全に抜け落ちていたな。

 

「……思い出させてしまうのは大変心苦しいのですが、実咲さんが連れ去られた時の状況を詳しく教えてもらうことは可能でしょうか...?」

 

「ええ、構いません。あれは、いつものように家族三人で買い物に出ていた時でした。実咲を乗せたベビーカーを押しながら町を歩いていると、突然暴風が吹き荒れて私たちを影が覆いました。暴風はともかく、影の方は雲がかかったのかなと思い上を見上げると、先程まではいなかった巨大な鳥の魔物が羽ばたいていて...暴風は、その魔物が近づいてきた時のものだったのでしょう」

 

巨大な鳥の魔物...か。

 

「慌てて私はベビーカーから手を離し、拳銃を引き抜いて魔物に向けて撃ちました。ですが、慌てていたのと魔物の羽ばたきのせいで風が吹いていたせいで狙いがなかなか合わずほとんど当たりませんでした。一発だけ当たったのですが、それも魔物の脚に掠った程度...けど、当たってしまったせいで魔物を怒らせてしまったのでしょう。何の魔法かはわかりませんが、急に私の脚が痛み出したのです」

 

脚を撃ったら脚に痛み...鳥の魔物...まさか、ね。

 

「その痛みに気を取られているうちに、魔物はベビーカーをひったくり、そのまま飛び去ってしまいました...」

 

「なるほど...」

 

「なぁ、巨大な鳥の魔物ってまさか...」

 

「ああ、その可能性が高いな」

 

話に出てきた魔物の特徴...クルイガを連れ去った鳥の魔物によく似ている。攻撃反射の魔法からして、別の魔物である可能性はとても低いだろう。

 

「その出来事はいつ頃の話ですか?」

 

「一ヶ月も前の話です」

 

一ヶ月前...となると、クルイガが連れ去られるよりも前の話だから矛盾はないな。後ならばその時点で魔物は討伐できているから別の魔物だと言えたが、この様子だと同一存在であると十分言えるだろう。

 

「……お話しくださりありがとうございます。娘さんのご無事と帰還を祈っております。では、長居をするのもアレなので、私たちはこれで...」

 

「こちらこそ、忙しい中こんな話を聞いてくださりありがとうございます。何か情報がありましたら、ご一報してくださると助かります...」

 

深々とお辞儀をする虎狼さんに見送られ、家を後にする。

 

「……クルイガを連れ去った魔物が、まさか他にも誘拐をしていただなんてな...」

 

「あの魔物使いの企みなのだろうが、どのような目的で行なっているのかは謎だな」

 

「共通点はあるにはあるんだけど...判例が二つだからハッキリこれとは言えないんだよなぁ」

 

「その共通点とは、魔力生産量が多いということか?」

 

「そうそれ。クルイガもさっきの話に出てきた実咲って子も、器に収まらない量の魔力を生産してるんだろ?その魔力を利用するために連れ去ったってのはそれっぽい理由なんだが...二件の例だけでそう結論付けるのは早いよな」

 

「魔力探知によると、クルイガと実咲はここから別々の方角にいるらしい。一箇所に集められているわけではないのも少々不自然だな...」

 

「分からないことだらけだな...まぁ仕方ないが」

 

「それでは幸希、どちらの反応を先に追う?」

 

「年齢的に追うのなら実咲って子の方だが...そのまえにこの町を調べきるぞ。まだ無差別の魔力探知はしてないだろ?」

 

「おっと、そうだったな...」

 

魔力の波長に合わせた探知しかしていなかったのを忘れていた。無差別探知できちんと他に魔力を持つ者がいないか調べなければ...

 

「……っ⁉︎魔力を持つ者がいる!しかもこの様子...既に魔力過剰症を起こしている!急いで向かうぞついてこい!」

 

急いで駆け出す。ここからそう距離は離れていない。反応は、少し離れたところにあるアパートの一室...ここか!

 

「っ、鍵が...おい!中に誰か動ける奴はいないか!鍵を開けてくれ!」

 

ドンドンと扉を叩く...が、何も反応が返ってこない。

 

「くっ、魔法で開けるしかないか...!」

 

魔法で解錠し、部屋の中に入る。団地からするとこの一番奥の部屋か...!

 

「おい!大丈夫か!」

 

奥の部屋の扉を開け放つと、地面に横たわる少年の姿があった。見たところ七、八歳のようだが...なるほど、この時代からすると平均を超える器の大きさだが、それでも十分小さい。だが、魔力生成量も小さかったためこれまで何も起こらなかった...しかし、常に蓄積されていく魔力がこの歳になってようやく限界量を超えて溢れ出し、魔力過剰症を引き起こしたのか...!

 

「っ...くるし...」

 

少年は胸の辺りを押さえ、大量の汗をかいていた。発熱をしているようだ。けれど、皮膚はまるで低体温状態かのように青白くなっている。早く魔力を抜き取らなければ危ない...!

 

「この子...だいぶ許容量を超えている...⁉︎魔力の増加が緩やかすぎて、症状が出るのが遅れたのか...!」

 

少年に触れて魔力を抜き取りにかかるものの、全然症状が軽くならない。限界量を大幅に超えているために、器に収まる量まで減らすのにとても長い時間がかかってしまうのだ。

 

「俺に任せろ」

 

後から部屋に入ってきた幸希が少年に触れる。魔力の扱いに長けた幸希なら、私よりも早く減らせるはず...

 

「……あん時より遅いな。あれはワーウルフの魔力で本人のものではなかったから抜き取りやすかっただけか...」

 

「っ、幸希でもこの速度か...!」

 

私よりも断然抜き取る速さは早いものの、到底間に合う速度ではない。その人本人の魔力を抜き取るのは、流石の幸希でも遅いのか...!

 

「模倣の傷はこの子が魔法を使ったことがないから無駄だし...」

 

「おい君!私がこれから口にする言葉を復唱できるか⁉︎」

 

「う、うぅ...」

 

意識が朦朧としているな...一度でも魔法を使わせて、幸希が模倣の傷で魔法を使えるようにして魔力を減らす方法は無理か。

 

「……仕方ない、一度あの方法を取るしか...」

 

こうなったら、この方法しかない。私がやらなければこの子は死ぬ。幸希にやらせるわけにはいかない...!

 

「……なるほど、あれを使えば出来るのか。なら、借りるぞ」

 

「っ...⁉︎な、なにを...」

 

幸希は急に私の腕を爪で引っ掻いた。そして、その傷を介して魔力が幸希に流れていくのを感じた。

 

……次の瞬間だった。

 

「っ、幸希...やってくれたな」

 

私の魔力の多くがいつの間にか消費されていた。そして、子供の中にあった魔力は全て消えていた。これが表すことはつまり...

 

「リトライを...使ったな...!」

 

「俺が使ってなきゃ湊が使ってただろ。さっきの処置の様子からして、この子はただ魔力を抜き出すだけでは救えなかった。そんで、多分この子は実咲よりも生産量自体は少ない...となると、実咲の時もただ魔力を抜き取るだけでは救うことはできなかったはずだ。一瞬にして一度魔力を枯渇させるにはこの魔法が一番...俺は、湊が実咲に対してやったであろうことをやったまでだ」

 

「た、たしかに実咲も一度リトライを使用して魔力をゼロにする方法を取ったさ...だが、それが分かっていてなぜ君がやった⁉︎私がやろうとしていたことをわかっていたなら、そのまま見ていれば良かったはずだろ⁉︎」

 

「この子は小さいものの器を持っているんだろう?なら、魔法使いになる素質があるわけで、これから教育を受ける可能性がある...それなのに、湊が自身を殺した記憶を持っていたら都合が悪いだろ?俺が殺した記憶が残る分には問題ない」

 

なっ...そんな先のことを見越していたとでも言うのか...!たしかに、リトライは死の記憶が残る。リトライを発動させるために殺す必要があるが、私が手を下していれば、のちに私が魔法を教えることになった際にその記憶が邪魔なものになる...その理屈はわかる。

 

だが、だからといって幸希に人を殺させてしまったことは私の心が許せない。結局死んではいないし、救うためには必要なことであったとはいえ、殺した記憶は幸希にも残っている。その記憶が、またいつ精神崩壊を引き起こすかわからない爆弾になってしまうのはいただけない。

 

「だからといって、君に人殺しをさせたくはなかった!記憶なんて魔法で操ればどうとでもなる!そんなもののために君が手を下す必要はなかったんだよ...やるにしても、相談も無しに急にやるのはやめてくれよ...」

 

「それを言ったら湊も一人でやろうとしていただろ?リトライを使って巻き戻して、魔力が消えたことは適当にそういう魔法があるんだって言えば俺には反証は出来ない。実咲の時もその魔法を使ったのか...となって、リトライの可能性にも気づかない。そうやって、俺に何も言わずに全てを終わらせようとしていたはずだ」

 

「っ...」

 

図星だった。幸希の推理は的確で、見事なまでに私の思考を暴いていく。気付かなくていいことにも気付いてしまう...

 

「ほら、さっさとずらかるぞ。このまま居続けて怯えさせるのは本意じゃない」

 

少年は幸希にひどく怯えているようだった。どのようにして殺し、リトライを起動させたのかは私にはわからない。けれど、この怯えよう...かなり酷いものであったことが窺える。

 

……たしかに、早く出た方が良さそうだな。っと、忘れないうちに魔力生産量に合わせた魔力発散用の魔法を刻んで...これでこれからも魔力過剰症は起きないはずだ。

 

「……君、すまなかった。怖い思いをさせてしまい申し訳ない...今起こったことを誰にも言わないでくれたら、また会いに来るよ。その時は、怖いことは全部無し。君の中に眠る特別な力を開花させに来る。だから、怖い記憶には...蓋をしてしまおう」

 

子供の記憶を操り、死の記憶を無くす。もし思い出してしまったとしても、ローブ姿の幸希を見た記憶が鮮明に残るようにしてしまい、私のことを思い出させないようにしておく。

 

「急げ。いつ親が帰ってくるかわからないからな」

 

「あ、ああ」

 

部屋を後にする幸希の後ろをついていく。

 

仮谷幸希...君の精神や信念は、どこに向かおうとしているんだ...?




カリヤくん軽率に殺しすぎで湊が引いちゃってるよ...
た、多分魔丸だったり魔王の精神汚染のせいだから仕方ないね...カリヤくん視点ではないので、実のところはわかりませんが。
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