新人類の説明回です。
「とりあえず山の麓までは降りれたが...ここからどうしようか」
洞窟を出てから二回ほど襲われたものの、即座に水をぶっかけたおかげで撃退することができたため、ここまでほとんど安全に進むことができた。水の消費もそこそこで、まだ余裕はある。
だが、ここから先は市街地。草木といった物音のする物が無いため接近に気付くのが難しく、また遮蔽物も少ないため身を隠すことも難しい。強行突破で進むしかないか...?
「自衛隊の駐屯地はまだ結構離れてるな...作戦行動中の自衛隊に見つけてもらうのが一番ではあるが、なんにせよ動かなきゃ話は進まない...!」
水の入ったペットボトル片手に木の影から飛び出し、市街地に入る。
「クエーッ!!」
「っ、空から⁉︎」
空から脚が半分溶けている鳥のような生き物が飛来してきた。そのまま俺の頭に嘴を突き刺そうとしてきたため、身を仰反ることで回避して水を浴びせる。
「空飛んでくるのもいるのか...新人類ってなんだよ、哺乳類ですらないじゃんか」
ぼやきながら上を向く。そこには、先程と同じ鳥のような生き物が数羽飛んでおり、上をぐるぐると周回していた。
「ここに人がいるぞって知らせたりでもしてんのか...?ひとまず逃げる!」
地図アプリを片手にひたすら走る。目指すは街の反対側。自衛隊駐屯地のある方面...!
「よっ...ほっ!」
一直線に落ちてくる鳥をジグザグに走ることで回避する。見たところ奴らの攻撃は単純。真っ直ぐ降りて嘴を突き出し、外れれば再浮上してまた降りてくるを繰り返すだけ。直線的で、点の攻撃でしかないその攻撃はとても避けやすかった。
「お前らは倒さねぇぜ。利用させてもらう...!」
鳥が俺の真上で飛んでいるこの状況はとても良い。遠目から見ても何かが起きていることはすぐにわかるだろう。自衛隊の奴らが気付いてくれることに賭けて、このまま移動する...!
「さぁ、頼むぜ...!」
舗装されたアスファルトの上を走り、十字路を曲がる。まだ人っ子一人見えないな...ってか、町は普通だな。荒廃していたりするのかと予想していたが、普通に人が住んでいてもおかしくないような見た目を保っているな...まぁそっか、新人類が現れてからそこまで時間が経っているわけではないから荒廃していなくても不思議じゃないな。脆くなっていてもおかしくないから、出来れば建物の中には入りたくはないがな...だからこのまま地上を走り抜ける...!
「……ちょっ⁉︎」
ボロボロの靴で無理な切り返しを挟みながら走り続けていたせいだろうか、靴底が剥がれてしまった。前への推進力を小刻みに足を動かすことでなんとか抑えて転倒を防ぐことに成功するものの、これではもう走れない。靴を脱ぐしかないが、このアスファルトの上を素足で走り続けるのは無理だ。日差しで熱を持っていることは能力による耐性のおかげで問題はないけど、足裏がグズグズになるのは嫌だ...!
「くっそ...!」
空からここぞとばかりに鳥が飛来してくる。それも、三体同時にだ。身を翻すことでなんとか脳天を狙った攻撃を避けるものの、次なる攻撃がまた飛んでくる。
「仕留めるしかないか...!」
鳥が攻撃のために降りてきた瞬間を狙ってペットボトルの水を振りかける。
「っ、避けられるか...!思いの外俊敏だなおい!」
再浮上するまでに水を振りかけたはずだが、鳥は飛び上がる方向を変えることで見事に水を一滴も浴びずに回避してしまった。
「クソッ、どうする...!」
上を見ながらリュックの中身を漁り、次のペットボトルを取り出す。
こうなったら、飛んでくる嘴をペットボトルで受け止めることで強制的に水を浴びせに行くか...?いや、たとえ溶けたとしても霧散するまでは飛行による運動エネルギーを保持し続けるはず。溶けた鳥はそのまま速度を維持して俺に降りかかることだろう。何が起こるかわからないため、出来れば溶けた身体に触れるのは避けたいところだ。
それを避けるには、やはり再浮上の隙をついて水をかけるしかないが...あの動きに追いつくのは至難の業だ。なにしろ、次々と飛んでくる攻撃をちゃんと目視して回避する必要があるため、攻撃にばかり気を取られるわけにはいかないからだ。
避けることは現状なんとか出来ているけれど、攻撃が出来ない...!誰かに見られる恐れがあるから能力でリアルな熱を集めて焼き尽くすのも出来ない。どうする...!
「要救助者発見!!」
その時、声がした。もしや...自衛隊が来たのか?
「漆式と推定されるアンチに襲われている要救助者を発見!直ちに討伐し救助する!」
攻撃を避けて一瞬余裕が生まれた瞬間に俺は後ろを振り向く。そこには自衛隊の制服に身を包んだ者たちが数人おり、何かの装備を持ってこちらに近づいてきていた。
「装填よし!」
「射撃ヨーイ!!」
自衛隊たちは打ち上げ花火の筒のような物を肩に担いでいた。なんだ?と思っていると、その筒から何かが発射された。
それは空を飛んでいる鳥の少し上まで飛んでいくと、パンっと弾けて水を撒き散らした。水風船的なものを飛ばしたのか...?
鳥たちは頭上から水が降り注いでくることに気が付かず、モロに水を浴びてしまう。その結果、翼が溶けて飛行できずに落下し、そのまま地面に激突して死に至る。
「お怪我はありませんか⁉︎」
自衛隊の人らが近づきながらそう聞いてくる。
「えと、怪我は無いです...が、頑張って走ってきたせいで疲労が...靴も壊れちゃって移動も難しく...」
「なるほど...宇部!ここまで車回してこい!」
「了解!」
宇部と呼ばれた男は走っていき、建物の角を曲がってどこかに行った。指示通り車を取りに行ったのだろう。
「良くぞここまで逃げてきましたね...私たちがいるからにはもう安全です。ですが、ここではまたいつアンチに襲われるか分からない。我々の駐屯地にある避難所に向かいましょう。そこならばもう襲われることはありません」
いつ襲われてもわからない状況なためか、早口で捲し立ててくる。俺は黙って頷くしかなかった。
「……では、行きましょう」
軍用車が近くに止まり、俺は促されるままそれに乗り込んだ。
「避難所に着くまでに幾つか確認を取りたいのですが...身分証はありますか?」
「無くしちゃって今持ってないんですよね...」
「そうですか...では、名前と家の住所を教えてもらえれば」
「仮谷幸希です。千葉の方に住んでいて...沖縄旅行中にこんなことに...」
「あれま、沖縄出身じゃないのか」
「そうですよ?」
「そんなにうちなーぐち流暢なのにか?」
……うちなーぐち?アニメで聞いたことあるぞ、それって沖縄独自の言語のはず...まさか、翻訳能力が働いてしまっている⁉︎
そういえば翻訳能力を最近一切弄っていないから、アクティブになっていてもおかしくない...けど、同じ日本人の方言すら翻訳してしまうのか!
……これ、結構不味くないか?今回は沖縄の人しかいないっぽいから問題なかったが、異なる方言を使う人が何人もいる場で俺が話せば、翻訳能力はそれぞれ一番馴染みのある方言に翻訳されて耳に聞こえるはずだ。その異常性に気付く人間が現れてもおかしくはない。
まだ間に合うはずだ。とりあえず、俺からの翻訳は全て解除。聞き取りは一応何喋ってるか分かる様に残しておくけど、無駄なリソースを割くために方言以外の翻訳は全て解除...!そして口先八丁で誤魔化す!
「はは、適当っすよ。アニメで見たことあるのを適当に喋ってみただけで」
「そうか...にしても上手かったなぁ。これなら避難所でも馴染めると思いますよ」
「そうですか?それなら良かった...」
さて、とりあえず危機は脱した。これからどうするか...
「……あの、一つ聞いてもいいですか?」
「良いぞ、極秘機密に関することじゃなければなんでも聞いてくれ」
「はは...あの生き物ってなんなんですか?襲ってくるわ増えるわ水に溶けるわで不気味なんですが...」
「アレか...まだわかっていないこともあるが、我々はアレをアンチと呼んでいる。人にのみ牙を剥く存在だからアンチだ。どこからともなく急に現れ始めたことと、水に触れると溶けること...これだけ知っておけば問題はない」
クソッ、一般人に与えられる情報はここまでか...これ以上は、自衛隊に入隊してアンチを倒す側に回らないと聞き出せそうにないな。となると、どうやって入隊する流れに持っていくかだが...少々強引に行くか。
「皆さんは...その、アンチとかいうのを倒しているんですよね?」
「そうだ。ゆくゆくは全て滅ぼし、日本全土を取り戻すつもりだ」
「でしたら...俺にもそれ、やらせてくれませんか?」
「……なに?」
「ここまで俺は一人で生き残ってきました。水の対処法だって自分で気付けた。襲ってきたアンチを返り討ちにしたこともある。自分で言うのもアレですが、俺結構動けます。アンチを絶滅させられるんだったら、俺も手を貸したい...!」
ここは直球でいく!
「……仮谷くん、だったか。たしかに君は動けるんだろう。ここまで一人で逃げ切って見せたのだからな。だが、おそらく君が出会ったアンチは漆式...せいぜい陸式までだろう。君はアンチの本当の恐ろしさを知らない」
「本当の恐ろしさ...?」
「仮谷くん、君はなぜアンチを滅ぼしたい?何が理由で戦うことを決意した?その理由を教えてくれ」
理由か...それを理解してくれるかはわからないが、納得はしてくれる理由にしてみようか。
「……俺、友達と旅行してたんすよ。その最中に奴らに襲われて、アイツだけ逃げ遅れて...」
「……その子の名前は?」
「湊...三枝湊です」
すまん湊!名前使わせてもらうわ!
「もう湊とは会うことができない...湊を奪った奴が許せない...!だから、アンチを滅ぼしたい!」
こんな状況だ。身内をアンチによって殺された者は腐るほどいるだろう。復讐ならば同情も買える。味方に引き入れてくれるかもしれない。
「……わかった。ちょうど今日、避難民の中から有志を募り、専用の非常部隊を作ることになっていた。その中に混じり、実力を測るテストをパスすればその非常部隊に迎え入れよう」
「ありがとうございます!」
よし、上手く話が進んでくれて良かったぜ。あとは、そのテストとやらを突破するだけ...まっ、俺なら余裕だろ!
「余裕〜」
フラグなんてものは俺には存在せず、数々の身体能力テストや適性審査を余裕で突破した。異世界を渡り歩き、様々な敵と戦い続けた俺がそんじょそこらの一般人に負けるはずがないのだ。精神性の審査も、普通にしていれば引っかかることはない。真面目にいつも通りの自分を出すことで突破することができた。
「無事に通ったことだし、ひとまず気が和らいだなぁ...」
これから試験を通った者を対象とした講習会が開かれるらしい。おそらく、アンチについての説明をするのだろう。
「なぁ、あんた」
講習会が開かれる会議室に向かっている最中に、同じく試験を通った人から声をかけられた。
「なんだ?」
「横目に見ていたんだが...凄まじかったな。どうしたらあそこまで動けるようになるんだ?」
「ひたすら激しい運動を長い期間に渡ってやってたらこうなるよ。あとは、身体の使い方を意識することだな。最適の動きをしっかりなぞる...そうすれば、より動けるようになるはずだ」
「なるほど...参考になった。ありがとう。お礼ついでに、名前を聞いてもいいかな?」
「仮谷幸希だ。君は?」
「延岡隼人だ。これからよろしく」
「こちらこそよろしく」
と、話しているうちに会議室にたどり着いた。これも何かの縁だとして、二人で隣り合って席に着く。
その後しばらく延岡と談笑をしていると、制服に身を包んだ自衛官が入ってきた。
「えー、揃っているようなので、講習会を始める。これから話すことは、一般人には秘匿されている事項であることを胸に刻み、外部に漏らすことは無いようにしてもらいたい」
そう言いながら教官はスクリーンを下ろしてプロジェクターをリモコンで起動する。
「現在日本を襲っている新生命体...これを我々はアンチと呼んでいる。いつどうやって生まれたのか、その起源は謎に包まれている...が、数々の調査によってその生態が判明してきた。今回はそれらを共有する」
パッとスクリーンに人のようなものが映し出される。そして、その隣には俺が戦った犬の形をした生き物も映し出されていた。
「これらはいずれもアンチだ。写真では犬や人のように見えるが、直視すれば僅かな違和感を感じることだろう。違和感を感じる生物は皆アンチだと考えてもらって構わない」
少し会議室内がざわつき始める。おそらく、人の姿をしたアンチの存在を知らされたからだろう。俺は、元を辿ればアンチは新人類であると知ってるから驚かないが...まぁ、少し驚いたような雰囲気は出しておこう。
「アンチは単体で自らの劣化個体を生み出す力を持っている。この犬の形をしたアンチも、この人の形をしたアンチの劣化個体というわけだ。何世代も劣化した後ではあるがな」
「劣化...にしたって、犬になることはないだろ...」
延岡がポツリとつぶやく。
「劣化...退化と言ってもいいな。退化度合いは一定であり、同じ個体からは同じ退化をした個体が生じる。その退化度合いを参照し、我々は壱式から漆式までランク付けをしている」
スクリーンが切り替わり、人類の進化の図に似たような画像が映し出される。もっとも、猿に当たる部分は犬になっているが。
「右が壱式で左が漆式だ。壱式はほぼ人間と同等だと思ってくれて構わない。そして、壱から弐の退化はごく僅か。動きの機敏さがやや失われ、能力の出力が少し落ちた程度だ」
「……すみません、能力とは何ですか?」
誰かが質問を投げかけた。
「おっと、説明を忘れていたな...アンチは子を残す力の他に、特異な力を持っている。いわゆる超能力だ。炎を生み出す個体や、ワープを有した力など、個体によってその力は様々だ。だが、親と子は同じ力を持つ。最上位種である壱式の数だけ超能力の種類があると思ってくれ」
超能力か...これまで俺が会ってきた個体は使ってこなかったけど、劣化していったら能力も使えなくなるのかな?
「続きと行こう。弐式から参式への退化は、言語の消失。人と同じ言語を話すことが無くなる。参しきから肆式は、痛覚の消失。銃弾を浴びせたとしても怯むことが無くなる...退化ではあるが我々にとっては脅威となる変化となるだろう」
なるほど、痛覚の消失...だから幻痛の熱に一切反応しなかったのか。となると、有効に使えるのは参式以上というわけか...
「肆式から伍式は人の形の消失。ここに至るまでにも少しずつ形は崩れていくが、ここで完全に人の形を捨て、何かしらの動物の形を取り始める。伍式から陸式になると、超能力を失う。最後に漆式になると、劣化個体を生み出す力も失い打ち止めとなる」
ってことは、俺はこれまで陸式までしか出会っていないのか...
「劣化個体を生み出す頻度は、壱式が一番遅く陸式が一番早い。そのため、それぞれの個体数はピラミッド状になっている。超能力を持たない個体がその大多数を占めており、主に人々を襲っているのは陸式以下というわけだ。それゆえ、アンチが超能力を使うことを知らないのも無理はない」
超能力を使っているところを見た一般人はことごとく死んでいる...っていうのもあるんだろうな。士気がダダ下がりするから言わないんだろうけど。
「ここまでで何か質問はあるか?」
……いなさそうだから質問しーとこ。この後話すかもしれないけど、一応ね。
「君は...仮谷幸希くんか。何かな?」
「これまで壱式は何体発見されているんですか?」
「実際に発見している数は数体...だが、奴等は日本に対し宣戦布告をしてきた。その言葉を信じるならば、壱式47体がそれぞれ各都道府県の長のいた場所...つまり、県庁所在地に潜伏していることになる」
「47も...ありがとうございます」
「他に質問はあるか?...無いなら話を進めよう」
スクリーンが次へと切り替わる。
「アンチには通常兵器が効く。普通の生物同様、銃弾を撃ち込めば死ぬ。だが、痛覚の無い肆式以下は致命傷を負ったとしても死ぬまで抵抗してくる。参式以上は怯んでくれるものの、主に戦うことになる肆式以下には通常兵器は心もとないと言えるだろう。そもそも、非常部隊である君たちに銃火器は持たせられない...そのため、アンチ専用武装を主に使うことになる」
まぁそりゃ一般人上がりに銃は持たせられないわな...
「アンチは水を浴びると身体が溶ける。これは壱式から漆式にかけて共通している。そのため、これを使う」
「水...鉄砲?」
教官が取り出した物を見た誰かがぽつりとこぼす。
「馬鹿にしていると思われるかもしれないが、これが最適である。水の補給は主に専用車両で行うが、街中では消火栓や建造物の水道を活用出来るし、自然環境でも川から補給できる。なまじ銃弾を持ち歩くよりも、簡単に補給可能なこちらの方が物資不足に陥ることはないだろう」
たしかに合理的ではあるか...?
「あの、消火栓や水道と仰られていましたが、まだ生きているんですか...?」
誰かが質問をした。
「アンチは人しか狙わない。建造物を破壊することは基本無いのだ。それに水を苦手としているのだから、わざわざ水道インフラを破壊することは決してない。近づくことすらしない。もっとも、水道施設は完全電子化されており人が居ないから、そもそも襲われることもないがな」
「な、なるほど...」
「さて、話を戻そう。アンチの弱点は水と言ったな。水をかけることでアンチの身体は崩壊して死を迎える...だが、それ以外にも死に至らしめる方法がある。それは、親の死だ」
スクリーンが次に変わる。
「劣化個体は親が死ぬと同時に死を迎える。陸式が死ぬとその子の漆式も全員死に、肆式が死ねばその子である伍、陸、漆式が死ぬ。つまり、壱式を殺せばその子全員が死ぬ。同じ能力を持った個体が全て消えるのだ。残党狩りをする必要はないわけだな」
なるほど、じゃあ47いる壱式を全員殺すことが出来れば、この世界から新人類を完全に滅したことになるわけだ...いやまぁ、47とは限らないけど。
「既に我々は、二体の壱式を殺している。那覇に潜伏していたワープ能力持ちの壱式、札幌に潜伏していた治癒能力持ちの壱式、この二体だ。よって、これらの能力を持った個体はもう存在しない」
ワープと治癒?それって...
「殺した二体がこの能力だったのは偶然ではあったが、我々にとって最上の幸運だったと言えるだろう。水を苦手とするアンチは海や川を渡れない。転移能力の消えた今、陸路が存在しない沖縄、青函トンネル破壊によって同じく陸路の無い北海道にアンチが渡る術はない。既に渡ってきていた個体を滅すれば、これらの地域からアンチを完全に撲滅することが可能だ」
せ、青函トンネル破壊って...ま、まぁ陸路を潰すのは得策ではあるけども、かなり思い切ったことしてんな...この感じだと、九州と本州、本州と四国を繋ぐ橋やトンネルも既に破壊して通行不能にしていそうだな...
「治癒もそうだな。交戦中に傷を回復されてしまうことは一生無い。致命傷を与えてしまえば、逃がしたとしてもいずれ死ぬ。重要なこの二つの力を奪い取れたことは、とても...」
……ん?なんか黙っちゃったぞ?
「……すまない、話す内容が飛んでしまった。とにかく、ワープと治癒の能力はもう無いと思ってくれ」
こほんと咳き込むと、教官は話を続けた。
「諸君らの責務は、この沖縄全土のアンチを撲滅すること。それが終わり次第、この部隊は解散だ。だが、希望者は九州上陸作戦以降の同行も許可するつもりである。意欲と勇気ある者はこの可能性を頭の片隅に残しておいてもらいたい」
この中に希望者はどれくらいいるのかな...?既にいる個体さえ撲滅してしまえば後続が来ることはない。沖縄が地元の人は、沖縄を取り戻した時点で満足するだろうし、これ以上危険な目に自ら遭おうとする者はいないだろうからあんまりいなさそうだな...
「……時間だな。これにて講習会を閉じる。詳しい説明事項は配布する資料に書かれているため、よく読むように。では、今日は解散だ。明日から訓練を行う。明日に備え、休むと良い」
そう言って教官は資料を配ると、会議室の外へ出てった。
「……これからやっていけるだろうか?」
隣の延岡がそう呟いた。
「いけるさ」
いけるかいけないかは俺には関係ない。新人類を残らず殺すことが、今回の俺の責務。
必ず成し遂げる。そう心に刻むのだった。
新人類、アンチの説明は理解してくれましたかね...?
ひとまずあらかたの情報は公開しましたが、わかりやすく書けたかな...脳内の設定を文字起こしするのが苦手で、毎回激悩みしながら書いてます。
まだ公開していない設定もありますが、それは追々...
次回は訓練パートをすっ飛ばして実戦描写に入ります。
バレずに能力を使いながら戦うカリヤくんをぜひご覧ください。