神の使いの異世界修復   作:ダイヤモンドリリー

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8019字。

前半の会話パートののち、九州上陸作戦開始です。


壱式殺しの自慢話

「まーたこいつは船酔いしてるよ...」

 

九州へと向かう船の中で、またしても船酔いを起こしている古宇利を見ながら俺は呟いた。

 

「というか、二人がついてくるとは思わなかったよ。どうして来たんだ?」

 

伊是名島攻略をした非常部隊第二からは、俺と延岡と古宇利の三人が九州上陸に志願していた。正直俺以外に志願者が出てくるとは思ってなかったので、理由を聞いてみる。

 

「俺は生まれが九州でね。少なくとも故郷を取り返すまでは協力するさ」

 

「なるほど...んで、古宇利は?お前は沖縄出身だろ?」

 

「そりゃ延岡が行くって言ったからな、協力するさ」

 

「……え?」

 

「そういえば言っていなかったか。俺と古宇利は古い友人でね。こっちに居たのは長期休暇中に古宇利のところに遊びに行っている間にアンチ災害が起こってしまったからというわけさ」

 

「延岡が沖縄完全奪還に協力してくれたんだから、今度は俺が協力する番さ。まっ、俺がいれば沖縄みたくあっという間に奪還をおろろろろ...」

 

「ああもう喋るから...って、喋らせたの俺か」

 

と、そんなことを話している間にも船は進んでいく。

 

現在の目的地は鹿児島県。それも、県庁所在地である鹿児島市に直行している。

 

現状人類の持つ移動手段で一番安全なのは船だ。水を嫌うアンチは水に近づくことがなく、鳥型のアンチも水上を飛ぶことはしない。そのため、ヘリや飛行機ではるか上空を飛ぶよりも船で進む方が何倍も安全なのである。

 

そして、西日本ではほとんどの県庁所在地が沿岸部に位置している。奈良県、京都府、滋賀県以外は全て沿岸部であり、船で近い距離まで近づくことが出来るのだ。

 

そのため、自衛隊はこういう方針を取っている。全てを無視して壱式アンチが根城としている県庁所在地に全軍を突撃させ、早期に壱式を刈り取る...というものだ。

 

実に合理的であると言えるだろう。壱式を殺せば、同じ能力を持つアンチ全員が死滅し、アンチ全体の総力が一気に落ちる。その県に一番多く存在しているアンチはその県を根城としている壱式の下位個体だろうから、それらが死滅するとなればその県の領地を取り戻していくことも幾分か簡単になることだろう。

 

……まぁ、それは成功すればの話ではあるけどな。正直成功するとはあまり思えない。壱式は自分が死ねば終わりなことを自覚しているはずだから、当然身の回りの護衛は強固なものにしているだろう。そこを奇襲で全て崩せるかと言われると、だいぶ微妙なところだろうな。

 

「なぁ、この奇襲作戦って通用すると思うか?」

 

「どうなんだろうな...まず、そこにどんなハウリングを持った壱式がいるかも分かっていないんだろ?」

 

「そうなんだよなぁ。判明してるハウリングのどれかならいいけど、そうだったとしても性能は下位個体の比じゃないだろうし参考にはあんまりならない...本人の使っているところを見たいところではあるな」

 

「それに、県庁所在地のどこにいるかもわからない。鹿児島市は南北に広いし山も多い。それに、桜島も圏内だ。それだけ広い中から、一人の壱式を探すのはどれだけ難しいか考えたくもないな」

 

うわそっか、桜島って鹿児島市の管轄なのか。となると、ますますこの作戦は無理があるような...

 

「壱式は県庁にいる」

 

突然背後から話しかけられて、思わず驚いてしまう。

 

「っ、貴方は...?」

 

そこには巨大なガンケースを肩に背負っている自衛官がいた。

 

「葉山だ。見ての通り狙撃手をしている」

 

そう言いながら自衛官は俺たちの座っているテーブルの空席に座り込んだ。

 

「壱式は必ず県庁の知事室にいる。まるで人を真似たかのように、知事を気取ってやがるんだ。那覇の時もそうだった。流石に知事室が木っ端微塵になった後は別の場所に居所を変えていたがな」

 

「知事室が木っ端微塵...?」

 

「……そうか、お前たちは正規の自衛官じゃないからあん時の作戦には居なかったのか。なら、今回の参考になるだろうしあん時のことを教えておいてやろう」

 

と、葉山と名乗った自衛官は勝手に語り始めた。

 

「既に聞いているとは思うが、那覇の壱式アンチは転移のハウリングを持っていた。壱式ともなればノータイムで数キロを移動することもでき、非常に厄介な相手だった。何度知事室に乗り込んでも、その度に転移されて逃げられたものだ」

 

まぁ、そりゃ逃げるよな。転移は戦闘向きの能力じゃないし、他のアンチを本州以外に送り込むために必須の能力だから下手打って死ぬわけにもいかない。じゃあ居場所が割れてんだから知事室に戻ってくるなよ...って感じだが。

 

「何度も失敗した我々は次なる一手を打った。壱式が転移で消えている間に、知事室にありったけの爆弾とセンサーを仕込み、壱式が戻ってきた瞬間にボカンと吹っ飛ばす...そんな計画だ」

 

「よくそんな作戦許されましたね...」

 

「どうせ取り戻したところでしばらく使わないからな。すぐに上の許可も取れた記憶がある。転移の壱式を殺すメリットがあまりにも多すぎたというのもあるがな」

 

自動的に奇襲が出来るってんならそりゃ通るわな。けど、さっきの話からしてこの作戦は...

 

「そうして作戦は実行された。ありったけの爆弾と人感センサーによって、壱式が転移で戻ってきた瞬間に知事室は木っ端微塵に吹き飛んだ...しかし、壱式は間一髪のところで避けやがった。ギリギリで県庁上空への転移をされてしまったんだ。そして知事室という根城を失った壱式はしばらく姿を消した」

 

うん、さっき言ってたし失敗するのはわかってた。

 

「だが、面白いのはここからさ。なんとだな...壱式はどっかから物体の修復だとか物質操作だかのハウリング持ちを引き連れて転移してきて、県庁を復元しやがったんだ。どんだけ固執してんだって笑えるよな!」

 

「えぇ...それは確かに面白いっすね」

 

「そうしてまた知事室を占拠し始めたから、また同じことを俺たちはやった。攻め込んで一度退去させた間に爆弾とセンサーで自動爆破装置の出来上がり。コストの観点から前回よりかは爆薬の量は抑えめだがな」

 

「なぜ同じ作戦を?やってもまた逃げられるだけでは...」

 

「それがわかってるから爆薬の量を部屋が吹っ飛ぶ程度に抑えたんだ。壱式は緊急回避で転移をする際、真上に同じ距離だけ転移する。それがわかっていれば、罠にかけるのは簡単だ」

 

「……そこで、貴方の出番というわけですか」

 

「爆破によって転移した壱式、その背後五百メートルの位置にある施設の屋上からの狙撃によって、壱式は転移直後に脳天をぶち抜かれて死亡した。俺が殺してやったのさ、凄いだろう?」

 

「す、凄いっすね...」

 

こいつ、過去の事例を教えるという体で自慢話しにきただけじゃねぇか...!

 

「ってなわけで、そんな俺が狙撃してやるから背後は気にせずに戦うといい。上位個体も残らず撃ち抜いてやる。緊張しているかもだが、大船に乗ったつもりで戦うといいさ」

 

「は、はぁ...」

 

一応こいつなりに励まされた...ってことなのか?そもそもそんなに緊張してないんだが...

 

「ところで...弐式を単独で討伐したっていうのはどいつだ?」

 

あっ、それが目的で近づいてきたわけね...

 

「俺だ」

 

「そうかお前か...志願兵だってのに凄いな。しかも透明化のハウリングだったんだろ?どうやって殺した?」

 

「えっと、タンク車の蛇口を捻って地面を水浸しにしたんですよ。そうすれば、透明になっていようが否が応でも水に触れる。触れれば身体は溶けるし、波紋で居場所もわかる。場所さえわかれば、ただの人同然なんだから倒しやすかったですよ」

 

幻痛の熱のことなんて話せないのでそれらしい嘘を吐く。まぁ実際、タンク車の水を垂れ流しにするのはやったからな。嘘がバレることはないだろう。

 

「なるほど、透明化にはそんな手が...参考になった。狙撃手ゆえ、透明化アンチに近づかれるのが弱点でな。あらかじめ周囲に水を撒くことで対策できるのなら真似しよう」

 

そっか、たしかに見えないアンチに近づかれるのは狙撃手にとって致命的だな。

 

「……なぁお前、その機転の良さと弐式を殺せるほどの強さを見込んでの提案だが、俺の部隊に入ってみる気はないか?より強くなれることと、これまでとは違った戦いを見せられることを保証する。どうだ?」

 

「……狙撃手の部隊って何するんですか?入ったところで何もできないと思いますが」

 

「やるのは狙撃だけじゃないぜ。詳しいことは入ってからでしか話せないから、気になるのならまず承諾して欲しい」

 

「そんなこと言われてもなぁ...何もわからないのに、はい入りますとは流石に言えないぞ」

 

「俺の部隊は自衛隊の部隊の中でトップシークレットに近い位置にある。いや、そのものと言ってもいいな。その内部に触れられるんだ。どうだ?興味出てこないか?」

 

……興味が出てこないこともないが、尚更なんで俺を誘うんだって警戒するぞ...

 

と、その時だった。

 

「あいたっ」

 

葉山の頭に後ろからチョップが叩き込まれた。

 

「何すんだよ小樽!」

 

「いい加減、新人にちょっかいをかけるのを辞めたらどうだい?」

 

小樽と呼ばれた女性はそう言いながら座っている葉山の肩を掴み、無理矢理立ち上がらせた。

 

「済まないね君たち。何か変なことはされていないかな?」

 

「大丈夫ですよ。興味深い話も聞けましたし」

 

「そうか、ならまだ良かった...葉山、いくら強い人だからって矢鱈滅多に勧誘するのはいただけないな」

 

「うっせ、俺の勝手だろ」

 

「君の行動は機密情報の流布に繋がる行為だ。処罰されたくないのなら、控えることだな」

 

「うっ...チッ、反省してまーす」

 

そう吐き捨てて葉山は歩き去っていった。

 

「ふぅ...怒ったら少々暑くなってきたな。やはり九州は暑い...」

 

「その訛り、北海道や東北の方のですよね?俺たちは慣れてますが、そこと比べれば確かに暑いですよね」

 

あっ、この人そうなの?訛りは全部翻訳されて標準語になってるから気づかなかったわ。

 

「まぁね。少し前まで北海道にいたのもあって、暑いのなんの...君たちも熱中症には気をつけてくれよ。慣れていてもなる時にはなる。どこか気分がすぐれないと感じた時にはすぐに私たち救護班に教えてくれ」

 

なるほど、この人救護班だったのか。この九州上陸作戦にあたって、はるか遠くの北海道からわざわざ来てくれたのか...あれ?どうやって?船じゃ流石に時間がかかりすぎるはず...

 

……そっか、海上さえ飛んでいれば飛行機でも襲われることはないのか。アンチ被害が出ているのは日本だけなんだから、海外を経由すれば普通に行き来も出来るな。だとしても、遥々遠くから来てくれるのはありがたいな。

 

「じゃあ早速良いですか?熱中症とは違うけど、こいつが船酔いでグロッキーになっていて...」

 

「ふむ、船酔いか。まぁこの程度なら...手を出してくれ。少し触るぞ」

 

「はい...」

 

ぐったりしている古宇利が手を差し出すと、小樽は手首の辺りに触れて...ぐっと押し込んだ。

 

「イ゛っ⁉︎」

 

「少々痛いかもしれないが、我慢してくれ。すぐに良くなる」

 

「っ〜〜〜...あれ?ほんとだ気持ち悪くない...スゲェ!」

 

「内関というツボだ。吐き気が治る。次は頭の後ろを借りるぞ。ここの翳風というツボは内耳の平衡感覚に働きかける。これでしばらくは問題ないだろう」

 

耳たぶの後ろ側を押した小樽は手を離し、じっと古宇利の様子を見る。

 

「マジで治ってやがる...本職は凄いな!」

 

ツボを押したくらいでこんな完璧に治るもんなのか...?とは疑問に思うものの、古宇利の様子からして本当に治っているようだし、おそらく古宇利の身体があまりにもチョロいのだろうな。

 

「治ったようなら何よりだ。では、私はこれで失礼するよ。作戦、頑張ってくれたまえ。出来ることならば、私たちの出番がないことを祈っているよ」

 

「ありがとうございます!俺頑張ります!!」

 

歩き去る小樽の背中に向けて深々と古宇利は礼をしていた。

 

「……スゲェなあの人!小樽さん...って呼ばれてたよな!実力もあれば、クールでカッコいいと性格も良いときた!良いなぁ...惚れるぜ!お前もそうだよなぁリーダー!」

 

「あの、それに対して俺はどう答えればいいんだ...?」

 

どっちで答えても角が立つ未来しか見えないんだが...

 

「惚れるのはお前の勝手だが、惚けて作戦に支障をきたすのは無しだからな」

 

「わかってるさ!ちゃんと真面目に働いて、傷一つないことを褒めてもらうんだ...!」

 

……傷も無いのに会いに行ったら仕事の邪魔になるから嫌われる要因になると思うんだが、そこまで頭が回っていないのか...?恋愛脳め。

 

「変なこと言ってないでそろそろ準備するぞ。時間だ」

 

もうそろそろ鹿児島市の港に到着する予定時刻だ。いつまでもくちゃべっている場合ではない。古宇利の船酔いも治ったことだし、俺たちは急いで準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ...と。やっぱ港付近は安全なんだな」

 

無事に下船出来た俺は、周囲を見渡しながら呟く。

 

「ちょっ、立ち止まらないでくれ。後がつかえる」

 

「っとすまんな」

 

船から離れ、同じ部隊の人たちが降りてくるのを待つ。

 

下船前の軽いブリーフィングで、俺たちが所属する部隊は県庁周辺のアンチを見つけ次第殲滅する役割が与えられた。県庁攻略を邪魔されないように露払いをしろってわけだ。

 

自衛隊全体の作戦としてはこうだ。まず県庁周辺を一気に制圧する。そして突入部隊は中に突入し、それ以外の部隊は周辺を囲んで外からアンチが侵入してくるのを防ぐ...力押しにも程があるが、これしか方法はないわな。

 

なんかブリーフィング中に、過去にミサイルを撃ち込んだけどハウリングによって防がれてしまった、といった内容を聞かされたし。外からの県庁への射撃は防がれてしまうようで、中に直接踏み込むしかないようだ。ひとまず強力な防御系のハウリングを持つアンチがいることは確定したが、果たして主である壱式の力なのか、別の県から来た弐式なのか...

 

「……揃ったようだな」

 

この部隊のリーダーである出水が口を開く。

 

「では、合図を待とう。合図の瞬間に作戦開始だ」

 

激励の言葉はなかった。まるで、既に心持ちは皆同じだろうと言いたげだった。

 

まぁ、多分そうなのだろうな。九州発上陸、ここから日本の反抗作戦が始まるのだ。余計な言葉は返って邪魔になりかねない。

 

『ピッ』

 

通信機から甲高い音が一瞬鳴った。これが合図だ。

 

その合図と出水のハンドサインをもって俺らの部隊は一斉に動き出した。

 

「チッ、早速お出迎えか...!」

 

港から離れた瞬間、漆式らしきアンチがゾロゾロと現れ始める。偉く色んな種類のアンチがいやがるな...ぱっと見でも十数種類はいるのがわかる。どんだけの種類のアンチを集めたのやら...そして気になるのは、こいつらの親玉が何式であるかだ。どいつもこいつも転移で連れてこられた弐式が劣化生成を繰り返して出来た漆式たとしたら非常に面倒だぞ...肆、せめて参くらいなら嬉しいんだが...

 

「いちいち感けてられるかっての!」

 

漆式を相手にするのは時間の無駄だ。飛びかかってくる漆式を純粋な体術で回避し、チョロチョロと水を撒いて足を潰すことで処理は終わりだ。漆式を倒すのに水を使うくらいなら、そいつらを生み出した陸式や伍式を倒してまとめて消えてもらった方が何倍も効率がいい。

 

「本隊の道を作れ!早く!」

 

突入部隊を囲うようにしていくつもの部隊が展開される。突入部隊の消耗を避けるために全力で護衛だ。そのために俺たちには、熱や電気も通さない中型の盾を支給されている。伊是名島攻略時には無かった武装だな。

 

「っ、ハウリング...って早っ!」

 

通信機からザザッとノイズが走った瞬間、右方から何かが飛んでくるのが見えた。慌てて盾を向けて飛翔物から身を守る。

 

「っぶねぇ...分っかりやすい能力で助かったぜ」

 

飛んできたのは炎の塊だった。分かりやすいほどの火炎系能力...そして、単純が故にとても厄介なハウリングだ。

 

「防ぐか、ならば...!」

 

炎を放ったアンチはそう呟くと、頭上に太陽かと見間違うほどの炎の塊を生み出し、それを十六分割してこちらに向けて放ってきた。

 

「アイツ喋ったぞ...弐式確定!」

 

回避、盾での受け、水で火力を抑えてからの受け流しを繰り返してなんとかその攻撃を凌ぐ。

 

『火炎系ハウリングの弐式と遭遇。第五部隊一時離脱し対処にあたる』

 

出水の声が通信機越しに響く。流石に弐式となれば無視はできない。突破されて本隊が襲われるのも避けなければならず、部隊総出で対処するしかない。

 

「雁首揃えたところで、力の前には無力さ!」

 

アンチはまたしても炎の塊を作り出す。そしてまた分割し、投擲してくる。

 

なぜ巨大な塊を作ったのにそのまま投げて来ないんだ?と火炎を回避しながら思考する。

 

もしや、飛ばせる大きさには限りがあって、数で攻撃するしか出来ることがないのか...?

 

「力がなんだ、人を舐めるんじゃねぇぜ...!」

 

古宇利は少し前に出ると、アンチめがけて水の弾丸を放つ。

 

「無駄だ」

 

放たれた水の弾丸はアンチが生み出した火炎の熱によって蒸発してしまう。そう、圧倒的な熱量によって水を蒸発させられてしまうから、火炎系ハウリングは厄介なのだ。

 

『攻めるな新人。ここは耐えるぞ。本隊に火の粉が飛ばないよう、ひたすら払い続けろ』

 

出水の指示が通信機から飛んでくる。耐久戦だと?ハウリングの特性を掴んで、弱点を探るつもりか...?

 

「守ってばっかで何ができるってんだよ...!」

 

とボヤくものの、古宇利は指示に従い後退し、火炎の対処をし始める。

 

「アッチィ!!どうすんだ抑え切れねぇぞ!」

 

ヤッベそうか俺熱耐性持ってるから熱く感じないけどもしかして今めちゃくちゃ灼熱だったりする?正直守り切れるかよりもそっちの方が俺にとって重要なんだが...⁉︎

 

……いや待て、この熱さと、認識不足...掛け合わせれば...!

 

「ハッ、焼けちまいな!!」

 

アンチは過去最大級の火炎を生み出し、分割して周囲に抱える。そして、まるでそれらを投げつけるかのように腕を振るった...ここだ!

 

「っ、熱い!!??」

 

ハウリングで生み出した火炎が消滅し、アンチは腕を拭うような仕草を取り始めた。腕を振った際の空気との摩擦熱を無理矢理増幅させたのだが、拭い取れるものでも無いのに一生懸命擦っていた。その摩擦熱も増幅できるはできるのだが...これ以上やると誤魔化せないので深追いはしないでおく。

 

「自分の炎で火傷たぁ馬鹿じゃねぇのか?」

 

そう言いながらアンチに向けて水の弾丸を放つ。アンチは急いで火炎を生み出しその水の弾丸を蒸発させるも、予想外の事態によって先ほどまでの余裕は消え失せていた。

 

「馬鹿な、そんなはずが...!」

 

『第五部隊、撃ち方止め』

 

通信機越しに出水の声が響いた。

 

なぜ...?と疑問に思うが指示に従い射撃を止める。

 

「っ、何のつもりだ...?」

 

熱を持った腕を気にしながらも、アンチは再び火炎を生み出し始める。俺たちの行動にも訝しんでおり...それゆえに、周囲に注意を割くことが出来なかったのだろう。

 

「ッ...な...⁉︎」

 

アンチの腹に直径一センチほどの穴が空いた。アンチは驚愕の表情を浮かべ、振り返ろうとする。

 

そうして横向きになった頭部を、二発目の弾丸が撃ち抜いた。

 

『仮谷、水かけろ。死亡確認を取れ』

 

「り、了解」

 

なるほど、時間稼ぎの命令は狙撃による支援を待つためのものだったんだな...おそらく葉山の狙撃だろう。ここまで正確に撃ち抜いてくるとは...味方ながら恐ろしい。

 

そんなことを考えながら横たわるアンチに水をぶっかける。アンチは動くそぶりを見せず、そのまま水に溶かされていった。

 

「完全に沈黙してます」

 

『了解。では、持ち場に向けて移動を開始する』

 

「了解」

 

部隊は本来の持ち場に向けて移動し始めた。

 

作戦はまだ始まったばかり...




これまでと違って人の名前を考えるのが楽で助かる...既に気づいた方もいるかもしれませんが、名前はどのキャラも地名から取っています。
おかげで新キャラ出し放題です、やったね。
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