今回は戦闘無しの会話メインの回です。
「随分とまぁ、俺がいない間に進展していたみたいだな」
長崎での負傷の後、俺はしばらく作戦への参加を許されなかった。もちろん、怪我はすでに治っている。小樽が治癒の力を使って治したから、なんならその日にはもう治っていた。だというのに、参加許可は出なかった。全身火傷から復帰した古宇利は早期復帰が出来たのに、だ。
参加が許されなかった理由は、俺だけが狙われて攻撃されたことだ。船の中から俺だけが重力操作によって引っ張られ、徹底的に攻撃された。もちろん幻痛の熱のことは一切話してはいないから、俺個人をメタるかのように下位個体ばかりに襲われたことは考慮されていないものの、ここまで一人を狙って攻撃する事態はこれまでに無かったことであるため、上層部の興味を引いたらしい。
そして、アンチに狙われる人物が作戦に参加していてはどんなことが起こるか分からないという判断のもと、作戦参加を禁止されたわけだ。
そんなこんなで、身体が鈍らないように訓練を重ねながら、実戦から離れて身体を休めること三週間。ようやく参加禁止が撤回されたようで、これまでの戦況を葉山から聞くことになった次第だ。
「まぁな。これで、九州残るは福岡のみだ」
なんと、この三週間で四県の制圧を完了してしまったらしい。
長崎の重力操作、熊本の予知、大分の物質透過に、佐賀の透明化の壱式が討伐され、それぞれ別の人間が各々のハウリング能力を手に入れたようだ。予知は知らないが、他の三県のハウリングは俺を苦しめた原因だな。死んでくれてせいせいするぜ。
「……んで、俺が復帰できるようになった理由はなんだ?厄介な奴らが消えたからって理由だけじゃないんだろ?」
どこから攻撃してくるか読むことのできない物質透過や透明化を排除出来たとはいえ、それだけで俺への禁止命令が解かれるとはあまり思えなかった。
「まぁ、な。実はかなり面倒なことになっていてな...というのも、さっき予知のハウリングを奪い取ったって話ししたろ?そいつの予知によると、次の福岡での戦いは厳しいものになるらしく...かなりの犠牲者が出るらしい」
「なるほどそんなことまでわかるのか。便利だな予知能力」
「そして、何故かは知らないが...お前がいると戦況は好転するらしい。ハウリングゆえに引き延ばされに引き伸ばされる戦いが早期決着し、結果的に犠牲者が減るようだ」
「……予知で福岡のハウリングもわかっているのか?」
「ああ。透明な壁のようなものを貼る防御系のハウリングだ。これまでアンチたちが足場としてよく使っていた力だな」
「なるほど。それは確かに長引く戦いになるだろうな。全力で守りに入られちゃ突破口がない...ん?待てよ?じゃあ何で俺がいると...」
……そうか。透明な壁を貼られて手出しができなくなったとしても、壱式が動いた際に生じる摩擦熱を増幅させることで攻撃することは可能だ。だから俺がいれば問題ないのだろう...
……いや待て。俺がいることで解決するってのは分かったが、俺なら解決できると判明していることはだいぶ不味くないか?俺が幻痛の熱という力を持っていることがバレているも同義なんじゃ...
「な、なぁ。何で俺がいると壱式に勝てるか、その理由はわかっているのか?」
「いいやわからない。そこまで深く予知が出来るわけではないようでな。読み取れるのはあくまで断片的な情報のみ。大方、お前の知恵と機転が上手く刺さるんじゃないか?」
……この反応、幻痛の熱のことまでは知らないようだな。だが、葉山には知らされていないだけで予知能力を持った奴や、上層部は既に知っているのかも...流石にバレてたら何かしらされているか?何もないってことは、まだバレてないと考えていいはず...
「……何はともあれ、俺が必要ならば手を貸してやる。俺の役割はなんだ?」
「県庁突入部隊の一員として入ってもらう。延岡部隊とは別行動だな」
「そうか...んで、作戦はいつだ?」
「明日だ。そのためにもこれから、福岡まで向かう船が出発する佐賀の唐津まで陸路で向かう。着いてきてくれ」
「陸路で...?船じゃないんだな」
ここは長崎市だ。アンチとの遭遇の危険のある陸路でまっすぐ北上するよりも、海路でぐるっと回って壱岐の方から向かった方が安全だと思うのだが...
「……そうか、お前は知らないんだったな。陸路で問題はない。道中アンチに襲われる心配は無いからな」
「よくそんなこと言い切れるな」
「なぜならば...これから雨が降るからだ」
「雨...⁉︎」
俺が驚愕の声を出した瞬間だった。部屋の窓に、ポツポツと何かが当たる音がし始めた。そして、その音は段々と大きくなり絶え間なく響くようになる。
「雨なんていつぶりだよ...つーか、雨はもう降らないんじゃなかったのか⁉︎」
この世界に来てから、実は一度も雨が降っているのを見たことがなかった。元々そういう世界だったら聞くのも変なのでこっそり調べていたのだが、どうやらアンチ事変が起きてから雨がめっきり降らなくなったらしい。
県庁突入作戦を雨が降っている日にやらないのは、そもそも雨が降らなくなってしまったからなのだ。雨さえ降っていれば屋外でアンチと戦わなくて済むのにな...とよく古宇利がぼやいていたものだが、なぜ今になって雨が...?
「予知のハウリングは、自らの持つ願いに起因した未来を見ることができる。福岡の壱式を倒したいと願えば、現状ではこんな未来に進むが、この選択を取ればこんな未来になる...といった風に見えるらしい。アンチの攻撃を避けたいと願っていれば攻撃される未来が見えてどのように回避すれば良いかが分かったりもする」
「案外応用が効くんだな...んで、それと雨に何の関係があるってんだ?」
「予知のハウリングを手にした俺たちは、試しにこんなことを願ってみたのさ。雨を降らせたい...とな。そうしたら、こんな予知が返ってきた。この場所に潜伏している弐式のアンチを倒せってな。それに従って弐式を倒したら、熊本に雨が降り出したのさ」
「弐式を倒したら雨が...?」
「こっからは予想になっちまうが、おそらくその弐式は天候を操るハウリングを持っていたのさ。そして、弐式一体がそれぞれの都道府県の天候を操り、快晴の空を保つことで雨が降るのを防いでいた...が、それを倒したことでその地に雨が降るようになったってわけ」
「なるほど、天候を操るアンチか...まぁ確かに、雨が降らないのはハウリングのせいってのは半ば当然ではあったか。自然現象ではありえない事象なわけだし」
「他の県でも倒せる奴は倒して雨が降るようにしてある。この長崎が最後であったために降るのが一番遅かったようだが...これでもう屋外は安全だ。防御手段を持たないアンチはほぼ溶かされている。さっさと陸路で向かうぞ」
「了解。ところで、福岡ももう雨は降るのか?」
「いいや、まだだ。というのも、他県の天候を操る弐式が狩られていることをあちら側も察知したようで、壱式のいる県庁の中に篭っているようでな。中に突入しないことには倒すことは叶わない」
「ふむ、じゃあ県庁突入前の屋外戦は避けられないか...けど、そいつを倒しておけば壱式に外に逃げられる心配はしなくていいわけだな」
「まぁ、倒した側から雨が降り出すわけでもないから、逃げられる可能性は残っているがな。それに、相手は防御系のハウリング。上に壁を展開すれば雨を受け止めることも容易だ」
「そっかそうだった...けど、その弐式を見つけ次第倒すってのは良いよな?」
「ああ。その方が後が楽になるからな」
「わかった。出来る限りで探してみるわ」
そう言いながら俺は葉山に手渡された傘を差し、乗り込む車の止まっている駐車場まで歩く。
「……ところで、なんで転移で移動しないんだ?」
「そんなことをしたら早く着きすぎてしまう。長崎にいたはずのお前がもう向こうに着いていたら不自然すぎるだろ?車で行くのは時間潰しさ。あとは、陸路での移動の検証も兼ねている。本州に入れば、陸路でしか県庁に近づけないといったことが頻発するからな」
「なるほど...」
「つってもまぁ、福岡以降は楽になるさ。転移もバンバン使いたい放題だ」
「どうしてだ?」
「なんでも、ハウリングについて一般隊員にも公表するんだと。福岡のハウリングも手に入れば、俺たちが持つハウリングの数は8つだ。その数分超能力部隊を編成するにしても、隠し通すのは限度がある。ならば、いっそのこと明かしてしまって使いやすい状況を作ろうというわけだ」
「そんなことするくらいなら、転移と治癒を手に入れた段階で公表すりゃ良かったのに」
「あの頃はまだ支配領域も少なくて、公表時に発生するであろう動揺を制御できるほどの力も無ければ、隊員たちの心の余裕も無かったからな。それに、そんな力を持った奴がいるならそいつに全て任せてしまえばいい、といった考えが広がる可能性もあった。実際、これまで超能力部隊が大体の作戦で主力を担ってきていたからな」
たしかに、隊員たちのモチベーションに影響が出る可能性はあるか...
「今なら、公表されても大きな混乱は起こらず、逆に活力になるだろうと上は判断した。8つの県を取り戻したという分かりやすい指標でもあり、壱式と戦って勝てば自らもハウリングを使えるようになるのではないか、というような意欲も湧いてくる。ハウリング持ち頼りになるようなことにはならないだろう...だとよ」
「どうだろうな...ハウリングに頼り切りになる未来が予知無しでも見えるが...間借りという選択肢もあるし、一応全員が活躍できるようにはなっている...か?」
……もし全隊員に公表されるようになったら、どさくさ紛れに幻痛の熱を使ってもバレなかったりするんじゃないかな?全ての能力を把握するってことは難しいだろうし、大体の人はうろ覚えになるはず。その状態で、人が超常現象を起こすということに違和感を感じなくなってくれれば、幻痛の熱を使いやすくなる。そうなってくれたらありがたいんだが...
「とにかく、俺らが隠れてハウリングを使わなきゃならんのは残り数日。あと少しの辛抱だ。ひとまず、目先の福岡戦をお互い乗り切ろうぜ」
「……だな。お互い無傷で乗り越え...つっても、お前は狙撃だから全然危険じゃねーけどな」
「お、言ってくれるなぁ。ちなみに、それよりも前に無事に唐津まで辿り着けるかという問題があるぜ。豪雨の中慣れない道をそこそこ久しぶりの運転で走らなきゃならん俺の運転を信じてくれ」
「……なぁ、転移で唐津の近くまで飛んで、向こうで時間を潰すってのは...」
「ダメだ。ほら乗れ」
葉山に無理矢理車に押し込まれる。
「出発進行〜」
「ふ、不安だ...」
雨が降り頻る中、俺と葉山を乗せた車は唐津へと向かっていくのだった...
「もうなんか...ドッと疲れた...」
福岡に向かう船に揺られながら俺はポツリと呟いた。
「大丈夫っすか...?小樽さん呼んできます...?」
「いや平気。肉体疲労じゃなくて精神疲労だから治せないし...」
と、心配して声をかけてきた人に答える。
「そっすか。なら、福岡に着くまでには元気になっておいてほしいっす。足手纏いになられるのも困るっすから」
……カチンと来るような言い方しやがるなコイツ...これが、今回の突入部隊のリーダーであり、物質透過能力を会得したハウリング持ちか...
「そいつは平気だ。あんまり俺を舐めんなよ」
「っ...そんな怖い顔しないで欲しいっす。怒らせたなら謝るっすから...」
「足手纏いになるつもりはない。そして...お前も足手纏いにはなるなよ。邪魔だと判断すれば、即座に切り捨てて単独行動を取らせてもらう。ハウリング持ちだろうが関係はない」
「お、恐ろしい助っ人が来たもんだ...けど良いんすか?単独行動宣言なんてして。それに、間借りも使わないつもりなんすよね?どうやって壱式を攻略するつもりっすか?」
コイツが突入部隊に選ばれているのは、その物質透過のハウリングが透明な壁を貼る壱式と相性が良いだろうと予想されたからだ。物質透過で生み出された壁を透過してしまえば、壁を無視して接近し水を浴びせることも可能だろう。
「……こっちにも秘策があるんでね。あいにく最高機密ゆえ教えられないがな」
しかし、考えても見よう。なぜ俺はここにいる?それは、壁を貼る壱式を俺なら攻略できるという予知があったからだ。それはつまり、コイツらでは壱式を攻略できなかったことを意味している。物質透過の力で片がつくというのならば、俺は召集されていない。コイツでは太刀打ちできない何かがあると見ていいだろう。
そういうこともあり、俺はコイツのことを若干下に見ていた。相性の良い能力を持ちながら太刀打ちできなかったってことは、壱式の対策が一歩上手だったか、それともコイツの技量が足りなかったかの二つに一つだろう。多分俺なら物質透過でも倒せる。どうして勝てないのかはわからないが、弱かったんだろうなぁ...と心の奥底で思っていた。
それゆえ、少し前にコイツから名前を聞いたはずなのだがまるで覚えていない。覚える価値も無いと無意識に忘れてしまったようだ。まぁ聞き直すのも面倒なのでやらないが...たまにこういう時あるよな俺って。興味の向かないものにはとことん意識を向けないというか...
「……おっ、延岡!参謀居たぞ!」
「お、その声は...!」
聞き馴染みのある声が聞こえた方を向くと、そこにはこちらに向かって近づいてくる古宇利と延岡の姿があった。
「ようやく復帰か。良かったね」
「あれから長かったぜ...んで、そっちはどうだ?その様子だと調子良いようだが、また小樽の世話になったりはしてないな?」
「最近はしてないぜ。つーか、小樽さんな。なんでタメ口利いてんだ」
「お前はまだ惚けてんのかよ...いい加減諦めな。お前なんか眼中にねぇぜ」
「そんなことないさ!」
「そりゃ、近くをいつもうろちょろしていたら嫌でも目に入るだろうしね」
「えっ、お前そんなことを...」
「ストーキングしてるみたいに言うなよ延岡⁉︎俺はただ、手伝えることがないかなと...」
「親友として少し心配だぞ古宇利。もう少しまともな恋愛をした方が...」
「まるでまともじゃないみたいに言ってくれるなおい。恋愛経験の話したらお前だってねぇじゃねぇか!」
「待て古宇利その話はもうやめよう。誰も幸せにならない」
交際経験のない人らが集まってアレコレ言い合うことのなんと不毛なことか...
「……ところで、そこの人は?」
延岡は俺の隣にいる男に向かってそう言った。俺らの話に入ってこれず、少ししょぼくれている様子だ。そんなわかりやすく落ち込むなよ...
「今回の作戦での俺の上司だ。名前は...なんだっけ」
「ちょっ、さっき名乗ったすよね⁉︎何でもう忘れてんすか!」
「まぁ、物質透過のハウリングを持ってるってことだけ覚えとけばいいと思うぞ」
「ハウリングが本体みたいな感じ出すんじゃないっすよ!俺の名前は日田だ覚えとけっす!」
怒ってるけど口調のせいか全然怖かねぇな。
「日田さんですか。仮谷は自己判断で最適解を導き出して動けるような奴なんで、自由にやらせてやってください。その方が、結果的に部隊全体の生存率も上がると思います」
と、延岡はアドバイスをするように日田に向かって話した。良いぞ延岡、これで動きやすくなる。
「まぁ、一人で何でも解決しようとする癖はあるし、良くも悪くも自己完結しちまってるのはアレだがな。そこら辺は上手くやってくれ」
余計なこと言うな古宇利ぃ⁉︎そんなこと言ったら面倒なことになると分かり切ってるだろ...!まぁ、その癖自体は自覚してるから文句はあんまり言えないけど...!
「そ、そういや延岡は出身福岡だったよな。となるとやっぱ持ち場は土地勘を活かした地上戦か?」
無理矢理にでも話題を逸らす。九州出身であるとそこそこ前に聞いていたが、のちに福岡であることを聞いていたため、それを生かして話題を振る。
「そうだね。各地を回ってアンチを倒していく予定だ」
「ようやく故郷に戻ってきたわけだが...こう、何かあるか?」
「なにその聞き方。まぁ、趣深いとでもいうような感情はあるね。ここまで来たんだな...とは思うよ。けど、ハウリングの力を手に入れてしまったから、ここには止まれない。本当の帰還は全てが終わってからになる...だから、帰ってきたような、まだ帰れないような...変な気分にもなる」
「そうだよなぁ、除隊出来ないもんなやっぱ...」
「ハウリング能力を手放す方法があればいいんだけどな。つーか、これってアンチを全滅させても残るのか?」
「さぁな。でも、消える理由が無いから残るんじゃね?」
「ってことは、下手したら元の日常には戻れないってことも考えられるよな...俺もハウリング能力を手に入れてぇな。そうしたら延岡と一緒にいられる」
「古宇利、お前...」
「それに、小樽さんと共通点が出来てさらに近づきやすくなる!」
「……」
「……ふっ」
お前さぁ...みたいな顔で古宇利を見る延岡が面白くて少し吹き出してしまった。
「……そろそろ行こうか、古宇利。準備を済ませなきゃ」
「おっとそうだな。じゃあな参謀、次の作戦は一緒に行こうな!」
そう言って延岡と古宇利は去っていった。
「おう、さっさと終わらせて元の鞘に戻らせてもらうぜ」
「えっ、なに?俺と一緒にやるのそんなに嫌っすか?」
「別にそんなつもりはないんだが、なんかねぇ...でも、これまで一緒だった奴らが周りにいた方が戦いやすいだろ?」
「それはそうっすけど、ここまで露骨に嫌がられると心に来るっすね...」
まぁ俺の場合、炎を操れる延岡の近くの方が、幻痛の熱を使っても誤魔化しやすいという理由から来ているのもあるんだがな。
「わかったっすよ。一人にさせた方が強いらしいっすし、どうぞ自由に行動して良いっすよもう。その代わり、ちゃんとトドメは俺に譲るっすよ」
「……え?お前がトドメを刺すのか?もうハウリングを持ってんのに?」
「あれ、聞いてないんすか?今回トドメを刺すのは俺っすよ。なんでも、既にハウリングを持っている人がトドメを刺した場合どうなるのか、上層部が気になっているらしいっす。別の者に譲られるのか、それとも二つ目以降もハウリングを手に入れることが出来るのか、それによって今後大きくやり方を変えるらしいっすね」
そっか、あんまり考えたことなかったけど調べないといけないことだなそれは。一人一つ確定なら話は簡単だが、もし複数個持てた場合はだいぶ複雑になる。
いくつものハウリングを一人の人に持たせることで最高の戦力を作り上げるか、ハウリング持ちを何人も作り分担して複数の県を同時に攻撃するか、パッと思いつく選択肢は二つ。
だが、どちらにもリスクはある。大量のハウリングを持たせた相手が自己の目的のためにハウリングを悪用し始めると、俺らには何もできなくなってしまう。分散させた場合、複数のハウリングを駆使したい場面で連携がうまく取れずに困る可能性がある。賢明なのは複数人にバラけさせる方だろうが、上層部はどう判断するのか...
「……仮に幾つも持てるとしたら、物質透過と壁を作る力の二つを持つことになるのか。最短距離で味方に近づき壁を貼って守ったり、壁を貼って相手の攻撃を遮断しながら自分はその壁をすり抜けて攻撃できる...なかなか強いな。サポート系のみとはいえかなり便利そうだ」
「そうっすよね!八代の分も、俺が前線を張らなきゃ...!」
「……八代って誰だ?」
「友達っす。熊本で予知のハウリングを手にした奴なんすけど、武闘派だったのにそんな力を手に入れちゃったもんすから前線に出させてもらえなくなっちゃったんすよね」
「予知は失いたくないもんな。つーか、そうか。ハウリングを手にするのは基本的に戦線の最前線に出るような奴。だけどサポート系を引いちまったら裏方に徹しざるを得なくなるのか...」
ある意味で、延岡と同じなのかもしれないな。ハウリングを手に入れてしまったことで、それまで出来ていたことが許されなくなってしまったのだから、本人たちにとっては不幸だろう。
「けど、俺が壁の力を手に入れれば、八代を守りながら戦うことができるようになる...また八代を前線に戻せるかもしれないとなれば、俺は何が何でもやってやるっすよ。上層部に脅しをかけてでも八代を前線に引っ張り出してやるっす」
……そんなことしたら上層部はハウリング能力一極化ではなく分散に舵を切るだろうなぁ...
「ってなわけで、準備するっすよ。俺の目的のためにも、任せたっすからね」
「りょーかい日田リーダー」
福岡上陸までもう幾許もない。俺たちは急いで準備を進めるのだった。
口癖のあるキャラを書くのが苦手だという致命的な弱点が露呈...
翻訳能力で全員一律で同じ口調にさせることも設定的に出来なくはないですが、どうしたものか...
次回は福岡戦をお送りします。