今回はカリヤくん単独行動回です。
「クソッ、見ても何のハウリングかわかんねぇな...」
秋田での一件後、俺は広島へと送り込まれていた。
秋田の暴風のハウリングを奪っていったのはやはり岩手のアンチだった。俺が見たハウリングと、八代の予知が合致したためこれは確定事項だ。
だがしかし、上層部は岩手攻略を後回しにした。理由は二つ。空間の圧縮という攻撃性能の高いハウリングと、暴風による接近不可...攻防揃った力が集まっており、攻略難度が高いこと。
そして、岩手県庁があるのは盛岡であり、内陸も内陸であること。岩手の海岸線からよりも、秋田との県境の方が県庁までの距離が短い。陸地を長時間移動することが必須であり、戦闘を避けることが困難である。これも岩手の攻略難度を引き上げていた。
そういうわけで岩手攻略は、その周辺県である宮城や山形を攻略して岩手を孤立させ、尚且つもっと強いハウリングを手に入れてからということになった。
そんなこんなで一度北側の戦線は最低限度の戦力を残して解体され、ハウリング能力者は別の県へと移っていった。その中で俺が広島へと送り込まれたのは、何やらやばいハウリングを使う奴らがここ広島を根城にしているという情報があったからだ。
何やらやばい...と曖昧な表現なのは、八代の予知でどんなハウリングなのか探ろうとしたものの、見ただけではよくわからなかったからだ。なんか俺、もしかして面倒で厄介な奴を担当する何でも屋だと思われてやしないか...?異世界人だから死んでも別に構わんから突っ込ませよう...って魂胆だったら少し悲しいぞ...まぁ、合理的だから批判はしないが。
けど、まさか一人で調査に向かえと言われるとは思ってなかったがな...壱式を討伐することが目的ではなく、あくまでハウリングの調査が出来ればそれでいいのだが、にしてもワンオペはヤバいでしょ...その分、色々サポートは付けさせてもらったが割りに合っているかはわからん。
「うぐっ...!」
そんな考え事をしていたら、アンチの攻撃を受けてしまった。脇腹に噛みつかれたような傷が生じて、傷口から血が噴き出す。
直接噛まれたわけではない。攻撃をしてきたアンチは一メートル前方におり、そこで噛み付くような動作をしたら俺の脇腹に傷が生まれた。何やら遠隔攻撃ができるハウリングのようだが、原理がわからん...
「はは、間借りに感謝しねぇとな」
俺は小樽から間借りをしている治癒のハウリングを発動させ、脇腹の傷を治していく。これが無けりゃ話にならない。無かったら何度死んでいたことか...
「っ、来る...!」
今度は八代の予知が発動した。俺の首筋に噛み付かれたかのような傷が生じる...そんな予知だ。
「回避は...ッ〜〜!!」
攻撃が発現するその瞬間に横に飛んで回避を試みたものの、予知は変わらず俺の首に噛みつきによる傷が生じる。致命傷になりかねない傷...すぐに治癒のハウリングで埋めていく。
「何なんだよほんと...回避不能じゃねぇか」
攻撃を止めるには、アンチを倒すしかないのか...?そんな無敵な攻撃があられちゃ困るんだが...もし防ぐ手立てがないとなると、小樽の治癒で全ての傷を治しながら進むゾンビ作戦しか攻略法が無いんだがこれマジか?
「……今度は防御を試すか」
今回間借りさせてもらったハウリングは三つだ。小樽の治癒と八代の予知、そして中津の障壁だ。攻撃は俺の幻痛の熱や素の身体能力で何とかできるから、防御系の力を中心に分けてもらった。そして、まだ障壁は試していない...のだが、これで遠隔攻撃から身を守れるのか...?
「まぁ、物は試しに...!」
またしても攻撃を受ける予知が見えたので、その箇所を守るように障壁を貼る...
「っ⁉︎」
障壁を貼った瞬間、予知の内容が変化した。攻撃箇所が障壁で守られた箇所から別の場所に変化したのだ。ならばと俺は周囲全体に障壁を貼り、そもそもアンチの接近を封じてしまう。
アンチはこれまでと同様にその場で口を開き、ガブリと噛み付くような動作をした。
その次の瞬間、俺が貼った障壁にガキンッ!となにやら衝撃が走った。そして、それと同時にアンチの牙が少し欠けた...?
「防げたが...何だ今の挙動。ただの遠隔攻撃ではない...?」
もしただの遠隔攻撃だとしたら、障壁が貼られていてもそれを無視して直接俺に攻撃することもできただろう。しかし、攻撃は俺には届かず障壁に遮られた。空間を完全に遮断することができれば、この攻撃は止められるらしい。
そして、不可解なことが一つ。なぜアンチの牙が欠けた?障壁で攻撃を受け止めたのが原因だというのはわかるが、なぜ障壁に触れてすらいないアンチ本体の牙が欠ける?てっきり、噛み付く動作を取ることで見えない牙を生み出し、それで攻撃を仕掛けているのだと思っていたが、そうではない...?
攻撃に使っているのは、奴の牙自身。そして、障壁を貫通できなかったわけだから、近づくことが出来なければ攻撃はできないということになる...
「……まだ情報が少ないな...けど、分かりかけてきたぞ。そんじゃっ、お前はもう用済みだ。消えな」
障壁のハウリングを発動させ、アンチの胴体を穴の空いた壁に埋めて身動きを封じる。そして引き抜いた銃でアンチの頭を撃ち抜き、落命させる。
「さーて...今度は上位個体が良いな」
ハウリングの出力は上位個体の方が強い。下位個体に出来ないことも出来るわけだから、上位個体と戦えればさらにハウリングの情報を得ることが可能だ。ハウリングの特定のためにも、上位個体と戦っておきたい...!
「……チッ、また下位か」
攻撃を受ける予知が見えた。突如として首に噛みつきに傷が生じる予知...俺は冷静に障壁を周囲に展開して攻撃を防ぐ。
「やっぱこれで防げるんだな...攻略に予知と障壁は必須かな」
ガキンッ!と障壁から攻撃を受け止めた音が鳴る。その方向を見ると、グルルルルとコチラを睨みつけるアンチがいた。
「悪いがもう下位個体に用はなくてな。消えろ」
障壁解除と同時に銃弾を撃ち込み、アンチを仕留めて先に進む。
「県庁に近い方が上位個体も居るよな...深追いは禁物としても、少しくらいは奥まで進むか」
橋を渡り、広島県庁が位置している中洲へと移動する。
「……まぁ、そりゃ下位個体も増えますよねっと」
前方からアンチが数体こちらに向かって走ってくる。
「さっさと上位個体出してくんないかなぁ...」
ハウリングのノイズが聞こえてくると同時に攻撃を受ける予知が見えたので、俺は前方に障壁を貼ってアンチの接近を防ぐ。
障壁はちょうどあのアンチの身体能力では飛び越えられないような高さまで生成されており、俺なら上から攻撃を通すことが可能であった。拳銃を上に向け、数発放つ。放たれた弾丸は展開された障壁の上を通り抜けると、その奥に展開された障壁に浅い角度で衝突、そこで生じた摩擦熱を増幅・消費させて跳弾を引き起こし、上からアンチに銃弾を浴びせる。
「よし...掃討完了。そんで早く上位個体出てきやがれ...!」
障壁を解除させた俺は県庁の方向に向かって走る。俺が県庁まで攻め入るような素振りを見せれば、アンチたちも黙って見過ごすわけにはいかなくなる。下位個体が次々と返り討ちに遭っていることは奴らも理解しているはずだから、そろそろ上位個体を送り込んでくるはず...!
「はっはーよく出てきたな実験台になれ!」
人型の上位個体が下位個体を何体か引き連れてやってきた。俺はニヤリと笑いながら障壁を展開し、上位個体のみを障壁で作り出した結界の内側に招き入れる。上位個体の前に下位個体がいたら巻き込んでしまっていたが、後ろに引き連れていたおかげで綺麗に上位個体のみを入れることができた。これで一対一だ。存分に実験相手になってもらおう。
「つーか、いいモン持ってんじゃん。武器生成の奴が作った武器の残りか?」
上位個体は刀のようなものを持っていた。おそらく、宮崎の武器生成のハウリングによって生み出されたものだろう。壱式が生み出された武器は、壱式が死んで門川にハウリングが移ってからも残っていた。その武器を使ってくるアンチがいてもおかしくはないと思っていたが、ここで来るとはな。
「それが牙の代わりってわけか。いいじゃん、攻撃してきなよ」
「……その慢心、死んで後悔するといい!」
おっ、こいつ喋ったってことは弐式か...と考えたその時だった。
ハウリングの発動を示す通信機のノイズが鳴り出すと同時に、攻撃を受ける予知が発動する。
「これは...!」
予知の内容はこうだ。弐式が持っている刀を鞘からほんの少し引き抜いたかと思えば、すぐさまカチンッと納刀した。アンチと俺との距離は数メートルは離れており、到底刀が届く距離ではない。しかし、その次の瞬間、俺の腹はバッサリ切られて内臓がまろび出る...そんな光景が脳に飛び込んでくる。
俺は、弐式が刀に手を触れて一瞬鞘から引き抜く瞬間、全身を包み込むように障壁を発動させた。そして予知通り刀がすぐさま納刀されたその直後、障壁に斬撃を浴びせたような衝撃が走った。
「見えない斬撃...届くはずのない距離、必須らしき予備動作...」
一つ一つ、不可解な行動や事象を洗い出し、各々を結びつけていく。アンチたちは皆、ハウリングの発動時にやりたい攻撃に関係する動作を取っていた。噛みつきならばその場で噛み付くような動作を取っていたし、斬撃ならば一瞬刀を抜いて納刀する動作がそれに対応している。
「抜刀と納刀...斬撃の始点と終点...!なるほど読めたぞ!」
広島のアンチのハウリングの正体は...!
「お前らの能力は過程の省略!!物事の始まりと終わりを行うことで、本来その合間に挟まる過程を問答無用で引き起こす能力!!」
刀を引き抜き、敵を切り裂き、納刀する。攻撃に必要なこの一連の動作のうち、抜刀と納刀という始点と終点のみを行うことで、敵を切り裂くという過程をハウリングで強制的に発現させていたのだ。
噛みつきも同じ。その場で口を開き、閉じるという噛みつきの動作をとることで実際に噛むという行為を引き起こしていたのだ。当たるはずのない距離でも攻撃が届いていたのは、省略した過程の中に接近するという動作も含まれていたからだろう。
障壁を周囲に展開することで攻撃を防げたのは、この省略された接近するという行為を障壁に阻まれて行うことができなかったから。そしてアンチの牙が欠けたのは、接近という過程を除いただけで実際に噛むのは奴の牙自身だったから。
不可解だった謎がこのハウリングで全て説明がつく...!
「ッ...まさか、刀を受け止めるばかりかこの力の秘密さえ見抜いてしまうとはな」
「ハッ、めちゃくちゃ面白い能力持ってんじゃねぇか!欲しくなるぜ。くれよ」
「誰がやるか...!」
弐式は刀をほんの少し抜刀し、またすぐさま納刀する。省略された斬撃が発現する...が、俺が貼った障壁に斬撃は遮られる。
にしても...普通に厄介だな、このハウリング。一応障壁で身を守ることはできているが、これが出来ているのは予知によって通信機のノイズが出る前から攻撃されることを知ることが出来ているおかげだ。もし予知が無ければ、ノイズが聞こえてからの防御になってしまう。しかし、この弐式のハウリングによる抜刀速度ではそれだと遅い。予知と障壁の二つのハウリングを使いこなせていなければ、身を守ることは難しいだろう。
そして、何よりも厄介なのは遠距離からでも攻撃できてしまうこと。接近という過程を省略することにより、アンチたちは遠距離から攻撃をすることが可能だ。どれだけの距離まで移動を省略することができるのかはわからないが、ある程度の距離を保ちながら攻撃することくらいは余裕でできるだろう。こっちは攻撃のために近づかなきゃならんのに、アンチは下がりながらでも攻撃できるのがなかなかずるい。
「こりゃ、攻撃のために転移も必要か...?」
弐式の攻撃を障壁受け止めながら思考を巡らせる。
広島攻略に必要なのは、予知と障壁と治癒...それに加えて転移も必要かもしれない。転移があればサクッとアンチに近づいて攻撃することができるからな。
「……いや、普通にこうすりゃいい話か」
障壁のハウリングをさらに発動して、弐式の後ろ側の空間を仕切る。そこそこの広さがあった一対一のリングが、障壁の仕切りがに式の真後ろに出来たためかなり狭くなる。
「こうして逃げ道を無くして、ひたすら切り刻む...こっちの方が簡単だな」
距離を取られて近づけないのなら、下がれなくして距離を取らせないようにすればいいだけのこと。転移はあったら嬉しいが、予知や障壁とは違って絶対に必要なわけではないな。そこにリソースを割くなら別に回したほうが良さそうだ。
「まぁ問題は、こっちも攻撃ができるかだが...」
攻撃のために近づけば、ハウリング関係なく攻撃を受けることとなる。そしてもう一つ...過程省略のハウリングを、回避という側面で使うことができるのならばこちらの攻撃が当たる確率は大幅に下がってしまう。
「……まずはやってみっか!」
走って弐式に近づく。回避にハウリングを使えるのかを調べるためにも、適当に攻撃を...!
「無駄無駄!それっ!」
過程省略によって飛んでくる斬撃を障壁で防ぎ、弐式に肉薄する。そして即座に膝を弐式の手に打ち込み、刀を奪い取ってすぐさま蹴りを腹に叩き込んで背後の障壁に叩きつける。
「うーむ...使えないのか使わなかっただけなのか、違いがわからんな...」
弐式から奪い取った刀を握りながら頭を回す。
「……けど、使えないと見て良さそうだな」
回避行動...いや、もっと広く言えば移動のために過程省略のハウリングを発動させることは出来ないと思われる。
理由は二つ。まず、それが出来るのならば弐式はさっさと俺の背後、視界の外に移動して斬りかかれば良かった。今の俺の攻撃も、後ろには避けられないのだから移動を省略して俺の背後に回っていれば攻撃を喰らうことはなかった。だというのにそれをしなかったのは、そのようにハウリングを使うことができないから。
もう一つ、俺がそうだと確信した理由は、ハウリングの発動条件。物事を省略するには、それの始点と終点の動作を取る必要がある。刀での斬撃ならば、刀を抜くことが始点、納刀が終点。省略された動作の中には、実際に俺に近づいて、刀を振り、刀に収めようとするところまでが含まれる。
それらが省略されるから、弐式は刀での攻撃をする際、その場から一歩も動かない。移動を省いたらその移動自体が無かったことになるのだ。だから、移動という事象を過程省略のハウリングでは引き起こせない。
そもそも、終点の動作を行うことが出来ない。移動の始点は足を踏み出した瞬間で、終点は移動した地点で足を止めることだ。省略したいのに、それをするためには移動を済ませている必要がある。そのため、その場でどうこうしても移動を省略できないのだ。
「それじゃあ話は簡単だな。遠距離から銃で撃ち抜くだけで、お前は殺せる。まぁ、今回はコイツで決めてやるが...な!」
刀を奪われて武器を失い攻撃能力を失った弐式を、奪った刀で袈裟斬りにする。身を守る手段を持たない弐式はそのまま命を落とした。
「さて、今日はここらで切り上げるとするか」
やろうと思えばこのまま県庁まで向かって壱式を殺すこともできてしまいそうだが、俺はハウリングを手に入れるつもりはないため帰ることにする。討伐は誰かにやってもらわないといけないからな...壱式を気絶させて持ち帰るにしても、秋田の時みたく別のアンチに壱式を奪われて殺されるってことも考えられるから、下手に危ないことはしないようにすべきだろうな。
「情報は手に入れた。あとはどう攻略するかだよなぁ...攻撃系のハウリングも欲しいが、万が一があっても困るし...」
再三言うが、予知と障壁、障壁が間に合わなかった時のための治癒の三つは確定。それに追加して何か、攻撃用のハウリングが欲しいところだ。遠隔で攻撃できれば尚のこと良いのだが...
「……あっ、門川がピッタリじゃん」
門川の持つ武器生成操作のハウリングならば、銃を作り出して遠くから射撃することが可能だ。それに何より、周辺の武器を丸ごと操れるのも利点だ。人型である上位個体はおそらく、先の弐式のように何かしらの武器を持っているはず。それらを操って奪い取ったり、自らを傷つけさせたりも出来るからかなり相性がいいだろう。
「これで決まりだな。さっさと戻ろっと」
全身を包むように周囲に障壁を展開し、アンチからの攻撃を全てシャットアウト出来る様にしてから、駆け足で元来た道を戻っていく。
……そんなことをしていたせいで、俺は大事な通信を聞き逃していたのだった。
「なんだ?この騒ぎ...」
自衛隊の部隊が待機している港に戻ってきたのだが、何故だかとても慌ただしい。何が起こっている...?
「……っ!いた!仮谷!」
なんだなんだと辺りをキョロキョロと見渡していると、俺を見つけた八代がコチラに向かって走ってきた。恐ろしく焦った様子で、やや顔が青ざめている。
「何が...あった?」
ただならぬ事態だと悟った俺は、変にちょけずに何が起こったのか問う。
「お前が調査に出向いていた最中...今から十五分くらい前だ。弐式が攻めてきやがった...隣の山口の弐式がな」
「弐式が...?」
「ああ。そいつは、一人だけを狙って襲ってきやがった。俺たちは迎え撃ち、殺せはしたが...目的達成を許してしまった」
「誰だ...誰がやられた?」
「小樽だ...!」
「小樽が⁉︎そんな馬鹿な!治癒のハウリングがあるだろ!」
「まだ死んではない!だが、長くは持たない...!」
「何だってそんな...まさか、ハウリングを封じる能力でも...?」
「違う、そんなんじゃない。山口のハウリングは、毒なんだよ」
「毒...毒⁉︎」
そこで俺は思い出した。今ではもうかなり昔の出来事だが、延岡が福岡でハウリングを手にした時に、葉山から小樽の治癒について聞いていたことを。
そして、その時にこんなことを言っていた。
治癒のハウリングは、傷は治せるが毒物や薬物を中和することができない。それらによる体内の損傷は治せるが、毒物は体内に残り続けてしまう...その特性を利用して、治癒の壱式は麻酔を打ち込むことで無力化に成功した。
それと同じようなことを、アンチは小樽にしたってことか...!
「毒による肉体の壊死や崩壊は治癒のハウリングによってなんとか持ち堪えている。しかし、それは小樽の意識が持っているうちの話だ。小樽が意識を手放し、治癒のハウリングの発動や間借りが途切れてしまえば、毒は即座に小樽を死に至らしめる...」
「ッ...どうすれば、小樽を救える?」
「毒を使った弐式は殺したが、毒は消えなかった。おそらく、武器生成操作と同じだ。毒のハウリングの所持者が毒を消し去るか体外に排出させるかしない限り、毒は小樽の中に残り続けるだろう」
「……つまり、毒の壱式をぶっ殺してハウリングを奪い、そいつが毒を除去すれば小樽を救える...!」
「そうだ。だから、すぐに山口に向かうぞ。今、葉山が必死になって散らばったハウリング能力者を連れ戻している。それが終わり次第、すぐさま県庁に突入する。内陸だろうがお構いなしだ」
「了解した。いつでも行けるように準備しておく。絶対小樽を救うぞ...!」
「当たり前だ。まだ不鮮明だが、小樽を救える予知は既に見えている。可能性はある...!」
「っ...!それを聞けて、少しホッとしたぜ。その未来、必ず掴んでみせる!!」
広島の壱式云々は全て後回しだ。毒に侵された小樽を救う...そのために、自衛隊の最大戦力が動く。
山口の壱式の命運は、もう尽きている...待ってろよ、クソが。
能力調査だけで終わると思ったら大間違いです。
果たして、小樽を助けることはできるのでしょうか...