比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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どうもどうも、皆様おなじみLチキです。え?知らない?


まあ、いいや。毎度御目汚しで申し訳ありません。今回は大人になった八幡が色んな世界にいく感じです。


細かい設定や内容はまだ決まっていない感じです。複数の世界に行きますが、その都度設定や年齢が変わるかもです

だらだら、グダグダ長い感じに進めますのでよければ感想なんかをお願いします


プロローグ

俺の名前は比企谷 八幡、御年38歳、独身だ

 

見た目は高校時代から身長は変わっておらず、少しばかり筋肉が付いた感じで、相変わらず目が腐っているそれなりに顔の整ったナイスガイだ。

 

 

実際は、筋肉がついているにもかかわらず高校よりひょろっとした感じで会うやつからは不気味な雰囲気を出しているとよく言われる。

 

まったく失礼な奴らだ

 

 

そんなどこからどう見ても普通のおじさんの俺だが、今いるところはいささか変わっている。それは俺の特別な職業に関係しているところで、俺はあまりここを好きではない

 

 

「被告、比企谷 八幡―――――――」

 

 

なんせここは裁判所なのだから、むしろ好きというやつの方が少ないだろう。

俺のように職業に詐欺師を選択した奴らには特にな…

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

それは大学を卒業し、サラリーマンとして働くある日の事だった。

 

高校時代に目標としていた専業主夫は残念なことに達成できず、親のすねを齧るのもいいと思ったが、それを言うと働かないと勘当すると言われ、渋々就職を決めた

 

 

就職先は良くも悪くも普通の中小企業でそれなりの社畜ライフを送ることになる。

 

 

朝の電車に乗り込み、ふと高校時代の事を思い出す。

高校2年の奉仕部、雪ノ下 雪乃と由比ヶ浜 結衣、彼女たちとの間違った青春ラブコメは結局のところ最後の最後まで間違い続けて、お互いが明確な答えを出せないまま、本当の本物を誰もがつかめず、有耶無耶に灰色のアルバムにしまわれてしまった青春の一ページ

 

 

俺は結局のところ偉そうに恰好をつけて散々彼女たちを傷つけてしまった。それは今でも後悔と懺悔の気持ちがこみ上げてくる

 

 

大学生になり、お互いが別々のところに行き、それ以降俺は彼女たちに会っていない。皆が皆ハッピーエンドにもバットエンドにもたどり着けずに時間切れで卒業してしまった。

やはり俺は間違っていたのか…ふとそんな事を考える

 

 

いつもはこの後、会社に行き一日働いて家に帰り、また次の日にはこうして昔の事を振り返るそんな毎日を送っているそう、いつもはだ‥‥…

 

 

「こ、この人痴漢です!」

 

 

一人の制服を着た女子高生が俺の手を挙げ、高らかに叫んだ。この時から俺の間違った物語は本当の意味で狂い出してしまう

 

 

俺はその後駅のホームに連行されそのまま警察に引き渡された。一応言っておくが俺は痴漢なんてしていない。だが、そんな俺の言葉は誰にも届かず俺は起訴されることになった

 

 

始めは必死に無実を訴えたが、そんな俺の声に耳を傾ける奴なんて妹の小町くらいだった。

それでも、小町一人が信じてくれるそれだけで俺が戦うには十分すぎたのだけれどその思いもすぐに打ち砕かれる

 

 

起訴されて何日かした後、俺の面会に弁護士がやってきた。そして、その弁護士は俺にある事件とある提案を持ちかけた

 

 

提案はこのまま裁判をしても俺に勝ち目がない事と、向こう側との示談として罪を認め謝罪する事だ

 

 

もちろん俺はそんなものは受け入れられず拒絶した。俺はやっていない、俺は無実だなのになぜ俺が謝らないといけないのかと

 

 

しかし、弁護士の言ったことは俺を絶望の縁まで追いやる。

 

 

痴漢は冤罪であろうとなかろうと、その証明は難しくこのままやってもずるずると時間だけが過ぎたうえで負けるという事だ

 

俺もテレビなんかではそういう物を見聞きした覚えがあったが、いざ自分にそれが降りかかるとたまったものではない。しかし、それでも俺には俺の事を信じてくれる妹がいる。それなのに俺が折れてしまっては妹に申し訳が立たない

 

 

そういうと弁護士はおもむろにあるニュース記事を持ち出す。それは小町が通っている大学で起こった傷害事件の記事で、被害者の女性の兄が今現在、痴漢の容疑で捕まりそれを知った同大学生により被害者女性は怪我を負ったとのこと

 

被疑者の同大学生は、被害者女性の兄の事を知り、それを馬鹿にするような物言いで被害者に精神的苦痛を与え、それに怒った被害者が抗議したところつかみ合いの喧嘩に発展、突き飛ばされた被害者はバランスを崩し近くの階段から転落、今だ意識は戻っていないとのことだ

 

 

まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか

 

 

「妹さんの意識は今だ戻っていません。このままでは最悪もあるという事です。さらに、この事で大学では妙な噂も立っており、このまま裁判を行うと確実に時間がかかります。そうすると妹さんに会う事もできませんし、仮に裁判を続けても勝ことは難しいでしょう。そうすれば噂は本当になってしまいます、それが例え事実ではないとしてもね」

 

 

妹さんの事を考えればここはどうか示談を――――――――――

 

 

俺の頭の中は真っ白になった。俺のために俺のせいで小町が怪我をして、あまつさえ最悪もある‥……

 

 

そこから先は早かった、相手側も示談に応じ俺はすぐさま妹の病院に駆け込んだ。幸いなことに小町の意識は戻り、後遺症の心配もないとのことだ

 

 

だが、そこから俺の生活は一変した。当たり前だが会社は首になりご近所からも俺や家族に向けられる視線はひどく冷たいものになり

 

 

それからしばらくして、小町が退院する前に家を出た

これ以上小町にも両親にも迷惑はかけられない、俺がいる事で皆に迷惑がかかるそんな思いからだ

 

 

だが、家を出た後は正直なにも考えておらず幾度目かの町にたどり着いた俺の前に一人の詐欺師があらわれる。

 

といってもそいつが詐欺師と知ったのは出会ってから結構後の事だが、そいつはどうやら俺を詐欺のカモに選んだらしく親身に話を聞き、詐欺を働くタイミングを狙っていて、ついにそのタイミングが来たと思い俺に儲け話を持ち掛けた

 

 

だが、生憎な事にいくら消沈していたからといいそんな詐欺師に嵌められるような俺ではない。ボッチの警戒心と洞察力を甘く見るなよ

 

 

結果だけを言えば俺はその詐欺師を逆に嵌めたのだ

 

そこからは、味を占めた俺は流れるように詐欺師となった。そしてそれから数年

 

38歳になった俺は今や立派な詐欺師へとなり、現在裁判にかけられている。

そこだけ見れば下手こいて捕まった哀れな詐欺師だが、生憎俺には一種の才能があったようだ

 

 

「――――――以上の事から、被告の販売した製品には注意事項として明記がされており詐欺とは認められない。よって比企谷 八幡を無罪とする」

 

 

そう、俺には詐欺師の才能があった。

いくら起訴されようが関係なしに無実を掴みとる、どんな相手だろうが騙して欺くたとえそれが、国の裁判官達としてもだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

夕暮れ時、無実を勝ち取り釈放された俺はオレンジ色の町を彷徨うように歩く。

その瞳には、勝利への余韻も被害者への罪悪感もなく、ただ次の詐欺はどうするかという考えでいっぱいだ

 

 

ふと思う、今の最低で最底辺の俺を見たら高校時代の彼女たちはなんというのか

雪ノ下は相変わらず容赦なく、俺を罵るのだろうかそれとも目を合わすのも嫌がるかな。でもなんだかあいつなら今の俺を更生させようと躍起になりそうだ

 

 

由比ヶ浜は…どうだろう?もしかしたら心底失望した眼差しを向けるかもしれないし、もしかしたらだが、バカだけど心優しいあいつならこんな俺のために涙を流してくれるかもな

 

 

それに平塚先生はラストブリットでもお見舞いされそうだな。んでその後に、優しい目で俺を見つめてきそうだ、本当に先生には謝っても謝りきれないな‥‥というかあの人結婚できたのか?

 

戸塚は怒るだろうな…可愛い顔して怒ると一番怖いんだよな、それに曲がったことが嫌いな頑固者だし

天使で怖い、俺の友達

 

葉山とはそういや前に弁護士として会った以来だな。あったというか戦ったというかあれなんだかな、もちろん俺が勝ったが最後に見せたあの顔は今でも覚えている

本当にあいつは昔から変わらない。リア充でみんなの人気者で変におせっかいな俺の敵

 

材木座は‥…まあ、あいつはいいや、どうせあいつはいつもの調子で馬鹿やってそうだし、いい加減中二病は卒業してるだろうがな

 

 

それから、陽乃さんは俺の事を多分笑うな、それはもう面白おかしく大爆笑するだろう

 

川崎は、クールに馬鹿じゃないとか言いそうだよな、でもあいつは気づいてるか知らんが結構顔に出るんだよな。クールぶってるがとても情に厚い奴だ

 

三浦は結局葉山とは、うまくいかなかったらしいがあいつならどんな相手でもいい母親になるだろう

 

海老名さんは、今度こそ関係やしがらみを関係せずに本当の恋愛をできていればいいんだが、一周まわって腐女子に戻ってなきゃいいが、主に俺のために

 

 

んで、小町は‥‥俺が思うのはおこがましいだろうがどうか幸せになっていてくれればいいんだが、本当にこんなごみいちゃんでごめんな小町‥‥

 

 

つーかなんで、こんな事を考えているのやら、らしくないな‥‥

 

 

 

 

少し遠くから犬の声が聞こえその方向に顔を上げた、そこにはリードから離れて走っている一匹の犬とそれを追いかけてる少女がいた。

それはまるで、あの入学式の日のような光景で思わず釘いるように見てしまった。

 

恐らく俺の間違った青春の始まりの一ページ

 

だが、そんな考えはすぐに彼方に消え失せた見ると道路には一台の大型トラックが走っておりその運転席の男性は前を見ていない…いや、眠っている

 

そのまま、トラックは先ほどの少女と犬のほうに走り、ぐしゃというおよそ人間の人体から出たとは思えないような音と共に少女のか細い悲鳴が聞こえる

 

 

 

俺の目の前には真っ赤に染まった先ほどの少女と犬がいる。しかし少女たちに怪我はない様子で、震えながら座り込み俺の方を見ている‥‥…ああ、そうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ赤なのは俺の方か‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にらしくない事をしてしまった。

 

 

 

そこで俺の意識は消え、後には真っ暗な闇だけが残る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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