比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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IS インフィニット・ストラトス 10

追いつめられてる人間にさらなる追い打ち、もとい、止めを刺す技法『あれれー?おかしいなー』

 

何処から出したと問いたくなる猫なで声に、ワザとらしく小首をかしげるポーズ、そしてその後のドヤ顔、これら3つのあまりのウザさに正常な判断ができなくなる名探偵御用達の技である。

見た目が子供の名探偵だから、ウザ可愛いレベルで済むが

これを高校生がやったのならその効果はただのウザッ!になる

 

さらにこれは本来ならば、犯人を追いつめる時に使い高確率で勝負を決められる必殺技であり、大体の場合相手側は、言い返す事が出来なくなるか、言い返しても墓穴を掘るかしない

要は一方的に蹂躙されると同義と言えるのだ

 

現に目の前では、先ほどまで高飛車で自信満々に笑顔を作っていた金髪縦ロールの少女セシリア・オルコットに、世界に2人しかいないISを動かせる男であり俺の兄弟でもある八兄が

言葉という暴力を一方的にくらわしている

 

 

「ねぇねぇ、さっきまで見下してた男に好き勝手言われてどんな気持ち?今、どんな気持ち?ねぇねぇどんな気持ち?」

 

 

「…ッ・・・ッ」

 

 

華麗なるステップで、反復幅跳びをしながら何度も何度も、彼女の前を右に左にと動き続ける八兄はまさに勝者の余裕とでも言いたげなおかしな顔をしている

 

((●)з(●))こんな感じだ

 

そんな兄に向かい、セシリアは目じりにたまった涙がこぼれないように必死に耐えている。

瞳は、決して目の前から背けず真っ直ぐに見つめている

 

それはまるでどんなに辛くても泣かず、背けず、屈しないという彼女の最後のプライドを表しているかのような強い瞳だ

 

仮に、彼女が物語の主人公ならば、敵はそんな彼女の気高さ?を見てこれ以上の追撃はしないだろう・・・

仮に、彼女がヒロインならば、どこからともなくヒーローが駆けつけて彼女の事を救ってくれるだろう・・・

 

だが、残念な事にここは架空と空想が入り乱れる物語の世界ではない

主人公を引き立てるような殊勝な心がけの敵キャラは存在しないし、ご都合主義で駆けつけるヒーローも存在しない

 

目の前にいる彼女の敵は

 

『天災』篠ノ乃 束

『最強』織斑 千冬

 

彼女たちに並び称され、ある意味一番敵に回したくないと言わしめる

 

『悪道』織斑 八幡 なのだから‥‥

 

あの千冬姉をもってしても御しきる事ができず、かなり昔の話だが束さんを泣かした唯一の男でもある

 

一般人が敵にするにはあまりに無謀

例え専用機を持った代表候補生だとしてもそれは変わらない

この勝負ともいえない勝負は、初めから結末が決まっていたのだ‥‥

 

 

「ほらほら、言っちゃえよ。わたくしは男なんぞ相手にISを使いません!この身一つあれば男風情に負けるわけありませんって」

 

 

「‥‥‥ッ」

 

 

「おやぁ~?返事がないなー聞こえない?それとも無視してるの?まさか会話が成り立たないアホってわけじゃねーンだろ」

 

 

「そ‥‥ッ・・・むッ・・・」

 

 

「はあ?なに言ってるのかな?小さすぎて言ってることがわからねェや」

 

 

「だからッ‥‥無理‥‥ッ・・・いって・・・の」

 

 

「あんだって~~~~ッ!!?耳が遠くて聞こえねーよー!!!」

 

 

「だから!そんな事ッ言ったて無理だって言っているのッ!!ISなしで・・・ひっぐ・・・戦うなんてェ‥‥‥無理にッ‥‥決まっているじゃな‥‥いのっ!!」

 

 

「あ、ごめん聞いてなかった。もう一回いって」

 

 

「~~ッッ!!」

 

 

ついにセシリアはその場に膝をつき泣き出してしまった。

さっきまで溜めながらも決して落ちる事のなかった涙がどんどんと溢れだす。唯でさえ静まりかえっていた教室にその泣き声は余計大きく反響した。

 

泣いているセシリア以外誰も動くことができず皆時間が止まったように制止している。クラス中の女子も、山田先生もあまりの事にどうすればいいのか分からず思考停止状態になっている

 

箒でさえ、開いた口が閉まらず目を点にしているし、千冬姉は千冬姉で手で顔を覆い盛大なため息をついている。

斯く言う俺もどうすればいいのか分からず身動きができない。

 

しかし、そんな中でも平然と構えている男が一人いた

彼は、いかにもヤレヤレとでも言いたげなジェスチャーをした後言葉を続ける。

 

 

「あのなお前、泣けば済むと思ったら大間違いだからな?どこぞの政治家だって一発の失言で今まで積み上げたもの全部なくなる世の中なんだぞ。泣いても喚いても一度言った発言は―――」

 

 

「やめて八兄!セシリアのライフはとっくにゼロだッ!!」

 

 

俺は、なおも追い打ちをかける我が兄の非情なる姿に意識を覚醒させて、とりあえず八兄を止めるため動き出した

 

それに伴い、静止していたクラスメイト達は一斉に意識を戻し各々動き出した。

泣いているセシリアにハンカチを渡したり、背中を撫でてあげたり、終始大丈夫だよと声をかけていたりしている

 

その中で箒は席が遠く、基本的に人見知りである事もあり何もできずにオロオロとしており、名前は知らないがのほほんとしている雰囲気だった女子生徒は八兄の事を凄い形相で見ている

 

(~ω~) これが、(<●><●>) こんな感じになっている

 

しばらくして山田先生が泣いているセシリアをつれ教室から出ていき、千冬姉がその場を無理矢理閉めて八兄を呼び出しセシリアとは別の方向へ連れて行く

結局その時間内に4人が戻ってくることはなかった

 

 

‥‥‥正直もう少し早くに止めていればと反省はしている

 

 

 

 

 

結論を言おう

決闘は千冬姉の鶴の一声で3人ともハンデなしで行うこととなり

 

セシリアは自分の専用機『ブルーティアーズ』

八兄と俺は近いうちにデータ収集を兼ねた専用機が届くらしいので、それで戦う事となる

 

一対一での戦闘のため順番にやることとなり、まず初めに俺とセシリア、その次に八兄とセシリアで、最後に八兄と俺と言う順番でやることとなり

試合合間の休憩及び機体調整時間は15分づつ、試合時間は30分、それが過ぎたら引き分けで降参かシールドエネルギーが0になったら試合終了

3試合の中で一番多く勝った者がクラス代表となる

 

セシリアが2連続で戦うのはクジ引きの結果‥‥‥‥という訳ではなく、試合でのハンデが駄目ならそれ以外でハンデをつけろとの八兄の要望のようないちゃもん、難癖がありこうなった

 

その際、眼が赤く腫れて若干鼻声のセシリアと八兄で再度、壮絶な舌戦があったり

それを止めようと間に入った山田先生が逆に泣かされ、物理的な教育的指導(出席簿)をしようとした千冬姉に対し、人間離れした動きでそれを躱す八兄のやらなくていい攻防があったり

 

なんやかんやでクラス代表関係なしに2人の間で、セシリアが勝ったらクラスの前で八兄と俺が土下座をして、八兄が勝ったらセシリアがなんでもいう事を一つ聞くという約束事をしたり

 

常時空気だったのになぜか、巻き込まれる俺がいたりとしたが模擬戦は滞りなく進むようだ‥‥‥いや、なんでだよ?あんまし関係ないの上に、自分が負けたらではなく八兄が負けたら土下座とか理不尽すぎるだろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにその後のクラスでは、八兄を非難する声やら視線が酷かったが、八兄のにらみつける攻撃と「あ゛あ゛ん?」というドスの効いた一声をかけると蟻の子を散らす勢いで皆離れて行った。(ファイヤーが使うレベルのにらみつける攻撃である)

今では非難はないものの声を欠けるものや目を合わせようとする人はほとんどいなくなったが、本人はどこ吹く風で「ボッチなのはいつもの事」と全く気にしていない模様

 

そんな経緯で俺も非難めいた視線を受けたり道行人に怖がられたりしたが、クラスのみんなに一応詫びを入れてまわったら普通に接してくれるようになった。

それでも若干名は俺の事を嫌っているようだが特に実害があるわけでもないので大丈夫だ

 

で、衆目の面前で大泣きをしてしまったセシリアは今ではクラスの中心人物で八兄風で言えばクラスのトップカースト上位に当たるようだ

あの高飛車な性格もそれはそれでありと受け入れられ、多くの女子と笑い合っている姿を度々見かける

 

男に対してはアレだが、もともと人を惹きつける性格で人柄も割とよく、話せばすぐに打ち解けられ、見た目もよくその上イギリスの代表候補生という事もあり多くの女子から憧れられる人気者である

 

 

セシリアはクラスでの立場を獲得でき、八兄も曰くセレブなボッチ略してセレボッチな生活を優雅に送っており、俺も俺で以前のような四方八方からの視線を受ける事がなくなり充実した生活を送っている

 

 

 

 

 

あんだけの事があったが俺達の学園生活に大した影響がなくよかったと思う

 

のほほんとしてる子が時折、笑っているのに笑っていない顔をしたり

山田先生が、必要以上に八兄を怖がっていたり

箒が何もしていないのに・・・むしろ何もしていないからこそなのか?クラスでやたら孤立していたりすることを除けば特に問題なしと言えるだろう

 

 

ちなみにこれまでの出来事はIS学園生活が始まって4日目までの出来事である

 

‥‥‥‥‥‥‥前途多難にもほどがあるだろ

 

 

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