比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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次回でセシリア編終わりです~




IS インフィニット・ストラトス 17

「あ、そう」

 

 

キリットした顔でいいのけるセシリアに対し八幡の返しは、何とも気が抜けるようなものだった。

 

 

「かっこつけてるとこ恐縮だが、一応聞くが降参する気はあるか?」

 

 

「あら、意外ですわね・・・そんな事を聞いてくるなんて思ってもみませんでしたわ」

 

 

皮肉めいた笑みを見せるセシリアだが、内心では本当に驚いている

 

普通こういう場合の降伏勧告にはいくつかの意味がある

 

力の差、自身の優位性の差を誇示するため

 

それ以上の戦闘行為は、意味がないという宣言

 

後は、単に相手の身の上を心配するなどといった物とかだ

 

 

一夏に対しセシリアが試合前に言った泣いて頼めば何とかという問答もこれにあたる

代表候補生である自分の力の誇示、どうせ負けるのだからやるだけ無駄と言う傲慢にも思える宣言

 

これによりセシリアは、相手である一夏と試合を見ているクラスの面々に自信がいかに優れているのかを見せつける腹積もりがあった

 

 

しかし、この八幡はそういった自分を誇示するという事をするように見えない

 

彼は始めクラス代表をめんどくさがっていたし、授業態度から見ても真面目な生徒とは思えない。だから単純にこの試合もめんどくさくなったから言っている可能性もあるが・・・可能性は低いだろう

 

あとわたくしの身を案じているというのもないだろう。

卑怯を卑怯とも思わない人間がそんな事を考えているとは思えない

 

以上の事から八幡がこんなことを言ってくるのは意外といって正しいだろう。

 

なんなら、先ほど啖呵を切っている間にでも攻撃されるとか思っていたくらいですし

 

 

「でもお生憎様、先も言った通りこのセシリア・オルコットがこれしきの事で負けると思わないでください!」

 

 

「OK、了解だ。それじゃあこっちも遠慮なくいかしてもらうぜ」

 

 

そういうと、八幡のレールカノンはセシリアの正面にその80口径もある砲身を掲げる

 

顔の目の前にあるあまりにも大きい砲身に、ごくりと唾を飲み込む

 

 

(いくら覚悟を決めたとはいえ、流石に怖いですわね・・・)

 

 

絶対防御がある以上、肉体に対しダメージは極力抑えられるだろうが怖い物は怖いのである

 

だが、その恐怖の中でもセシリアは、片時も目を離さずに目前の敵を見据え続ける

 

チャンスは一瞬、放たれたと同時にブルーティアーズを散開させ自身も離脱する

その一瞬の勝機を逃さないように恐怖に震えながらも目の前を向く

 

 

だが、現実は・・・というよりこの男は何処までも残酷なのである

 

 

「そういえばちょっと聞きたいんだが、お前って―――」

 

八幡が話すと同時に顔の前に向けられたレールカノンの銃口は、下に移動する。

その場所は腰の少し下、ブルーティアーズ唯一実弾装備がされているミサイルポット

 

 

「誘爆って知ってる?」

 

 

「貴方まさか――――ッ!」

 

 

次の瞬間、レールカノンからはけたたましい轟音が鳴り響き、光の弾丸がブルーティアーズを刺し貫く

 

さらにその後、撃たれたポットより2度3度と続けざまに爆発が起こる

 

 

「キャアアアアアアァ―――――――ッ!!!」

 

 

セシリアは悲鳴を上げ爆発による反動でのけ反るように大きく飛ばされる。

 

さらに、その数秒後には爆破されたポットの方に装着されていた2期のブルーティアーズからも煙が上がりまたも爆発した

 

先ほどよりは小規模だが、なにぶん機体自体に装着されていたため0距離での爆発だ。

 

その反動も当然、彼女に降りかかり初めの爆発で右方向に飛ばされ、続けざまに後方からの爆発

 

空に浮いていたのが災いし、セシリアは回転するように飛ばされ機体制御ができずにいた

 

このままではアリーナの壁に衝突し、あわや大惨事となってしまうだろう

 

しかし、数十メートルほど吹き飛ばされたところで突如としてセシリアは停止した

 

 

 

そう・・・機体を制御したのでもなく、何かしらに掴まり自力で止めたのでもなく、あまりに不自然すぎる恰好で空中に停止したのだ

 

一見すると幸いのようだが

 

むしろ、このまま壁にでもぶつかり意識を飛ばしていたほうが幸せだったと言えるかもしれない

 

なんせ、動きの止まったセシリアの後ろには、右腕を付き出した八幡がひっそりと立っているのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けて、まず見えるのは地面

 

どうやら自分は地面に向かって逆さの状態になっている様ですわね・・・

 

そして、先ほどと同じで手足は一向に動かない。もちろんそれは爆発のショックで機体トラブルがあったとかいう訳ではない

 

いや・・・正確には機体の方も相当なダメージは受けているが

 

まず、被弾した右側のブルーティアーズ(ミサイル装備)は完全に破壊され、右足の装甲も所々えぐれている

 

それに加え4機ある自立型ブルーティアーズの内2機が破壊、残り2機の内1機は、破壊されずに済んだが余波によりダメージを受けている。これでは飛ぶことはできてもまともな戦闘はできないでしょう

 

爆発から一番遠い1機は何とか無事ですが、シールドエネルギーが大分削られました

 

 

動けずに見る事はできませんが太陽の陽射で地面にできた影に映るのは自分の物ともう一つ

 

ブルーティアーズや白式と比べ重装甲である、あのISの姿が映し出されている

 

予想外の爆発により当初の作戦は、完全に狂い

 

自身の離脱どころか6機中4機のブルーティアーズが破壊、もしくは中破され、残る2機は今だ機体についたままであり、極めつけにまたもや自分は拘束されてしまったようだ

 

セシリアの顔は、先ほどの毅然とした物から一切の余裕がなくなった

 

 

「くっ‥‥初めからこれがね―――――」

 

 

「次は左な」

 

 

「―――――らい、ってキャアアアアアアアア!?!?」

 

 

セシリアが何かを言い終える前に、再度レールカノンは唸りを上げる

 

狙われたのはもう一つのミサイルポッド

 

先ほどと同様に光りの弾丸が被弾すると、2度3度と爆発をおこしセシリアの体を乱暴に弾き飛ばす

 

これによりブルーティアーズは6機すべてを破壊され、しかも爆発の衝撃により手に握っていたライフルもどこかに吹っ飛んでしまった

 

これにより、セシリアに残された装備は、普段あまり使わない近接ショートブレード一本だけとなってしまった

 

幸にも、いや不幸にも攻撃はすべて装備品であるビットとミサイルポットに命中したので本体に対するダメージは派手な爆発の割には低い

 

低いと言っても両足の装甲は壊れ、ところどころから本人の生足が見えていまっている

 

ドレス状の装甲もなくなり見るに痛々しい

 

だが、絶対防御のおかげか本人の体には目立った外傷はないようだ

 

 

今のセシリアにできる事は、非常に少ない。

 

武装のほとんどを消失してしまったので戦闘は勿論、爆風に飛ばされまともな機体制御ができず重力と慣性に従いなすがままに落下する事しかできない

 

このままではいずれ地面に衝突してしまうだろう

 

幾度とない爆発により脳は揺さぶられ意識も薄れかけている

 

それでも残りのシールドエネルギーすべてが消費されることはないので敗北にはならないが

 

この壊れかけの機体では訓練機の機動力にすら負けてしまうのは明白なので、ほとんど無傷の第3世代型と戦えばその結果は目に見えていることだろう

 

これは、流石の代表候補生と言えど覆すことはできない。むしろ代表候補生どころか国家代表ですらこの状況での逆転など無理な話だ

 

もしもこの状況を覆すことができる者がいるとしたらそれは、文字道理生身でISと対峙できるような人外のほかいない事だろう

 

 

 

 

 

だが、そんな明らかに勝負の見えている勝負でも八幡は最後の最後まで手は抜かない

一切の油断なく、安全に確実に相手の息の根を止める

 

その様は、

 

非情であり

 

無慈悲であり

 

残酷であり

 

外道であれど

 

彼の蛮行は誰にもとめる事はできない

 

 

 

 

 

セシリアの体は、本日3度目となる動きを止められた

 

 

朦朧とする意識の中で彼女が最後に見たものは、全身黒一色の中に鈍く光る2つの瞳

 

しかし、その瞳は光りながらもどこまでもどこまでも黒く淀み濁っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音が鳴り響いた後、セシリア・オルコットの意識はなくなり

 

そのすぐ後には、勝敗を決する放送がアリーナに響く

 

 

 

 

『勝者、織斑 八幡』

 

 

 

勝負が終わったにも関わらず、アリーナはひどく静かであり

 

歓声どころか話し声一つ上がらない

 

 

試合を終えた八幡は、静かに戻っていき

 

セシリアは、担架で運ばれて行った

 

こうして、1年1組のクラス代表を決める模擬戦は静かに、静かに終わりを迎えたのだった

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