比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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そういうわけで番外編です。

これでは、八幡にフラグを折られ本編に登場しないラウラさんの事を描いています。

見なくても本編には関わりなく

この1話だけなので次回からは本編に戻りますよ~

それと、稚拙ですがガールズラブの要因が少しはいっていますので苦手な方は見ないでください


それでは始まり始まり~





番外編1 やはり私の軍人ラブコメはまちがっている。

軍隊とは虚栄であり、悪である。

 

軍人とは、自己の犠牲をいとわず国家繁栄及び国家安泰の為に日々過酷な訓練を遂行する兵士である。

 

彼らは国家の2文字の前ならどんな一般的な倫理観も社会概念も捻じ曲げて見せる

 

彼らにかかれば、人道も道徳も人権も失敗さえも国家のための小さな犠牲でしかないのだ。

 

仮に失敗することで、国家の為になるのなら人体実験に失敗した人間も立派な軍人でなければおかしいではないか

 

しかし、彼らは私を認めはしないだろう

 

全ては彼ら、上層部の都合でしかない

 

結論を言おう

 

軍人であることを誇る愚か者共

 

戦死しろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニングテーマ『Chang○ my mind』

 

歌:ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

 

 

 

 

制作:やはりこのLチキは間違ってる委員会

     

   提供:ハーメルン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦死するのは、君の方だよボーデヴィッヒ軍曹・・・」

 

 

季節が移り変わり、日本という国では桜が舞い散る今日この頃

私、ラウラ・ボーデヴィッヒは外の風景など見えない薄暗い取調室にて上官である彼と話をしている。

 

彼は私の上官であり、親がいない私の身の回りの世話を時折してくれる優しき男性だ。

年はまだ40代手前だというのに、頭のてっぺんはとても寂しそうで身長はそこそこでがたいもそれなりだが別段筋肉がついているわけではない

 

どちらかと言うと、やや脂肪が付きすぎている節がある

 

その見た目と温厚な性格からドイツ軍の森のくまさんと、言う異名で呼ばれている。

ただし本人的にはその異名は、不服らしいので直接言いはしない

 

服装は、ドイツ軍正式の軍服でありやはりウエスト周りがでっぱている

 

そんな彼と私がなぜ取調室と言う場所で向い合っているのかと言うと、その原因は彼の手元にある報告書にある

 

 

「ボーデヴィッヒ軍曹、私が君にかした課題はなんだったかな?」

 

 

「はっ、我々若い世代の軍人が軍のあり方とは何かを問われる意識調査です」

 

 

ため息が出そうな表情の彼の問いに対し、私は敬礼しながら答えるがなぜか答えを聞くや否や彼は本当のため息を吐いた。それも割と深いため息だ

 

 

「それが分かっていてなぜ君は、こんな報告書を出したのかね。なぜこうなったのだ?」

 

 

彼は、自身の寂しい頭を2撫でほどした後に、私に向かい真っ直ぐに目線を向ける

その瞳はとても真剣な物で、見つめられる私は若干の居心地の悪さを感じながらも口を開ける

 

 

「それは、私の率直な意見であり嘘偽りのない答えだからです」

 

 

「‥‥‥」

 

 

今度は、額に手を当て項垂れるように眉間に皺を寄せる

少しの間、唸るように聞き取れないほど小さな言葉を発しまたも私の目を見つめながら彼の話は続く

 

 

「君ね・・・分かっているのかね?こんなもの上層部に出したら下手をすると反逆の意志ありと疑われるのだよ」

 

 

「そういわれましても報告書に嘘をつくわけにはいけませんし、何より‥‥‥例えそうなったとしても私には迷惑をかける親もいなければ、心配をする友もいないので割と大丈夫です」

 

 

 

 

 

そう、私ことラウラ・ボーデヴィッヒには親がいない。

死別したとか捨てられたとかいう理由ではない。初めからいないのだ

 

私は、ドイツ軍の遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)として生み出された試験管ベイビーなので遺伝子提供者と、機械をいじり私を作った研究員はいれど親はいないのだ

 

鉄の子宮で生まれ、家族を持たない人造人間、軍のための戦う兵器それが私だ

 

 

生まれた私は、もの心つく前から軍人としての英才教育を受け育った。

おおよそ一般的な子供とは、文字道理育った環境が異なり幼いながらも大の大人を相手にしても勝ち越せるほど強くなった。

 

さらに、生まれてから数年したころISと言う女性にしか動かせないパワードスーツが、世の中に出回り

 

それに伴い私の地位もみるみる内に上がっていき、気づいたときには自分より2回りも年が離れてる男の大人よりも階級が上がっていた。

 

勿論初めは、それをこころ良く思わない人間は数多くいたが年が起つにつれ女性の軍人の地位が急上昇していき、今では女性のみのIS部隊なども出来上がりそのころには、中傷の声もただのあさましい嫉妬やただのやっかみになっていた。

 

当時の私はそんな声など聴く耳を持っておらず、そんなやからには高圧的な態度で接していたのだと思う。すると次第に部隊内でも部隊外でも次第に孤立していった。

 

ただ、実力のみは軍内部でも指折りのため表立った言葉や行為をされたことはない

 

いわゆる、仕事のできるコミュ障と言うやつで

当時は、強い力さえあれば何でもできると調子に乗っていたのだ。今となってはただの黒歴史である

 

ISが世に出て少ししたころ、設立されたばかりのIS配備特殊部隊はある実験に参加させられた。

 

当時の私は絵にかいたような軍属であり上の命令は絶対と言う信念を持っていたので、もちろん2つ返事でその実験を受け入れた

 

今になって思うが、アレは自薦した者のみに行われるとか言っていたがほとんど強制だったと思う。どっちにしても私にはそれを受けるしか選択肢がなかったのでどうでもいいけどな

 

 

ただ、その実験が全ての始まりで終わりだった

 

 

肉眼へのIS補佐ナノマシン移植手術実験、通称『ヴォーダン・オージェ』

 

 

事前の説明では、副作用もほとんどなく失敗する確率も極めて低い安全な実験とのことだったが結果を言うと私はその実験に失敗し、全てを失うことになる

 

ISとの適合性向上のために行われたヴォーダン・オージェの不適合により左目が金色に変色し、能力を制御しきれず以降の訓練では全て基準以下の成績となってしまう。

 

今まで実力だけで周りを見下してきた人間がある日それを失った。

 

その結果は火を見るより明らかだろう。

 

周りからは出来損ない扱いされ、以前は嫉妬と羨望を向けられた眼差しは今は侮辱と嘲笑の笑みへと変わりはてた

 

今まで人間関係の構築を怠ってきたつけなのだろう。

私には友と呼べる者は一人もおらず、結果として部隊の中で一人ボッチになった

 

せめてもの救いは、実験の前まであった中佐まであった階級だけだった

 

軍とは階級社会で、年齢も実力も関係なく階級さえあればそれ相応の地位が確立される

そのおかげで私も直接的な、悪意をぶつけられた事はない

 

以前、名も知らぬ男の軍人たちが話していたが

 

高圧的で地位のある女がいきなり地位をけり落とされ、今まで馬鹿にしてきたやつらに凌辱の限りを尽くされるという内容の話を男と言うのは好むらしい

 

その時は、何を下世話な話をしているのだと無視をしていたが今となっては背筋が凍りそうになる

 

ただ、中佐である私にそんな行為を働けば即時に軍法会議にかけられるだろう。そのことから未だに私の純潔は守られている

 

 

しかし、今まで築き上げてきた階級も徐々に降格され今では軍曹にまで下がってしまっている。

 

そうなってくるとあの会話の中にあった女性の姿が自分になるのではと言う思いがふつふつとわいてくる

 

 

 

・・・・・・なんかもう、世界とか滅べばいいと思う

 

 

 

「…君の事だから真面目に答えているのだろうね。たちの悪い事に‥‥‥小娘があまりなまをいう物ではないぞ」

 

 

と、目の前の彼はの顔は言葉とは裏腹に酷く寂しそうな悲しそうな顔をしている。

 

どこぞの神話に出てくる何とかの箱と言う話にも出てくるようでこの世界はどうにも少しばかりの希望という物がある様子だ

 

目の前にいる彼なんかが良い証拠だ

 

 

力を失った私にとり世界とは軍隊とは軍人とは恐怖の対象でしかない。

この小柄な体では同い年の男を相手にしても容易にねじ伏せられるだろう

 

片方の視界を失い、万全を出せない今では部隊に所属している誰にだって負けてしまうだろう

 

それでも、私にはここ(軍)にしか居場所がないので逃げる事すらできないのだ

 

そんな絶望の中にあっても唯一救いがあるのなら、それは彼のような存在を言うのだろう

 

私は彼に恩を感じている。自暴自棄と言えるあの状態からここまで回復できたのも彼のおかげなのだ

 

なら私が彼にできる恩返しとは何か

 

 

‥‥‥思考した結果、もっともよい案は、彼の頭の最前線がこれ以上後退しないように心労を減らす事がベストだ

 

 

「…申し訳ありません、なら書き直します」

 

 

「いいや、書き直しは結構だ。その代り少しついて来たまえ」

 

 

「?」

 

 

 

 

何処に行くのかも教えられず、とりあえず彼の後に従いついていくとしばらくしてその歩みは止まった

 

目の前には黒く重々しい扉があり、そのネームプレートには執務室と書かれている

 

なぜこんなところにと疑問に思う私にかまわず、彼は2度3度と扉を優しくたたく。

すると中から、どこか優しげであり威厳のある女性の声が聞こえた

 

 

「失礼するよ。少佐」

 

 

「このような場所までご足労していただき恐縮です」

 

 

「なーに、そんな固くならずに楽にしてくれたまえ」

 

 

「ッハ」

 

 

中に入るとそこには、髪を肩口までに切り添えられ帽子を斜めにかぶる妙齢の女性が見事な敬礼をしていた。

 

彼女と彼は2,3会話をしたのちに私に視線を向ける

 

 

「彼女が?」

 

 

「ああ。ボーデヴィッヒ軍曹あいさつを」

 

 

と、彼に言われ、片手を額にもう一方を後ろに組み敬礼をする。

 

その後、階級、名前、所属と言った定例文を述べ相手に目を向ける

これが軍人でいうところの代表的な挨拶だろう

 

と言っても、彼女たちの様子を見る限り私の事は知っている様子だ。

 

 

 

そして私もこの女の事は知っている。

 

女性のみで構成されたドイツ軍IS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」通称「黒ウサギ隊」

ドイツ国内の総IS数10機の内3機を保持しているドイツ軍最強部隊である

 

その中でも抜きんでた実力で専用機を国から与えられた部隊長クラリッサ・ハルフォーフ

 

名実ともにドイツ軍最強を誇り、軍人なら誰でも知っている有名人だ

 

話によれば部隊のメンバーからはお姉様と呼ばれるほど人気があるらしい

 

ちなみにだが、手術前私もこの黒ウサギ部隊に所属していた。

当時は、設立されたばかりでそのような名で呼ばれていなかったがな

 

今となっては全く接点のない部隊であるが、もしもあの手術がなければ私もこの部隊にいたことは間違いないだろう

 

 

 

 

「それじゃあ、クラリッサ少佐ボーデヴィッヒを頼んだよ」

 

 

「了解しました」

 

 

・・・‥‥‥ん?

 

頼んだ・・・とはどういう事だ?

 

生憎私には、特に任務が回ってくる訳ではないし彼女(隊長)のような多忙な部隊とは無縁の日陰者だぞ

 

 

「頼んだ・・・どういう事ですか?」

 

 

考えても分からんし彼に聞いてみる。

 

自慢じゃないが、私には人との繋がりを形成する力はない。なので、基本的に見知った相手としか会話が成立しないのである

 

 

「君には今からシュヴァルツェ・ハーゼに編隊してもらう」

 

 

「お断りします」

 

 

「却下する。これは上官命令だ」

 

 

いやいや、意味が分からない。

なぜ今更になって私が・・・?という疑問を持ち即行で断ったら、これまた即行で棄却された

 

しかも、上官命令というお墨付きで

 

 

「君にはあのふざけた報告書を書いた罰として拒否権はない。謹んで任に付きたまえ」

 

 

何と言う一方的な

 

なぜ、あんな紙切れ一枚でここまでの仕打ちを受けねばならんのか

 

そもそも、ここで私に何をしろと言うのだ?

 

 

戦闘訓練の成績は最下位、事務も得意でも苦手という訳ではない平凡そのもの

 

雑用要員というなら分からなくもないが掃除、洗濯、お茶くみすですらまともにできる自信がない

 

戦う事しかできない兵器である私には生活能力とかは皆無なのだ キリッ

 

逆に言えば戦う事を奪われた私には存在価値すらないという事だが・・・そこは、まあ、アレだな、うん‥‥

 

 

 

ゴホンッ

 

何はともあれ、そんな私にこの部隊で、できる事があるとは思えない

 

なので、もう一度断ろうとするが

 

 

「それじゃあ、後は当人同士でやってくれたまえ。私は執務があるので失礼する」

 

 

などと言いそそくさと出ていいってしまった。

 

あのハゲが・・・!

 

 

彼が部屋から出ていくと、否応なしに残るのは私と彼女だけとなる。

 

つまり、見ず知らずの人間と2人っきりだ

 

 

「‥‥‥」

 

 

うん、思っていた通り会話がなくなり、部屋には沈黙が広がる。

 

本来なら訳知り顔な彼女に、私から話を振らなければいけない所だろうけど

 

その選択肢はない。コミュ力0を舐めないでほしい

 

私レベルになると例え相手が上官でも、いつまでも無言を貫き通すことくらい平気で出来るのだ

 

なので私は、あいさつ代わりに少佐に向け威嚇をすることにした。

 

ギロリと相手の目を睨みつけ無言の威嚇をする

 

 

「ボーデヴィッヒ軍曹、まずは座りたまえ」

 

 

が、軽く流された。

 

そういえば昔、彼にも同じように威嚇をしたら

 

「眠たいのかね?」

 

などと言われたっけな‥‥‥私の威嚇はどうやら効果を持たないようだ

 

 

「…了解しました」

 

 

シュンとしながら指定された席に座る

 

ちょうど机を挟んで少佐と向かい合う位置だ

 

 

「さっきまでの様子だと軍曹がなぜ、この隊に来ることになったのかは理解していないのかな?」

 

 

「ええ・・・いきなり連れてこられましたので」

 

 

聞き終えると少佐は、拳を顎に当て考える仕草をする。

 

 

切れ長な瞳に私よりは明らかに女性らしい胸部、見た目も雰囲気も大人の女性と納得ができる物だ

 

私は、今まで大体同い年の者達としか訓練を共にしたことがない

 

正確に言えば、同い年の女子とだ

 

異性ならむしろ、年上の者としか接したことがないが、こうまじかで相手を観察すると大人の魅力と言う物が同性ながら感じられる

 

 

 

 

「ではまず、この部隊の事について話そうか」

 

 

「いえ・・・黒ウサギ隊の事は知っています」

 

 

むしろドイツ軍一有名な部隊を知らない者の方が少ない

 

女性のみで構成された特別IS部隊

 

 

女性のみと言う発言だと、少し前に読んだジャパニーズコミックの設定を思い出す

 

確か女子校という教育機関で、女性として心身ともに鍛える伝統的な学校

 

あの本では伝統を重んじながら淑女としての教育を受け、なぜか同性同士での色恋沙汰を描いていた

 

 

曰く、女の園には百合の花が咲くとのことだ

 

・・・意味が分からない

 

確か、慕っている者同士を血のつながりもないのに姉妹と呼び年下の者は上の者をお姉様と呼ぶんだったか?

 

恋愛の一つもしたことない私では、異性は勿論、同性同士での非生産的な恋愛など理解のできるものではない

 

 

そういえば少佐も部隊の者からお姉様などと呼ばれているんだったか‥‥‥

 

 

‥‥‥‥‥‥

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・ん?

 

 

いや待て落ち着け私

 

あれは、あくまでフィクションのはずだ

 

現実に起きるわけがない

 

 

 

 

 

「そうか・・・と、その前にお互い堅苦しい話方をやめにしないか。これから同じ部隊としてやっていくんだから今からそんな調子では持たないだろう」

 

 

「はあ・・・少佐がそう言われるのなら」

 

 

「ああ、しかし話に聞いていたより素直そうで安心したよ」

 

 

少佐の言う話とは、まだ私が部隊最強であったころの話だろう。あの時の私は自分でいうのもなんだが周りに対し相当な態度をしていたし

 

悪い意味での噂話などいくらでもある

 

 

少佐は、まるで少女のようであり年相応でもある笑みを私に向けて話を続ける

 

 

「何より私が想像していたよりもかわいらしい」

 

 

ニコリと笑顔を向ける少佐の言葉に私は身の危険を感じた

 

 

私にはよくわからないが、周りからの話を聞くと私の容姿は一般より優れているらしい

 

戦うしか能がなく、戦う事も出来ない私の唯一の取り柄と言える

 

 

‥‥‥‥‥‥

 

 

あれ、これ本格的にやばくないか?

 

他にとりえのない者が唯一なにか取り柄があるのならそれに順ずるのは至極効率的な考えだ

 

 

同性同士による性的嗜虐とは本来の目的である繁殖行為ができないため生産性のない行為と言える

 

だが、逆に考えると繁殖することで不利益が発生するのなら話は別になる

 

 

子供ができると最低でも数年は、今まで通りの生活は送れない

妊娠に、育児と言った物にそれに伴う体力の低下などなどだ

 

例えば軍人なんかもそういった物を気にするだろう。体を動かし戦う我々にとり数年のブランクは致命的ともいえる

 

それが軍の最強部隊の隊長ともなれば尚更だ

 

 

しかし、性を発散させなければいけないというのも人の生理現象として問題である

 

異性同士でそういった行為を行い、間違いでもあれば事だ

 

なら、絶対に間違いなど起こらない同性同士ならば安全で確実だろう

 

 

 

ここで少し整理してみよう

 

片や最強部隊の隊長であり専用気持ち、軍としては失う訳にはいかない戦力

 

片や元部隊最強の現役立たずな私、軍としても失って問題はなく、むしろ私の犠牲で戦力維持ができるのなら喜んでするだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥詰んだ。うまく言葉にできないけど何か私の人生が詰んだ気がする

 

 

いや・・・この際考え方を変えてみよう

 

役立たずの烙印を押された私にまだやれることがあるんだ

 

それは喜ばしい事じゃないか・・・ッ例えそれがどんなことでも

 

 

あの不埒な会話をしていた連中よりも恐らく良識的な少佐が相手ならそれに越した事はないじゃないか‥‥あれ、おかしいな?目から汗が止まらない

 

致し方ない事だこれは・・・

 

 

これが私に残された唯一の道なのだ・・・受け入れるしか選択肢はないんだ・・・

 

 

 

 

「それじゃあ、さっそく軍曹の仕事について話そうか」

 

 

「…少佐ッ」

 

 

覚悟を決めよう

せめても、無様に足掻くのではなく潔く受け入れよう。それが私に残された最後のプライドだ

 

 

私は立ち上がり、深呼吸を1,2度したあと自らの軍服のボタンに手を伸ばす

 

ボタンを上から下に一つ一つ外していく。

 

手が震えてしまいうまく外せず時間が掛かってしまったが、一つまた一つと確実に

 

 

黒を基調とした軍服のボタンをはずし終えると前がはだけ白いYシャツが見えてくる

 

そのまま、上着を完全に脱ぎおえパサリと地面に転がった

 

ネクタイを外し、三つまでYシャツのボタンをはずし慎ましやかな胸元をはだけさせる

 

 

 

瞳からは雫がこぼれそうなのを必死に耐えるが、耐え切れず一粒の雫が落ちる

 

・・・ああ、なんと惨めな事か

 

覚悟を決めると思えばこの有様だ。これでは軍人でも兵器でもなくまるでただの女でないか

 

だが、決して泣き言は言うまい

 

 

いくら体は堕ちようとも心だけは軍人としていよう。

 

両腕で体を抱き締めるように抱え震えを抑える。意を決し少佐に目を向ける

 

少佐は、私よりも身長がありそのせいか目を見ようとすると見上げる形になってしまう

 

 

「少佐‥‥‥ッ不束者ですが・・・よろしくお願いしますッ」

 

 

残るYシャツのボタンに手をかけようとしたところで

 

 

「待った!!ボーデヴィッヒ軍曹!!君は何か誤解しているッ」

 

 

そう大声を上げ、私の両手を制止するため自身の手をかぶせる

 

 

「ッ離してください少佐!・・・これは私の覚悟の表れなんです!!」

 

 

「いやいや!だから君は何かを誤解している!?とにかく落ち着きたまえッッッ!!」

 

 

少佐の手を振りほどこうと力を入れるが体格的に上な少佐を振る払う事も出来ず、少佐も私の手を必死に制止しようと力を入れ

 

私達はもみあいとなった。すると、突然バランスを崩し床に横転してしまう

 

 

少佐は私に覆いかぶさるように倒れ反射的に地面に両手をつく

 

その時、執務室の扉があく

 

 

「そうだ、少佐一つ言い忘れてたこ‥‥とが‥‥」

 

 

「「‥‥‥」」

 

 

そこには私をここまで連れてきた彼が唖然とした顔で硬直していた

 

彼は倒れた私(服が乱れ半泣き状態)とそれに覆いかぶさる少佐(どう見ても押し倒してるようにしか見えない)を交互に見やり次第にわなわなと肩を揺らす

 

 

「少佐あああああああああああああああ!これはどういう事だ!!貴様一体何をしているかッ!」

 

 

「ご、誤解ですうううううううううう!?」

 

 

 

 

この日ドイツ軍の昼下がり2人の男女の絶叫が響き渡った

 

 

そしてこれが、私ラウラ・ボーデヴィッヒとクラリッサ・ハルフォーフとの出会いであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①こうして私達は始まりから間違える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンディングテーマ『An die ○reude』

 

歌:ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  制作

           やはりこのLチキは間違ってる委員会

 

 

                ハーメルン

 

 

 

 

 

 

 


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